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ニュースレターNo.31/2005年11月発行

ENUMの最新動向
~国際的枠組みの下での国際相互接続実験に向けて~

ENUMとは

ENUMとは、電話番号(E.164番号)を使用して、インターネット上で展開される通信サービスのアドレスを識別する仕組みです。

図1 ENUMにおける電話番号から接続情報への変換手順
図1 ENUMにおける電話番号から接続情報への変換手順

まず、電話番号をドメイン名の形(e164.arpa)に変換します。その変換したドメイン名をDNSを利用して文字・数字・特殊記号からなるURI(メールアドレスやWebサイトのURL、SIPアドレス等)と対応づけることで、そのアプリケーションに接続することが可能となります。言い換えればIPネットワーク上の電話やメール、FAXなどのアプリケーションのURIを自分の電話番号に対応するものとして登録しておけば、異なる通信サービスを「一つの電話番号」で利用することができるようになるということです。

このENUMが、グローバルコミュニケーションの基礎として高い潜在能力を持つ理由には、更に3つほどの要素があります。まず第一に、電話番号は国際接続を行うために、国際的な階層構造のもと管理されているので世界中に重複がないということです。また、電話番号は数字だけで構成されるため各国の言語に依存しないという点も利点としてあります。最後に、国際接続を視野に入れた時、広域で動くデータベースを一から作り上げることは大変ですが、既に自律分散型で運用されているDNSを利用すれば効率的であるということです。

諸外国のENUMの取り組み状況

2000年1月にITU-TとIETFが合同で「公衆網とIPネットワークとのインターワーキング・ワークショップ」を開催してから、ENUMに関しては、ITUが管理方法を、IETFは手順(技術)を検討するという形で棲み分けながら協調して標準化作業を進めてきました。

2002年5月にITUによって各国内の電話番号に対応したドメイン名の管理方法の標準化が行われました。これによりTier1として各国の国コードが各国組織に委任されるようになり、実際に国際接続が可能な番号空間を使用してのトライアルが可能になりました。トライアル用のドメイン空間である「e164.arpa」は、IETFのIAB(Internet Architecture Board)からの委託を受け、RIPE NCC(Reseaux IP Europeens Network Coordination Centre)が管理運用を行っているため、Tier1としてトライアルを行うには、Tier0のレジストリとなるRIPE NCCに国コードを申請する必要があります。

ENUMの実際の導入に向け、この国コードを取得してトライアルを進める国々が増えています。この場合、国主導でのトライアルの場合もありますし、トライアル組織を独自に結成して行う場合もあり、各々の国によって進め方はまちまちですが、どの国も今後の「ENUM商用化」等の展開を見据え研究を進めている点では一致しています。

特に、ヨーロッパ地域で、ENUMに関する調査研究が進んでいます。というのは標準化団体の一つであるITU-Tの本部が近くにあり、そのため、RIPE NCCやETSI(European Telecommunications Standards Institute:欧州通信規格協会)、CENTR (Council of European National Top Level Domain Registries)等の場を中心にENUMの技術に関する議論や共同実験プロジェクトも盛んに行われたことが理由として挙げられます。結果、現在ヨーロッパ地域では、トライアルを通り越して既にENUMを商用化しているオーストリアやポーランド等の国々も見られます。特に中・東欧市場を視野に入れた場合、オーストリア・ポーランドは拠点としたい地域であること、またこれらの国々は通信法改正により開放され、最も競争力を備えた通信市場であるため、各種サービスも豊富で、料金も安価となっています。これらの充実した土壌をベースに、ENUMを利用した利便性が高いアプリケーションが生まれる可能性が高くなっています。

これらの国々で実際に使用されているENUMは、IPネットワーク上で電話などのアプリケーションが相互接続するルーティングのために使用するというものが多いようですが、ENUMの特徴を活かした、ユーザーが様々な通信アプリケーションを自由に登録できるサービスを提供しているレジストラもでています。

日本のENUMに対する取り組み

2002年、総務省の「IPネットワーク技術に関する研究会」で「IP電話の相互接続の実装手段の一つ」としてENUMが紹介され当初、日本でのENUMは、その概念のみがフォーカスされがちだったように感じます。そんな中、JPNICは「ENUM研究グループ」を設立し、オペレーターが自社のサービスのために使用するENUM(オペレーターENUM)とユーザーが自分が登録したいアプリケーションを選んで登録するENUM(ユーザーENUM)の技術の実装方法が混然と議論されている状況にいち早く注目し、ENUMをオペレーターENUMとユーザーENUMに分類しそれぞれの検討課題を整理した報告書を作成しました。技術のみが先行して議論されていたENUM の実装上の検討課題を世界に先駆けて明らかにしたのはENUM研究グループであり、この時の日本の貢献は大きかったのではと考えています。

その後、実機を使用したトライアル自体は「ENUM Trial Japan(以下、ETJP)」に引き継がれ、ETJPでは参加者個々が自由に技術実験できる場を提供してきました。

ETJPは、

 (1)ENUMトライアル用DNSの運用
 (2)ENUMを用いる通信アプリケーション(機器・ソフトウェア)の技術的検証
 (3)ENUMを用いる通信サービスの技術的検証
 (4)ENUMに関する情報の集積

を主な目的に活動を行ってきました。既にENUM DNS・VoIPルータ・SIPサーバ・ソフトフォン・FAX等の運用・ENUM DNSのTier分割とDNSSEC対応・RFIDを使ってのワンナンバー着信等の実績があります。また事業者間のサービス実験も行いました。しかし、E.164番号を利用しての国際実験だけは、日本がE.164国コードの委任をRIPE NCCから受けていないために未実施のまま残されていました。

このような状況を受け、2005年8月、総務省の「IP時代における電気通信番号の在り方に関する研究会 第1次報告書」が発表となり、そこに以下のように記されることとなりました。

「国際的にユーザーENUMを前提としたトライアルの活動が活発化してきており、日本においてもENUMの運用経験の獲得や商用化に向けた検討を行う上で、国際的な枠組みでのトライアルの実施が求められる状況となってきている。日本国内のENUMトライアルを推進するため、総務省がRIPE NCCにトライアル用のE.164番号の割当申請手続を行い、承認を得る」(「第5章 その他の検討課題 5-1 ENUMトライアルへの対応」に記載)

ETJP第3回総会の様子
ETJP第3回総会の様子

ここに記載されている通り総務省が国コードの委任を受ければ、日本も国際的枠組みの下での国際相互接続実験が可能になります。これを受け、2005年9月29日、ETJPも2年間の活動の延長を決議しました。ETJP以外の組織でも、ENUMを利用した国際接続を行うところがでてくるかもしれません。日本のENUMに対する研究が、これを機に急速に進む可能性があります。

(JPNICインターネット基盤企画部 根津智子)

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