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JPNICはインターネットの円滑な運営を支えるための組織です
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ニュースレターNo.53/2013年3月発行

ISOC (Internet Society)

今回の10分講座では、インターネットの発展への貢献を主な活動目的とする国際的な非営利団体であり、RFCを策定するIETFの上位組織かつ、gTLDである.orgのレジストリであるPIR (Public Interest Registry)の設立母体としても有名な、ISOC (Internet Society)について紹介します。

ISOCとは

ISOCは、1992年に設立された国際的な非営利組織であり、“The Internet is for everyone.” というビジョンに基づいて活動しています。本部はアメリカのワシントンDCとスイスのジュネーブにあり、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカに地域事務所(Regional Bureau)を開設しています。

ISOCの主な活動は、インターネット技術およびシステムに関する標準化、教育、ポリシーに関する課題や問題を解決、あるいは議論することです。具体的なISOCの活動内容については、後ほど「ISOCの活動」のところで詳しく説明します。

ISOCの構成

ISOCは会員組織であり、誰でも参加が可能です。会員種別には個人会員と組織会員があり、個人会員については会費が無料であるGlobal会員と、年会費(75USD/年)の存在するSustaining会員の2種類があります。組織会員については、次のように年会費により6段階にランクが分かれていて、理事選挙などの際にはランクに応じて投票に加重処理が行われます。

年会費(USD)
会員ランク 非営利組織 営利組織
Platinum Contributor $50,000 $100,000
Gold Member 25,000 50,000
Silver Member 12,500 25,000
Executive Member 5,000 10,000
Professional Member 2,500 5,000
Small Business Member 1,250 2,500

ISOCは、理事会を中心に、それをサポートする組織会員による諮問委員会(Advisory Committee)や地域支部(local chapter)、個人会員によって構成されています。図1に、ISOCの組織構成を示します。

図1:ISOCの組織構造
図1:ISOCの組織構造

ISOCの意思決定は、ISOC理事会によって行われます。ISOC理事は、定款によって「12名以上」と規定されており、2013年1月末現在、13名の理事により理事会が構成されています。この理事は、各地域支部による推薦、組織会員推薦、およびIETFからの推薦、もしくは選挙によって選出されます。

その理事会をサポートするために、ISOCの組織会員による諮問委員会が組織されています。諮問委員会は、適宜、ISOCの活動や理事会に対して助言を実施しています。

また、ISOCには、地域支部というサポート組織が存在します。世界91ヶ国・地域に設置されているISOC地域支部では、国等の構成単位でインターネットの普及推進活動、各種啓発等を実施しています。これらはISOCの趣旨に賛同し、その目的の実現のために地域ごとに活動するグループであり、ISOC本部に申請し、承認されることで組成されます。ISOCは地域支部に対し、ツールの提供、資金提供プログラムの実施等を通じて活動を支援しています。

その他、団体会員以外にも、ISOCの理念に賛同してその活動を支える構成員として、約65,000人の個人会員が存在します。また、表1に、2012年7月現在のISOC支部、会員の地域別内訳を示します。

表1:ISOC支部、メンバの地域別内訳
表1:ISOC支部、メンバの地域別内訳

ISOCの活動

ISOCの以前からの活動をご存じの方の多くは「ISOCは主に発展途上国へのインターネット普及推進を実施している組織である」と考えている方も多いのではないでしょうか。もちろん、それも一つの主要な取り組みですが、それ以外にもインターネットを利用する方々に関係する、幅広い活動を実施しています。

ISOCの主な活動は、インターネット技術およびシステムに関する標準化、教育、ポリシーに関する課題や問題を解決、あるいは議論することです。

領域としては「Policy」「Technology」「Growth/Development」の、三つの活動に取り組んでいます。図2に、ISOCの活動範囲を示します。

図2:ISOCの活動範囲
図2:ISOCの活動範囲

インターネット技術およびシステムに関する標準化については、IESG (Internet Engineering Steering Group)、IAB (Internet Architecture Board)等のグループの活動を支援し、インターネット技術の標準化活動組織であるIETF (Internet Engineering Task Force)、研究活動組織であるIRTF (Internet Research Task Force)の運営に深く関わっています。

教育については、主にインターネットの普及途上にある国における教育プログラムの実施、技術提供、ISOCに関連するIETF等のコミュニティへ参加するための経済的な支援を実施しています。同時に、それらの国でインターネットの普及を目的に活動する団体の支援も実施しています。

また、前述の活動以外にも、ISOCはgTLDレジストリの一つであるPIRの設立母体であり、直接業務を行っているわけではありませんが、ドメイン名登録管理の分野にも間接的に関わっています。

ISOCの具体的なアクティビティとしては、以下のようなものがあります。

Deploy360プログラム
(http://www.internetsociety.org/deploy360/)

IETFで標準化を実施した新技術について、インターネットへの実導入を進めるための取り組みです。現在は、(1)IPv6、(2)DNSSEC、(3)Routingがその対象となっています。このプログラムでは、各技術の理解を深め、導入を容易にするためのIT技術者向け文書の作成、ION Conference (Internet ON Conference)の開催による技術の広報等を実施しています。

各種リーダーシッププログラム
(http://www.internetsociety.org/what-we-do/education-and-leadership-programmes)

今後のインターネットを支える次世代リーダー育成のために、各種プログラムを実施しています。領域も、技術領域のみならず、ポリシー、ビジネスといった領域にわたるリーダー育成を意図しており、ISOCの大変重要な活動となっています。主なプログラムとしては、以下が存在します。

  • 次世代リーダープログラム(Next Generation Leader Programme)
    次世代のインターネットを支える、技術、ビジネス、ポリシー、教育分野のリーダーを育成するプログラムです。20~40歳の方を対象として、トレーニング等を通じたリーダーシップの育成を実施しています。
  • 各種フォーラム等参加支援プログラム
    IGF (Internet Governance Forum)、IETF (Internet Engineering Task Force)といったインターネット関連の会合だけでなく、OECD (Organisation for Economic Co-Operation and Development; 経済協力開発機構)や、世界銀行などが中心となって実施するWorld Bank infoDev Global Forumといった会合への参加を支援するプログラムを実施しています。

これらのプログラムには、もちろん日本からも応募可能です。興味をお持ちの方は、トライしてみてはいかがでしょうか。

コミュニティ支援、アワードの運用

  • コミュニティ補助(Community Grants)
    インターネットコミュニティに対し、インターネットの発展を目的とした各種プロジェクトへの資金援助を実施しています。過去には、IPv6実装、地域に密着したコンテンツ作成等のプロジェクトを支援していました。
  • ICT導入・革新補助(ICT Innovation Grants)
    インターネットへのアクセスを容易にするため、発展途上国への資金援助等の支援を実施しています。
  • 各種アワードの運用
    インターネットコミュニティに多大な貢献をした方々を対象とした、ジョナサン・ポステルサービス賞(The Jonathan B. Postel Service Award)、Itojunサービス賞(Itojun Service Award)等を運用しています。

2012年の活動実績

2012年の具体的な活動としては、以下を実施しています。

IPv6普及推進イベントの開催

2011年に実施した、1日だけIPv6を有効にするイベントであったWorld IPv6 Dayに引き続き、IPv6の本格導入を促すWorld IPv6 Launchのイベントを主催しました。これは、Deploy360の一環でもあり、インターネットの継続的な発展に必要だとされている、IPv6の普及推進を目的とした活動です。ISOC本部の活動に合わせ、各国および地域においても30以上の地域支部が、2012年6月6日(World IPv6 Launch開始日)付近に種々のプロモーションイベントを開催しました。(http://www.worldipv6launch.org/)

国際電気通信規則(ITR)改正への対応

2012年12月に、国際電気通信連合(ITU)における、国際的な条約級の規則であるITRの改正が実施されました。改正の際、規則案の中に、インターネットへの制約を定義する提案があり、これに対し、インターネットコミュニティを代表してロビー活動、問題の広報、意見提起、地域支部を通じた各国および地域における情報収集などの対応を実施しました。
(http://www.internetsociety.org/wcit/)

※ITR改正をめぐる動きについては、前号のニュースレター52号の特集記事をご覧ください。また、JPNIC Webに関連情報を集めたページもあります。

ニュースレター52号 特集2「国際電気通信規則(ITR)改定について」
http://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No52/NL52_0220.pdf

JPNIC Web - ITUとインターネットガバナンス
http://www.nic.ad.jp/ja/governance/itu.html

20周年記念Global INETイベント開催と、インターネット殿堂の表彰

2012年は、ISOCが設立されてから20年目の年でした。20周年記念として、スイスのジュネーブにて、ISOC最大級のイベントであるGlobal INETを開催しました。同時に、世界各国支部のメンバーを集め、支部を円滑に運営する方法等についての議論、トレーニングも実施しました。Global INET開催と同時に、インターネットの発展に多大な貢献をした人々に対する新たな賞である「インターネット殿堂(Internet Hall of Fame)」を設立、表彰を実施しました。日本からも、高橋徹氏が受賞しています。
(http://www.internethalloffame.org/)

以上、ISOCが中心となって進めている活動を紹介しましたが、これら以外にも、

  • 昨今、インターネット利用の際に話題に上ることも多い、人権関連課題への取り組み
  • 視覚障害をお持ちの方など、インターネットへのアクセスが困難な方へのアクセス手段提供手法の研究支援
  • インターネット上での知的所有権関連課題への取り組み
  • インターネット上でのプライバシー、個人認証に関する取り組み

等、さまざまな分野にまたがった、幅広い活動を実施しています。これらの活動は、ISOCのみで進めているわけではなく、多くの他組織とのリエゾンの下、実施されています。表2に、ISOCとリエゾンしている組織を示します。

表2:ISOCとリエゾンしている組織の一覧
標準化分野
  • European Telecommunications Standards Institute (ETSI)
  • The Internet Architecture Board (IAB)
  • The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)
  • The Internet Engineering Steering Group (IESG)
  • The Internet Engineering Task Force (IETF)
  • Internet Research Task Force (IRTF)
  • World Wide Web Consortium (W3C)
ポリシー& 発展支援分野
  • African Union (OAU)
  • Asia Pacific Economic Cooperation (APEC)
  • Global Alliance for ICT and Development (GAID)
  • Inter-American Telecommunication Commission of the Organization of American States (CITEL)
  • International Telecommunications Union (ITU)
  • New Partnership for Africa's Development Planning and Coordination Agency (NPCA)
  • United Nations Economic Commission for Africa (UNECA)
  • Organisation for Economic and Cooperation Development (OECD)
  • United Nations Economic and Social Council (UN ECOSOC)
  • United Nations Educational, Scientific and Cultural Organisation (UNESCO)
  • World Intellectual Property Organization (WIPO)
  • World Summit Awards (WSA)

ISOC日本支部(ISOC-JP)について

ISOC-JPの状況

ISOC日本支部(ISOC-JP)は、ISOC本部から承認された地域支部の一つであり、活動の地域は日本国内、加入を想定しているのは日本に在住するISOC会員です。ISOC会員は原則、世界各国のどの支部にも参加可能となっており、ISOC-JPに対しても、世界各国からの登録があります。2013年1月現在、約40ヶ国・地域から169名がISOC-JPに登録しています。

ISOC-JPは、ISOCで地域支部の制度が始まった当初、最初に設立された支部第1号でした。設立後、IETF報告会を定期的に開催するなど、国外のインターネット活動を国内に紹介する等の活動を実施していました。しかしながら、設立後しばらくして活動が停滞してしまい、その結果、ISOC本部より、2005年頃にrejuvenation状態(closeはされていないが再活性化が必要なステータス)と指定され、正式な支部ではなくなっていました。

前述の通り、ISOCはインターネットを支える国際的な組織であり、世界的に見ても多くのインターネット利用者を抱える日本において、ISOCの支部が機能していないのは、対外的にも問題が多いと考えられます。この状態を改善すべく、2010年頃から有志により、ISOC-JP再活性化活動を開始しました。

再活性化に向けて、ICANNや、IETFといった国外会合にて開催される支部ミーティングへの積極参加、国内のイベントでの状況広報、国内他組織への協力の依頼などを実施しました。このISOC-JP再活性化に当たり、ISOC本部からも多大なる支援を得ることができ、2012年に、ISOC本部に支部として再申請をすることができました。ISOC本部による審査の結果、2012年8月に再び地域支部として認定され、以後、活動を再開、今日に至っています。

ISOC-JPの活動

ISOC-JPは、ISOCがめざす「次世代リーダーの育成」を日本において実現するために、国内への情報の提供や、さまざまな領域への働きかけを行うこと、日本に多く存在するインターネット関連団体の活動を、ISOCに関わる各種団体と日本近隣の諸国に存在する各国支部に広く伝えていくことを、活動内容として掲げています。ISOCの活動を日本国内に広く伝達していくことも活動内容の一つです。

2012年の活動としては、若い世代へのプロモーションを目的として、IT関連学会と連携し、ISOCおよびISOC-JPの活動紹介や、プロモーションのためのプレゼンテーションイベント後援を実施しました。また、Internet Week 2012でBoFを開催し、正式な支部として認定されたことの紹介、および、今後ISOC-JPとして実施していくべき活動についての議論を実施しました。さらに、2012年末に年次総会を開催、2012年の活動総括、2013年の役員選挙等を実施しました。

総会開催後には、旧ISOC-JPでも主要活動の一つであった、「IETF報告会」を開催しました。このIETF報告会の実施に当たっては、以前の報告会活動を支えていらっしゃった皆様からも、再開を祝する言葉等をいただきました。今回は、久しぶりの開催ということもあり、IETFの解説から始め、実際にIETFに参加、議論なさっている方々に、関与なさっているエリアの概況から、最新の議論動向まで、詳しいお話をいただきました。ISOC-JP会員以外の方々にも多く参加いただけたのは、支部のプロモーション、という観点からも有効でした(実際に、報告会後、数名の方に新たにISOC-JPに参加していただきました)。以前とは異なり、IETFに日本から多くの方が参加するようになっており、また、リモートからのIEF参加環境が充実している今日での報告会の開催方法については、さらに検討が必要ですが、今後のISOC-JPの活動として継続していく予定です。

2013年は、2012年年次総会での選挙で選出されたメンバーで役割を分担し、以下の体制でISOC-JPを運営していきます。

また、ISOC-JPにおける2013年の主な活動としては、以下を予定しています。

  • さらなる、ISOCおよびISOC-JPの国内への広報活動
  • 国内におけるインターネットアクティビティの海外に向けた発信
  • Internet Hall of Fame 2013への、日本からのノミネーション活動
  • インターネットガバナンスに関する活動(ISOC-JPとしての情報発信)
  • IETF報告会の継続開催

今後とも、皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

ISOCへの参加方法

ISOCの活動は、ISOCのWebサイト

http://www.internetsociety.org/

で詳しく述べられています。また、同ページより、会員登録が可能となっています。ISOCへの登録と併せ、日本支部へのご参加もよろしくお願いいたします。

(ISOC-JP/JPNIC理事/日本電信電話株式会社 藤崎智宏)

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