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ニュースレターNo.61/2015年11月発行

NETmundial Initiativeの活動について

はじめに

NETmundial Initiative(ネットムンディアル・イニシアティブ;以下、NMI)の調整評議会の委員に、私、前村が選任されたことから、活動の節目で、このNMIに関する情報提供を行っています。NMIの調整評議会は、NMIの運営を取り仕切る役目を担っています。本稿では、筆者が調整評議会の委員としても携わっている、「NETmundial Initiative」の活動についてご紹介します。

NETmundial Initiative運営規約の策定に向けての意見募集(期限:2月16日)および調整評議会メンバーに前村昌紀選任のお知らせ
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150205-01.html
第6回日本インターネットガバナンス会議:NETmundial Initiativeについて
http://igcj.jp/meetings/2015/0402/5-maem.pdf

しかし大方の人にとっては、「NMI」と言われても、まったく聞き慣れなく、なかなか活動内容のイメージも掴めないことが多いのではないかと思います。そのため、本稿では、このNMIという活動は何をめざしているのか、また現段階の進捗状況などを、少し掘り下げてご説明します。

NMIとはそもそも何か

NMIは、2014年4月に開催された「NETmundial会合(正式名称:今後のインターネットガバナンスに関するグローバルマルチステークホルダー会合)※1」に端を発します。世界中の数多くの関係者が、「インターネットはどうガバナンスしていくべきなのだろうか」という、いわゆる「インターネットガバナンスの原則」に関して、寄書やコメントという形で準備・関与し、「NETmundial声明※2」という成果文書を、3ヶ月という限られた準備期間で取りまとめました。この声明は、その時点でのインターネットガバナンスの考え方の全容が分かるものとして、多数の方から支持されており、一読に値すると考えています。

NMIは、短期間でこのNETmundial声明をまとめあげた、さまざまなステークホルダーによる協調精神を引き継ぎ、声明で示されたインターネットガバナンスに関する原則の実施を推進するため、ICANN、CGI.br(ブラジルインターネット調整委員会)、世界経済フォーラム(World Economic Forum, WEF)の三者の呼びかけで始まった活動です。声明で示された原則とロードマップに従って、「全ステークホルダー間での、実践的な協力関係を媒介するプラットフォーム提供をめざして」います。

つまりNMIの目的は、「インターネットガバナンスを推進するプラットフォームの提供」にあり、今後新たな会議体を作ったり、何らかの方針を決定したりするのではなく、ステークホルダー間の協力を媒介する道具に徹する、ということです。

この具体的な「協力を媒介する道具」のイメージは、既にNMIのWebページから参照できる、ソリューションマップのプロトタイプからも、うかがうことができるかもしれません。このプロトタイプでは、「課題」「対応策」「プレイヤー」「リソース」の4種類の要素を、リンクでつないだ画像で提示しており、一見すると、いわゆるソーシャルグラフのように見えます。このように、インターネットのさまざまな課題に対して、それを解決する対応策、それを実施する人やリソースなどを結びつけるというのが、活動のイメージです。

NMIの活動状況

本稿を執筆している2015年6月時点では、6月30日にサンパウロで開催される調整評議会の会合を設立会合(Inaugural Meeting)と位置づけて、この会合で採択される運用規約(Terms of Reference; ToR)をまとめる作業を行っていました。この運用規約は、2015年4月1日にドラフトが公開され、それに対するパブリックコメントも募集され、それの反映作業が実施されていました。

運用規約は、NMIのミッション、責務、活動範囲などを明確に定める基本文書という位置づけです。また、このToRの取りまとめと並行して、「運営手順とガバナンス」「アウトリーチ・エンゲージメント」「プロジェクトサポート基準」という三つの作業部会が設立されており、この作業部会が具体的な活動に向けた準備を進めています。私は「プロジェクトサポート基準」の作業部会に属していますが、この部会が、NMIの具体的な活動の検討にもっとも近いと思います。

実はNMIでは、調整評議会が組成される前から、Webサイト上でプロジェクト募集を行っており、既にいくつかのプロジェクト提案を受けています。しかし今後、本格的にプロジェクト提案を受けていく上で、その採用基準をどうすべきかということを、今は議論しています。「募集するプロジェクトにはどんなものがふさわしいか」「採用の判断が何を意味するのか」「幅広く受け入れるべきではないのか」などということが、侃々諤々と議論されています。この整理までには、まだしばらくの時間がかかりそうです。

本稿は、NMI活動のイメージを具体的にお伝えすべくお届けしているのですが、多くのことが議論の途中であるというのが現状のステータスということになります。それだけ、グローバルなインターネットのガバナンスには多くのチャレンジがあり、NMIという試みは、新しく、革新的なことに取り掛かっているということだととらえています。

NMIは今までになかった試みであることもあり、この活動の発起人である、ICANN、WEF、CGI.brが、はじめにNMIの立ち上げを発表した時には、「一体何が始まるのであろう」と、数多くの疑問が呈されたことも事実です。しかし、こうした素朴な疑問を受けて、発起人もその後、一つ一つ疑問の払拭に取り組んできました。その上で、全世界から集まった調整評議会のメンバーも、NMIを良いものにするべく、まだ形がないものを形作っていく作業の途上にあります。

おわりに

インターネットガバナンスフォーラム(IGF)も、2006年に始まって今年で10年目になります。思い返せば、今でこそIGFがどういったものか、説明のしようがありますが、始める前には今の形をイメージすることは難しかったと思います。やはりどのような活動にも、それだけの成果を残そうとすれば、それに見合った時間や労力がかかるということかもしれません。

NMIの準備過程におけるすべての会議の議事録は、Webサイトで公開されていますので、調整評議会がどのように取り組んでいるか、ご覧いただくことができます。また、6月30日の発足会合※3に関しても、アジェンダやAdobe Connectによる会合のアーカイブ、トランスクリプトなどが公開されていますので、ご興味があればぜひともご覧ください。

(JPNIC インターネット推進部 前村昌紀)


※1 NETmundialが成果文書「サンパウロNETmundialマルチステークホルダー声明」を発表して閉幕
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140507-01.html
※2 NETmundial声明(原文)
http://netmundial.br/wp-content/uploads/2014/04/NETmundial-Multistakeholder-Document.pdf
(同和訳)
https://www.nic.ad.jp/ja/translation/governance/20140424.html
※3 Coordination Council Inaugural Meeting, Sao Paulo, Brazil, 30 June 2015
https://www.netmundial.org/coordination-council-inaugural-meeting-s%C3%A3o-paulo-brazil-30-june-2015

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