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ニュースレターNo.33/2006年7月発行

ARIN XVIIミーティングレポート

年2回のARINミーティングのうち、いつもは秋のNANOGと併せて開催されるものに参加しているのですが、注目すべき提案がいくつか提出されていたことから、今年はARIN単独開催の春のミーティングに参加してみることにしました。

2006年4月9日~12日、モントリオールで開催されたARIN XVIIは、ミーティングロゴの両脇に"Goodbye Winter"と"Bonjour le Printemps"の文字が対になって記されており、モントリオールの特色とこの時期の気候をうまく表していたように思います。出席者は140名と秋のミーティングとさほど変わりない印象でしたが、今回は「IPv6におけるPIアドレス新設」の提案が大きな注目を集めており、その議論を見届けるために出席した参加者もいたようです。これは日本国内でも別途検討が進められていることから、JPNICとしても注目していた議論でした。

この他、IPv6アドレスにおける割り当てポリシー変更等、アジア太平洋地域(AP地域)に関わりのある提案を含め、ARIN XVIIでの主な議論をご紹介いたします。

ヘルプデスクの入り口付近
今回のARINミーティングでのヘルプデスクは、 ヒーローものの看板がでかでかと入り口に置いてあり、 思わず用もないのに中に入ってみたりしてしまいました。 ARINスタッフがモデルという噂をCEO自らほのめかしていましたが詳細はひみつだそうです。

IPv6アドレスの割り当てポリシー変更

この提案は、適用にあたって全RIRコミュニティによるコンセンサスを必要とすることから、AP地域と全く同じ内容の提案が行われ、ARINではコンセンサスが得られました。

内容としてはIPv6の割り当てサイズを/48に固定せず、「ネットワークの規模に応じて適切なサイズを分配できるよう可変的な割り当てを認めよう」というものです。また、提案では割り当てサイズの判断はLIRが行うとしており、このポリシーが適用された場合、今よりもよりIPv4に近いかたちで割り当てが行われる方式となります。

なお、現在のポリシーではエンドユーザーへの接続用としても認められている/48の割り当ては、/64のアドレスブロックを65,536個収容できる規模のサイズあることから、参加者の多くは「すべてのネットワークに対して無条件に/48の割り当てを認める必要はない」との見解でした。また、IPv4のように「歴史的な経緯」による割り当てサイズの格差を防ぐためにも、「今の段階からネットワークの規模に応じて割り当てサイズを定めることのできる可変的な割り当てを行っておく必要がある」との提案者の主張にも多くの人が納得したようです。

なお、JPNICからは、国内では可変的な割り当てを懸念する声も出ていたことをコメントしましたが、ARINコミュニティによる議論を尊重すべく、参考情報という位置付けで紹介しました。

第10回JPNICオープンポリシーミーティング(2006年7月開催)では、このようなARINミーティングでの状況もご紹介するなど、国内での議論も進めていきたいと思います。

原文タイトル:
Policy Proposal 2005-8: Proposal to amend ARIN IPv6 assignment and utilisation requirement
提案者:
Thomas Narten、Lea Roberts
URL:
http://www.arin.net/policy/proposals/2005_8.html

IPv6におけるPIアドレスの新設

この提案はミーティングの数週間前からメーリングリストで白熱した議論が展開されており、多くの参加者にとって議論の行方の気になる提案だったようです。

IPv4では認められているエンドサイトに対するPIアドレス(以下、PI)の割り当てを、IPv6でも認めようとしたもので、ARINでは2005年秋から議論が進められています。

IPv6におけるPI新設については日本でも提案を検討していることから、JPNICはこの度のミーティングで提案者やその他関係者と個別に話し合う機会を作り、情報交換を行ってきました。

なお、LIRで集約せずに個々のエンドサイトへ直接アドレスの分配を行うPIの割り当ては、割り当てを行った数だけグ ローバルな経路数が増えるためインターネットの安定性に影響を及ぼす経路増加につながるとの考えがあり、この提案における議論の焦点も経路増加への考慮でした。

ミーティングでの議論としては、経路増加への考慮は確かに必要ではあるけれど、一定の基準を満たしたネットワークに対してのみPIの割り当てを認めることにより大幅な増加は抑えられること、IPv4においてもPIを認めているが、大きな問題にはなっていないこと、そして、IPv4においてPIを利用しているネットワークはIPv6にPIが新設されないと移行できないこと等から賛成を表明する意見が懸念を表明する意見よりも優勢でした。

結果としては、ミーティングでの参加者によるコンセンサスが確認され、通常のARINのプロセスに従えば、このままポリシーとして適用されることがほぼ確実な段階にあります。

しかし、その後、RIPE地域を中心とした人々よりPIの新設に懸念を示す声がグローバルIPv6メーリングリストとARINのメーリングリストで表明されているためARINでの最終的な判断にあたってはこれらの意見がどの程度考慮されるかが、 ポイントとなりそうです。

原文タイトル:
Policy Proposal 2005-1: Provider-independent IPv6 Assignments
提案者:
Policy Proposal 2005-1:Owen DeLong、Kevin Loch
URL:
http://www.arin.net/policy/proposals/2005_1.html

その他

  • AP地域では既にコンセンサスが得られているAS番号4バイト化への移行準備の提案はARINでもコンセンサスが得られました。

http://www.arin.net/policy/proposals/2005_9.html

  • 内部のインフラ用として、割り振りアドレスとはまた別の一意のIPv6アドレスが必要との提案が行われ、提案自体はコンセンサスが得られませんでしたが、必要性については認知されていました。この対策として、一時期IETFで検討が中断されていたユニークローカルIPv6ユニキャストアドレス(ULA)も一案として出ており、検討の復活につながりそうです。

http://www.arin.net/policy/proposals/2006_2.html

参考情報

次回のミーティングは西部開拓の前進基地であったセント・ルイスで開催されます。NANOGと併せての開催なので日本からも参加される方がいらっしゃるかもしれないですね。

(JPNIC IP事業部 奥谷泉)

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