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ニュースレターNo.53/2013年3月発行

コミュニケーションと喧噪

JPNIC理事 小林 昌宏

2012年末に発表された民鉄協(一般社団法人日本民営鉄道協会)の実施したアンケート「平成24(2012)年度駅と電車内の迷惑行為ランキング」の結果によると、2011年に引き続き、電車を利用する際に迷惑と感じる行為の1位は「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」、2位は「座席の座り方」だそうで、かつて、マナー違反の代名詞でもあった「携帯電話の着信音や通話」は、前年3位から5位へ順位を落としているそうです。そういえば、自分自身でも、かつては電話で話したことも、現在では、SNSやショートメッセージで済ますことが大半になっているなと思いますし、総務省の情報通信白書を見ても、ここ数年、毎年毎年0.5~3%ずつ総通信回数が減少していることも、その傾向を裏打ちしていると思います。

また、2012年は、幼児を公共交通機関に乗せる際のマナー議論が白熱しましたが、これを見ていても、最近の多くの日本人は、あらゆる公共の場で(少し極端な言い方ではありますが)、図書館のように、お互いが気を遣い合う静けさを求め始めているのだろうかと、少し窮屈な想像をしてしまいました。「喧噪」という言葉に込められた、ある種の大雑把さ、活気、躍動感をこの国で求めるのは難しくなっているのかな、と寂しくもあります。

よく言われているように、人間の五感は視覚情報が8割を占めているので、メール、SNS、そして、絵文字、スタンプ、ショートムービー等々が、私達の事情・感情・意図を伝えるものとして、インターネット上で発展し続けています。でも、よく考え直してみると、「五感の8割は視覚情報」という真の意味は、(嘘がつける)人間の言葉(音声情報)を、表情・しぐさ・態度・顔色などで補完し、総合的に相手の意図を判断する能力のことなのかと思うのです。そう考えると、本来聴覚情報である言葉を視覚情報に変えて見えない相手に送り、また、例えば、本当はムッとしていてもスマイルの絵文字やスタンプを送ってしまう現代の私達が、ソーシャル疲れに陥り、公共の場で一人の世界に浸りたくなるのも頷ける気がします。しかし一方、コミュニケーションの喪失は、人と人との本質的な理解・切磋琢磨を奪い、デフレのようにマイナスのスパイラルで社会活動の低下を招く可能性があります。「喧噪」は、国を含めたそれぞれの社会におけるエネルギーのインジケータであり、もしかすると、失ってはいけない、必要不可欠なものなのかもしれないと最近思うのです。

私達が携わるインターネットは、tele-communication、つまり、ダイレクトコミュニケーションを遠隔でも果たせる機能の追求から産まれたものです。技術・方式の進歩には目を見張るものを感じますが、私達はもう一度、「ダイレクトコミュニケーション→喧噪を増殖させるしくみ」、「要求は伝わってくるが意図は不明な『赤の他人だらけ』ではない世界をサポートするネット社会」を作る必要に迫られているのではないでしょうか。そして、また、Off会とか、O2O(On Line to Off Line)という言葉も、Line Offの状態こそが、是であるように思える表現に変える必要があるのかもしれませんね。


執筆者近影 プロフィール●小林 昌宏(こばやし まさひろ)
1987年 茨城大学大学院理工学研究科修了。同年、東京通信ネットワーク株式会社(のちにパワードコムに改称)入社。2004年、常務執行役員マーケティング・商品統括本部長。2006年、KDDI株式会社と合併し、2011年より、現職であるサービス企画本部長。また、2010年より、IPv6のVNE会社である日本ネットワークイネイブラー株式会社の代表取締役社長を兼務。

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