メインコンテンツへジャンプする

JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です

ロゴ:JPNIC

WHOIS 検索 サイト内検索 WHOISとは? JPNIC WHOIS Gateway
WHOIS検索 サイト内検索

ニュースレターNo.47/2011年3月発行

~IPv4枯渇 Watch[第6回] 拡大バージョン~
IPv4アドレス中央在庫の枯渇に寄せて

IANA在庫(中央在庫)の枯渇と、“Various Registries”における分配について

2011年2月1日に、アジア太平洋地域のRIR(Regional Internet Registries)※1であるAPNICに対し、IANAから二つの/8(/8ブロック一つは、約1,600万アドレス)IPv4アドレスブロックが割り振られました。

この割り振りを契機に、2月3日には、IPv4アドレスの「/8ブロックの残りが5ブロックとなった際、それらは五つあるRIRに一つずつ分配される」というグローバルポリシーも適用され、これをもって、IANAが持っていた新規(これまでに一度も割り振られたことのないIPv4アドレス)の中央在庫(約43億アドレス)は、枯渇したことになります。

図1 [IPv4アドレス空間分配状況]
図1 [IPv4アドレス空間分配状況]

しかし、実はこれでRIRが受け取れるIPv4アドレスが、すべて終了してしまうというわけではありません。上記の図1で示した旧クラスBとCの領域である“Various Registries”は、53個分の/8ブロックに相当しますが、うち、(各ブロックの合計で)/8ブロック約7.5個分に相当するアドレスは未使用であるため、これらを五つのRIRで均等に分けて利用することが計画されています。結果、/8サイズでおおよそ1.5個分は、各RIRで使用できる予定です。

そのため、例えばAPNICの場合であれば、最後に通常の割り振りとして受けた/8が2個と、“Various Registries”からの約1.5個分が、これまで通りの分配が可能なIPv4アドレス在庫となります。その他に、前述のグローバルポリシーによって割り振られた、最後の5ブロックのうちの一つが、APNICの管理するIPv4アドレス在庫となります。

IANAにおけるIPv4アドレス在庫枯渇の予測は、2009年10月頃の時点では、2011年の終わり頃と予測されていました。しかし、2010年に入ってからRIRへの分配、特にAPNICへの分配が急増したことによって、最終的には2010年の割り振り量は前年度の倍以上、これまで最多だった2007年の/8ブロックが13個という分配のさらに5割増となる、19個の/8ブロックが分配されました。

図2 [IANAからRIRsへの/8ブロックの年間分配推移]
図2 [IANAからRIRsへの/8ブロックの年間分配推移]

IANAから各RIRに対してのIPv4アドレス分配推移を見ると、APNICに対する分配数の多さが目立ちます。特に2007年以降、北米地域を中心とするARINや、ヨーロッパを中心とするRIPE NCCでは、分配を受けていない年がある中で、APNICは毎年/8ブロックを4個以上消費している状況です。2010年に至っては、前年度と比べて倍の数にあたる/8ブロックの分配を受けています。

しかし、IANAにおけるIPv4アドレス在庫枯渇の予測時期を急激に早めた要因は、2010年11月のAfriNICへの分配でした。IPv4アドレス在庫枯渇時期に関して、長年にわたり調査研究を行ってきたAPNICのGeoff Huston氏による予測は、これまでのIPv4アドレスの分配傾向に基づき、将来の枯渇時期予測を導き出しています。そのため、これまでの傾向に沿わない分配が行われた場合は、枯渇予測時期が大きく変動することがありました。2010年11月のAfriNICへの分配は、まさにこれに該当するもので、この時点でAfriNICへの分配が行われることは想定されておらず、これによってIANAのIPv4アドレス在庫枯渇時期が3ヶ月ほど前倒しになりました。

図3 [IANA/RIRにおけるIPv4アドレス在庫枯渇時期予測]
図3 [IANA/RIRにおけるIPv4アドレス在庫枯渇時期予測]

当然、IANAのIPv4アドレス在庫枯渇の前倒しに影響を与えたのはAfriNICからの申請だけではなく、他のRIRへの分配が増加していることも影響しています。IPv4アドレス在庫枯渇を見据えた、それぞれの地域における事業者のアドレス取得の動向が反映された結果が、IANAからRIRへのIPv4アドレス分配の増加につながったという要素も無視できません。

いずれにせよ、IANAにおける新規IPv4アドレス在庫の枯渇により、今後は、各事業者に対してより直接的な影響が出てくる、RIRにおけるIPv4アドレス在庫枯渇の時期に、注目せざるを得なくなってきたと言えます。

APNIC/JPNICの在庫枯渇は2011年中盤

現在、アジア太平洋地域で利用するIPアドレスの在庫は、すべてAPNICが一元的に管理する形態となっています。JPNICも他の国や地域とともに、APNICとIPアドレス在庫を共有しています。このため、JPNICにおけるIPv4アドレス在庫枯渇は、APNICのIPv4アドレス在庫枯渇と同義となります。

APNICのIPv4アドレス在庫枯渇時期は、現在の予測では2011年中盤と見込まれています。この予測は、前述した“Various Registries”の、未利用空間の利用も含めた上での時期となっています。

なお、このRIRにおけるIPv4アドレス在庫枯渇予測時期についても、これまでの消費傾向による予測となっているため、今後IPv4アドレスの消費ペースがアップしたり、これまでの傾向に沿わない割り振りが行われたりすることで、時期が前倒しになったり、場合によっては後ろにずれ込んでいく可能性もあります。

IPv4アドレス在庫枯渇に向けても、これまで日本においてはそれほど申請傾向に大きな変化は見られませんでしたが、アジア太平洋地域全体で見ると、2009年までと2010年を比較すると、IPv4アドレスの分配数が急増している国がいくつか見受けられます。今後、IPv4アドレス在庫枯渇に向けて、このような動きが継続、または加速していく可能性は十分にあると思われます。

図4 [APNIC地域の国別IPv4アドレス分配推移]
図4 [APNIC地域の国別IPv4アドレス分配推移]

よく、中国におけるIPv4アドレスの消費ペースが速まっていると言われますが、このグラフで見ると、2009年よりも2010年の分配ペースが落ちているように見えます。しかし、中国へのIPv4アドレスの分配は、絶対量としても非常に多いため、やはり中国のIPv4アドレス消費動向が、アジア太平洋地域のIPv4アドレス在庫枯渇を左右すると言えるでしょう。

また、韓国への分配が、2010年になってから顕著に増えているほか、絶対量としては少ないものの、オーストラリア、インドネシア、ベトナムなども、前年と比べて2010年度の分配数が増加しているのが見て取れます。

このような状況を見ると、APNIC/JPNICにおけるIPv4アドレス在庫枯渇時期が、現在の予測よりもさらに早まってくる可能性も否定できません。

APNIC/JPNIC在庫枯渇に向けた課題

今後、APNIC/JPNICのIPv4アドレス在庫枯渇に向けては、通常の申請で分配できるIPv4アドレスの残りが少なくなってきた場合の、新規または追加割り振り申請の取り扱いをどうするかという点が、大きな課題となってきます。事業者からの申請受け付けタイミングなどによって、必要なIPv4アドレスの割り振りを受けられる事業者と、受けられない事業者に差異が生じることも想定されるからです。

現在は先着順で申請処理を行っていますが、申請処理完了のタイミングはそれぞれの状況に応じて異なります。在庫枯渇に向けて公平な申請処理を実現する上で、現状通りの対応を維持することが適切なのか、枯渇に向けてその他の処理方法を適用すべきなのか対応を明確にし、事前に十分な周知を行う必要があると考えています。また、もし何らかの対応を行う場合でも、妥当と思われるコストの範囲で実現可能なものとすべきであると考えます。

おそらく、2011年2月の終わりに香港で開催されるAPNIC31において、この基準等が議論され、決定されているものと思われます。

APNIC/JPNICにおけるIPv4アドレスの在庫が枯渇したとしても、新規、既存の事業者ともに、最小割り振りサイズのIPv4アドレス(現在は/22)を、1回に限り割り振りを受けることができます。このルールは、最後に残された/8ブロックの利用方法に関するAPNICのポリシーとしてコンセンサスに至っていて、既にドキュメントにも反映されています。

しかし、IPv4アドレス在庫枯渇後に、JPNICまたはAPNICに返却されたアドレスがあった場合、その取り扱いをどうするかという点については、まだ明確なポリシーが決まっていません。これまで、APNICや他のRIRのミーティングで、各RIRに返却されたIPv4アドレスを一旦IANAの在庫に戻して、再度そこから分配するという提案が行われ、議論されてきました。しかし、最終的な全RIRでのコンセンサスを踏まえたグローバルポリシーには至っておらず、この点に関するルールについても、次の2011年2月に開催されるAPNIC31での議論が待たれます。

この他に、JPNICではIPv4アドレス移転への対応も検討しています。現在、IPv4アドレスの移転はポリシー上禁止されていますが、移転が認められると、直接JPNICからIPv4アドレス分配を受けた事業者が、利用しなくなったアドレスを他の事業者に移転することが可能となります。

これは分配済IPv4アドレスの有効利用につながるとのことから、国内の事業者から対応の要請を受けていて、APNICにおいては2010年2月より実装がされていますが、JPNICでは未だ実装されていません。

JPNICとしては、IPv4アドレス在庫枯渇後のアドレス管理のあるべき姿が維持できるよう、在庫枯渇後も維持すべきアドレス管理の原則、在庫枯渇後にJPNICが提供すべき役割/機能を整理しながら、移転への対応方法を検討していて、分配可能なIPv4アドレスが無くなる前には、何らかの形で対応が必要であると考えています。

事業者としての対応についてのお願い

IANAにおけるIPv4アドレス在庫が枯渇し、JPNIC/APNICにおけるIPv4アドレス在庫の枯渇が目前に迫る中で、各事業者においても、それぞれ何らかの対応を行う必要があると思われます。

具体的には、各事業やサービスの種類などに応じて、必要な対応が異なってきますので、JPNICもメンバとして参加するIPv4アドレス枯渇対応タスクフォース(http://kokatsu.jp/)など、関係諸団体が公開している情報などを参考にして、適宜各組織で対応方針を決定して、取り組みを進めていただくことになります。

2011年度に入ると、IPv6アドレスのみが割り当てられたユーザーが、徐々に増加していく見込みです。このようなユーザーに対して、既存のサービスを問題なく利用できる状態にする必要があります。当然、事業者の対応として、当面は様子を見るというのも、選択肢の一つとして考えられます。

総務省は、ISP事業者などに向けて、IPv4アドレス在庫枯渇対応について情報開示をするためのガイドラインを策定しており、既に一部の事業者はこのガイドラインに則った形で、情報の開示を行っています。IPv4アドレス在庫枯渇への対応に関して、これから具体的な方針を検討される場合は、このような情報も参考にしてみてはいかがでしょうか。

□社団法人日本インターネットプロバイダー協会「ISPのIPv6対応について」
http://www.jaipa.or.jp/ipv6/index.html

また、IPv4アドレス枯渇対応タスクフォースでは、2010年度から、IPv6ネットワーク運用のためのハンズオンセミナーを、ネットワークオペレーター向けに開催してきました。このIPv6ハンズオンセミナーでは、実際のIPv6ネットワーク環境に触れながら、運用技術を身につけることが可能です。これまで多くのネットワークオペレーターの方に受講していただいていて、IPv6ネットワークの実運用が可能な事業者も増えてきています。

このIPv6ハンズオンセミナーは、2011年度以降も、何らかの形で継続して開催できるよう現在調整を進めています。今後、機会があればぜひ受講していただければと思います。また、セミナー資料も公開されていますので、受講できない場合でも、参考にしていただければと思います。

□IPv6ハンズオンセミナー(IPv6オペレータ育成プログラム)[2009]公開資料一覧
http://kokatsu.jp/blog/ipv4/event/course/ipv6-hs-materials.html

IPv4アドレス在庫枯渇への恒久的な対策としては、IPv6への対応以外に、実質的に有効な手立ては無いと考えられています。また、IPv6のみが割り当てられたインターネットユーザーも、今後徐々に増加していく中で、各事業者は好むと好まざるとに関わらず、自身が提供するサービスのIPv6対応について、考えざるを得ない状況にあると思われます。

JPNICとしては、今後も引き続き、IPv4アドレス在庫枯渇とその対応に関する情報について、適宜提供を行っていきます。それに加え、IPv4アドレスの分配についても最後まで混乱が無いように、業務体制を整備して対応します。

2011年後半まで残された時間はあまりありませんが、これからもインターネットの安定運用のために取り組んでまいります。

(JPNIC IP事業部 佐藤晋)


※1
地域インターネットレジストリ(RIR:Regional Internet Registry)
特定地域内のIPアドレスの割り当て業務を行うレジストリで、現在、APNIC、ARIN、RIPE NCC、LACNIC、AfriNICの五つがあります。JPNICのIPアドレスの割り当て業務は、APNICの配下で行っています。

IPv4アドレスの枯渇期に向けて~APNIC事務局長からのメッセージ~

2011年は、IPアドレス分配を行うコミュニティ、それ故にインターネットにとっても、大きな年となるでしょう。このコラムを執筆中にも、APNICはIANAへの/8単位で2ブロック分のIPv4アドレス追加申請を準備していて、この申請がきっかけとなり、全IPv4アドレス空間のうち最後のブロックが分配されることになります。これは、インターネットがIPv4からIPv6へと移行する過程において、非常に重要な出来事となります。

間違いなく、IPv4アドレスの在庫枯渇は、セキュリティ課題やインターネットアドレス資源に関連したさまざまなチャレンジを強いるでしょう。“売買”あるいは“貸与”のいずれの方法にせよ、IPv4アドレス空間の移転によって、RIRやNIRのデータベースに登録されないといった問題や、“スクワッティング(不法占拠)”、またルーティングされていないアドレスの不正利用も増えていくことを意味します。

これまで通りISPは、誰が「持って」いるのかという識別および権限の入念なチェックや自動検証をせずに、アドレスブロックへの経路を生成することはできますが、セキュリティ上の課題は増えるでしょう。また、そのようなセキュリティホールがより散見されるようになれば、それを利用し、金儲けを狙って金融関連や高額なオンラインサービスなどへの攻撃が必ず起こるでしょう。この中において、正確なアドレス空間の登録管理というものを、何としても保たれなければなりません、インターネットの安全性と整合性保全のためにも。

IPv6への移行に伴い、ベンダーやISPが大量のソフトウェアコードを新たに開発し、実装やメンテナンスをすることによっても、セキュリティ上の課題が発生するでしょう。システム上のバグ、設定ミス、メンテナンス上の問題の必然性は、インターネットセキュリティのコミュニティ全体に関わる新たな課題を代表するものです。こうした問題の大半は、人的な要因に直結しており、つまりは運用者の能力や知識に関係しているため、開発途上国においては特に課題となってくるでしょう。

RIRとして、APNICはIPアドレスの割り振り、管理、およびそれらの業務に必要なサービスを提供する責任があります。IPv4アドレス在庫枯渇、IPv6への移行、前述のさまざまなセキュリティ面での課題などというアドレッシングの変化に伴い、これに応じて割り振りや登録に関わるサービスを引き続き発展させ、強化していかなければなりません。

日本においてAPNICは、今後のさまざまな課題を克服する、効率的で磐石なIPアドレスの登録管理システムを提供するため、JPNICと密接に連携しています。現在開発・導入計画中のリソースPKIがその一つです。また必要とされているのは、自然、人的災害を含むあらゆる事象に遭遇した際にも動き続けるインフラセキュリティのための、そして“事業継続性”のための管理システムです。

IPアドレス登録管理にあたり、我々と協働する各地域の基盤(もちろんここにはJPNICも不可欠ですが)と共に、APNICがかつてなく力強い組織であると申し上げられることを嬉しく思います。JPNICと日本のインターネットコミュニティの皆さんが、APNICと地域インターネットのさらなる発展において、これまでも、そして今後も積極的に取り組まれることに、心から感謝の意を表します。

2011年1月
APNIC事務局長 ポール・ウィルソン

APNIC事務局長 ポール・ウィルソン

このページを評価してください

このWebページは役に立ちましたか?
ページの改良点等がございましたら自由にご記入ください。

このフォームをご利用した場合、ご連絡先の記入がないと、 回答を差し上げられません。 回答が必要な場合は、お問い合わせ先をご利用ください。

ロゴ:JPNIC

Copyright© 1996-2020 Japan Network Information Center. All Rights Reserved.