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ニュースレターNo.64/2016年11月発行

地域ネットワークコミュニティと人材育成

JPNIC理事 脇山 俊一郎

私は地方在住の高等専門学校(以下、高専)の教員という立場からインターネットに関わってきました。私が所属する仙台高専(旧仙台電波高専)は、1989年にUUCPでJUNETに参加、91年にIPアドレスの割り当てを受け、92年にJAIN (Japan Academic Inter-university Network)を介してインターネットに接続しました。

私の地域での活動の母体となる東北学術研究インターネットコミュニティ(TOPIC)は、JAIN東北から生まれた非営利・学術系の地域ネットワーク組織です。90年代は日本各地に多くの地域ネットワークとその運営組織があり、それぞれが各地のコミュニティと連携しながら日本のインターネットの構築と運用・調整に当たっていました。その後、インターネットの構築・運用は通信事業者に委ねるようになり、次第に地域ネットワーク組織の活動も終息していきました。そのような時代の流れの中、TOPICはなぜ今日まで活動を継続できているのでしょうか。

TOPICも設立当初からしばらくは、インターネット接続の技術的な問題の解決と相互支援を中心とした地域ネットワーク運用がメインの活動でした。参加組織のネットワークの相互接続が一段落し大学等でのネットワーク利用が広まり始めると、メンバーの関心はキャンパスネットワークや情報システムの構築・運用へと移っていき、TOPICはそれらの情報収集や事例紹介などの場として機能していくようになりました。年に2回、春と秋に2日間ずつ開催される研修会は、外部講師の講演やそれぞれの大学・高専での事例紹介など、その時々の時流に沿った話題を軸にプログラムが組まれています。特に秋の研修会は、東北6県の持ち回りで各県の温泉地を会場に開催されることもあり、参加組織の教職員のみならずネットワーク機器のメーカーやベンダー、ソリューションベンダー、通信事業者など、多くの方が集い、夜遅くまで活発な情報交換・交流がなされています。

地方に住む我々にとって、最新の情報に接し、関係者と直に意見交換や交流ができる機会はそう多くはありません。大学・高専関係者という共通した立場の人たちが集い、インターネットを始めとした情報通信技術を利用するための情報を協同で収集交換し議論すること、そしてその場を自分たちが主導して設けることに我々は意義と価値を見い出し、地域ネットワークコミュニティを存続していくモチベーションとしていると言えるでしょう。

このようなTOPICでの活動の中、最近話題として挙げられるのは、情報ネットワーク関係の業務増大、技術の高度化、それらに対応する人材育成の問題です。近年はとりわけ情報セキュリティに関して、セキュリティポリシーの策定や職員・学生への啓発・教育、ネットワーク監視やインシデント対応などさまざまな業務が発生し、それら業務をこなす上での知識や技能の習得が課題となってきています。研修会でこれらについて取り扱うことも多いのですが、技術レベルが高くなりすぎてなかなか理解できない、受講を躊躇してしまう、といった声も聞こえてきました。特に新たに担当部署に配属された方には、話題になっている技術を理解する上で必要な基礎知識が十分でない場合が多いようです。

JPNICでも基礎的な内容を解説するJPNIC技術セミナーを東京で開催していますが、地方ではこのようなセミナーが開催されるのは稀で、なかなか機会に恵まれません。インターネットに関わる教育・啓発など人材育成の部分でJPNICが関われる余地は大いにあるのではないかと感じています。地域・非営利分野担当理事として、地域をはじめさまざまなコミュニティとの連携による取り組みを模索していきたいと思います。


執筆者近影プロフィール●脇山 俊一郎 (わきやま しゅんいちろう)
仙台高専情報ネットワーク工学科教授。仙台電波高専、豊橋技術科学大学大学院工学研究科修士課程を経て1987年に母校である仙台電波高専に教員として着任。情報システム、ネットワーク技術の教育・研究、学内および全国高専の情報基盤整備に従事。1994年より東北学術研究インターネットコミュニティ(TOPIC)幹事、技術部主査を経て現在幹事長。JPNICハンドルはSW001JP。2016年よりJPNIC理事(地域・非営利分野担当)

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