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ニュースレターNo.33/2006年7月発行

JPNIC 会員と語る/株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
進化するモバイルインターネット
~携帯電話とPCの連携により広がる可能性と課題~

今回は株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下、NTTドコモ)を訪ねました。プロダクト&サービス本部プラットフォーム部長 青山 明彦氏に、NTTドコモが取り組んでおられる携帯電話を端末としたモバイルインターネット事業について今後の展望と課題を伺いました。

[参加者紹介]JPNIC会員

  • 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ プロダクト&サービス本部 プラットフォーム部長 青山 明彦氏
  • JPNIC IP分野担当理事 前村 昌紀
  • JPNIC事務局長 成田 伸一
対談の様子
左から、NTTドコモ 青山氏、JPNIC 成田事務局長、JPNIC 前村理事
会員名:株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
所在地:〒100-6150 東京都千代田区永田町2丁目11番1号 山王パークタワー
営業開始日: 1992年7月1日
資本金: 9,496億7,950万円
URL:http://www.nttdocomo.co.jp/ (2006年3月31日現在)

モバイルインターネットの普及が進んだ日本
~NTTドコモの取り組み~

成田 まず最初に、NTTドコモさんの携帯電話を使ったモバイルインターネットの展開についてお聞かせください。

青山 日本では、モバイルでメールを送受信したりWebを見たりするのが当たり前のように思っている方が多いかと思いますが、そうした環境にあるのは世界的に見ると日本が特出しています。情報通信白書によると、携帯電話で電子メールを送る機能の利用率は、日本の場合87.7%ですが、米国の場合は12.4%、比較的進んでいる韓国でも43.1%に留まっています。日本は、率先して携帯を端末としたモバイルインターネットの利用を促進してきたことで、新しい文化ができてきたといえます。

前村 日本におけるモバイルインターネットの普及は目を見張るものがありますよね。

青山 米国では、BlackBerry※1のような特殊な端末のお客さんが増加しているように、携帯からインターネットに繋がりたいというニーズが根強いということだと思います。 しかし、日本の場合は事情が違って、既にiモードやEZweb、Vodafone live!など、コンテンツを持ったモバイルサービスがこれだけ広がっているので、単にインターネットに接続するのが魅力というだけのモバイル端末では競争に勝ち残っていけないのではないかと考えています。日本では第三世代携帯電話(3G)が普及しつつあり、NTTドコモの場合、第三世代が2580万台、第二世代が2570万台となっております。また、第二世代の端末だと、Webページの参照が1日1人平均5ページ、メールの送受信が5通程度なのに比べ、通信速度の早い第三世代の端末だと、Webページの参照は1日1人平均50ページ、メールの送受信は15通程度と非常に多く、第三世代の携帯電話は第二世代に比べWebページの参照で10倍、メールの送受信で3倍と増えているということになります。これは、 ヨーロッパや米国では信じられない利用状況になっているわけです。

成田 平均で50ページというのはすごいですね。

青山 ヨーロッパや米国の移動体事業者が進めてきたのは、自らコンテンツプロバイダとしてコンテンツを提供するというクローズドな世界で利益を上げるビジネスモデルでした。iモードがこれまで進めてきたのはオープンモデルです。コンテンツもインターネット上に存在するコンテンツプロバイダから、インター ネット経由で提供されます。現在、iメニューでコンテンツを提供しているサイトの数は約6000、iメニュー以外の一般サイトの数で約90000存在しています。

前村 iメニュー上のコンテンツもインターネット経由での提供なのですか?

青山 はい、中には金融機関のように専用線を利用しているところもありますが、ほとんどインターネットが中心です。また、コンテンツプロバイダもかなり進化していて、約3分の1くらいがiアプリやiモーションに対応していて、高機能化しているといえます。デジタルコンテンツの販売は、インターネットの世界では、なかなか市場を作りづらかったのですが、iモードで有料回収の仕組みができたことが契機になり、今ではモバイルインターネット分野で約2千億円市場に成長したと推定されます。

青山明彦氏近影
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 青山明彦氏

携帯電話とPCの使い分け
~各々の特性を活かしたシンクロナイズ化~

前村 携帯電話からの取引も増えているのでしょうか?

青山 オークションの最後の入札を携帯電話から行う人が多いようですね。これから、ますますPCで行う部分と携帯電話で行う部分が連関してくるでしょう。携帯電話もメモリ容量が拡大すると共にCPUも高速化し、扱えるファイルの種類もPCに近づいてくる傾向にあります。そうなると、今後の課題はPCと携帯電話をいかにシンクロナイズさせるかというところにあるのではないかと思っています。

前村 既にやられている、もしくは、やろうとされている携帯電話とPCのシンクロナイズの具体例をいくつか教えていただけますか?

青山 はい、サービスの例としては、902iSシリーズから新しく始まった「電話帳お預かりサービス」というのがあります。これは、電話帳などのデータをサーバに登録保管するというサービスで、PCでデータを編集し、サーバに登録すると、どこにいても携帯電話からサーバにアクセスすることができますし、データのバックアップ機能にもなります。また、別の例では、子供に携帯電話を持たせて、どこにいるかをPC上で時間ごとにトレースして確認できる「イマドコサーチ」というサービスもあります。

前村 私もそうですが、手ごろにすぐ必要な時は携帯電話を使い、本格的に調べものをする時はPCを使うなど使い分けをするユーザーは多いと思うので、携帯電話とPCをシンクロナイズさせたサービスへの需要はあると思いますね。

青山 また、ビジネス向きのサービスになりますが、「mopera U」というサービスでは、FOMA M1000というPDAのような携帯端末を使って、PCと共通のアカウントによるマルチアクセスを可能にしています。こうしたサービスを、今後もっと普及させていきたいと思います。

前村 今後のiモードのサービスは、端末も含めて変わっていくということでしょうか?

青山 端末のベースになるのは、やはり携帯電話ということは変わらないと思いますが、この携帯電話も、半年に1回 バージョンアップされ、新しい機能が追加されてきますから、それと同時にPCとどのようにシンクロナイズしていくのかというのが、一つのテーマだと思っています。

前村 携帯電話は私たちの生活に欠かせないものになってきて、携帯電話の役割もますます多岐にわたってくるように思いますが、いかがでしょうか?

青山 はい、生活インフラとして携帯電話をどのように使っていくのかが重要だと考えています。クレジットカードのサービスやQRコード※2など既に新しい携帯電話の使い方が始まっています。3300万を超える端末がQRコード対応となっていますし、FeliCaチップが載ったおサイフケータイは1300万を超えてます。こうした入出力の機能を備えた新しい利用の促進を進めていくことになると思います。

携帯電話の高機能化と新たな問題への取り組み

前村 あちらはギネスブックの認定証ですか?※室内のギネスブックの認定証を指し示す。

青山 はい、2006年1月現在において4500万を超える iモードのユーザー数について、インターネットのワイヤレスプロバイダ世界一であるとしてギネスブックに認定していただきました。実は、それと一緒に、1時間に処理されたメールの数について世界一の申請もしたのですが、こちらのほうは審査中です。毎年1月1日の0時から1時という時間帯が一番メールの通信が多い時間帯ではありますが、2006年1月1日の0時から1時のメールの送受信が約7000万通に達しました。しかし、そのメール数にスパムが含まれていないか、などメール数のカウントの基準というものがはっきりしていないので、未だ認定されていない状況です。

前村 それにしても7000万通とはすごいですね。

青山 これは余談ですが、7000万通のうちの15%が「デコメール」というHTMLメールで、非常に正月らしいメールになっているんです。

前村 現時点では携帯電話はWebやメールが中心ですが、今後PCとの差は少しずつ縮まっていくのでしょうね。

青山 そうですね、携帯電話では全てのプロトコルをカ バーしているわけではないのですが、今後必要なプロトコルに対応していくことにより、Webやメール以外のサービスも増えて、PCとの差が縮まっていくのでしょう。また、今のインターネットとの違いは速度です。第三世代携帯電話でも、まだ384kbpsですので、PCの50Mbps、100Mbpsの速さに比べたら非常に低速です。ただ、この夏から始まるHSDPA※3は3.6Mbpsですし、第四世代携帯電話になればますます高速化していきます。そうなれば、通信速度の制限でできなかったサービスもできるようになると思います。

前村 私も、日本で商用のインターネットが出てきた頃からモバイルのインターネットを利用していたのですが、昔は9.6kbpsでしたから今思えばよくやっていたと思いますね。それからPHSが出てきて32kbps、64kbps、128kbpsというス ピードが出てきて、日進月歩で速度は上がっているわけですが、それでも飽くなき欲望は止めどもないということですね。話は変わりますが、インターネットというものがセキュリティ面で心配が残るという悪いイメージで捉えられがちなのですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか?

青山 迷惑メールは一時期は社会問題化しましたが、さまざまな機能を追加するなど地道な対策により、今は落ち着いてきました。迷惑メールの問題は、事業者ごとの取り組みと なっているのが現状ですが、本来であればインターネット全体での迷惑メール対策をもっと加速的に進めていかないといけないのでしょう。

前村 携帯電話の迷惑メールは減りましたが、PCで受け取る迷惑メールの数は相当なものですよね。私の場合、週末に数えてみたところ、迷惑メールの割合が8割くらいでした。IETFにおける標準化のプロセスでは、いくつかの方式を並走させた上で市場の選択に委ねるという方式を取っており、迷惑メールの対策についても同様で、結果的に足並みの 揃った対策が遅れているという状況のように見えて、今はイン ターネットのこれまでのやり方が試されている時だと思いますね。

ギネス認定証
NTTドコモは、Internetのワイヤレスプロバイダ世界一であるとしてギネスブックに認定されました。

青山 その他、セキュリティ対策として、ウィルスの問題への対応もあります。これも特定の企業に任せるだけでなく、 もっと有効な対策を考えないといけないと思います。

前村 事業者においては、セキュリティ上の問題が起きた時、その発生元を追跡できるアーキテクチャを確保することが、少なくとも要求されていると思います。

ネットワークレイヤとコンテンツレイヤの連携
~コスト負担問題~

青山  映像配信事業者とISPとの関係も興味のあるところです。

前村 そこには、通信技術でない政策的なところで解決していかないといけない問題が山積していますよね。

青山 技術のほうが先行していて、後から法整備がされていくということだと思いますが、こうしたことはインターネットの世界に限った話ではありませんよね。

前村 日本のインターネットの始まりも、研究者間の実験から始まり、後から法律が追いかけていくというものでしたしね。

青山 また、個人的に興味があるのは、一般のユーザーにとって、ISPよりもポータルサイトのほうがインターネットそのものに見えているのではないかということです。最初の頃は、ISP事業そのものに利益が上がっていたから、皆ISP事業に参入してきました。しかし、そのコストモデルが厳しくなってきた今、付加価値を提供する事業とISP事業のコストモデルをもう一度見直す時期が来ているのではないかと思います。

成田伸一近影
JPNIC事務局長 成田伸一

前村 インターネットが出たての頃は、インターネットに接続するネットワーク作り自体がよく知られておらず、難しいだけに付加価値としてそれ相応の値段で売れるものでした。今ではネットワークに繋がることが当たり前の状況になりましたので、ネットワーク自体には付加価値をつけづらくなってきて、コンテンツ側に付加価値をつけて売るようになっていますね。

成田 ここ2年くらい合併再編が多く、ISP事業は規模の拡大を求める傾向にあると思います。その影響で、JPNIC会員も減っているのですが。あと1~2年くらいで再編劇が終わると、インフラとアプリケーションやコンテンツ事業者とのトランザクションをどうしていくか、コスト分担をどうしていくかという話になってくると思います。

青山 コンテンツプロバイダは、我々にとってパートナーです。モバイルの世界では、コンテンツプロバイダがコンテンツを提供し、NTTドコモが料金の回収代行をするという一つのビジネスモデルが成り立っています。

前村 料金の回収代行というのはインターネットの中に実装していない仕組みです。

青山 コンテンツはフリーであるというところから、インターネットは発展しましたからね。そうした仕組みはこれから作り上げていくことになるのでしょうね。

前村 インターネットは、個人と個人が通信するというプ ラットフォームから牧歌的に始まったもので、その後たまたま商売に使われたという経緯ですので、ビジネス的な仕組みの実装が遅れたということだと思います。今後、インターネットが広告料をベースとしたコストモデルが出来上がることで、現在放送に多くの広告料を投じてきた広告業界にも変化が見られるかもしれませんね。

青山 広告業界の全体のパイは変わらないので、インターネットが加わることで広告料が細分化され、これまでより広告料収入が減る業界も出てくるでしょう。既に、インターネットの広告料が、ラジオの広告料を凌駕(りょうが)したというのは、象徴的な出来事です。インターネットの特徴は、お客様一人一人が見えるため、かなりきめ細かなサービスができるというところにありますが、一方で、成果が見えやすいので広告を打つほうにとっては厳しくもありますね。

前村昌紀近影
JPNIC IP分野担当理事 前村昌紀

JPNICに期待すること

成田 JPNICは、これまでどちらかというとインフラの分野を中心に活動をしてきたのですが、今後インフラ事業とアプリケーションやコンテンツ事業の関係に変化が予想される中、我々がインターネットの発展に貢献していくために留意していくべきことなど、ご意見をいただけますでしょうか。

青山 新しいプロトコルを作っていくにしても、そのネット ワークの上で事業をしている方々の要望、意見を聞きながらプロトコルを作っていかないと整合性がとれないですよね。事業者が自由に活動しつつ、健全に発展していくためには、双方も含めた活動が必要ではないでしょうか。NTTドコモとしても、JPNIC会員としてそうした活動に加わらせていただいているのは意義があると思っていますし、次第に活動に参加するメンバーも変わっていくと思います。

前村 JPNICが取り組んでおりますインターネットガバナンスの分野でも、マルチステークホルダーアプローチといいまして、さまざまな立場の人がルール策定に関わって議論を進めていくことが求められております。JPNICの活動においても、同様にさまざまな分野からの意見を聞きながらインターネットのインフラの運営ルールや仕組み作りをしていかないといけないと考えています。特に、NTTドコモさんは4700万以上のiモード加入者をインターネットの世界に持っていらっしゃるわけですから、そういった声を参考にさせていただきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。


※1 BlackBerry
カナダのRIM(Research In Motion)社が開発・販売している、通信機能を内蔵した携帯情報端末。携帯電話のように着信を知らせるプッシュ型メール配信システムの他、簡易キーボードを備えて高機能化した携帯端末。企業情報システムの構成単位として、専用 サーバと共に導入されることが多い。
※2 QRコード
2次元コードの方式の一つ。携帯電話のアドレス読み取り機能などに採用されている。
※3 HSDPA:High Speed Downlink Packet Access
3G技術の標準化を策定する3GPPにより新しく開発された高速パケット伝送技術の一つ。FOMAなどの3Gに対して、3.5Gと位置づけられている。

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