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ニュースレターNo.53/2013年3月発行

Tokyo6to4プロジェクトの終了
~IPv6の明日に向けて~

筆者が代表を務めるTokyo6to4プロジェクトは、これまで「すぐに使えるIPv6環境」の提供を目的に活動してきましたが、2012年11月末でインフラの運用を終了しました。今回は、プロジェクト発足の経緯、これまでの歩み、成果などを簡単にお話しします。

プロジェクト発足の目的

Tokyo6to4プロジェクトは、IPv4アドレスの在庫枯渇が進む中、恒久的な対策として個人レベルで簡単に利用できるIPv6インターネット接続サービスがない状況を改善するために若手エンジニアの有志が集まり、2008年10月にスタートしました。というのも、当時は、法人向けIPv6インターネット接続サービスはありましたが、個人向けの接続サービスはかなり限られており、高いハードルがあったためです。

そこで注目したのが6to4技術です。6to4はIPv6自動トンネル技術の一種なのですが、IPv4グローバルアドレスさえあれば、プロバイダーとIPv6サービスの契約をせずともIPv6インターネットに接続できます。このマジックのような技術は、

  • IPv6アドレスの「128ビット」という長さを活かして、IPv6のアドレスの一部にIPv4アドレスを埋め込んでいること
  • 広いインターネット上の「どこかに」IPv4とIPv6を相互に変換しているルータ(リレールータといいます)があること

によって成り立っています。

プロジェクト発足の経緯

筆者は2008年9月、IPv6普及・高度化推進協議会のIPv4/IPv6共存WGの活動であるテストベッド環境構築合宿に参加しました。その際、IPv4オンリーのモバイル環境からIPv6サーバまで接続してみたところ、6to4を使ってつながることにはつながるものの、実用に耐えないレベルの遅延が発生していました。調査したところ、IPv4とIPv6を変換しているリレールータがドイツにあることが原因だと判明しました。物理的には目の前にあるサーバへの通信なのに、わざわざ日本からドイツまで往復していたので、非常に遅くなっていたのです。

そこで、日本国内に6to4リレールータの環境を整備すれば、6to4を実用的なスピードで利用できるようになると考えました。実際には日本での前例もあり、2003年からKDDI研究所が日本で6to4リレールータを運用していたのですが、2006年に運用を終了していたのです。

そのような経緯を経て、何人かの友人とプロジェクトをスタートすることになりました。幸運にも、WIDEプロジェクト(WIDE)の協力により、東京・大手町のコロケーションスペースと、WIDEが運営する日本で最も歴史のあるIXであるDIX-IEへの接続、インターネット接続回線をご提供いただけることになりました。ちなみに、Tokyo6to4という名前はWIDEの加藤朗先生が名付け親です。

そんなこんなでプロジェクトをスタートすることになったものの、メンバーは誰一人として6to4リレールータの構築、運用経験はありません。そこで、ある大学の部屋をお借りして6to4リレールータやクライアントの設定、動作などの検証を行い、準備を進めました。

開始当初からインターネット全体に対して6to4のサービスを提供した場合、不具合があった時に影響範囲が大きくなってしまうことを懸念し、最初は特定のネットワークに対してのみサービスを提供することにし、2008年12月26日の日本時間14時頃から、正式に経路広報を始めました。ちなみに、12月26日は奇しくも英連邦などで祝われているボクシングデーで、クリスマスカードやプレゼントを配送してくれた郵便配達員などに箱に入ったプレゼント(Boxing)を贈る日になっています。

経路広報の開始後には、意図した通りに6to4を使った接続において日本国内のIPv6サイトへの遅延が大幅に短縮される結果となりました。例えば、IPv6で接続すると亀が踊ることで有名なKAME Projectのページの場合、WIDEと接続している東京都内のネットワークからKAMEプロジェクトのサイトまで、遅延が約190msから10ms以下へと大幅に短縮されました。

IXとの接続

1ヶ月ほどの運用を経て、6to4リレールータの安定性が確認できたため、より多くのネットワークに対して6to4の経路を広報することになりました。2009年1月には、DIX-IEで他のネットワークとピアリングを開始し、さらに同年8月には日本最大の顧客数を持つIXであるJPIXと接続し、ピアリングを始めました。この結果、多くのプロバイダーのネットワークから直接Tokyo6to4プロジェクトのリレールータに接続できるようになりました。

さらに、6to4での運用が好調だったため、6to4以外のプロトコルに対応することにしました。6to4の利用に当たっては、グローバルIPv4アドレスが必要になりますが、日本の多くの環境ではNATを使ってインターネットに接続することが一般的です。そこで、NAT環境下でもIPv6インターネットに接続できるプロトコルであるTeredoにも対応することになりました。実際には、2010年6月から、日本最大のトラフィック量を持つIXであるJPNAPに接続すると同時に、6to4とTeredo両方のサービスを開始しました。

このようにして、Tokoy6to4のサービスは6to4とTeredoの合計で、ピーク時には100Mbpsを超えるトラフィックが流れる規模になりました。今でこそGbps単位を超えるIPv6トラフィックが見られるようになりましたが、当時のIPv6ネットワークとしてはそれなりの規模だったように思います。

実験的な6to4の提供から商用IPv6接続への移行に向けて

このように一定の成果をあげた6to4やTeredoでしたが、そもそもこれらはあまりビジネス向きの技術ではありません。通常のインターネット接続サービスでは、料金を払ったユーザーだけがサービスを利用できるようになっていますが、6to4やTeredoでは、IPエニーキャストというしくみを用いて経路広報をし、届いたパケットのプロトコルを変換しています。いわば、全世界に対して無償で、仮想的にインターネット接続サービスを提供しているようなものなのです。

Tokyo6to4プロジェクトでは、ビジネスとしてIPv6インターネット接続サービスを提供されている事業者の商機拡大を妨げることは避けたいと考えており、当初から「IPv6商用接続サービスが普及するまでの間、暫定的にIPv6インターネットアクセスを提供すること」をミッションとしてきました。

2011年に入ってから、個人向けのサービスが続々と登場するようになりました。2011年4月にはKDDIのauひかりがIPv6に対応したほか、同年6月にはNTT東西がNGN上でPPPoE方式によるIPv6接続サービスを開始、翌7月にはIPoE方式のサービスが開始されるなど、個人がIPv6接続できる環境が整備されてきました。

さらに、2012年6月には多くのWebサイトを恒久的にIPv6対応にする、“World IPv6 Launch”が行われ、多くのサイトがIPv6に対応しました。そのような状況下において6to4やTeredoの利用状況を注意深く見守ってきましたが、多くの実装が改善され、ネイティブのIPv6の利用が伸びる一方、6to4やTeredoは役割を終えつつありました。そのような状況を鑑み、Tokyo6to4プロジェクトでは、2012年9月12日、経路広報を終了しました。

とはいえ、今後6to4やTeredo自体が使えなくなるというわけではありません。先ほど説明した通り、6to4やTeredoはIPエニーキャストをしているため、他のリレールータもTokyo6to4プロジェクトと同じIPアドレスを使ってサービスを提供し続けています。リレールータまでの通信の遅延など、問題はあるかもしれませんが、引き続き6to4やTeredoを利用してIPv6インターネットに接続できます。

謝辞

このようなTokyo6to4プロジェクトですが、振り返ってみると、本当に多くの方々の寛大な寄付と協力で活動を続けることができました。ここでは、個別のお名前を挙げることはできませんが、とても恵まれたプロジェクトだったと思います。なにより、仕事の傍らで一緒にプロジェクトの推進に尽力してくれた仲間に感謝しています。

※The KAME project
http://www.kame.net/
写真:Tokyo6to4プロジェクトのWebサイト画面
●Tokyo6to4プロジェクトのWebサイト

(Tokyo6to4プロジェクト 白畑真)

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