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ニュースレターNo.52/2012年11月発行

第22回JPNICオープンポリシーミーティング報告

2012年6月19日(火)に、第22回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM)を開催いたしました。

JPOPMは、日本においてIPアドレス、AS番号等インターネット資源の管理ポリシーを検討・調整し、コミュニティにおけるコンセンサスを形成するための議論の場です。年2回の開催で、JPNICとは独立した組織であるポリシーワーキンググループ(ポリシーWG)が主催しています。ミーティングのプログラムは、ご応募いただいたポリシー提案や情報提供プレゼンテーションから構成しています。今回は、前回からの継続が3件、新規が2件の、合わせて5件のポリシー提案、および情報提供プレゼンテーションの応募が数件ありました。

ミーティングには、オンサイトで38名(関係者含まず)の皆様にご参加いただきました。今回も、JPNICの協力により、映像ストリーミング、Jabberチャット、Twitterによるリモート参加環境を構築しました。ストリーミングにおいては、平均137、最大で217の同時視聴数があり、合計視聴数は11,910でした。同時視聴数が最大で200を超え、これまでで最も多くの方にリモートで参加していただくことができました。会場で、またリモートでミーティングにご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

今回議論された提案について

今回は5件の提案について議論を行いました。

021-02 JPNICの移転ポリシーにおける移転先、移転元要件の変更
021-03 RIR間アドレス移転提案 (prop-095 in APNIC)
021-04 移転の際に、IPv4アドレス必要要件提示を必須とする提案 (prop-096 in APNIC)
022-01 返却されたIPv4アドレスの配布について
022-02 JPNICにおけるアドレス移転支援について

前半の3件(021-02、021-03、021-04)は、前回JPOPM21で議論を行った、IPv4アドレス移転に関連した提案であり、前回のミーティング以降、いくつかの情報について追加調査を実施した上で再議論を行いました。この3件については、議論は一つの時間枠でまとめて実施しましたが、コンセンサスの確認はそれぞれに対して個別に行いました。5件のうち2件はAPNICのオープンポリシーミーティングでコンセンサスを得て施行されたポリシーについて、日本国内での実施の是非を問う提案です。

移転についての議論に先立って、JPNIC事務局よりRIRごとの移転ポリシーの状況、JPNICにおける移転制度の現状と課題の整理について紹介されました。加えて、前回議論時のアクションアイテムであった次の事項についても、調査結果の情報提供が行われました。

  • 移転を実施する地域によって要件を分けることの可否(JPNIC管理下の組織同士の移転と、APNICや他のRIR地域との移転)
  • JPNIC管理下の組織が、他のRIR管理下の組織と移転をする際の具体的な手続き
  • IPv4アドレスの消費状況(国内とARIN地域)

ミーティングではこれらの情報を踏まえて再び議論を行いました。

前回のJPOPMにおいて移転に関する議論が一定の結論を導き出せなかったのは、情報量の不足により、移転を実施する地域によって要件を分けることの可否や、他のRIR管理下の組織との移転においてどのような手続きが発生し、手続きの中でどのような基準に沿って移転可否の判断が行われるかをイメージできなかったことが原因でした。

今回も議論開始後、しばらくの間は、各提案の相関関係の整理に時間を費やしました。相関関係を整理した後は、移転の要件確認に当たり、「今後何ヶ月間の需要を満たすサイズのアドレスとするか」の基準が、現状では地域ごとに異なることについて、IPアドレスを利用する組織、移転を取り次ぐ事業者等の立場から意見が出されました。

情報提供の中にあった「移転を実施する地域によって要件を分けることの可否」に関連した議論では、現状JPNICが施行している移転ポリシーは、需要の確認を実施せずに移転手続きが行われていますが、APNICをはじめとする各RIRで採用しているポリシーでは、移転手続きにおいて所定の期間分の需要を満たすサイズのアドレスのみ移転を認めていることが報告されました。また、他のRIR管理下の組織との移転に当たっては、相手先のRIRと同等の需要確認が求められることも紹介されました。IPv4アドレスの移転では同じアドレスブロックが複数回移転されることが想定されており、ARIN等のRIRではそのような場合にも移転先でのアドレスの有効利用を担保したい考えがあります。そのため、従来RIR管理下にあったアドレスブロックがJPNIC管理下の組織に一旦移転された後、再度移転される場合にも需要確認が求められます。

これらの状況を踏まえて検討を行った結果、JPNICにおける移転ポリシーの範疇で移転を実施する場合は、これまで通り移転時の需要確認は実施せず、他のNIR/RIRで登録されているアドレスブロックをJPNIC管理下に移転する場合は、現状のAPNICのポリシーと同等の需要確認を行う方向で、合意が形成されていきました。

議論の最後にコンセンサスの確認を行い、021-02、021-03は提案通りに合意、021-04についてはすべての移転を需要確認の対象とせず、JPNIC管理下で行われる移転については需要確認を実施しないこととして提案を修正して合意となりました。加えて021-04については、現状のAPNICが実施している需要確認期間について、JPNICコミュニティの意見である他のRIR(ARINを想定)と同等の期間に延長するために必要なアクションを確認し、必要であればAPNICコミュニティへ提案を行うための提案チームの組成を呼びかけることになりました。

なお、次の二つの提案については、いずれも合意に至りませんでした。

022-01 返却されたIPv4アドレスの配布について
022-02 JPNICにおけるアドレス移転支援について

ただし、022-01については、返却されたアドレスを活用していくことについて日本のコミュニティがどのような意見を持つか、その意見をどうAPNICコミュニティ、さらには他RIRに説明していくのかを議論し、提案の必要の有無を含めて検討を実施していくことに多くの賛成意見がありました。そのため今後、オリジナルの提案者とポリシーWGが協力して議論の環境を整備し、コミュニティに参加を呼びかけることになりました。


その他、リソースPKIの動向、 ITR(国際電気通信規則)の見直しについて、RIRのミーティング参加を通じてのアップデートのセッションを開催しました。以下のURLにて、当日の発表資料および議事録を掲載しておりますので、ご参照ください。

□第22回 JPNICオープンポリシーミーティング  
http://venus.gr.jp/opf-jp/opm22/

ポリシーWGチェア交代とメンバー追加のご報告

2点、ご報告があります。

一つ目は、今回のJPOPMの冒頭、ポリシーWGのチェアを藤崎智宏氏から私、橘に交代することを藤崎氏から告知いただきました。その上で、その後の進行を終日橘が務めました。これは2012年6月15日の第47回JPNIC通常総会で実施された役員選任において、藤崎氏がJPNIC理事に選任され、ポリシーWGの実装勧告対象となるJPNICの運営者となることで、ポリシーWGを抜ける必要が発生したための措置です。

ポリシーWGによるJPOPMの運営が開始された2004年より、長きにわたって運営をリードいただいた藤崎氏の貢献に心から感謝を申し上げます。今後もIPポリシー分野担当理事として、継続したコミュニティの運営をサポートいただきますようお願い申し上げます。

もう一つは、2012年2月28日よりインターネットマルチフィード株式会社の豊野剛氏がポリシーWGに加わっていることについてです。こちらはミーティング席上でご紹介するのを失念しておりました。申し訳ありませんでした。

写真:司会を務める橘俊男氏
● 今回からポリシーWGチェアとして、 司会を務める橘俊男氏

ミーティングを振り返って

今回のミーティングでも、前回と同様に参加登録時に事前アンケートを行い、参加者のうち「初めての参加」「2~3回目の参加」という方が半分を超えていたことが確認できました。新しく参加された方が多かったのは、IPv4アドレスの移転という最近の注目トピックについての議論が行われることが広く知られていたことが一つの要因になったのではないか、と考えています。

インターネット資源管理は日本としても重要な分野です。ポリシー策定プロセスの紹介を含め、今後も、いろいろな機会で興味を持っていただける方を増やすような広報をしていく予定です。


最後になりますが、オンサイト、リモートともに議論にご参加いただいた皆様、ご発表いただいた皆様、ありがとうございました。

次回のJPNICオープンポリシーミーティングは、2012年11月19日(月)に、Internet Weekと同時期に開催します。アドレスポリシーに関してご意見をお持ちの方の提案や、プレゼンテーションのご応募をお待ちしています。今回ご参加いただけなかった方も、ぜひともご参加ください。

写真:IPv4アドレス移転に関する議論の様子
● IPv4アドレス移転に関する議論の様子

(ポリシーワーキンググループ/楽天株式会社 橘 俊男)

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