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ニュースレターNo.55/2013年11月発行

商用IX JPIXの誕生

株式会社ブロードバンドタワー
西野 大

商用IX(Internet eXchange)である日本インターネットエクスチェンジ株式会社(JPIX)に関する企画が持ち上がったのは、1996年の夏頃でした。日本の商用ISPの誕生から約3年が経過した1996年、国内のIXは、学術研究グループのWIDEプロジェクトが運営する、NSPIXP(Network Service Provider Internet eXchange Project、現DIX-IE; Distributed IX in EDO)だけでした。しかし、NSPIXPはあくまでも実験的なプロジェクトという位置付けであることから、事業として運営される「商用IX」が必要、と考える声が上がり始めていました。その当時、商用IXを検討しているグループは水面下ではいくつも存在しましたが、そのうちの一つが国際電信電話株式会社(KDD、現KDDI株式会社)の小林洋氏と小畑至弘氏らと、山崎里仁氏と筆者を含む後の株式会社インターネット総合研究所(IRI)の立ち上げメンバでした。KDDとのJPIXの企画が進行する中、「商用IXの立ち上げ」をミッションの一つとしたIRIは、1996年12月に設立されました。

商用IXの登場を期待する声が挙がる一方、商用IXの開始にはいくつもの困難がありました。第一に、当時は日本におけるインターネット(特に商用ISP)のマーケットは小さく、商用IXを独立した事業として考えると採算性に多分の疑問がありました。また、IXに必須な属性として「中立性」が求められていたため、誰が商用IXの運用主体となるのか、ということにも課題がありました。

これらの課題に対して、JPIXでは、運営主体の中立性を重視し、ロンドンのIXであるLINX(London Internet Exchange)をモデルとして、法人として株式会社の形式を採る「コンソーシアム型IX」を選択することになりました。「コンソーシアム型IX」のポイントは、IXのユーザーとなる主要ISPを株主とする点です。公益法人という選択肢も検討されましたが、株式会社を選択したのは、柔軟な運用には株式会社が適しているとの判断があったからです。

当初のJPIXの企画案では、NSPIXPとの競合を避けるために、IX接続のサービス拠点を東京や大阪ではなく、横浜に設けることも検討されていました。しかし、横浜に拠点を持つISPはそれほど多くなく、収益性を考えてサービス拠点は東京と決まりました。さらに、IXユーザーをできるだけ増やすためには、ISPの追加コストを抑えることが肝心だと考え、IX接続点はNSPIXP-2と同一の局舎の異なるフロアに設置することになりました。これらの決定は、後に「日本のインターネットにおける構造上の問題点」として指摘される「大手町『一局』集中」の起源の一つだったわけですが、当時のWAN回線のコストや日本における商用ISPマーケットの大きさを考えれば、適切な判断だったと考えています。

JPIXの事業計画は1997年の春先には固まったものの、株主となるISPへの説得にはかなりの時間がかかりました。この説得では、商用IXの必要性を確信していた東京インターネット株式会社の社長であった高橋徹氏が大きな力となってくれました。こうして、1997年7月10日、KDDとIRIが発起人となり、ISP事業者を中心とした16社の出資を得てJPIXは設立されました。それからサービス開始までの4ヶ月、当時のIRIの技術者がほぼ総出でサービス構築に挑みました。

JPIXのスイッチシステムは、DEC社製のGIGAswitchを4台、LAG(Link Aggregation Group)で接続し、全二重FDDI(Fiber Distributed Data Interface)のデュアルホーミングによる冗長構成を取るという、NSPIXP-2と全く同じ構成を選択しました。技術的には「おもしろみのない」(新規性のない)選択でしたが、何よりもNSPIXP-2での実績を重視しました。JPIXの最初のIXサービスは、NSPIXP-2と同じ局舎、NSPIXP-2と同じスイッチ構成と、NSPIXP-2の弟と呼んでも良い姿で生まれることになりました。

ただし、「商用IXサービス」としてのJPIXは、NSPIXPと異なり、提供するファシリティには力を入れました。当時としては一般的でなかったワイド幅ラックを用いたコロケーションレイアウトと、局舎のフロア間をまたがる大量の光ファイバの配線システムを準備しました。これらの現在のデータセンターにつながる考えは、JPIX設立の直前1997年5月に訪問した米国カリフォルニアのPalo Alto IX(PAIX)からヒントを得たものでした。

1997年11月末、JPIXは商用IXサービスを開始し、主要株主であるISP各社が最初にIXへ接続しました。実は、3年で会社を精算することも想定した、覚悟の上でのスタートでした。しかし、16年経った現在もJPIXが存続しているのは、当初の想像をはるかに超える140社以上の事業者の方々がJPIXに接続していただけたおかげであり、支えていただけるIXユーザーがあってのIXなのだと強く感じています。

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