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ニュースレターNo.48/2011年7月発行

アドレス枯渇を目前に、IPv6導入やRIRのアドレス品質向上に対する取り組み

本稿では、IPv4アドレスの在庫枯渇というエポックを目前に控えた時期に開催されたAPNIC 31ミーティングにおいて、筆者が特に注目したIPv6関連の話題やRIRで行われているアドレスの品質向上に向けた取り組みについて報告します。

APOPSにおけるIPv6の話題

Asia Pacific Operators Forum(APOPS)は、APNICコミュニティの中でネットワーク運用に関わる話題を扱うフォーラムです。APOPSの全体会議であるAPOPSプレナリーは、2011年2月21日(月)の16時40分から18時にかけて行われました。約240名が参加していました。

今回は、併設のAPAN-APRICOT 2011の参加者が流れてきていて人数が多かったこともあり、プレゼンテーション(以降、プレゼン)の内容を受けて、参加者同士のディスカッションがいつもよりも活発に行われていたようです。APOPSプレナリーで行われたプレゼンを以下に紹介します。

(1) World IPv6 Day

Google社のLorenzo Colitti氏のプレゼンです。World IPv6 Dayは、Google社、Facebook社、Yahoo!社、Akamai社、Limelight Networks社などが提供するWeb上のサービスにおいて、協定世界時の2011年6月8日0時から23時59分までの間、一斉に「IPv6を優先しよう」とするイベントです。この時間帯、参加企業のDNSサーバでは、Aレコードよりも優先してAAAAレコードが返されるように設定がなされます。このようにIPv6を多くのユーザーが使う日を設定することで、IPv6の大規模な展開にあたっての課題を解決していくことを目的としています。詳しくは以下をご覧ください。

・World IPv6 Day
http://isoc.org/wp/worldipv6day/

(2) Operational Problems in IPv6: Fallback Issues

NTT情報流通プラットホーム研究所の岡田真悟氏によるプレゼンです。IPv6からIPv4にfallbackする動作において起きる遅延を、さまざまな利用環境において計測し、多くの利用環境で、ユーザーが不便を感じる程度にまでなってしまうことを指摘しています。会場でも話題になり、今後OSの実装やIETFでのディスカッションに影響すると考えられます。

(3) 6rd-Enabling IPv6 Customers on an IPv4-only Network

Cisco社のJoe Wang氏によるプレゼンです。ISPの運用者に向けて、IPv4のみのユーザーにIPv6の接続性を提供するために6rdを採用した事例を紹介しています。6to4やDS-Liteなどのトンネリング技術と比較検討されています。

写真:会場の様子
会場の様子

NIRにおけるIPv4の在庫枯渇対応やIPv6の導入促進

APNIC 31でのNIR SIGは、2011年2月22日(火)11時から12時過ぎまで行われ、30名以上が参加していました。NIR SIGでは、NIRで行われているIPv6の導入促進について活動報告が行われました。またIANA在庫枯渇時の情報共有のされ方を振り返り、RIRの在庫枯渇に関する情報共有がどうあるべきか、といったディスカッションが行われました。各NIRの報告内容は次の通りです。

  • TWNIC
    IPv4の在庫枯渇に関するWebページを提供するとともに、“IPv6 Directory”と呼ばれるIPv6対応機器の一覧を作成し提供しています。また、IPv6導入のガイドライン等のドキュメントも作成されています。
  • IPv6 Ready Logo Program Approved List
    http://v6product.ipv6.org.tw/
  • KRNIC
    Next Generation Internet Address (IPv6) Transition Planと称して、三つの施策を取っています。
    (1)
    WebサービスやIPTV、3GネットワークにおけるIPv6商用サービスの促進
    (2)
    IPv6の優先割り振りやIPv4の在庫枯渇基準日の設置
    (3)
    IPv6 Transition Centerの設置およびその機関を通じた移行プランの周知徹底、などが行われています。
  • CNNIC
    CNNICからは、技術的なリサーチ活動の紹介が行われました。さまざまなプロトコルについて技術的なIPアドレスの利用形態を調査し、IPv6アドレスのフォーマットを再検討するなどの活動が行われています。なお、IANAの在庫枯渇の際には、メディア対応などが行われたとのことです。
  • JPNIC
    JPNICからも、2月3日のIANA在庫枯渇の際に、NRO、ICANN、ISOC、IABによる合同式典とプレスカンファレンスの中継、および同時通訳について紹介を行いました。後日、個別にNIRの方々とお話しした際に、一部のNIRの方々から、JPNICの活動を評価しており、「今後連携を図りたい」といったコメントをいただきました。

最後に、APNICのPaul Wilson氏やJPNICの前村昌紀がディスカッションに加わり、RIR在庫枯渇の情報共有においては、APNICとNIRが協力して進めていこうという意識共有が行われて、ミーティングが終わりました。

RIRにおけるアドレス品質向上の取り組み

APNICをはじめとするRIRでは、Resource Quality Assurance(RQA)と呼ばれる活動が行われています。RQAは、ISP等によるフィルタリングや経路制御のために、インターネットにおける到達性が一部失われているようなIPアドレスを調査し、その到達性を改善する活動です。IPアドレスが返却され、そのアドレスが再割り振りされる場合を想定して、インターネットにおける到達性という意味で「品質」を保つことを目的としています。

APNIC 31では、RQAに関する「RQA BoF」が開かれました。2011年2月23日(水)の17時過ぎから19時過ぎにかけて行われ、約20名が参加しました。BoFで報告された主なRQA活動を以下にまとめます。

  • RIPE NCC
    これまでBogonリストに入っていたIPアドレスが、Bogonリストから外れたことを周知する“De-bogonize”の活動が行われています。IANAから/8の割り振りを受けると、多くのNOGに周知されるようになっています。
  • LACNIC
    IPアドレスをレジストリの製品と捉え、経路の到達性という意味でよりよい品質で提供するための活動が行われています。そのために割り振りの前にテストプロセスが設けられています。
  • 日本における取り組み
    NTTコミュニケーションズ株式会社の吉田友哉氏による発表が行われました。JPIRRのfltr-unallocatedオブジェクトを使ったオペレーターへの通知方法紹介の後、Bogonフィルタを正しく利用しないことで著名なWebページにアクセスできなくなった事例の紹介や、到達性の確認実験「reachability test」の結果が報告されました。他に、オペレーター同士の連絡手段として、JANOGのコミュニティが紹介されるなどしました。
  • Team Cymruの取り組み
    インターネットにおける情報セキュリティに関して、調査や分析などを行っている非営利団体Team Cymruによるプレゼンです。Team CymruではBogonリストに関する普及啓発や、最新情報の提供を行っています。Bogonリストを使ったフィルタリングの是非から、Bogonリストを使うにあたって陥りやすい問題についての紹介が行われました。Team CyrmuのBogonに関するコンテンツは次のWebページで閲覧できます。

RQAの活動は、上記のようにRIRでも取り組まれていますが、割り振ったIPアドレスの到達性を、IPアドレスのレジストリがどこまで保証すべきかという点について、共通の指標があるわけではありません。IPv4の在庫が枯渇しIPv6の普及が本格化した場合、IPアドレスのレジストリは、IPアドレスの管理業務においてどのような役割を担っていくべきなのか、という点について考えると、RQAはインターネット経路制御のセキュリティ等と同様に、重要な事項になってくるかもしれません。


2011年に入ってから、IPv4アドレスのIANA在庫が枯渇し、RIRの在庫枯渇も近づいてきました。今後はIPv6の導入が本格化し、IPv4とIPv6の共存の際に起こる問題解決に向けた取り組みが行われていくことが考えられます。一方で、逆引きソーンへのDNSSECの導入や、IPv6の経路制御への対応など、話題の多い年になりそうです。

(JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司)

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