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ニュースレターNo.40/2008年11月発行

第22回ICANN報告会レポート

2008年7月24日(木)、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて、JPNICと財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催で、第22回ICANN報告会を開催しました。以下に報告会の内容をご紹介します。

ICANNパリ会議概要報告

JPNICの高山由香利より、ICANNパリ会議(2008年6月23日~26日)の概要を報告しました。

本会議での主要トピックのうち、ポリシー策定プロセス(PDP)※1が終了し、ポリシー実装のフェーズに移った新gTLDの導入、ドメイン名テイスティングへの対応と、2008年度運営計画案・予算案の承認が主な内容となります。

主なトピックの内容については、P.26からの「ICANNパリ会議報告」をご参照ください。

IDN ccTLD fast trackの状況

株式会社日本レジストリサービスの堀田博文氏から、IDN ccTLD fast trackの状況についてご報告いただきました。

fast trackは、IDN ccTLDの早期導入を期待する、コミュニティの要求に応えることを目的としたポリシー策定のプロセスです。正式なプロセスを導入するまでの間の“つなぎ”の役割を担うものであり、内容的にも正式なプロセスと矛盾しないよう配慮されています。

本会議においてICANN理事会は、IDNC WG※2から提出されたIDN ccTLD fast trackに関する最終報告書を正式に受領し、それに沿って実装計画を作成することを、ICANN事務局に指示しました。fast trackによるIDN ccTLD導入に向けて、一歩前進したと言えます。

今後、ICANN事務局によって、実装内容のさらなる具体的な検討が進められます。残る課題の中には、IDN ccTLD導入に関するコストをまかなうメカニズムの検討等難しいものも含まれますが、ICANN理事会はICANN事務局に対して、2008年11月のICANN理事会の前に、実装の問題に関する詳細な報告書の提出を指示しており、次回カイロ会議で具体的な提案が行われる予定とのことです。

写真:JPNIC高山
まずはじめに、 JPNICの高山よりパリ会議の全体概要をご報告いたしました

トップレベルドメインの新設

新gTLDの追加については、2008年6月26日に行われたICANNの報道発表※3後、いくつかのメディアでも取り上げられるなど、注目が集まっています。そのような状況の中で、多くの報道において二つの誤解が見受けられるとして、その誤解を解くことを主な目的とした報告を、JPNIC理事の丸山直昌よりいたしました。

誤解の一つ目は、6月26日時点では、ICANN理事会はGNSO勧告を受領(adopt)しただけで、実施案はこれから作成するという段階であるにもかかわらず、「改定案を『承認した』」と報道されていることです。二つ目は、「誰でも自由に新TLDを『登録できる』」とあるが、実際には申請は行えても、占有できるわけではないということです。占有できない理由として、レジストリ・レジストラモデル※4の存在により、申請者はセカンドレベルドメイン名をレジストリとは独立した、レジストラを通して申請しなければならず、レジストリはレジストラからの申請を拒否できないことを挙げています。

今回の新gTLD追加では、全体における追加数の上限はなく、また当該TLDの文字列は、問題を生じない限りその「価値」についての評価は行われないという点において、2000年に始まった新gTLD追加の第一ラウンド、2003年の第二ラウンドより「自由」であり、実現すれば画期的なことであると言えます。

今後、ICANN事務局では、引き続き新gTLD導入に向けた実施案の検討が進められることとなっており、2009年第2四半期からの申請受け付け開始が予定されています。しかしながら、申請文字列に関する紛争処理機関の選定や、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)の策定といった難しい課題が残っており、依然として相当の困難が予想されるとの見方が示されました。

なお、本件については、P.28からの「TLD新設についての誤解」でも取り上げておりますので、あわせてご覧ください。

ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省の柳島智氏より、政府諮問委員会(GAC)で議論されている主要議題についてお話しいただきました。GACでも(1)IDN ccTLD、(2)新gTLDの導入について話し合われた他、(3)IPv4アドレスの在庫枯渇とIPv6の導入、(4)共同プロジェクト合意(JPA)を含めた4点が主要議題となりました。

(1)IDN ccTLDは、国コードトップレベルドメイン(ccTLD)であることから、国の関与は大きく、GACとしてもIDNC WGに参加し、fast trackについてICANN理事会への勧告を含む、報告書の最終調整が実施されました。また、fast trackは最も早い場合、2009年4月に受け付け開始となる可能性があることから、それに対応できるよう、日本国内での取り組みについて、文字列の選定や登録管理者の指名等の検討を開始する予定とのことです。

(2)新gTLDの導入については、政策的観点から考慮に入れられるべきGAC原則であって、勧告に反映されていないいくつかの点について、GACからICANN理事会に対しコメントを提出したことが伝えられました。

(3)IPv4アドレスの在庫枯渇とIPv6の導入に関しては、各国の状況について共有が図られる中、今回は日本国内における取り組みとして、2008年4月1日に最終会合を終えた、「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」※5の、報告書※6の概要が紹介されました。

(4)共同プロジェクト合意(JPA)とは、DNS環境に関する技術的調整および管理を民間に移行するための、ICANNの責務等を定めたICANNと米国政府間の合意書であり、2009年9月末に期限を迎えます。その後のICANN組織のあり方について、ICANN内のPSC(President's Strategy Committee)によってアクションプランが作成され、これについての意見交換がありました。アクションプランの発表が本会議の直前であったため、今回コメントを取りまとめることは見送られ、次回カイロ会議で実施される予定とのことです。

ICANN At-Large諮問委員会(ALAC)報告

財団法人ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏より、At-Large諮問委員会(ALAC)の活動報告がありました。

昨年のRALO設立後、ALACでは組織強化の取り組みが進み、スタッフ・予算はともに増加しているとのことです。また、ポリシー活動へのALACの関与も強まっています。本会議では、ロサンゼルス会議、ニューデリー会議に続き3度目となるALACメンバーでのワークショップを開催し、ポリシー課題についての事前勉強会が行われた他、ICANN理事会や他の支持組織・諮問委員会との多くのジョイントミーティング、IPv4からIPv6への移行に関するワークショップの開催などが報告され、ポリシー活動への積極的な姿勢がうかがえます。

ALACは体制が整ってからまだ1年余りであり、時期尚早ではないかという声はありながらも、ICANN内の各組織に対して3年毎に行われる、第三者機関によるレビューが既に実施されています。その報告書が2008年7月25日に公表され※7、議論が開始されたことも伝えられました。今後、報告書の内容に基づく、ALAC改革についての議論が進められていくものと思われます。

ICANN報告会の資料と動画は、JPNIC Webサイトにて公開しています。
 http://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/index.html

(JPNIC インターネット推進部 佐藤香奈枝)


※1 ポリシー策定プロセス(PDP:Policy Development Process)
ICANNの役割の一つに、インターネットの各種資源の調整業務に関連するポリシー策定があり、このポリシー策定のための一連の流れをポリシー策定プロセス(PDP)と呼んでいます。ICANN改革を受けて改定された新付属定款には、プロセスの詳細が明確に規定されています。
※2 IDNC Working Group
http://ccnso.icann.org/workinggroups/idncwg.htm
※3 “Biggest Expansion in gTLDs Approved for Implementation”26 June 2008
>http://www.icann.org/en/announcements/announcement-4-26jun08-en.htm(原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/2008/20080626.html(日本語訳)
※4 JPNIC Web「gTLD登録のしくみ」
http://www.nic.ad.jp/ja/dom/registration.html
※5 インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/index.html
※6 「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」報告書(案)に関する意見募集の結果及び報告書の公表
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080617_2.html
※7 “ALAC Review: Final Report by Independent Evaluator Released”25 July 2008
http://www.icann.org/en/announcements/announcement-25jul08-en.htm

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