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ニュースレターNo.36/2007年7月発行

第68回IETF報告

2007年3月18日~23日の6日間にわたり、チェコのプラハにて、第68回IETFミーティングが開催されました。本稿では、全体概要とDNS関連WG、IPv6関連WG、セキュリティ関連WGについてのレポートと、番外編として全体概要レポートの筆者である廣海緑里氏からの貴重な経験談をご紹介します。

全体会議報告

概要

毎日摂氏0度を行ったり来たり、寒風吹きすさび、3日目の夜にはみぞれも降るなど、暖冬の東京でぬくぬくすることを覚えた体にはちょっぴり厳しいプラハが開催地となったIETF68の「全体会議」についてレポートします。

中世の町並みを残す旧市街や新市街からも外れ、ビジネス街を抜けた静かな区域に位置するヒルトン・プラハを会場に、1,000名以上の研究者やオペレーターが参加して熱い議論が交わされました。

会期: 2007年3月18日~23日
会場: Hilton Plague(Czech Republic)
参加費: 600USD(Early Bird Registration)
750USD(Regular Registration)
セッション数: 112(Tutorial、Training、Plenary sessionを除くWGやBoFセッション数)
ホスト: NeuStar社
参加登録者数: 1,129人(前回より135人減)
参加国数: 45(前回より9カ国増。US、JPが2強は変わらず)

相変わらず、来る日も来る日もたくさんのセッションがあり、当然ながら全ての議事進行は英語なので、時差ぼけと戦いながらの議論参加となります。しかし、最先端の技術動向がわかること、そして、それに参加できることは、非常に喜ばしいことです。

今回、Operation and Management Area Open Meetingでは、通常WGになる前のBoFのさらに前段階の状況を含む、mini-BoFがいくつか開催され、データモデルの提示やそれに基づくオペレーションやマネージメント手法への展開論などが議論されました。また、“Harnessing IP for Critical Communications Using Precedence (HICCUP)”というタイトルで、Ad-HOC meeting の呼びかけなどもされていました。

このような公式、非公式な意見交換から、新しい技術が生まれるのを実感できることも参加する意義の一つと言えます。

IETF Operations and Administration Plenary

いつも通り、Operations and Administration Plenaryは、4日目の夜(3月21日、17:00-19:30)に行われました。

会期中は、IPv4/IPv6のコネクティビティの他、jabber、wiki、参加者用メーリングリスト、tools-webといった付帯サービスも提供されます。毎回その運用に携わる人達が新しく組織されますが、今回はホストをNeuStar社、協力組織CZ.nic & CESNET、スポンサーDial Telecom社、NOC-NW運営VeriLAN社、会議運営NeuStar Secretariat Servicesという体制で実施されました。

参加者への接続は、無線LAN(802.11a/b/g+802.1X)で提供され、運用状況の詳細はNOCレポートとして、プレナリセッションで報告されます。1フロアでも広大な会場を4フロアで利用できるように多数のアクセスポイントを設置し、初日はトラブルシュートなども大変だったようです。

ホストを務めたNeuStar社からは、HOST Presentationがあり、会議運営で利用されたNeuStar Secretariat Servicesのサービスが紹介されましたが、今やインターネットへのコネクティビティだけではなく、会議運営のためのファシリティサービスへのIP技術の利用も当たり前のようになっているのだということをあらためて認識しました。

今回のIETFでは、NomCom(Nomination Committee)の選出結果の発表がありました。IETFチェアは、Braian Carpenter氏から、Russ Housley氏に交代となりました。また、IABチェアも、Leslie Daigle氏からOlaf Kolkman氏に交代となります。Russ Housley氏からの所信表明は、先代チェアの功績を時にジョークを交えながら讃え、見習いながらリーダーシップを発揮するというもので、これからの活躍に期待が持てます。

Olaf Kolkman氏は「Bertを連れている人」というとおなじみかもしれません。

前回のIETF67からの活動として、新設されたWGが3、終わったWGが6で、現在合計120ものWGが活動中であることが報告されました。また、441もの新しいドラフトが提出されており、更新も1,020もあったそうです。そのうち、IETF LastCall にあるものが119、スタンダード/BCPトラックとして認められたものが67とのことでした。RFCとなったものは、95文書あり、キューもわずかに減ってきているそうです。2006年の1年間で459の文書がRFCになっています。

IANAの活動報告では、IETF関係では1,160のリクエスト(796のprivate enterprise number申請、81のport申請、16のMIME type申請)処理があったことや、300を超える文書のレビューがあったこと、並行してIAOC/IETF trust actionに従った契約が完了したことが報告されました。

定常業務発表の後は、前回発表のあった「Routing and Addressing」についての状況報告と議論がありました。

まず、問題意識の共有として、現在までの技術の発展、展開の末、scaling/trans-parency/multihoming/renumbering/provider independence/traffic engneering/IPv6 impactについて対処する必要性が説明されました。これは、前回のIETF67でも発表されていた事柄ですが、その後もIABでは、オペレーターグループやレジストリの会合に参加してワークショップを開き、議論するなど活動を続けており、これらの活動成果についてのレポートも作成されています。結果として、新しいアーキテクチャの検討を開始することになり、メーリングリスト(ram@iab.org)では活発な議論が繰り広げられています。

プレナリでの結論として、IABから、RoutingとAddressing 問題について、

  1. IETFの役目として、ベンダー、ユーザー、オペレーターを巻き込んだ問題分析のオープンな議論の場を提供し、解決策をみつけ、対策すること。
  2. 技術的には、短期的にはBGPなどのプロトコルに手を入れることのサポートと、長期的な視点でアーキテクチャの再考を行うこと。
  3. 付帯する事項に対する継続的な議論の継続を行っていくこと。

が提示されました。

会場の参加者からは、「セキュリティも考慮したアーキテクチャを議論した方がよい」、「市場や製造など経済的な事情は考慮しない点についての異論」や、「新しいビジネスの可能性もある程度考慮すべし」、「IDとロケータを分離しない方がいいのでは」といったさまざまな意見が出ていました。

IABからの提案を受けて、今回のIETFでは、プレナリセッションでの全体発表の他、Internet AreaでのROuting & Addressing Problem discussion(ROAP)、Routing AreaでのBGP tableの増大対策に焦点をあてた議論、Routing Research Group での議論といったように個別の議論も行われました。

IETF Technical Plenary

最後にTechnical Plenaryですが、これも通例の5日目の夜(2007年3月22日、17:00-19:30)に行われました。

「IAB update」では、新しいチェアであるOlaf Kolkman氏の紹介がありました。IABから提出されている文書について、前述のRouting&Addressing Workshopのレポートの他、前回のIETFで発表があった“ネットの透過性”や“Unwanted Traffic”に関するレポートが発行間近であることの紹介がありました。発行されたものとしては、RFC作成に関してのガイドなどの他に、マルチリンク・サブネットに関するものがあります。

  • Transparency(draft-iab-net-transparent-04.txt)
  • Unwanted Traffic(draft-iab-iwout-report-03.txt)
  • Multilink Subnet Issues(draft-iab-multilink-subnet-issues-03.txt)

「IRTF Report」は、IRTFチェアのAaron Falk氏から、各リサーチグループの最新動向の発表がありました。特記事項としては、Anti-Spam-RGでDNSをベースにしたブラックリストやspamの管理といったトピックスで活発な議論が見られることや、Internet-Measurement-RGで、10月4日にワークショップを計画中であることなどがありました。

続いて、Network-Management-RGのAiko Pras氏から、2006年10月に行われたワークショップの報告がありました。ワークショップでは、あらためて、現状行われているマネージメントモデルの理解や、分散環境でのマネージメントなど難しい点の確認がなされたそうです。こうしたワークショップで得られた見解は、文書化され、広く共有すべく現在準備中だそうです。

「Technical Discussion」では、“Internationalization Technical Discussion”と銘打って、国際化についてのパネルディスカッション形式で実施され、IABチェアのLeslie Daigle氏をモデレータに、Ted Hardie氏、John Klensin氏、Xiaodong Lee氏、Patrik Faltstrom氏、Pete Resnick氏といった英語を母国語としない人がパネラーとなって、議論が進められました。

議論に先だって、ASCIIからUnicodeの登場、そしてUnicodeの拡張にいたる多言語化の過程の説明があり、そうした多言語化の努力の一方で、プロトコルのデータ形式は依然としてASCIIとなっているものが少なくないことなどの問題点の指摘がありました。例えば、「Latin Small Letter A with Diaeresis(ISO-646-SEの“0x7B”)」(aの上に点が二つ付いたもの)というキャラクターについて、ASCII/ISO-646-SE/Unicode/UTF-8/UTF-16/UTF-32/XHTMLなどでの表現形式はどうなっているのかを例にした解説と、たくさんの表現形式が生み出す混乱についての説明がありました。

Ted Hardie氏のIETFにおける国際化のプレゼンテーションでは、人間の理解の仕方という観点からの解説になっており、認識や検索といった目的に対するキャラクターの果たす役割は興味深い話でした。

最後に、現在の多言語化における問題意識を埋めるものとして、IDNAとして新しい体系を作る活動が紹介されました。

  • General mailing list(discuss@apps.ietf.org)
  • IDNAbis mailing list(idna-update@alvestrand.no)

おまけ

Social Eventは、slavonic island に建つ、「The Zofin Palace」という新ルネサンス様式の建物を貸し切って、伝統的ボヘミア料理がふるまわれたそうで、かなり盛況のうちにお開きとなったようです。その後の、参加者メーリングリストでは、「素晴らしかった」というメールが多数飛び交っていました。

以前に開催してから既に10年以上経っている上、急速に国内情勢も変わりつつある見知らぬ東欧圏のプラハという事情からか、IETF68参加者メーリングリストは、プラハの現地情報や現地における生活の知恵などの情報交換で大活躍していました。電子メールによるコミュニケーションは、依然重要なのだなぁと認識させられました。

5日目の夜には、セッション(と各々食事)の後に、有志で、標準化の苦労話や各国での技術展開への希望などを分かち合う集まりが恒例で行われています。飲み物や食べ物を持ち寄って、深夜まで旧交が温められていました。IETFでは、大真面目な議論ばかりではなく、このようなくだけた雰囲気の「extended BoF」も開催されます。

次回のIETF69は、2007年7月22日から27日まで、米国イリノイ州シカゴで、モトローラ社がメインホストで開催される予定です。

(JPNIC IPアドレス検討委員会メンバー 廣海緑里)


※ Bert meets the Stars
http://bert.secret-wg.org/Stars/

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