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ニュースレターNo.60/2015年7月発行

ICANNシンガポール会議報告

2015年2月8日(日)から12日(木)にシンガポールで第52回ICANN会議が開催され、本会議の報告会を4月14日(火)にJPNICと一般財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催にて開催しました。本稿では、シンガポール会議の概要を中心に、報告会の様子も併せてご紹介します。

はじめに

シンガポールで開催された第52回ICANN会議(以下、ICANN 52)では、今回も「IANA機能の監督権限移管」および「ICANNの説明責任強化」に向けた提案に関する議論が最も着目されました。

当初のスケジュールでは、ICANN 52の時点で、IANAにおける三つの機能(ドメイン名、番号資源、プロトコルパラメーター)について、機能ごとに移管に向けた提案が出そろい、これらの提案に関する議論、調整を行うことが想定されていました。しかしながら、ドメイン名については、移管後の体制を提案する検討に責任を持つICG(IANA Stewardship Transition Coordination Group)への提案の提出が期日までに間に合わず、3機能それぞれの提案に対する議論には至りませんでした。ただし、ドメイン名のコミュニティにおける検討状況を踏まえた全体スケジュールへの影響、ドメイン名のコミュニティを中心とした今後の提案の方向性を含めて、IANA機能の監督権限移管が依然着目された議題であったことに、変わりはありません。

また、米国政府においても、ICANN 52の前後に政府関係者への状況報告の機会が設けられ、NTIAとして重視する事項を強調すると共に、コミュニティによる検討状況を共有している動きが見られました。

こういった状況の中で開催されたICANN 52について、本稿ではIANA監督権限およびICANNの説明責任に関する議論の状況をさらに詳しくご紹介します。

写真:シンガポール会議の様子
● シンガポール会議の様子

ICANN 52までの状況

IANA機能の監督権限移管とICANNの説明責任について、ICANN 52の時点で明らかになっていたこととしては、次の3点が挙げられます。

  • ドメイン名に関する提案提出は延期:
    2015年1月15日の期限までにまとまらず、最短で2015年6月になる見込み
  • ICGへ提出済みの2機能の提案だけをNTIAに提案することは認められない:
    プロトコルパラメーターおよび番号資源の2機能は、ICGへ提案提出済み。しかし、この2機能だけ先立ってNTIAに提案を提出することは認められず、IANAの3機能同時に提案をそろえて提出する必要があるとNTIAが公言
  • ICANNの説明責任に関する提案提出も同時に必要:
    IANA機能に関する提案の提出と同時に、移管までに対応を必要とする、ICANNの説明責任に関する課題についての提案提出も必要となるとNTIAが公言

上記に加え、米国議会が移管を受け入れる上で、ICANNの説明責任においてはストレステスト(移管後の体制に伴い想定される問題、異常事態に耐え得るかのシミュレーション)も重視されています。

今後は、ドメイン名のコミュニティにおける検討と、ICANNの説明責任に関する検討が遅滞なく進み、提案提出の目標としているICANNとNTIAの契約更新時期となる2015年9月までに間に合うのかが、IANA機能監督権限移管のプロセスが進展するかどうかの鍵を握ることになります。

ICANN 52での議論

全体状況の共有

ICANN 52では、NTIAへの提案提出を取り巻く状況、並行して行われている検討プロセスの相関関係を整理したセッションや、三つのIANA機能におけるそれぞれの提案/検討状況を報告するセッションが開催されました。筆者も、番号資源のコミュニティにおける提案を取りまとめた、CRISP(Consolidated RIR IANA Stewardship Proposal)チームのチェアとして登壇しています。各提案やプロセス間の連携について特に踏み込んだ議論はありませんでしたが、現状を包括的に確認したい方は、発表資料や動画をご確認ください。

IANA Stewardship Transition/Enhancing ICANN Accountability Information Session
http://singapore52.icann.org/en/schedule/sun-iana-stewardship-accountability
Responses to the ICG RFP Regarding the IANA Stewardship Transition
http://singapore52.icann.org/en/schedule/mon-icg-rfp-iana-stewardship

ドメイン名に関する検討

ドメイン名に関する検討においては、NTIAが現在ICANNを監督している役割に置き換わるものとして、IANA機能におけるICANNの説明責任を担保する仕組みの検討が大きく着目されています。これを担保する上で、以下の四つの要素から成る仕組みを検討しており、a.の対応策が争点となっています。

a. IANA機能運営者の委託

ICANNが適切にIANA機能を運営しない場合に、ICANNとIANAの名前機能を切り離し、他の組織にIANA機能を委託できる組織/機構

External Solution案:ICANN外に「契約法人」(Contract Co.)の設立
(法人の持つ権限を最小限とする案と信託機関とする二つの案)

Internal Solution案:ICANN内部の機構
(定款の強化または信頼を守る仕組みの設立)

b. マルチステークホルダーによるレビューチーム(MRT)

契約法人の重要要素の決定やIANA機能における予算のレビュー、IANA機能運営者の再契約・再入札プロセス管理等、実質的な責任を担う判断を行う

c. レジストリによる顧客常設委員会(CSC)

サービスレベルに関してMRTに助言を行う

d. 独立抗議パネル(IAP)

ドメイン名紛争処理と同様、裁判外紛争解決手続の手法ですべての紛争を処理

ご覧の通り、a.への対応としてICANN 52の時点では、External Solution案として2点、Internal Solution案2点、合計四つの対応案のうちどれが望ましいか議論している状況でした。基本的にはこの対応の議論に集中し、現在NTIAが担っているルートゾーンの更新承認の役割を、移管後にどう置き換えるのかについての議論には至っていないようです。

ICANN 52でのドメイン名に関する提案検討を行うセッションでは、そもそもNTIAによる監督権限の移管は進めるべきなのかといった前提に立ち戻った内容を含む、九つの質問がコミュニティに問いかけられ、今後の進捗が一部関係者から危ぶまれました。新たな検討課題が多いとして、「契約法人」のような別組織を立ち上げるのではなく、現在のICANNの組織構成を前提としてドメイン名に特化した検討を進める方向に、現在は議論の重点が置かれているようです。

ICANNの説明責任に関する検討

ICANNの説明責任に関する検討については、移管時までに対応を必要とする課題への提案を、3月中にまとめるスケジュールで検討が進んでいます(その後やや遅れが出て、6月以降になる見込みになっています)。

NTIAの見解

NTIAのLarry Strickling長官は今回のICANN 52では珍しく、「ドメイン名のコミュニティにおける検討状況は、直接IANA機能に関係のない要素を検討しようとするあまり物事を複雑にしており、説明責任について検討しているワーキンググループと同じ課題を重複せずに検討を進めていくことが重要」といった踏み込んだ発言をしていました。

全体スケジュール

ICANN 52において、移管後の体制を提案する検討に責任を持つICGの会議では、ドメイン名のコミュニティにおける検討状況を踏まえて、どの程度全体スケジュールを遅らせるべきか検討が行われました。しかし、どの程度他のプロセスでドメイン名のコミュニティにおける検討の遅れが吸収できるのか合意に至らなかったこともあり、ICANN 52会議中に結論は出ませんでした。

提案の提出に向けて

「NTIAへの提案提出が2015年9月のIANA契約更新に間に合わなかったらどうなるのか」ということは度々問われる質問ですが、仮に間に合わずとも、NTIAが契約更新を行うことになるため、IANA機能の運営は現状通り継続します。従って、期日に囚われすぎずに、十分に関係者が満足するまで議論をすることを重視する意見もあります。実際、期日はあくまで目標であり、締め切りではないということがNTIAの長官からは度々強調されています。

一方、できるだけ目標期日までの提案策定を支持する人の中で、最もよく言われていることは、これはインターネットにおいて一般的なボトムアップベースのプロセスに対する試験であるというものです。コミュニティが提案をまとめられなければ、「政府主導で決定しないと物事が進まない」と主張をする人々に、格好の理由を与えてしまうことが懸念として挙げられています。

米国の情勢を見ると、大統領選挙が2016年に予定されており、政権交代で米国政府の意向が変わり、監督権限移管の話が白紙に戻る可能性も、現実味をもってICANN参加者の中では語られています。関係者によると、2016年に入ると、議会は選挙対応で積極的な変更につながる動きは控える傾向にあるとのことから、タイミングを逃すと、提案を策定しても受け入れられるのか未確定の要素が増えていくという状況のようです。

見通しを立てづらい状況ではありますが、筆者はIPアドレスおよびAS番号の管理に関わっている番号資源コミュニティの立場から、できる限り目標期日である2015年9月に沿って提案の策定が進むことを重視して、議論に参加しています。

次回のICANN会議等

次回のICANN会議は、2015年6月21日〜26日にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催が予定されています。

http://buenosaires53.icann.org/en/

(JPNICインターネット推進部/IP事業部 奥谷泉)

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