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ニュースレターNo.34/2006年11月発行

IPv6における割り当てポリシーの変更と
マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について

IPv6における割り当てポリシーの変更について

本稿では、「IPv6における割り当てポリシーの変更について」の提案において、コンセンサスに至るまでの議論の内容をご紹介します。

これまでのIPv6ポリシーでは、エンドサイトへの割り当てサイズについては、基本的に一律/48として運用されていましたが、この提案は、割り当てサイズに柔軟性を持たせ、サイズの判断はLIRに一任することを明らかにしたものです。

  • エンドサイトへの割り当てサイズ/48に限定せず、LIRの判断に委ねる。
  • 追加割り振りにおける利用率の計算は/48の割り当てではなく、/56ベースに変更する。

APNICのGeoff Huston氏、IIJのRandy Bush氏により提出されたこの提案は、上記の文面を文字通りに解釈すると、実質的な影響は無いと考えられます。

しかし、この提案に至るまでの過去1年間はIPv6においても効率的な分配が必要であるとの議論が展開されてきたため、これが施行された場合、今後IPv4と同じく、効率的な分配を目指した方向に進むのではないかとの懸念が国内の事業者から表明されていました。

もちろん、「効率的な分配」の考えは、それ自体決して悪いものではありませんが、IPv4と同じ程度に求められることになった場合、その膨大なアドレス空間によるIPv6特有のメリットが失われてしまいます。

実際、LIRの「判断」が完全にLIRに一任されるものなのか、それともIPv4におけるアサイメントウィンドウ内の割り当てと同じく、効率的な割り当てを考慮した上で判断することが求められるのかによって意味合いが異なってきます。

そして、もしも効率的な分配を意識した上での判断が求められる場合、現在/48ベースでサービスを提供している事業者に影響があることが確認されていました。これら事業者の中では/48での割り当ての継続が認められなかった場合、1,000万円以上の対応コストが発生する事業者も、複数存在することがJPNICの調査では明らかになっています。

一方、ここにあげた影響が無いことが確認された前提で、個人ユーザと法人ユーザへの割り当てサイズを分けることによるサービスの差別化、柔軟な割り当てサイズによる追加割り振り申請のタイミング調整等が、提案が施行された場合のメリットとしてあげられていました。

それでも一部の方からはどういう形であれ、提案の施行に反対とのご意見も表明されていましたが、

  • /48は、1ノードに64ビット割り当てた場合、65,536個のサブネットを作れるほど大きなサイズであること。
  • /48の割り当てについては、IPv6アドレスの施行時に、ある程度運用を進めてみてから再度割り当てサイズの見直しを行うことを前提に合意されたこと。

を考慮すると、既存の事業者への影響を及ぼさないこと、現在以上に審議が厳しくならないことが確認できれば、提案そのものに反対する強い理由は無いとJPNICは判断しました。

そして、この他国内からいただいたすべてのご意見は、JPNICのスタンスと異なるもの含めて、プレゼンテーションにまとめ、ミーティングで発表を行いました。また、国内からあげられた懸念についても、提案の施行によって影響されるものではないことを、公式なセッション場だけでなく、事前に個別に話し合ったときにも提案者に確認することができました。

既存のサービスには影響を及ぼさずに、事業者が希望すれば、/48より小さな割り当てについても選択の幅が広がったことを考えると妥当な結果だったのではないかと思います。

なお、大筋の方針について、ミーティングでの賛同は得られましたが、具体的な実装にあたっては

  • 割り当てサイズに関するガイドライン策定の必要性
  • 初回割り振り基準への影響
  • データベース登録単位

などについて、APNICとも確認をとりながら今後明確にしていく予定です。

マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について

本稿では「マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について」の提案がコンセンサスに至るまでの議論と、APNICミーティングにおける結果を全体として振り返ってみたいと思います。

まず、「マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について」の提案ですが、これは2005年12月に開催されたJPNICオープンポリシーミーティングでのコンセンサスをもとに、アジア太平洋地域全体におけるポリシーとして実を結んだものです。その後、APNICミーティングでのコンセンサスを目指して、NTTの外山勝保氏をチェアとした、9名のボランティアメンバーからなるIPv6 PIワーキンググループにて検討を進めてきました。

PIアドレスとは、LIRを介さずにRIR、またはNIRから直接エンドサイトに分配されるIPアドレスを指します。RIR/NIRからLIR、そして、LIRからエンドサイト、という流れで分配が行われている一般のIPアドレス管理構造とは異なり、グローバルな経路表の増加につながるという理由で、IPv4においては技術的な要件によって必要とされる一部の場合に限定して、分配が認められています。

IPv6においては、特に経路の集約がより重要な問題となることから、ポリシー策定当初、IPv6におけるPIアドレスは基本的に認められていませんでした。

しかし、IPv4と同じく、マルチホーム接続を行っているネットワークにおいてPIアドレスが認められない場合、そのネットワークはLIR管理下のアドレスのパンチングホール※1を行う以外に運用することができない状態になります。

IPv6 PIアドレスのニーズについては、2005年12月のJPNICオープンポリシーミーティングで確認されましたが、割り当て対象を検討するにあたっては、マルチホーム以外にも、純粋にISPとは独立したIPアドレスが欲しいとのニーズからPIアドレスの割り当てを希望する組織もあるのでは、との意見もありました。しかし、今回は対象を技術的な理由からLIR経由で分配されるPAアドレスでは対応できない、マルチホームネットワークに対象を絞りました。

この度のAPNICミーティングでは、国内のIPv6 PI WGにより策定された提案の他に、同様の趣旨で別途Jordi Palet氏より類似の提案が出されていました。しかし、こちらの提案については、提案の論旨が明確ではないこと、割り当てサイズが、最小割り振りサイズ(/32)と同一であるのは大きすぎることから、参加者からの支持は得られない結果となりました。

国内からの提案がアジア太平洋地域のコンセンサスを得ることができた要因としては、文書のみでは伝わりにくい点が多かったため、一部の参加者とは外山さんが個別に時間をとり、提案への趣旨を説明してきたことも大きいですが、ミーティング当日にも支持する意見が強かったことを考えると、提案内容が、経路増加の問題も意識していることを明確にしながらも、技術的に必要なケースについては認めるべきとした主張に説得力があったということができるのではないかと思います。

なお、ARIN地域においては既に2006年9月1日よりIPv6におけるPIアドレスの分配を開始しており、APNICが施行を正式に決定すれば、JPNICでも施行する方向で検討を進めています。

現在の状況についてですが、この提案も含め、この度のミーティングでコンセンサスの得られたすべての提案について、APNICのメーリングリストで、提案に対するコメントの最終的な募集を行っています。

もし提案内容、または結果についてご意見がありましたら、直接sig-policy@apnic.netで表明していただくことも可能ですし、国内におけるポリシーフォーラムであるip-usersメーリングリスト(ip-users@nic.ad.jp)でお聞かせいただければ、JPNICが代表してAPNICのメーリングリストで情報を共有いたします。

また、12月に開催予定のJPNICオープンポリシーミーティングでも、これら提案の国内での施行について、発表を予定しています。

最後に、ミーティング結果全般に関する感想としては、今回ご紹介した2点の提案の他にも、JANOG18での議論をベースにしたIANAからの新たな割り振りアドレスの到達性向上に向けての提案を含め、国内の意見が非常によく反映された結果となったミーティングだったと感じています。

もちろん、単純に日本の意見が通るのがよいということではありませんが、国内で議論を重ねた意見や提案が、アジア太平洋地域全体においても納得してもらえることができたということではあるのかもしれません。

今後も国内のポリシーフォーラムが地域全体におけるポリシー議論へも貢献できるよう、実際のサービスへの影響、そして、インターネット全体にとってもなにがよいのかのバランスを考慮しながら議論を進めていけるとよいのではないかと考えます。

(JPNIC IP事業部 奥谷泉)


※1 パンチングホール
ISPは通常、 経路数増加防止のために個々のネットワークに分配を行ったIPアドレスブロックを集約し、 まとまった単位でグローバルインターネットへの経路広告を行っています。
パンチングホールとは、 主に冗長的なネットワーク構成実現を目的として、 ISPがまとめて経路広告を行っているアドレスブロックの一部をより小さく区切り、 自ISPあるいは他ISPから別途経路広告を行う手法です。
本来一つに集約して広告されていた経路がまた別の経路として広告されるため、 パンチングホールはインターネット全体の経路数の増大につながると言われています。

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