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ニュースレターNo.47/2011年3月発行

ICANN関連トピックス

ICANNが検討しているコミュニティベース新gTLD向けの紛争解決手続き
レジストリ制限事項に関する紛争解決手続き(Registry Restriction Dispute Resolution Procedure; RRDRP)について

本稿執筆の背景

RRDRP(レジストリ制限事項に関する紛争解決手続き)については、ICANN報告会などにおいても、今まで明示には取り上げてきませんでした。というのもこの仕組みが「コミュニティベースgTLD」を対象としたもので、影響の範囲も比較的限定的されていると考えられたためです。しかしながら、取り上げずにいれば、今後も本手続きに関する情報が十分提供されないままとなってしまうため、今回、テーマとして取り上げることとしました。

RRDRPとは

次のgTLD募集ラウンドで募集されることになる、いわゆる新gTLDの申請受け付け開始が、スケジュールは確定していないものの、近づいてきていると見られています。

RRDRPとは、新gTLDのうちコミュニティベースgTLDを対象としたサービス開始後の紛争解決メカニズムです。コミュニティベースgTLDとは、特定のコミュニティにおいて利用されることを前提とするgTLDのことで、既存のTLDでは、.museum、.aero、.proなどのスポンサ※1付きgTLD(sTLD)※2が、これに類似したものと言えます。

RRDRPは、コミュニティベースgTLDにおけるドメイン名割り当てプロセスにおいて、「申請者の要件合致についての判断に関する事後紛争解決手段が必要」という考えに基づき導入されるものです。

コミュニティベースgTLDは、誰でも自由に登録できる通常のgTLDとは違い、レジストリ制限事項(Registry Restriction)と呼ばれる、レジストリによってドメイン名登録希望者に要求される、登録要件などの制限事項が存在します。コミュニティベースgTLDのレジストリがサービスを開始した後に、この制限事項が適切に遵守されていない場合に、RRDRPを利用して登録者などから異議申し立てを行うことが可能となります。

RRDRPは、新gTLD申請者ガイドブック案(本稿執筆時は第4版)がICANN理事会により正式に承認された段階で確定することになります。RRDRPでは他のDRPと同様、独立した外部の専門家に紛争処理の判断を任せることが想定されます。その理由は、ICANNが登録者レベルでのドメイン名の内容について判断することは、“技術的なことの委任”を受けるという、ICANNの使命を逸脱するためとされています。※3

RRDRPの想定例

RRDRPの想定利用例として、次のようなものが考えられます。

ペット(動物)愛好家団体が.petというgTLDを申請し、ドメイン名の登録要件にペット愛好家団体であることを定めてICANNの審査・評価を通過しサービスを開始した後、ペットボトル製造業界団体がbottle.petというドメイン名を申請して登録が認められた場合に、正しく要件を満たして申請・登録している、その他のペット(動物)愛好家団体が不服を申し立てるケース等です。

RRDRPにおける手続きの流れ

当該TLDレジストリへのTLD委任開始後、個人もしくは組織が申し立てを行います。ICANNは紛争の当事者になれないので、ICANN自身による申し立てはできません。申し立ての際には、WHOISの苦情申し立てフォームに類似したオンラインフォームが用意されるので、それを利用します。申し立てにあたって利用する言語は英語となり、RRDRP紛争処理機関(以下、紛争処理機関)とのやり取りはメールなどにより電子的に行います。申し立て時には、紛争処理機関が定める登録費用を申し立てから10日以内に、紛争処理機関に対して支払う必要があります。

申し立て後5営業日以内に、裁定を行う主体である紛争処理機関が指名するパネリストにより事前審査が行われた後、紛争処理機関からレジストリに対して申し立てがあったことと、申し立て内容について通知されます。

申し立て後30日以内に、レジストリは申し立てに対する答弁書を紛争処理機関に提出します。紛争処理機関は申し立て者に対し、答弁書を送付します。紛争処理機関が答弁書を受領してから10日以内に、レジストリは紛争処理機関に対し申請費用を支払います。

紛争処理機関は、1名の専門家パネルを、答弁書受領より21日以内に選定および指名します。申し立て者もしくはレジストリからの要望があったときは、3名パネルとなることもあります。その後、紛争処理機関は手続きに要する費用を見積もった上で、申し立て者およびレジストリの両方に費用の全額を請求します。これら費用については、紛争に勝った方が支払った分については後で返却されます。迅速に紛争処理を行うため、および費用を抑えるため、申し立て書および答弁書の内容に基づいた書類による審理のみで、通常は証拠開示や聴聞は行われません。

RRDRPを定めた文書において、裁定の期限については、裁定書が専門家パネルの指名から45日以内に提出されるよう努力すること、および正当な理由なしに60日を越えないようにすることとなっています。また、専門家パネルはレジストリに対して、当該gTLDでの新規ドメイン名登録の停止、レジストリ契約への改善措置の追加、レジストリ契約の終了などを勧告することができます。

まとめ

コミュニティベースgTLDは、gTLDの文字列がコミュニティのアイデンティティを示すことから、そのドメイン名をインターネット上で利用する登録者が、そのコミュニティを構成する者としての要件を満たしていることが担保されることは重要です。

既にサービスが開始されているsTLDでも、いくつか類似の紛争解決手続きが用意されていますが、今回新たなgTLD募集ラウンドの施行にあたり、統一した手続きがRRDRPとしてまとめられ実装されることは、コミュニティベースgTLDの価値を高める観点で、意義深いものだと考えられます。

[参考]導入検討の経緯

2009年2月18日に発行された(新gTLD)申請者ガイドブック案第2版(DAGv2)※4と、同日付公開のレジストリ契約書案※5では、RRDRPという名称こそ使われませんでしたが、初めて「コミュニティベースTLD運営者の義務」という条項が追加され、登録ポリシー遵守についての紛争解決手段の制定も、レジストリが守るべき義務の一つとなっています。続いて2009年5月30日には、ICANNがRRDRP導入の背景と詳細について記載された、単独の説明文書※6を公開しました。

2009年10月2日には、申請者ガイドブック案第3版(DAGv3)※7が発行され、その中の「Module 5:委任への移行」という項目には、レジストリ契約書案※8およびRRDRP手続き文書案※9が付属しました。2010年2月15日にはICANNが手続き文書案を公開し、4月1日まで意見募集を行った後、コメントのまとめと分析※10が5月31日に公開されました。

ICANNナイロビ会議会期中の2010年3月12日には、ICANN理事会にて、RRDRP最終案を申請者ガイドブック案第4版(DAGv4)で公開するよう求めた決議※11がなされました。これを受け、2010年5月31日にはRRDRP最終案を含める形で、DAGv4※12が発行されました。DAGv4に含まれるRRDRP最終案※3は、2月15日から4月1日までの間に寄せられたコメントを受けて変更されていますが、変更はそれほど大規模なものではありません。

(JPNIC インターネット推進部 山崎信)


※1 スポンサ組織
トップレベルドメイン(TLD)の登録・運用ポリシーを策定する組織。
※2 JsTLD(sponsored Top-Level Domain;スポンサ付きトップレベルドメイン)
特定の業界・分野内に運用が制限されたTLDで、当該業界を代表する組織がスポンサ組織として登録ポリシー等を決定します。
※3 REGISTRY RESTRICTIONS DISPUTE RESOLUTION PROCEDURE(RRDRP)REVISED-MAY 2010
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rrdrp-clean-28may10-en.pdf
※4 New gTLD Draft Applicant Guidebook(DAGv2)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-18feb09-en.pdf
※5 New gTLD Agreement Proposed Draft(v2)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-agreement-clean-18feb09-en.pdf
※6 Proposed ICANN Registry Restrictions Dispute Resolution Procedure(RRDRP)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/rrdrp-30may09-en.pdf
※7 Draft Applicant Guidebook,version 3(DAGv3)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-04oct09-en.pdf
※8 New gTLD Agreement Proposed Draft(v.3)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-agreement-specs-clean-04oct09-en.pdf
※9 REGISTRY RESTRICTIONS DISPUTE RESOLUTION PROCEDURE(RRDRP)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rrdrp-04oct09-en.pdf
※10 NEW gTLD DRAFT APPLICANT GUIDEBOOK VERSION 3 PUBLIC COMMENTS SUMMARY AND ANALYSIS
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/summary-analysis-agv3-15feb10-en.pdf
※11 Adopted Board Resolutions | Nairobi-12 March 2010
http://www.icann.org/en/minutes/resolutions-12mar10-en.htm#8
※12 Draft Applicant Guidebook, version 4(DAGv4)
http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/draft-rfp-clean-28may10-en.pdf

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