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ニュースレターNo.62/2016年3月発行

IGFジョアンペソア会合(IGF 2015)報告

2015年11月10日(火)~13日(金)にかけて、 ブラジル・ジョアンペソアでインターネットガバナンスフォーラム(IGF)が開催されました。 さまざま関係者により幅広い議論を行うための国際連合主催の会合で、 今回で10回目となります。 本稿では、IGFの概要とともに、主なトピックをご紹介します。

IGFの特徴

IGFは国連主催の会議ではありますが、 リモート参加も含めて誰でもが参加できます。 「政府」「学術」「市民」「民間」「技術コミュニティ」といったそれぞれの立場の関係者が平等に参加する資格を持つ、 いわゆる「マルチステークホルダーアプローチ」で議論できることが特徴です。

No.47 インターネット10分講座「IGF (Internet Governance Forum)とは」
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No47/0800.html

プログラムのうち、 100を超える「ワークショップ」と呼ばれるセッションは、 すべて公募に基づき選定されます。 筆者は、 このプログラムを選定するプログラム委員会に相当するマルチステークホルダーアドバイザリーグループ(Multistakeholder Advisory Group; MAG)のメンバーを2014年から務めています。

No.58「IGFの特徴とイスタンブール会合のプログラムについて」
https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No58/0650.html
About the MAG
http://www.intgovforum.org/cms/magabout

また、例年通り、開会日の前日11月9日(月)をDay0と呼び、 この日も関連する各種会議が開催されました。

会議の雰囲気

国連主催の会議のため、入場時のセキュリティチェックや、 オープニングやクロージングセレモニーでのスピーチはありますが、 それ以外はいわゆる政府間会議よりもおそらくカジュアルです。 服装の面でも、 ネットワークオペレータの会合のようにTシャツとジーンズの人はあまり見かけませんが、 スーツにネクタイの方も少数派であり、まちまちです。 参加者がスタンドマイクに立ち発言するところは、 インターネットコミュニティの他の会議と共通しています。 参加者数は、 IGF 2015では2,400名(116ヶ国以上)を超える参加登録があり、 参加者は前述した五つの立場を選択した上で登録をします。

IGFの参加者リスト
http://www.intgovforum.org/cms/igf2015-participantslist

JPNICも属する技術コミュニティからの参加は、RIR、ISOC、ICANN、 ccTLD、IEEE、IAB、W3Cなど主要なインターネット団体が中心です。 RIRのCEO達をはじめ、IAB、ISOC、 ICANNなどからもCEOやチェアが参加し、 かなりコミットしていることが見て取れます。 また、インターネットの父として知られているVint Cert氏も参加しており、オープニングでスピーチをしたり、 その他複数のパネルでも登壇したりしていました。

民間からの参加としては、 欧米の大手組織(21st Century Fox社、Amazon社、Cisco社、 CloudFlare社、Ericsson社、Facebook社、Google社、Microsoft社、 Mozilla財団等)の参加が多く見受けられました。 日本からは総務省4名、業界・コミュニティから4名の参加があり、 そこに加えてJPNICからは2名参加しました。 日本政府代表として、 総務省の阪本泰男総務審議官がオープニングでスピーチをしています。

IGF 2015の特徴

2015年は、IGFおよびインターネットガバナンスにとって重要な年です。 というのも、IGFの開催は無期限に保証されているものではなく、 国連総会で承認されている活動年限は今年、2015年までとなっており、 2016年以降の開催の是非は、 2015年12月にニューヨークで開催される国連総会で加盟国により決議されるからです。 IGFは、政府間中心での議論ではなく誰もが参加できる会議であり、 ボトムアップでオープンなインターネットコミュニティの精神とも親和性があります。 ただ一方で、「対話のみで具体的な成果がない」との批判も一部から受けてきました。

2015年はこれらの批判に対応し、IGF開催継続の承認を得るために、 具体的な実績を示すことが重要でした。 そのため、IGF 2015では対話よりも、 課題に対して一歩踏み込んだ成果を出すことに重点が置かれました。 その内容については、 後述の「IGF 2015での成果の提示に向けた三つの取り組み」でご紹介しています。

また、今回の三つの成果の中でBest Practices(最良事例)として取り上げられているテーマや、 ネットワーク事業者に関わりのある議論を見ても、 ネットワークの運用やサービスが技術コミュニティだけで完結するものではなくなってきています。 運用者が蓄積した経験を共有したり、 セキュリティなどの分野においては、 政府も含めた異なる立場の関係者と、 課題解決に向けた連携が求められたりする傾向が、 さらに強まっていることが見て取れます。

IGF 2015のテーマ

IGF 2015のテーマは「インターネットガバナンスの進化:持続可能な発展の促進(Evolution of Internet Governance: Empowering Sustainable Development)」でした。 このテーマ設定は、 インターネットガバナンスに関するグローバルな議論およびIGFの開始から10周年を迎えたタイミングであることが、 背景の一つとして挙げられます。 テーマに対してさらにサブテーマが設けられ、 着目されている課題が反映されています。

IGF 2015での成果の提示に向けた三つの取り組み

IGF 2015は、前述の通り国連総会で実績を示す必要から、 具体的な成果に重点を置き、三つの取り組みがなされました。

いずれの取り組みも、会議での一度限りでの議論ではなく、 課題の継続的な検討をめざしました。 各テーマのBest Practicesの検討グループは、 会議の半年以上前からオンラインでの議論を元に文書を策定し、 IGF会議での議論に臨みました。 検討グループも、リモートも含め、誰でも参加できました。

なお、2015年にBest Practicesとして取り上げられた六つのテーマの中でも

  • IXPの設立環境
  • IPv6の導入促進環境
  • スパム対策
  • CSIRT (Computer Security Incident Response Team)の設立

といった技術コミュニティに関わりの深いテーマが複数見受けられます。 特に「IPv6導入を可能にする環境作りの最良事例(BPF (Best Practices Forums ) Creating an Enabling Environment for IPv6 Adoption)」は、RIR関係者が積極的に関わり、文書化しました。 後の項で概要をご紹介します。

IGF 2015のプログラム

IGFでは多くのプログラムが並行して行われ、 IGF 2015では4日間で100を超えるセッション、 最大で11のパラレルセッションが開催されました。 従って、すべてのセッションに参加することは不可能であり、 自らの関心分野を基に取捨選択が必要です。 筆者は、JPNICの活動にも関わる分野として、 IANA機能の監督権限移管に関わるパネル、 番号資源コミュニティについて紹介したOpen Forum、 IPv6に関するパネル(IPv6のBest Practicesとは別)に登壇しました。 次項でネットワーク事業者に関わりのある議論についてご紹介しますが、 全体としてどのようなセッションがあったのかはIGFの公式ページより確認可能です。

IGF公式ページ
「セッションスケジュール」「セッション概要」「各セッションの発言録」が参照可能
http://www.intgovforum.org/cms/home-36966
すべてのワークショップの動画
https://www.youtube.com/user/igf/videos
写真: 奥谷泉氏
● 筆者からは日本におけるIPv6への取り組みを紹介しました

ネットワーク事業者に関わりのある議論

ここでは、 ネットワーク事業者にも関わりのある三つのセッションを紹介します。

IPv6導入を可能にする環境作りの最良事例:
BPF Creating an Enabling Environment for IPv6 Adoption

  • IPv6 Promotion Councilや民間、各国政府での取り組みを包括的にまとめたもの
  • 例えばドイツ政府は、自らLIR (日本国内におけるIPアドレス管理指定事業者のようなもの)となり、希望する省庁にIPv6を割り当てるというユニークな取り組みを行っている
  • APNICの藤井美和氏と筆者を通して、日本の事例として総務省および国内のISPの取り組みを紹介
  • IPv6は、今後アクセスの課題やIoTと絡めて関心が寄せられており、2016年も最良事例に取り組むことが提案されている
  • IPv6の導入促進環境における最良事例文書
    http://www.intgovforum.org/cms/documents/best-practice-forums/creating-an-enabling-environment-for-the-development-of-local-content/581-igf2015-bpfipv6-finalpdf

ゼロレーティングとネット中立性:
A dialogue on“zero rating”and network neutrality

  • 携帯事業者またはISPの対応として、 特定のアプリケーションまたはサービスのデータに対して課金しないゼロレーティングについて法制化をしている国もすでにある
    • 携帯事業者によるデータ量の上限を緩和し、ユーザーが利用しやすい環境につながるので支持といった意見もある
    • 一方、特定のコンテンツ事業者が費用負担を行うことによるゼロレーティングは、情報の自由な流通に反するとして警戒する姿勢を示す政府もいる
  • 法制化が必要なのか、またその場合どういう対応が適切なのかは今後さらなる研究が必要

サイバーセキュリティと信頼の向上:
Enhancing Cybersecurity and building digital Trust

  • サイバーセキュリティは技術コミュニティのみで解決する問題ではなく政策的な検討が必要だが、政府のみではなくさまざまな関係者が参加し連携するべき
  • サイバーセキュリティの課題は広く、 どの問題に対して具体的にどう連携するのか、 ということが今後の検討課題
    • IoTなど従来にないセキュリティの課題も浮上
    • サイバーセキュリティに関する国際協定、一定のセキュリティ基準を満たす技術の標準化を求めることの是非
  • プライバシーを保護し、 暗号化を維持しながらサイバー犯罪に対応することが課題
    • 「WS 141 Law enforcement in a world where encryption is ubiquitous」(暗号化が至るところで使われている環境における法執行)でも議論
    • プロトコルの標準化において、法執行機関等が裏で復号できる方法を認めるかといった議論も含まれるため、IETF関係者も参加

2015年12月の国連総会に向けて

2015年12月の国連総会では、 世界情報サミット(WSIS)の開催から10周年を迎え、 その成果の振り返りと評価(WSIS+10)(http://unpan3.un.org/wsis10/)が国連の加盟国により行われます。 IGFはWSISをきっかけとして立ち上がった会議であり、 IGFの活動年限の延長に関する決議も、 このWSIS+10と無関係ではありません。 「課題解決は政府間中心で検討を進めないと効果がない」といった一部の主張がある中、 WSIS+10においてマルチステークホルダーアプローチによる成果が適切に評価されることが重要となります。 IGF 2015では、12月の国連総会での評価に向けて、 国連のWSIS+10のファシリテーター2名を招待し、 IGFの参加者が成果文書のドラフトを基に意見表明を行う機会としてメインセッションを開催し、 議論が行われました。

次回以降のIGF

2016年以降の開催については、 2015年12月の国連総会での承認事項であるため、 本稿執筆時点での開催日程は未定ですが、 次回2016年のIGF 2016は、 メキシコがホストを務める意向をすでに発表しています。

写真: 会場の様子
● IGFは国連主催の会合です

(JPNIC インターネット推進部 奥谷泉)

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