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ニュースレターNo.28/2004年11月発行

JPNIC会員と語る/メディアエクスチェンジ株式会社(MEX)
インターネットの社会的課題
~JPNICに求められるもの~

[対談者紹介]
JPNIC会員
メディアエクスチェンジ株式会社 代表取締役社長◎吉村伸氏
JPNIC IP分野担当理事◎前村昌紀
JPNIC事務局長◎成田伸一

今回は、メディアエクスチェンジ株式会社(MEX)です。日本のインターネットの黎明期よりその普及に貢献してこられた代表取締役社長 吉村伸氏に、今後の日本のインターネットに対するビジョンやそこでJPNICが果たすべき役割などを熱く語っていただきました。

メディアエクスチェンジの設立の原点とは

成田 メディアエクスチェンジは1997年に設立され、今年9月に東証マザーズに上場されましたが、まず設立からこれまで、どのようなことに注力してやってこられたかお聞かせ下さい。

吉村 当時、JPIX(日本インターネットエクスチェンジ株式会社)がIX専用として立ち上がっており、当社の場合は、IX専用というよりは、コンテンツ事業者の独立性・中立性を保ちたいという要求に対してどのように応えていくのかということを念頭に置いてスタートしました。コンテンツ配信のためのコロケーションスペースの提供というサービスを開始したのです。インターネット接続をする場合、我々はかなり長いこと国際通信料の負担という点で苦しんできました。

以前、新聞社のWebサイトとして先陣を切った朝日新聞、いわゆるasahi.comのサーバが米国に置かれるということがありました。当時は、そのコンテンツにアクセスするのに高い国際通信料をユーザが負担しなくてはならない状況でした。今では日本国内でもサーバホスティングやデータセンターが一般的になりましたが、当時は、インターネットは米国が中心という状況があったと思います。

インターネットにはワールドワイドにフラットに繋がるという素晴らしい面がありますが、それは何でもワールドワイドに通信すればいいという意味ではなく、あるコミュニティが必要とする情報はそのコミュニティの近くに、日本人が必要な情報は日本にあるほうがよいに決まっています。

そういう当然のことを実現する、必要なところで充実したネットワークが使えるようなサービスを作りたいと思い、メディアエクスチェンジで取り組んでいこうということになりました。

前村 データセンターって言葉はその後から出てきたんでしたっけ?

吉村 当時、カーラジオから、「データセンターというのがアメリカにはあって日本にも必要だ」という話が流れてきて、「何言ってんだ、そんなもんもうとっくに始めている」と思ったのを、よく覚えています。日本では「データセンター」という名前はついていませんでしたが、そうしたサービスは既に始まっていて、楽天などは当社のサービスを使ってビジネスを行っていました。みんな、インターネットはアメリカのものだと思い込んでいるため、サービスとしても米国が全部先だと思い込んでいるところがあるのだと思います。

たとえば、ダイヤルアップPPPのサービスも、アメリカが先だと思われてますが、IIJ(株式会社インターネットイニシアティブ)のほうが先なんです。UUCP(Unix-to-Unix Copy)やSLIPが使われていた当時、IPCP(Internet Protocol Control Protocol)といったプロトコルが、まだインターネットスタンダードになる以前は、PPPをサポートしているクライアントのソフトなど、MACにはあってもWindowsにはなかったわけです。そういう時代に、PPPで全てやろうとしたのはIIJがやったことで、他にもいくつかIIJが、日本が世界に先駆けたサービスがありました。☆1

こうしたオペレーションテクノロジーに関しては、コマーシャルサービスを始めた段階から日本が先行していたのですが、しかし、如何せん規模が小さいため、所詮「アジアの島国でやってるらしい」くらいのことでしかなく注目されるということも少なかったわけです。

前村 1996年とか1997年というのは、国際専用線で米国に繋いでいることがISPの品質の証になるような時代でした。Webで引いてくるトラフィックも明らかに米国のサーバが多くて、そこからトラフィックのアンバランスというのが生じてきていたわけですよね。それが1999年頃になって、やっと解消されてコンテンツも充実してきたな、と思ったのを覚えています。

吉村 1999年というのは、日本で広告業界がインターネットを本格的に使うようになったとされている年ですね。女性誌にISPの広告が載ったというのがその象徴的な出来事でした。しかし、我々が実測値として観測しているのは2000年で、国内のトラフィックが目立って増えました。それを背景に、2000年の4月、今をときめく、楽天とライブドア(当時はオン・ザ・エッヂ)が上場したわけですね。つまり国内のコンテンツ事業がビジネスとして認められるようになったというわけです。

デジタル情報が普通に流通するようになったのは2004年

前村 やっと最近になって、みんなが当たり前にインターネットを使ってコミュニケーションが取れて、それによってコミュニティーが発展していく動きにつながるような状況に到達したという感じがしています。

吉村 それがいつからかという話になると、たぶん今年からなんでしょうね。

前村 なにかエポックはありますか?

吉村 たとえばデジタルカメラにしても、十分なクオリティが得られるようになったのが2003年。2004年になって、デジタルであることが受け入れられるようになり、インターネット上でデジタルに流通することが認められるようになってきましたよね。それまではデジタル情報を見て、ショッピングをして、それが物流で運ばれてきていましたが、これからは本当にデジタルですべて流通する時代がやってくる。ゲームソフトを含めソフトウェアは、ほとんどダウンロードになりつつありますし、インプットデバイスもデジタル化できるようになりました。デジタルカメラが典型的ですよね。みんなデジタルカメラを持っている。カメラといえば、デジタルカメラという時代ですから。

前村 そして、その流通を担うだけのインフラができてきました。買い物もクリック一つでデジタルで転送してもらえばいいだけの話になってきて本当に便利になりましたし、個人のレベルでもデータセンターやホスティングのサービスが一般的に使えるようになりました。今まで私はインターネットを運営する立場ではあっても、ヘビーユーザではなかったのですが、ここ2年くらいはようやく、ユーザとしても面白いと思えるようになってきました。

エンドユーザが好まないサービスは伸びない

前村 メディアエクスチェンジの経営指針を決める上でもっとも大きなウェイトを占めるのは、やはりこういった技術的なトレンドや追求するべき理想像といったところなのでしょうか。

吉村 当社のインフラを使って新規のサービスをしたいという人が出てきた場合、そのサービスが伸びるかどうかというのを考えないといけません。場合によっては、設備投資を伴うわけでしょう。

我々の行っているデータセンターサービスは、どうしても設備投資が先行するので、どういう設備投資をするのか、誰のためにするのかというのを見誤ると大変なことになる。たとえば、国際専用線の話に戻すと、インターネットが使われるようになったら国際専用線のトラフィックも増えると思い込んだ人が、多額な投資をしたけれど、国際専用線、特に日米のトラフィックなんて、ぜんぜん増えなかったわけです。どういう使われ方をするかという全体像を考えておかないと、それに対して投資をしても回収ができない。サービスを使うのは人間なわけで、人間が好まないサービスというのは絶対に伸びない。

新しい技術を例にとるとRFIDなどが、まさに今サービス化される途上の段階ですが、現在のところ、まだまだRFIDを付けて管理を充実したいという視点からサービス化が進んでいるように思います。多くの場合、企業論理というのは、管理する側の立場にたってサービスのプランニングをするけれども、消費者は管理されたくないですよね。管理する側と管理される側の立場というのは180度違って、管理する側にとって好ましく、且つ管理される側にとって好ましいのものでなければ伸びないと思います。

前村 デジタルの技術ってアイデンティファイする情報しか提供できず、アブストラクトな情報を提供できないという面がありますよね。たとえば、「18歳未満お断り」をどう処理するのか。人間なら例えば小学生であれば一目見ただけで18歳未満だと分かる。ところがコンピュータにはこれができません。最後の1ビットまで見ないとそういう判断ができないわけで、プライバシー保護の観点から大きな課題ですよね。

吉村 デジタル化されたものは、ビット列以外のなにものでもないから、それを区別するのはできないですからね。それはデジタル化の欠点ですね。

JPNICに望むこと

メディアエクスチェンジ株式会社 代表取締役社長◎吉村伸氏
メディアエクスチェンジ株式会社 吉村伸氏

前村 これからのインターネットの10年は、どうなっていくと思いますか?展望としてなにかご披露いただけますか。

吉村 インターネットは、性善説を前提にして作られてきたところに、色々なものが入ってきて、性善説だけでは立ち行かなくなりつつあり危機的な状況にある、これが一番の問題ですよね。だから、インターネットに求められているものが、変わってきている。それをどうやって、新しい次世代のインターネットに作りこんでいくかが課題だと思います。だから、IPアドレスやドメイン名のマネジメントをしている組織が、そういう社会的問題に対してどういう立場に立つのか。たとえば、マクドナルドが「ドメイン名の文字列は意味をなす」と主張した時に、ドメイン名のレジストリは「あくまでこれはコンピュータによる識別子なんだよ」という立場をとろうとしたけど、結局とり続けることはできなかった。

やはり、社会的な影響ということを考えると、IPアドレスのマネジメントとドメイン名のマネジメントというのは、そうした社会的な要求に対して、「自分たちはあくまで中立ですから、どういう使い方をするのかは自由です」と言い続けるというのは非常に難しくなってきているのです。つまり、テクノロジーなのか社会的な仕組みなのか、どちらかで解決する手立てを提供する必要がある。教育だけでいいという話では、もはやないのです。

前村 IPアドレスのルールも今までのように「こう決まっているから」といった言い方は許されなくなってきていて、なぜそうなのか、その正当性を説明できなければならなくなってきています。JPNICでもそういうことに取り掛かっているところです。吉村さんはJPNICの礎を築いてこられたわけですが、他に当時こういうことが大変だったとか、今外から眺めてどう思うかなど、比較なさってどう思われますか?

吉村 JPNICが出来た時というのは、いわゆる学術系の人達が中心になってインターネットの普及に取組んでいましたが、そのうちコマーシャルISPの人達も当然出て来ました。そうした中、JPNICが一番変わらないといけなかったのは、コマーシャルに対するサービスという認識をもたなければいけない、ということでした。IPアドレスやドメイン名の割り当てに関しても、企業に対するサービスという観点から考え直すべき時期にきていました。IPアドレスの資源管理については、公平にやるのか、恣意的にやるのかという問題があります。我々がやってるときは、教育的な立場というのがあったから恣意的でよかった。今は特定のテクノロジーと非常に強く結びついている関係で、公平性というのがどこにあるのか、本当に説明責任を果たさないといけなくなっている。

一方で、インターネットのユーザ層の幅が広くなってきてしまい、そこに対してJPNICの声は届きにくくなっているため、説明責任を果たしにくくなっている現状もあります。当社は上場して情報開示に対してセンシティブになってますが、JPNIC も同じくらいタイムリーな情報開示が求められている組織なんだと思います。そのために、JPNICはマスメディアをもっと上手に活用することができるようにならないといけません。それができないと、リーダーシップも発揮できないですよね。

前村 それは痛切に感じますね。きちんと口を開いてポジションを表明しないと、それに沿った考え方で見てもらえなくなる。ですから、事あるごとに我々の考え方や意思を表明しようと常に心がけています。

JPNIC事務局長 成田伸一
JPNIC事務局長 成田伸一

成田 ドメイン名についても、まだまだ責任があるということでしょうか。

吉村 (レジストリ)オペレータとして動かしていく(運用する)部分は株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が担っているにせよ、やはり、社会に対する責任ということから考えるとJPNICが持たないといけないと思いますよ。タイムリーな情報開示というものは、我々が上場企業として経営状況に関して要求されるのと同じように、JPNICもポリシーメイキングに対して情報開示が要求されているのです。要はインターネットの外の人に対して、いかにアピールするかというのが非常に重要。インターネットが数の上で普及したと言われていますが、新聞や雑誌を読む以上にインターネットが使われるとは考えられない。確固たる意識を持ってインターネットを使う人はまだ一握りで、それほど頻繁に使わないという人がほとんどだと思ったほうがいい。私がJPNIC理事だった頃は、INTERNET Magazine誌(インプレス社)に「JPNIC通信」というコーナーで連載していたりしましたが、今、JPNICは定例記者会見を開いてしかるべきな立場ではないでしょうか。それくらい当時JPNICがおかれていた立場と今の立場は違うと思います。

また今の状況に即したレジストリにしかできないサービスを考えないといけないと思います。例えば、あるIPアドレスが、ISPからの動的割り当てなのかユーザに静的に割り当てられたものかを、DNSくらいの即時性で回答するようなサービスなどがあると利用価値が高いと思います。

JPNIC IP分野担当理事 前村昌紀
JPNIC IP分野担当理事 前村昌紀

前村 現状では、whoisを引くとISPの名前が出てくるのか、割り当てられた人の名前が出てくるのか、くらいの違いはわかるのですが、それでは不十分ですか。

吉村 不十分でしょうね。動的に割り当てられたIPアドレスはさまざまな使われ方をしていて、なおかつ最近はブロードバンド化で不正利用された場合はダメージが大きいのです。動的な割り当てなのか静的に割り当てられたものなのかについてのデータベースをJPNICで運用することで、動的に割り当てられたIPアドレスからのコネクションを拒否することもできるわけです。JPNICは、かつてDHCPやPPPをアドレスが節約できるとして推進したわけだから責任があります。DHCPやPPPという使い方をしていても、無駄にアドレスを使っている事業者はいます。JPNICが動的に割り当てられたIPアドレスのデータベースを作ってみるとすぐわかることで、そのデータベースから、IPアドレスがどれくらい使われているかの統計がとれ、その結果、IPアドレスの割り当ての妥当性というのも実はわかるのです。こうした問題にJPNICが関わらざるをえない時代になったことを理解して欲しいと考えています。

前村 まさに、私がJPNICで担当しているところですが、動的に割り当てられたIPアドレスに問題があるという論理が、きちんとコンセンサスとして解釈できるのか、というのがあります。

吉村 いい悪いを判断するのはJPNICではなくて運用者です。JPNICは判断の材料となる情報を提供するというスタンスだと思います。

メディアエクスチェンジの今後の展望

成田 最後になりましたが、メディアエクスチェンジの今後のビジョンをお聞かせ下さい。

吉村 我々のビジネスは、必要とされるところに設備投資を先行して事業を進める形態のため、資金調達は重要な問題です。日本のインターネットユーザの限りなく100%に近いユーザは、当社のネットワークを通ったことがあると自負していますので、我々がやっていることを知ってもらい、それが他とどう違うのかわかってもらった上で投資をしてもらえるようにしていかなければならないと思います。そうやって理解を得て我々のテリトリーが広がっていくことで、インターネットにおいて我々のネットワークがより重要な位置を占めていくのでしょうし、それ相応の説明責任を果たしていかなければならないのだと思います。

成田・前村 ありがとうございました。

会員企業紹介
会社名:メディアエクスチェンジ株式会社
所在地:東京都豊島区東池袋3-1-1サンシャイン60 10F
設立:1997年5月26日
資本金:16億4,150万円
URL:http://www.mex.ad.jp/

☆1 1993年~1996年吉村氏はIIJで日本の商用インターネットサービスの先駆者としてその普及に貢献してこられた。

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