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ニュースレターNo.62/2016年3月発行

日本で初めてのIPアドレス割り当て

京都大学 情報環境機構 IT企画室教授
齊藤 康己

私のメールアーカイブには、 1986年頃からはほぼすべてのメールが保存されています。 以下は、その大昔のメールをさかのぼって得た歴史の一幕です。

DEC SYSTEM-20のメール利用

1980年頃、NTT基礎研究所(当時)の第一研究室では、 研究用に米国DEC社のSYSTEM-2020という小型の計算機を購入しました。 さらに1984年頃には、 このマシンの上位機種であるSYSTEM-2060を購入。 米国の人工知能研究を行う大学で、広く使われていたマシンです。 TOPS-20という優れたOSのもと、 良くできたマンマシン・インタフェースに魅了され、 研究室のユーザーには歓迎されました。 皆が好んで使ったのはMM(Mail Mung、the Hacker's Dictionary参照)という名のメールソフトで、 英語しか使えないにもかかわらず、 研究室内の日常連絡などに毎日使われていました。

1984年頃からは、 メールで海外ともやり取りをしたいという気運が高まってきます。 1985年にはJUNET経由のUUCPによる、 米国とのメールのやり取りが可能でした。 NTT研究所も、故野島久雄さんが中心となり、 nttlabというマシンでJUNETのハブの役割も果たしていました。 当時は電話回線経由のモデムでの接続がメインで、 後藤滋樹さん(現早稲田大学)等がモデムと日々悪戦苦闘していました。 このようにメールが使えたおかげで、 IPアドレスの割り当ては次のようにスムーズに進みました。

Class Cアドレスの確保

1986年の前半に、 TCP/IPを用いての米国との本格的な接続を検討することとなり、 NTTでは後藤さんが全体の音頭取りをしました。 私はCSNETに、 具体的な手続きの問い合わせのメールを出したりしました。 村上健一郎さん(現法政大学)がルータの準備をしたり、 当時スタンフォード大学に滞在していた奥乃博さん(現早稲田大学)がCSNETを訪問して必要な手続きなどを確認したりと、 皆で手分けしての作業でした。

さまざまな準備をする中で、 IPアドレスの確保は我々の頭からすっぽ抜けていた感があります。 それが必要だとアドバイスしてくれたのは、 前出のMMの実質的な作者である故Mark Crispin氏でした。 彼のアドバイスを受けて、 1986年6月2日に私はアドレスの割り当て方法を問うメールを、 Jon Postel氏に送ります。 それがJ. K. Reynolds氏に転送されて、 6月5日には彼女からアドレス申請フォームを含んだメールが届きます。 そのフォームを埋めて6月12日に返信したら、翌日13日には、 あっけなく図1の返事が戻ってきました。 これで、NTT研究所は#192.005.216という、 正式のClass Cアドレス(254台のホストを収容できる)を使えるようになりました。 RFC990には、1986年11月までに発行されたAssigned Numbersのリストが含まれていますが、 ここに現れる日本のサイトは我々のNTT-NETと、 財団法人新世代コンピュータ開発機構(ICOT)(当時)の二つのみです。 ICOTは私からアドレス取得の話を聞いた、 故高木茂行さんが私の後に割り当てを受けたものなので、 確かに日本で最初の正式なIPアドレス割り当ては、 NTT-NETということになります。

Class Bアドレスの確保

Class Cアドレスの割り当てから1年足らずの間に、 NTT研究所内のマシンの数はどんどん増加し、 上記以外のClass Cのアドレス割り当ても横須賀電気通信研究所、 厚木通信研究所などと進みました(RFC997参照)。 後藤さんらのCSNETへの正式加盟手続きと並行して、 1987年8月24日には、 これまでのやり方とほぼ同じ手続きでClass Bアドレス(65,534台のホストを収容できる)の申請を村上さんが行い(送り先はReynolds氏、 つまりはPostel氏個人から、 スタンフォード研究所にあったSRI-NIC、 後のInterNICに変わっています)、 その3日後の8月27日には、 #129.060のアサインメントを告げるメールが届きます。 SRI-NICからのメール到着を皆に知らせた、 村上さんのメールの書き出しの一文:「Yahho! We got class B! We got class B!」が、当時の我々の喜びを端的に表しています。

インターネットが始まった頃、 一番使われるアプリケーションはメールでした。 それがうまく繋がるように、 簡単にリプライができるようにと皆で知恵を絞り、 Crispin氏をはじめとする米国側の多くの人に支えられて、 インターネットへの接続は実現しました。

ヘッダー部分と本文の一部を省略

Date: 13 Jun 1986 16:11-PDT
Sender: JKREYNOLDS@USC-ISIB.ARPA
Subject: Net Num Assignment - NTT-NET
From: "Joyce K. Reynolds" <JKREYNOLDS@USC-ISIB.ARPA>
To: ntt-20!yaski@SU-SHASTA.ARPA
Cc: JKReynolds@USC-ISIB.ARPA

Yaski,

The new class and network number for NTT-NET is:

Class C, #192.005.216

(本文一部省略)

NOTE:  Separate authorization is required to connect any independently assigned network numbers to the ARPA-Internet or the DDN-Internet.

Thanks again for your cooperation!

Joyce Reynolds
              

※本メールは南カリフォルニア大学情報科学研究所(USC ISI)からの許諾を得て掲載しています。

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