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ニュースレターNo.39/2008年7月発行

第4回 江崎 浩のISOC便り

執筆者近影
JPNIC副理事長 江崎 浩

今回のBoT(Board of Trustees:ISOC理事会)会合は、 米国フィラデルフィアで開催されたIETF71の直後となる、 土曜日と日曜日に開催されました(2008年3月15日(土)~16日(日)、 Philadelphia, PA, USA)。 今会合の主要なアジェンダは、 ISOCのボードメンバー改選選挙に関する進捗とBoard Developmentでした。

(1)ISOCボードメンバー改選

今年は、議長のDaniel Karrenberg氏、 IETFからの指名ボードメンバーであるFred Baker氏(Cisco Systems社)、財務役のGlenn Ricart氏(IBM社)、 チャプター(地域支部)から選出されるボードメンバーのAlejandro Pisanty氏(メキシコ)の計4名が改選となります※1。 Daniel Karrenberg氏とAlejandro Pisanty氏は、 再選に立候補しています。 今回、IAB議長、IETF議長としても知られるFred Baker氏がISOC BoTを退任するのは、非常に残念なことであると感じています。 ISOC BoT選挙の手順は、 RFC3677に記述されています(IABやIESGの選挙方法とほぼ同じ)が、 NomCom(Nomination Committee)を組織し、 候補者の予備審査を事前に行い、 今回の会合(2008年3月)で候補者を承認して、 4月の投票手続きに入ります。 NomComの委員には、 BoTのメンバー数人(今回は委員長のPatrick Vande Walle氏と筆者の2名)と、 候補者の推薦と審査を行うのに十分な資質を持った人が選出されます。 今回の委員は合計10名です。 地域と組織のバランスを取りながら、 適切なステークホルダーが委員を構成するように配慮されています。 4月末までが選挙期間であり、本稿がお手元に届く頃には、 新しいBoTメンバー4名が選出されていることになります。 新BoTメンバーの就任は、 次回のフランス・パリ(2008年6月28日)で開催される会合になります。 今回、チャプター推薦の候補者に関して、 若干の調整と混乱が発生し、この解決方法についての議論が、 BoTの間で行われました。 事前にメーリングリストでの議論を行い、また、 電話による当事者へのインタビューや調整などが行われました。

(2)Board Development

今回初めて、BoTの運営とボードメンバーの活動に関して、 改善を行うためのBoard Developmentが開催されました。 事前にアンケートの回収が行われ、これをもとに、 専門家によるセッションが行われました。 結局、日曜日の時間全て(約3時間)を、 このBoard Developmentに充てることになりました。 BoTとしての責任、 運営に関するボード間での認識の共有度や健全性などが分析され、 また、フルインタラクションでの質疑応答が行われました。 筆者にとって、 今回の議論は、昨年のRetreatでのフルインタラクションよりも、 さらに厳しいものでした。 議論で使用される単語や文脈は、技術用語ではなく、 むしろ経済や社会に関するものであり、 さらに抽象化された概念などを多く含んでおり、 やはりNativeではない者は対応に苦慮してしまいます。 しかしながら、このようなセッションを行うことは、 ボードメンバーの責任と役割の再確認を行い、 より適切な活動をISOC BoTがめざすという意思表示であると考えることができます。

次回のISOC BoT会合は、 フランス・パリで開催されるICANN会合の後で、 2008年6月28日(土)、29日(日)の2日間となります。

[コラム]

2008年4月23日(水)、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、 日本国際賞(http://www.japanprize.jp/prize/prize_j1.htm)が、 インターネットの父とされるCNRI会長のRobert Kahn博士と、 Google社の副社長でもありISOCの議長でもあったVinton Cerf博士に授与されました。 『インターネットのネットワーク設計概念と通信プロトコルの創成』が受賞理由となった業績であり、 世界中で広く使用されているインターネットへ発展したネットワーク基本概念を創出し、 それを実現するために通信プロトコルを提唱したことが認められたとされています。 両氏とも、ISOC、IETF、 IABの創設と運営に関して力強いリーダーシップを取ってこられ、 また、 インターネット技術の研究開発と普及に多大なる貢献をされてきました。 今回のお二人の日本国際賞の受賞は、 インターネットの研究開発と普及に関与するものとして、 我々にとっても大変光栄であり、 かつ喜ぶべき慶事であったと考えます。

Robert Kahn博士の2004年の来日に際しては、 筆者が企画・アテンドさせていただき、 インターネットの研究開発の創世期からの歴史と背景を詳しくお聞きすることができましたが、 今回も、新たな事実を二人は披露してくれました。 例えば、第4版のIP(IPv4)で、 IPアドレス長を32ビットにした経緯などが話されました。 実は、IPv4は、 32ビットと128ビットという案が最後まで残っていたらしく、 Vinton Cerf博士が実装者の立場として「インターネットは実験ネットなので、 当面32ビットで十分」との意見を出し、 32ビットに決まったとのことでした。 その時点で、64ビットではなく、 128ビット(現在のIPv6のアドレス長)が議論されていたのは、 大変興味深い事実でした。 また、我が国でも大きな議論の対象となっている、 国によるコンテンツのフィルタリングに関して、両氏とも、 強い憂慮の意を表明されていました。 グローバルな視点に立ち、明確な方向性を、 ISOCなどの組織と協調しながら示し、 浸透させなければならないことを再確認することができました。

写真:集合写真1
2008年(第24回)日本国際賞授賞式典出席のために来日したVinton Cerf博士(右から2人目)
写真:集合写真2
同じくRobert Kahn博士(中央)

※1 ISOC理事会
ISOC理事会は、IETFから指名される"標準化"担当理事が3名、理事会により指名される理事が5名以下、会員から選出される理事が6名、チャプターと呼ばれる地域支部から選出される理事が3名で構成されています。

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