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ニュースレターNo.50/2012年3月発行

第82回IETF報告
全体会議報告

第82回IETF meetingは、2011年11月13日(日)から18日(金)の間、台湾の台北にて開催されました。会場は、信義新都心という台北で最も新しい開発エリアの「国際会議中心」で、独特な形をした台北101ビルの近くでした。非常にきれいでおしゃれな地域でしたが、参加者が多く泊まっていたGrand Hyatt Taipeiは、建っている場所が旧日本軍の処刑場だったので、幽霊が出るという話がありました。期間中に幽霊を見たと、ホテルを変えた参加者もいたようでした。しかし、台湾のWikipediaによれば、ロビーに高名なお坊さんによる魔除け/お守りの書があるために作られた都市伝説で、実際には農地だったようです。

本稿では「IETF Operation and Administration Plenary」および「Technical Plenary」の二つの全体会合および気になったトピックについて、感想を交えて報告します。

写真:Taipei International Convention Center(TICC)
会場となったTaipei International Convention Center(TICC)(TICCの公式Webサイトより引用)

11月16日(水)に開かれた「IETF Operation and Administration Plenary」では、台湾の紹介および台湾の通信事情、インターネットの状況を説明したホストプレゼンテーションに続き、Postel Awardの発表、表彰が行われました。これは前回、受賞者が参加できなかったため、延期されていたものです。受賞者は、アジア地域におけるインターネットの発展と振興に貢献したということで、Kilnam Chon氏(慶應義塾大学特任教授、韓国科学技術院(KAIST; Korea Advanced Institute of Science and Technology)名誉教授)でした。続いて、IPv6の普及、発展に貢献した人に贈られるItojun Awardの発表、表彰がありました。これには6rdを実装したAlexandre Cassenと、6rdを設計したRemi Despresの両氏が、受賞者として選ばれました。

それからレポートが続き、最初のIETF chairレポートでは、参加者の内訳やRFC、Internet-Draftなどの、前回のIETF meetingからの差分の紹介がありました。今回の参加者は、48ヶ国から合計931人でした。参加者の多い国から米国、中国、日本、台湾、韓国の順でした。ただし、日本、中国は同じような人数に見えました。申し込みの時点では、中国からもっと多くの人が登録していたのですが、ビザが下りなくて参加できなかった人がいるようでした。

前回のmeetingから四つの新しいワーキンググループ(WG)ができ、八つのWGがクローズされました。512件のInternet-Draftが書かれ、1,112件のInternet-Draftがアップデートされました。また、RFCは97件が発行されました。その内訳は、51件がスタンダードトラック、7件がBCP、31件がインフォメーショナル、2件がエクスペリメンタルでした。

NOCレポートでは、今回のネットワークはChunghwaTelecom HiNetから2系統、会場やホテルに引き込まれ、IPv4だけでなくIPv6ネイティブの接続がされたことが報告されました。

IAOC&IADレポートでは、ファイナンス関係の報告が行われた後、今後の開催地についての話がありました。アジア地域で開催地を探しましたが、ホテル代などが非常に高くなってしまうため、第88回の開催はアジアの代わりにカナダのバンクーバーに決定しました。それから第87回は、ドイツのベルリンで開催することが紹介されました。また、いつか近いうちに、日本で開催するという話もありました。

11月14日(月)に開催された「Technical Plenary」では報告として、IRTF chairレポート、IAB chairレポート、RSOCレポート、そしてテクニカルセッションがありました。

IRTF chairレポートでは、Lars Eggert氏からIRTFの報告として各WGの活動紹介がありました。それからApplied Networking Research Prize (ANRP)というAwardの報告があり、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の本多倫夫さんが、TCPの拡張可能性に関する研究で受賞しました。これは、インターネット上で実際にTCPの処理がどうなっているかを計測して、拡張について考察したものです。もう1人は、デラウェア大学のNasif Ekiz氏が、やはりTCPの振る舞いに関する研究で受賞しました。

IAB chairレポートでは、Bernard Aboba氏よりIABの活動紹介がありました。IABではアーキテクチャなどの検討、ワークショップのまとめのRFC化、他の組織とのリエゾンを行っているそうです。またIPの評価、 IPv6 for IAB Business、HTTP/Web評価、DNS、非常時サービスといった事項についての検討が、グループごとに行われているそうです。

今回のテクニカルセッションのテーマは、“Interconnecting Smart Objects with the Internet”でした。まず、はじめにJariArkko氏より、“IAB Workshop on Interconnecting Smarts Objects with the Internet”の報告がありました。これは2011年の3月25(金)から26日(土)にかけて開催され、参加者は90名以上だったそうです。このワークショップで、スマートオブジェクトに関してIETFでどのような活動を進めていくかの議論があり、プロトコルスタックの検討(ND、Routing)、軽量のTCP/IPを実装するためのWGなど、複数のWGの活動へ結びついていると報告がありました。また、スマートオブジェクトを考える上でいくつかの選択肢があり、例えば一つのインターネットか、あるいはアプリケーションごとに特化したネットワークかとか、間欠接続か、現状のプロトコルモデルのままかとか、IPを使うか、あるいはレガシーなプロトコルを使うのかといった点が問題となります。これらは、すべてのデバイスがインターネットにつながらなければならないか?といった課題について、IP至上主義に拘らずIETFが現実的な活動をしようとしていることを示しています。

次にFred Baker氏が、“Smart Objects and the Internet Architecture”というタイトルで、スマートオブジェクトの接続方法、セキュリティについてはどの層で技術開発をするのがよいか?という話がありました。

Robert Assimiti氏は、“The Holy Grail of Smart Object Interoperability”というタイトルで話をしました。これまでに、センサーなど小さなデバイスに使用可能な技術が、いろいろな組織で開発されています。これらの成果を使ってスマートオブジェクトは実現されるので、キメラのようにいろいろな異なる技術の組み合わせになるだろうと主張しました。

Zach Shelby氏による話のタイトルは、“The Web for Smart Objects”で、スマートオブジェクトに関連するWeb技術には、W3C、OASIS、ETSI、BACnet、Zigbeeなどがあり、多くの団体がいろいろな層、幅をもって活動しています。IETFでも多くのWGができています。これを理解した上で、Internet of Things(IoT)では、取り組んでいく必要があるのではないかと話されました。

最後にCarsten Bormann氏は、これまでセンサーネットワークの研究をしてきた経験を発表しました。センサーネットワークでは、電力、メモリの制限が非常に大きくなります。またネットワークとしてはロスが大きいし、Ethernetではないネットワークとなります。またこれらの進歩は、PCやサーバなどに比べてゆっくりしたものです。これらの課題を解決するために、IETFでは現在、6LoWPAN向けのIPv6 NDの拡張や、CORE WGでの取り組みが行われているそうです。

また、今回も新たなWGを立ち上げようと、多くのBoFが開かれましたが、その中で印象に残ったものとして、Software Definition Network(SDN) BoFがありました。IETFでもOpen Flowに取り組むということか?ということで、多くの人が集まりました。提案側より、Open Flowではないものを検討しよう、それからアプリケーションAPIとNetwork APIを検討しよう、という絵が示されました。つまり、このBoFを開催した人は、IETF標準のOpen FlowのためのWGを作りたかったと思われます。しかし、問題を提起した複数のプレゼンテーションを聞く中で、「データセンターなどでダイナミックに構成を変更したい」という要求は支持を集めました。ただし、「SDNは必要ない」という意見も聞かれました。BoFの最後に、「どこでWGを作るか」という問い合わせがあったのですが、結果として、「ルーティングエリアよりアプリケーションエリアの方がいい」という意見が多かったように見えました。参加者は、データセンター運用、ルーティング、アプリケーション、コンテンツというところに興味がある人が、非常に多く集まっていましたが、どうやらBoFを仕組んだ人の思惑とは、違った結果となったようです。IETFにおいてはこれまで、Internet/routing vs アプリケーションでは、明らかにInternet/routingが強い、と思われていました。しかし、インターネットのベース部分は、もう出来上がってきたので変化を受け入れられず、アプリケーション層で対応しようということのようです。IETFでも参加者の考え方が、変化してきているように感じられました。

次回のIETF meetingは、2012年3月25日(日)から30日(金)にかけて、フランスのパリにて開催されます。

画面:さまざまなリモート参加手段
IETFではMeetechoをはじめ、さまざまなリモート参加の手段が用意されています

(アラクサラネットワークス株式会社 新善文)

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