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ニュースレターNo.56/2014年3月発行

IP Meeting 2013 〜荒ぶるインターネットを乗りこなす〜 開催報告

IP Meetingは、その年のインターネットの状況を総括し、今後に向けた議論を行う会合として機能してきました。昨今はInternet Weekのメインプログラムとして、プレナリのような位置付けにもなっています。

今回も、午前中には「Internet Today!」と題し、インターネットの運用にかかる2013年のホットトピックを総括しました。そしてそれを踏まえ、午後の部では主に「セキュリティ」と「グローバル」の観点から、我々が多様化する環境下で、セキュリティ等の課題を克服しながら、いかにグローバルにも展開していけるのかを考察する仕立てで「荒ぶるインターネットを乗りこなす」ことを考えました。

また合間には、Internet Week 2013の全最新動向セッションをそれぞれ5分で紹介する、ライトニングトーク大会も実施しました。本稿では、それぞれの模様について簡単に報告します。

午前の部:Internet Today! (Internet Operational Issues 2013)

午前の「Internet Today!」は、「1) 現在のインターネット運用動向」「2) インターネット新技術の標準化動向」「3) オープンデータの現状を知る 〜機械可読なデータの活用と作成〜」「4) インターネット資源をめぐるインターネットガバナンスの状況」という四つのパートに分かれています。

1)現在のインターネット運用動向

写真:吉田友哉氏

講演者:吉田 友哉 氏(インターネットマルチフィード株式会社)

インターネットマルチフィード株式会社の吉田友哉さんに、2013年のルーティング・トポロジ・トラフィック・DNS等の運用の動向を総括してもらいました。

写真:ITU事務総長Toure氏によるビデオメッセージ

2)インターネット新技術の標準化動向

写真:関谷勇司氏

講演者: 関谷 勇司 氏 (東京大学情報基盤センター/WIDEプロジェクト)

東京大学情報基盤センター/WIDEプロジェクトの関谷勇司さんがIETFにおける技術標準化動向のうち、主なものの総括を行うものでした。関谷さんには毎年のことながら、IETFの五つのエリアから32のワーキンググループを、20分で紹介してもらうという離れ業に挑戦していただきました。

3)オープンデータの現状を知る 〜機械可読なデータの活用と作成〜

写真:関治之氏

講演者: 関 治之 氏 (Georepublic Japan)

この内容は今回独自のものです。最近、ビックデータやオープンデータがバズワードとなり、こうしたデータの積極活用により、競争力を上げていこうという機運が高まっています。このセッションでは、実際に各自治体によって公表されているデータを使い「WHERE DOES MY MONEY GO? 〜税金はどこへ行った?〜」を立ち上げている関さんに話を伺いました。その中で、なぜオープンデータが注目されているのか、 世界と日本におけるオープンデータについての取り組みの違い、 すでに実績の出ている具体的な活用事例などについて紹介いただいた後、これからのオープンデータによる活用などについても考察がなされました。

4)インターネット資源をめぐるインターネットガバナンスの状況

写真:村井純氏

講演者:
市川 麻里 氏 (総務省 情報通信国際戦略局 国際政策課)
Kuo-Wei Wu氏 (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN))
奥谷 泉、前村 昌紀 (一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)

IPアドレス・ドメイン名というインターネット資源の観点から、また同時にインターネットにおける国際公共政策課題に関する国際的な議論として、IGF、国連、ITUなどの組織の動向について概括的に報告されました。またその後、ICANNのWu氏も加わってミニパネルディスカッションが開かれました。Wu氏の以下の引用が印象的でした。


国境を越えるインターネットの性質は、法律が国単位で定められている現在の枠組みに対して課題を投げかけている。残念ながら、この課題から発生する緊張状態に対する政府間の議論は、主権の適用に関するイデオロギー上の、堂々巡りの内部論争に陥りやすい。

- Bertrand de La Chapelle

午後の部:荒ぶるインターネットを乗りこなす

午後の部は、2013年を振り返りながらもそれを元に今後を見据えていくために、考える時間を持つセッションが続きます。2013年はSpamhausに対する大規模なDDoS攻撃が印象的でしたが、その「セキュリティ」、そして「グローバルに生き残るために」という大きな二つの観点を据えました。その合間にInternet Weekの全最新動向セッションをライトニングトーク形式でサマライズするセッションを間に挟み、三部構成でお送りしました。

荒ぶるインターネットを乗りこなす セッションⅠ:インターネットのセキュリティを真剣に考える

写真:砂田務氏

砂田 務 氏
(警察庁警備局警備企画課 サイバー攻撃対策官 警視長)

『警察による サイバー攻撃対策』

写真:川口洋氏

川口 洋 氏
(株式会社ラック)

『2013年のインターネットを振り返る/リアルタイム調査 〜Webでチェック、あなたのセキュリティ意識〜』

最初に「警察によるサイバー攻撃対策」と題して、ネットワークセキュリティの問題について、 2013年5月に警察庁内に設置された「サイバー攻撃分析センター」における分析結果や、 2013年を象徴するトピック、政府における取り組みも紹介し、総括してもらいました。その上で、「2013年のインターネットを振り返る/リアルタイム調査 〜Webでチェック、あなたのセキュリティ意識〜」と題し、2013年に起こったセキュリティインシデントを振り返りながら、その合間に都度Web上でリアルタイムにアンケートが取れる「Mentimetor」というツールを使って、全参加者を対象として、「あなたの組織ではその問題が起こった場合、どう対処するか」を調査し、その場で結果を出しながら分析するというユニークなセッションを行いました。

このセッションは新しい試みで大変面白かったので、もっと詳しく紹介したいのですが、川口さんご本人による@ITの連載記事で詳しく紹介されていますので、そちらに譲ります。ぜひご覧ください。

URL:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1014/29/news002.html

「Internet Week 2013 最新動向セッション」の総括から見る、2013年のインターネット

Internet Week 2013で開催した「最新動向セッション」12セッション(次表の通り)のエッセンスを、それぞれの担当プログラム委員が5分間の持ち時間で、紹介しました。

それぞれのセッションの要約はもちろんのこと、「どうしてこのセッションを企画したのか」「実際にやってみてどうだったのか」という話の中からも、2013年のインターネットの動向が見えたのではないでしょうか。

S2 プログラム名:DDoS攻撃の実態と対策     
話者:佐藤 友治(インターネットセキュリティ専門家)
S3 プログラム名:サービスプロバイダWi-Fiサービス最新動向 〜サービス設計の技術詳細から公共無線インフラとしての課題まで〜     
話者:土屋 師子生(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ (JANOG)/シスコシステムズ合同会社)
S4 プログラム名:標的型攻撃の現状と対策2013     
話者:満永 拓邦(一般社団法人JPCERTコーディネーション センター(JPCERT/CC))
S5 プログラム名:モバイル時代のインターネット 〜ソーシャルプラットフォーム設計最前線から〜     
話者:平井 則輔(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ (JANOG)/ソフトバンクBB株式会社)
S6 プログラム名:サイバー犯罪の動向と対策、インターネットの セキュリティと通信の秘密     
話者:木村 孝(一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会 (JAIPA))
S7 プログラム名:IPv4アドレス枯渇後の選択 〜IPv4アドレス移転と共有技術の最新動向〜     
話者:川端 宏生(一般社団法人日本ネットワークインフォメーション センター(JPNIC))
S8 プログラム名:SDN時代を生き抜く為のグラフ理論と ネットワークのアルゴリズム入門     
話者:浅間 正和(日本Vyattaユーザ会)
S9 プログラム名:インターネット対応を迫られる法制度 〜著作権とプライバシー〜     
話者:秋山 卓司(一般社団法人日本インターネットプロバイダー 協会(JAIPA)/クロストラスト株式会社)
S10 プログラム名:ビックデータ時代のプライバシー保護技術     
話者:山崎 信(一般社団法人日本ネットワークインフォメーション センター(JPNIC))
S11 プログラム名:SDNからNFVへ 〜ネットワーク仮想化パズルの完成を目指す〜     
話者:伊賀野 康生(ベライゾンジャパン合同会社)
D1 プログラム名:荒ぶるインターネットを乗りこなす! ルーティング&ルーティングセキュリティ     
話者:岡田 雅之(一般社団法人日本ネットワークインフォメーション センター(JPNIC))
D2 プログラム名:DNS DAY     
話者:坂口 智哉(株式会社日本レジストリサービス(JPRS))

荒ぶるインターネットを乗りこなす セッションⅡ:グローバル化の波を乗りこなすには

IP Meetingの、そしてInternet Week 2013の最後を締めくくるセッションです。今回のInternet Weekのテーマは、「荒ぶるインターネットを乗りこなす」ですが、その中でも「グローバルの波をどう乗りこなすか」をテーマに、モデレータはJPNICの副理事長である江崎浩が務め、そのタイトル通りグローバルにビジネスを展開する4人のパネリストを迎えたセッションとなりました。

スピーカー

モデレータ:江崎浩(東京大学/JPNIC副理事長)

講演者:福智 道一(BBIX株式会社 専務取締役 兼 COO)
古田 敬(エクイニクス・ジャパン株式会社 代表取締役)
Hon Kit Lam(Vice President, International Transmission and IP Services, TATA COMMUNICATIONS)
Kuo-Wei Wu(Member of the Board of Directors, The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN))

グローバルで自由でパワフルなインターネットの広がりは、ビジネスチャンスでもあると同時に、インターネットが国という垣根や縛りを簡単に超える性質上、脅威でもあります。特に昨今では、インフラのクラウド化も進み、コンテンツ中心の状態にインターネットが変わってきていることから、グローバル化の加速の影響は特に顕著になっています。このような状況から、「技術」の観点からだけではなく、国という枠組みの制約やフィルタリングのポリシーなどという「ガバナンス」の面もあわせて、他の国とのミスマッチや構造の変化など現在直面している問題について捉え、その上で、日本に期待されていることなどを考えていくべきだと考えました。

特にこれから、インターネットの世界では、APRICOTやIETFの日本招致もあり、インターネットだけに関わることではありませんが、2020年には東京オリンピックも開かれます。しかし、ネットワークショーケースをInternet Weekで実施するのも世界的には珍しいのに、そういうことはグローバルに発信されておらず、日本の情報がうまく発信されていない現状があります。

BBIX社の福智氏には、モバイル事業者、ISP、クラウド事業者、特にCloudIXという視点からそれらの問題について語っていただきました。

エクイニクス・ジャパン社の古田氏からは、キャリアに依存しない世界最大のデータセンターとして、現在の通信の状況や、インフラとピアリングポリシーの話などをしていただきました。

TATA Communications社はケーブルがまさに地球を一周する世界一のキャリアです。同社のLam氏には、グローバルTier1として、アジアのネットワークとグローバル接続にかける思い、そして問題点についても言及していただきました。

ICANNのWu氏からは、ビジネスの領域からではない、ICANNとして、日本に期待すること、共有したいことを技術、ガバナンスの両面から、さらに今ある一般的な問題と懸念や、今後の期待などを述べていただきました。

このセッションは、IP Meetingとしては初めて、同時通訳付きでお送りしました。各人がどのようにこのグローバル化の波を乗りこなしながら、インターネットの健全な発展を推し進めていけるのか、次の通り各パネリストの主な発言をまとめました。

現在の通信状況について

写真:福智氏
福智氏

最近の日本のトラフィックは年間約30%ずつ、特にスマートフォンの普及でモバイルは年間2倍ずつ伸びています。10%のユーザーがスマートフォンに変わるだけで、トラフィック量は倍になり、ショートパケットでセッション数も多いため、ルーターとサーバに負荷がかかります。時間帯も今までは夜がピークでしたが、モバイルでは朝昼夜にピークがあり、状況が変わっています。 また、クラウドのトラフィックも昔のようにサーバとユーザーのような一方向ではなく、システム内で両方からAPIにアクセスします。

トポロジーの変遷を見ても、これまではTier1が偉い時代でした。しかしクラウド時代の今は、ハイパージャイアントがいて、コンテンツ網とユーザー網が一体化しています。

写真:古田氏
古田氏

アメリカのトラフィックは、リアルタイムエンターテイメントやブラウジングの割合が大きいですが、アジアの場合はソーシャルネットワークの割合が大きく、これは当然モバイルの状況も反映しているでしょう。また、ハイパージャイアントが上位レイヤーのトラフィックを占める割合がより大きくなり、一極化している状況も見て取れます。CDNが事実上のネットワークと化しているともいえるでしょう。

その中でトランジットとピアリングの比較においてはコストの差が狭まっており、データセンターやIXにとっては、ピアリングのコストメリットがなくなってきています。そうなると単純なコストで比較ではなく、「何のためにやるのか」、つまりネットワークや運用の観点から考えた性能、品質、冗長性、物理的に場所が強い等の、そういった観点を総合的にとらえ、何が重要であるためどういうネットワークを作るのかの選択となってくるでしょう。

写真:Lam氏
Lam氏

TATA Communicationsのデータや実績から見ると、毎年60%位トラフィックが増加をしており、日本・韓国・香港がそのトップ3に入ります。
グローバルの領域においてクラウドを提供する事業者が出て来る中、コスト削減をどうするのか、品質をどう上げてサービスを提供するのか、データの置き場所とセキュリティや秘密保持とルーティング、品質というパイプをどう提供するかが当社として気をつけている点です。

これから我々はどうしていくべきか、日本に期待すること

写真:福智氏
福智氏

このような時代は、すべてのネットワークプレイヤーにとって、複雑なネットワークになるよりもIXにつながるほうが簡単な状況になっていると言えるのではないでしょうか。モバイルだけでなく、アクセス、データセンターなどがいかに一体化し、オペレーションと協調していくか、これを目指して何をデザインするかが、CloudIX研究会でも一番のテーマです。End to Endで接続を考える。何といってもピアリングを今まで以上に促進し、BGP以外の新たな接続方法で最適化することも考えてもいいかもしれません。コミュニティで化学変化を生み、トラフィックをコントロールし、インターネットを変えたいと考えています。

アジアの観点で言うと、中国のモバイルトラフィックが日本を抜き、他のアジア諸国にも抜かれるかもしれません。この中で、日本のキャリアはインフラにすでに相当の投資をしており、技術水準が高いです。アジア諸国は、いきなりLTEに移行するという話もあります。ここで日本のノウハウや日本の話をもっと海外に展開してもよいのではないかと感じます。クローズドにする必要もないし、苦労した活動などを発信することで、もっとつながっていければと考えます。

写真:古田氏
古田氏

選択肢のある中立的な環境を提供するのは我々の仕事であり、使命と捉えていますが、その中で何を選択するかは各事業者が考えていくべきです。日本で分散を何のためにやるのか、グローバルの位置付けも含めて考えるべきです。

ネットワーク全体のトポロジーがどう変わっていくか、変わりつつあるのでしょうか。またネットワークと同様、クラウド中心の世界がリアルになっています。日本の企業は「何がグローバルか?」と考えますが、多くの外国企業がそもそも自分らはグローバルの一員だと考え、地球儀の上で絵を描いています。そういうスケールで物事を捉えている時代です。日本人と発想が違います。日本対グローバルのような話はありますが、そうではなく、それとは逆に発想の順番を変えていくことが重要ではないでしょうか。 企業は業績が大切なので、「戦う姿勢」もやはり必要です。「和をもって貴しとする」という日本的な考えは、ある意味アドレナリンが足りない気がします。向かう先は世界です。

写真:Wu氏
Wu氏

ICANNは非政府組織であり、ビジネスセクターではありませんがビジネスの方のことを考えて活動をしている組織です。具体的には、インターネット上におけるポリシーを多く取り扱っています。ここには多くのビジネスパーソンは「インターネットでビジネスしているから」という理由で参画しています。

アメリカにおいては「オンライン海賊行為防止法案(Stop Online Piracy Act:SOPA)」が議論を巻き起こしていますし、また欧州でも、偽造品やインターネット上の著作権侵害を取り締まるための新たな国際機関を作ることも視野に入れた「偽造品の取引の防止に関する協定Anti-Counterfeiting Trade Agreement、ACTA」の批准が否決されました。コンテンツや個人情報に関する国の規制が、インターネットでのグローバルカンパニー、社会にとって障害になることは避けたいことです。だからその抑止にもICANNが重要な役割を果たしています。

ICANNは米国中心だと言う人もいますが、それを卒業して今は多極化しています。米国商務省電気通信情報局(National Telecommunications and Information Administration: NTIA)との話し合いによって、シンガポールとイスタンブールにもオフィスが作られており、ポリシーに米政府が関与したことはありません。
コンテンツやその著作権についての議論は根が深く、ロビーイングをやっている活動も多くみられます。こういう議論に日本人も、日本だけの視野でなく、ぜひグローバルな活動としてもっと参画して欲しいと考えています。

おわりに

IP Meetingに出てくださる講師の方々の意気込みは、いつも本当に素晴らしく、発表内容がとても充実しているのはありがたいことです。公開されている資料を眺めるだけで、かなりの情報量になります。2013年のインターネットがどのようなものであったか、よく理解できること請け合いです。ぜひ、ご覧になってみてください。

写真:IP Meetingの後の懇親会の様子
● IP Meetingの終了後には懇親会が開かれ、多くの方にご参加いただきました

( JPNIC インターネット推進部 根津智子)

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