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ニュースレターNo.38/2008年3月発行

第70回IETF報告 (2007年12月2日~12月7日)

全体会議報告

はじめに

バンクーバーは、カナダの西海岸にある都市で、この時期は最低気温が摂氏0度近くになる場所です。スキー場のある地域が近くにある一方、第70回IETFの会場であるThe Westin Bayshore Resort and Marinaの側にはヨットハーバーがあり、夏には水上バイクやクルージングを楽しむことができるようです。時折、水上飛行機の飛び交う音が聞こえていました。水上飛行機は、水上を滑走して飛び立ち、水上に着水するタイプの飛行機です。

この会場は、2年前の第64回IETFが行われた場所です。会場となる部屋の構成などは2年前と全く変わりませんが、エントランスや通路、会議室に至るまでクリスマスの飾りが施されており、前回よりも会場が和やかな雰囲気になっているような印象を受けました。

概要

今回の参加登録者数は1,114名で、前回より32名ほど減りました。国別の内訳は第1位がアメリカ(43%)、第2位は日本(11%)、第3位はカナダ(6%)でした。今回のミーティングでは、初日の日曜日にはチュートリアルが、二日目の月曜日から木曜日までWGセッションが、水曜日と木曜日にPlenary(全体会議)が行われました。

IETF Operations and Administration Plenary

IETF Operations and Administration Plenaryは、IETFの活動自体や各ミーティングの運営に関する報告、議論が行われる全体会議です。第70回IETFのホスト企業である、Cisco Research Centerのプレゼンテーションや、会場に設置されたネットワークの運用報告、IAOC(IETF Administrative Oversight Committee)とIASA(IETF Administrative Supporting Activity)のオープンマイクなどが行われました。オープンマイクは、参加者が会場に設置されたマイクを使って自由に発言し、その話題について議論を行う形式の会議です。

写真:The Westin Bayshore Resort and Marina
会場となったThe Westin Bayshore Resort and Marina

Plenaryでは、2007年10月29日に亡くなられた、いとぢゅん(itojun)こと萩野純一郎氏※1を偲び、彼の貢献を称える時間が設けられました。2003年から2004年にIABメンバーを務められたほか、IPv6の実装で知られるKAMEプロジェクト※2のコア・メンバーとして活躍されたことなどが紹介されました。

ホスト企業からのプレゼンテーションでは、Cisco Research CenterのStephenWolff氏から、1986年に開催された第2回IETFの頃を振り返り、当時のインターネットがどうであったか、という講演がありました。当時はTCPにスロースタートの実装が行われておらず、TCPを使ったパケットの転送がスムーズに行われていなかったそうです。

写真:Jon Postel賞を受賞したNii Quaynor氏
AfriNICの議長であるNii Quaynor氏に、 Jon Postel賞が授与されました

後半にJonathan B. Postel賞(Jon Postel賞)の発表がありました。Jon Postel賞は、技術的な貢献やリーダーシップの発揮といったコミュニティに対する継続的な貢献のあった人物に対して毎年贈られます。今回の受賞者は、AfriNICの議長であるNii Quaynor氏です。Quaynor氏はAfriNIC設立当初からの議長であるとともに、アフリカのネットワークオペレーターグループであるAfNOGの議長でもあります。

□ Internet Society(ISOC)-Postel Service Award
http://www.isoc.org/awards/

IETFチェアのRuss Housley氏からは、IETFの活動報告が行われました。現在約105のWGがあり、新たに421のI-D(Internet Draft)が作成されました。前回の第69回IETF以降、103のRFCが作られました。このうち、Standards TrackのRFCは76あり、BCPは4ありました。I-DやRFCの数はこの1、2年であまり変化はありませんが、以前120ほどあったWGの数は減ったようです。

IAOCオープンマイクでは、IETF toolsの開発とRFCに含まれるコードの利用に関する議論が行われました。RFCに記述されているプログラムを使った開発について、IETFのIPR(Intellectual Property Rights)で明確化されているか、といった議論です。これについてはIPR WGで検討される、とのことでした。IESGオープンマイクでは、IPv6への移行(transition)について意見が寄せられました。会場からはIEPG(Internet Engineering and Planning Group)やIETFがIPv6を推奨すべきではないか、IPv6を簡単に使うための十分な情報が足りていない、第54回IETFが行われた横浜ではIPv6を使ってWebサーバにアクセスするなどできていた、といった意見が出されていました。

Technical Plenary

Technical Plenaryでは、IRTF(Internet Research Task Forse)とIAB(Internet Architecture Board)の活動報告、二つのテクニカルプレゼンテーションと、その二つのプレゼンテーションに関する議論が行われました。

Research Groupの一つであるRRG(Routing Research Group)では、LISP(Locator Identifier Separation Protocol)を中心とする新しいルーティングプロトコルの議論が進められています。現在、これらのプロトコルの評価が行われており、また2009年3月までには議論が収束し、プロトコルの提案になるようにする活動が計画されています。なお、今回のIETFでは、LISPに関するチュートリアルのセッションと、LISPに関わるプロトコルについて議論を行うセッションの二つが行われていました。

IABからは、Routing and Addressingワークショップの報告と、Unwanted Trafficワークショップの報告がRFCとして出されました。

□ Report from the IAB Workshop on Routing and Addressing
http://www.ietf.org/rfc/rfc4984.txt
□ Report from the IAB Workshop on Unwanted Traffic March 9-10, 2006
http://www.ietf.org/rfc/rfc4948.txt

その他に、Ole Jacobsen氏がICANNのNomCom(Nominating Committee)に、IETFメンバーを代表して選ばれたことなどが報告されました。

テクニカルプレゼンテーションの一つ目は、IABのDave Thaler氏によって“What Makes For a Successful Protocol?”と題して行われました。HTTPやIPといった「成功した」プロトコルの、成功の要因と考えられる点をまとめています。ここでいう成功とは、当初の目的を外れることがなく、かつ広く利用されていること、とされています。成功の要因として、ハードウェアコストが低いことや他の運用手順に影響が少ないこと、利用のための設定が簡単であることや設定の必要がないことなどが挙げられていました。会場からは、IPほど広く使われていなくても「成功」と捉えられるプロトコルがある、といった意見が挙げられていました。

二つ目のプレゼンテーションは、“Energy Engineering for Protocols and Networks”と題して、電力に関する調査を行っているBruce Nordman氏により行われました。インターネットのために使われている(ルータ等で消費される)電力の効率化のために何ができるか、という話題です。会場からは、インターネットによって、遠隔地とのコミュニケーションに要されるエネルギーが大幅に省力化されており、別の観点での捉え方が必要なのではないかといった意見が挙げられていました。

写真:クリスマスツリー
会場に設置されたクリスマスツリー
写真:ISOCデスク
会場に設置されたISOCデスク

12月3日の夜、Westin Bayshoreにある会議場の一室で、萩野純一郎氏を偲ぶ会が開かれました。これはWIDEプロジェクトの有志によるもので、彼の遺品や写真が展示されていました。萩野純一郎氏は、IETFに参加する数多くの方から慕われ、また広い交流があったことが、うかがわれました。

次回の第71回IETFミーティングは、2008年3月9日から14日にかけて、アメリカのフィラデルフィアで開催される予定です。

(JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司)


※1 WIDE Project : Press Release 追悼:萩野純一郎氏
http://www.wide.ad.jp/news/press/20071031-itojun-j.html
※2 KAME project
http://www.kame.net/

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