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ニュースレターNo.32/2006年3月発行

インターネットガバナンスに関する最新動向

◆これまでのいきさつ

2003年に行われた世界情報社会サミット(WSIS) ジュネーブ会合に端を発したインターネットガバナンスの議論は、2004年に国連事務総長配下のワーキンググループ(WGIG) を作り、そのWGIGがインターネット資源管理を含むインターネットガバナンスの現状と問題点をまとめた文書を発表し、2005年7月に最終報告書を上程するという一連の作業を経て、2005年11月16日から18日までのWSISチュニス会合で一つの節目を迎えました。

2005年7月のWGIG最終報告書の中では、現在ICANNが行っているルートサーバ、ドメイン名、IPアドレスの管理の監視形態を今後どうしていくかについて複数の提案が行われ、この最終報告書を基にサミット前の準備会合を経て最終文書の内容に関する交渉が各国間で行われることになりました。

サミットの準備会合では、米国が現在の管理体制を支持する主張をし、これに対しEUは政府の責任・関与を現状より高めるべきという提案を行います。一方途上国側は米国一国がICANN監督機能を握っていることへの強い問題意識からこの「米国一国支配」状態を解消するよう求めるというそれぞれの立場の違いから、意見の一致を見るのが非常に難しい状況となりました。

しかし本会合前夜の最後の2時間でなんとか各国が最終文書に合意し、無事文書を発表できることとなりました。インターネットガバナンスに関する事項は、「チュニスアジェンダ」と呼ばれる文書に集約して記述されています。

◆インターネットガバナンスフォーラム

この「チュニスアジェンダ」で設立されることが決まったのが、「インターネットガバナンスフォーラム(IGF) 」です。結局、WSISチュニス会合では現行のインターネットの管理体制に影響を及ぼす決定はなされず、議論はさらにこのIGFに持ち越されることとなりました。

チュニスアジェンダでは、第72-79段落にIGFの規定が見られます。以下に主な記述を抜粋します。(総務省参考訳:http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051119_1.htmlより)

  1. 我々は、国連事務総長に対し、開かれた包括的なプロセスにより、2006年第二四半期までに、マルチステークホルダーの政策対話のための新しいフォーラムの会合を開催することを求める。これをインターネットガバナンスフォーラム(IGF)と呼ぶ。
  2. インターネットガバナンスフォーラムは、その作業と機能において、多国間、マルチステークホルダー、民主的、及び透明であるべきである。
  3. IGFは監督権限を持たず、既存の取り決め、仕組み、機関や組織を置き換えることは行わない。しかし、それぞれを包括し、その能力を活用するものである。IGFは中立で、重複することなく、拘束力のないプロセスに基づいて進められる。ここにはインターネットの日常的又は技術的運営は含まれない。

これらの記述を要約・解釈すると、以下のようになります。

  • 国際連合管轄でインターネットガバナンスフォーラム(IGF) を設立し、マルチステークホルダーアプローチで最低5年間維持する。
  • IGFは既存の組織や取り決めなどを置き換えるものではなく、対話のための場である。
  • 議論の対象となっていたICANNの体制は、米国政府の関与を含めて当面現状のまま維持される。

実質は、WSISジュネーブ会合に引き続いて再度先送りされたということができるでしょう。ただ、米国一国支配という批判に対しては、次の文を入れることで合意したので、ある程度途上国側としても納得できる結論になったということは言えると思います。

  1. ~各国は、他の国の国別ドメイン名(ccTLD)に関する意思決定に関与してはならない。~
  2. 我々は、インターネットに関する国際的な公共政策課題に関して、各政府が同等の立場でそれぞれの役割や責任を果たすことを可能にするため、将来、拡張した協力の必要が生じることを認識する。

◆マルチステークホルダー

3年越しで議論されているインターネットガバナンスの問題ですが、WSIS/WGIGの一連のプロセスにおいて議論を行っていたのは政府関係者だけではありません。議論の対象となった当のICANNもWSIS/WGIGワークショップの開催を通じて参加者と逐一議論の場を設け、情報の共有を行っていましたし、地域インターネットレジストリもそれぞれの地域ミーティングでインターネットガバナンスに関するセッションを設けたりしており、民間、市民社会の参加者も活発に意見交換、主張、提言を行ってきました。

集中的に議論を行ったWGIGも、政府関係者、民間、市民社会という複数の背景を持つメンバーがバランス良く参加し、論点を整理し、報告をまとめ上げることができた点で評価できると言えるでしょう。IGFの規定の中にある「マルチステークホルダーであるべき」という記述は、その有用性、重要性を政府関係者側も認めたということだと思います。今後もインターネットガバナンスに関する議論は、今まで通りにこのマルチステークホルダーアプローチで行われることになります。

◆今後の展開

設立されることが決まったIGFは、2005年末の時点では2006年6月を目処にギリシャのアテネで開かれることがほぼ決まっていると言われていました。2006年1月時点ではようやくIGFのWebサイトが開設※1され、2006年2月16日と17日の両日にスイスのジュネーブでIGF 開催のための準備会合を開くことがアナウンスされました。

その後、IGFのアジェンダをどうするか、費用は誰がどう負担するべきか、会合の頻度と期間はどうすべきか、などのアンケートがIGFのWebサイトに公開され、回答を受け付けています。IGFの運営についてはまだほとんど何も決まっていないということが、このことからも伺えます。

JPNICとしてはこれからもIGFの準備状況を逐一追いつつ、議論に何らかの形で関わっていきたいと考えています。

(JPNIC インターネット政策部 穂坂俊之)


※1 The Internet Governance Forum(IGF)
http://www.intgovforum.org/

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