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ニュースレターNo.46/2010年11月発行

IPアドレス料金体系改定の考え方

2010年6月18日(金)に開催された第41回JPNIC通常総会の第3号議案として、「IPアドレス等料金体系改定の件」をご審議いただきました。2011年度からの施行を目指して提案した料金改定案は、いわゆる歴史的PIアドレスを初めて課金対象とした点など、現行の料金体系を大幅に見直す内容を含むものであり、総会での議論もこの点が焦点となりました。会員の皆様の活発なご議論の結果、本年12月に開催する次回総会であらためてご審議いただくことを前提として、第41回総会では議案の採決を見送ることになりました。本稿では、上記採決が見送られた状況のご説明と、その後の事務局における検討状況についてご紹介いたします。

今までの経緯

総会決議の見送り

第41回通常総会において、2011年度からのIPアドレス等の料金体系を下記のようにすることおよび、そのための諸作業を進めていくことについて、事務局より提案を行い、第3号議案「IPアドレス等料金体系改定の件」としてご審議いただきました。

【IPアドレス等新料金体系案】(2010年6月18日、第41回通常総会での提案版)

  • 契約料
    IPアドレス管理指定事業者契約締結時、または特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約締結時に必要な費用として、262,500円を徴収する。
  • IPアドレス維持料
    IPアドレス管理指定事業者がJPNICから割り振りおよび割り当てを受けているIPアドレス、またはIPアドレス管理指定事業者以外の特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約者が、割り当てを受けているIPアドレスの総量に応じて負担する年間の費用として、下記の算出式で求められる金額を徴収する。

なお、IPv4およびIPv6両方のアドレスの割り振りを受けている場合、該当するIPアドレス維持料をそれぞれ算出し、金額の高い方をその年のIPアドレス維持料とし、最低料金額を105,000円とする。

  • IPv4アドレスによる算出式=130000×1.3log2保有アドレス総数-9+消費税
  • IPv6アドレスによる算出式=130000×1.3log2/56単位の総数-23+消費税
  • データベース登録管理料
    歴史的経緯をもつプロバイダ非依存アドレスの割り当てを受けている者(以下、歴史的PIアドレスホルダ)、およびIPアドレス管理指定事業者、特殊用途用プロバイダ非依存アドレス割り当てサービス契約者以外で、AS番号の割り当てを受けている者の、レジストリデータベース情報管理の年間費用として、52,500円を徴収する。
  • ※JPNIC会員の場合は、維持料については10万円減額、データベース登録管理料は免除とする。
  • ※上記料金体系案の実施は2013年度までとし、2014年度以降はその時点のIPアドレス事業費用を、すべてのIPアドレス利用者で同一の料金体系に基づいた金額で負担するよう見直しを行う。

議案資料説明後の質疑応答に移ると、会員の方々からは種々の意見や要望に加えて、議案本文へ修正提案も行われました。

提案内容は、議案書の「上記料金体系案の実施は2013年度までとし、2014年度以降はその時点のIPアドレス事業費用を、すべてのIPアドレス利用者で同一の料金体系で負担するよう見直しを行う。」という一文の「2014年度以降は」以下の部分を削除するというもので、2014年度以降の料金体系は白紙の状態とすることを意図するものでした。

この他にも、資料の記載内容に、一部、不備の指摘等があったため、審議を一時中断して、これら修正事項を反映した上で議案の採決を諮ることの適否を、事務局担当者、担当理事が顧問弁護士と協議いたしました。その結果、資料に記載した内容において、不備の訂正を含めた提案内容の修正を行った場合、

  • 事前に書面表決にて議案に賛成を投じた会員の票が無効となる
  • 実際に課金対象となるIPアドレス管理指定事業者(以下、IP指定事業者)、歴史的PIアドレスホルダに対して、総会前に説明した内容と異なる内容が決定されることになり、修正を行うのであれば、再度説明を行った上で議決するのが望ましい

という見解に至りました。これを踏まえて、議長判断により、第41回総会での第3号議案の採決を見送る提案がなされて、見送りが出席会員の賛成多数で承認されました。

役員検討会の開催

総会終了後、総会でのご意見、ご指摘、修正提案の内容をどのように反映していくのか、また同時に、12月の総会までに、各ステークホルダに対してどのように説明していくのか、といったことを検討するため、理事を中心としたメンバーによる役員検討会を数回にわたって開催しました。

役員検討会では、これまでにいただいたご意見の再確認をし、主に新たに課金が発生する歴史的PIアドレスホルダにきちんとご理解いただけるよう、提案内容の再検討を行いました。また同時に、歴史的PIアドレスホルダを、国公立大学や私立大学といった形で細かな組織種別毎に分類整理し、その組織種別毎にどういった働きかけを進めていくべきかといった議論も行いました。

その上で、IPアドレスレジストリの費用負担について、現状でのあるべき姿を確認し、それを多くの人にご理解いただくための説明内容と資料の作成を進め、課金案およびその本格的な実施までに向けた経過措置なども、あわせて再検討しました。ただし、この議論の結果を最終形とはせず、一つの案として個別にご説明し、ご意見を伺いながら、最終的な提案内容、説明内容にブラッシュアップしていくことが合意されました。

IPアドレス費用負担の考え方

IPアドレス管理体系の変遷とIPアドレス管理費用の考え方

前述の通り、役員検討会の議論の中であらためて、これまでのIPアドレス管理の変遷を踏まえながら、IPアドレス管理業務における費用負担の考え方を整理しました。

そもそもインターネット黎明期からしばらくの間、IPアドレスの割り当てと管理はボランティアベースで行われていました。世界的にはこの割り当てと管理を行う主体はSRI-NICやInterNICなど、日本の場合はネットワークアドレス調整委員会やJNICなど、その時々によって異なりますが、基本的にこの頃にインターネットへの接続を希望する組織は、これらのIPアドレス管理組織に対して申請を行うと無償でIPアドレスの割り当てを受けることができました。この頃に割り当てられたIPアドレスを、「歴史的経緯をもつプロバイダ非依存IPアドレス(以下、歴史的PIアドレス)」と呼んでいます(図1)。

図1 以前の歴史的PIアドレスの割り当て
図1 以前の歴史的PIアドレスの割り当て

その後、インターネットの急拡大に伴い、IPアドレスの登録管理業務も高度化、複雑化するとともに、IPアドレスの効率的な利用に向けて、IPアドレスレジストリによる階層構造に基づく組織的、体系的な管理が行われるようになりました。

IPアドレスレジストリは、世界的な管理体系の中で連携しながら、インターネットにおけるIPアドレスの一意性を保証する役割を担っており、現在、グローバルなインターネットにおいては、IPアドレスレジストリより適正に割り振り、割り当てられたIPアドレスを利用することがルールとして定められています。

JPNICなどのIPアドレスレジストリは、インターネット黎明期からこれまでのアドレス管理の経緯を踏襲しながら、適宜IPアドレス管理ルールの見直しを行い、その時々のルールに則り、IPアドレスの管理業務を行っています。歴史的PIアドレスについても、InterNICが管理していたブロックを、適切に各RIRやNIRに移管するなど、長い時間をかけて整理が進められ、現在では歴史的PIアドレスも含めたすべてのIPアドレスが、統一的な体系の中で管理されている状況です。

こうした管理体系の中でIPアドレスレジストリは、管理下すべてのIPアドレスの一意性を保証することを目的として、WHOISデータベースや逆引きネームサーバの運用管理を行うとともに、IPアドレスの管理に関わるルールの調整、申請手続きや問い合わせ対応、その他統計などを含む各種情報提供などの業務を行っています。

JPNICの場合、これらのアドレス登録管理業務に関わる費用のほとんどを、JPNICから直接IPアドレスの分配を受けているIP指定事業者にご負担いただいています(図2)。一方、IP指定事業者が分配を受けているIPアドレスは、JPNICが管理している全IPアドレスのおよそ三分の二に過ぎません。残りの三分の一を占めるのが歴史的PIアドレスであり、これまで歴史的PIアドレスの割り当て組織からは、アドレス登録管理業務に対して金銭的な負担はいただいてきませんでした。

JPNICのIPアドレス管理において「利用と負担の不均衡の問題」が起こっていることは明らかであり、インターネット黎明期の歴史的なアドレス分配構造に起因するとはいえ、こうした問題を早急に解決することが重要であると考えてきました。また、IPアドレスの一意性保証は、インターネット上の通信を可能にするための基盤的要素であるため、このためのIPアドレス登録管理業務は、すべてのIPアドレス利用者に、それぞれ応分に支えていただくべきであると、JPNICとしては考えております。

図2 現在のIPアドレス事業の費用負担状況
図2 現在のIPアドレス事業の費用負担状況

今後の進め方

料金案の見直しと経過措置について

前述のようなIPアドレス管理業務にかかる費用負担の考え方の整理を踏まえ、現在、次のような料金案を検討し、再度各ステークホルダの皆様に対してご意見をお伺いしています。

課金対象となる方は、JPNICが管理する番号資源の割り振りまたは割り当てを受けているすべての組織(IP指定事業者、特殊用途用PIアドレスホルダ、歴史的PIアドレスホルダ、AS番号ホルダ)です。

具体的な料金は、各組織が保有しているIPアドレスの総数に応じて、次の式によって算出した金額です。

  • 年間金額(IPv4アドレス)=65000×1.3log2アドレス総数-9+消費税
  • 年間金額(IPv6アドレス)=65000×1.3log2/56単位の総数-23+消費税

IP指定事業者または特殊用途用PIアドレスホルダで、IPv4アドレスとIPv6アドレスの両方を保有している場合は、上記式でそれぞれの金額を算出し、どちらか金額の大きい方をお支払いいただきます。

また、ミニマムチャージを52,500円とし、AS番号のみ保有している場合や、保有アドレスで算出した金額が52,500円に満たない場合などは、ミニマムチャージをお支払いいただきます。IPアドレスとAS番号の両方を保有している場合、IPアドレスの費用のみとします。

料金の見直しは、現段階では、2011年4月より毎年4月1日(基準日)現在の保有アドレスを対象として実施いたします。ただし、この料金案は2014年度から本格的に適用する案とし、2011年度から2013年度の3ヶ年は、歴史的PIアドレスホルダの方々に対するアドレス整理期間および激変緩和措置として、支払額を、年度毎に上記料金算式による金額に一定の割引率をかけた額でお支払いいただくような経過措置期間を取ることを検討しています。

現在、これらの料金案と経過措置の具体的な対応案について、大学や学校関係の歴史的PIアドレスホルダおよびIP指定事業者を対象に説明を行い、ご意見を伺っている状況です。

今後、いただいたご意見を検討しながら案を見直した上で調整を図り、再度JPNIC会員の皆様に総会でご審議をお願いすることになります。

できる限り幅広くご意見を伺い、各ステークホルダの皆様にご理解を得た上で、最終的なご承認をいただけるように進めていきたいと考えております。

(JPNIC IP事業部 佐藤晋)

※編集部注:本稿の情報は、執筆時(2010年9月末日)時点のものです。

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