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ニュースレターNo.65/2017年3月発行

大規模災害時のインターネット活用を考える

JPNIC理事 斎藤 重成

2016年は、非常に災害が多い年でした。もともと地震や台風、火山噴火など災害が多い日本ですが、熊本地震、鳥取地震、東北・北海道を襲った台風、阿蘇山の噴火などさまざまな災害が発生しました。その中でも、熊本地震においては、4月14日の前震、4月16日の本震と、これまでの常識からは予想しにくい地震であったり、東北・北海道への台風については、東北へ直接上陸するなど、これまでにないルートを通過し大きな被害となったりしました。

東日本大震災において、ソーシャルメディア等インターネットを活用した安否確認、被災者支援などによりインターネットの有効性が認識されたと思いますが、昨年のこれまでの常識と違う大規模災害にあってもインターネット活用が有効であったと思います。

大規模災害発生時は、安否確認のために電話が集中し、つながりにくくなりますので、音声通話での安否確認は難しくなります。そのため、携帯電話やパソコンから、SNSや災害伝言板等を使った安否確認が有効です。そのメリットは、電話と比較するとインターネットは大量のアクセスにも対応できることと、情報が集約されているためいち早く必要な安否情報にたどりつけるといったことで、インターネットならではの特徴を生かせていると思います。

大規模災害発生時は、被災状況の確認、避難所、被災者支援、給水・食料提供などの情報が非常に重要となります。しかし、通常の通信環境が失われ、避難所、仮設住宅といった環境では通信手段が限られてきます。そういった環境の中でも、インターネットを経由してSNS、行政、民間企業、ボランティアなどのWebサイトから必要な情報を比較的容易に収集したり、提供できたりします。この点においても、情報の発信・共有が容易というインターネットの特徴が生かせていると思います。熊本地震においては、ある中学校の校庭に「飲み水ください」と書かれたメッセージが、TwitterなどのSNSを通じて拡散され、メッセージを見た全国の人から「水」が届いて、校庭に感謝のメッセージが書かれたということがあったそうです。

こういった大規模災害時でのインターネット活用のためには、ネットワークの維持、早期復旧とともに避難所でのWi−Fi提供など通信環境をいち早く整えることも重要と思います。また、ボランティアが、被災されたお年寄りにスマートフォンの使い方を教えるケースがあり、これまでインターネットを活用できなかった方の、情報リテラシーを上げる活動も重要です。

インターネット活用の負の点に目を向けると、大量の情報の中には、デマ、あるいは間違った情報が含まれていることが問題となっています。熊本地震においては、写真付きで「動物園からライオンが逃げた」というデマがTwitterで拡散し、問題となりました。このケースでは、投稿された写真をよく見ると街並みが日本ではなかったということで、「情報について自分自身でも調べる」、「情報の発信元を調べる」、「複数の情報を取って比較してみる」などの対応も必要と思います。

災害が多い日本ですが、皆様とインターネットの活用をさらに広げることで、ますます、多くの方に役立つようにしていきたいと思います。


執筆者近影プロフィール●斎藤 重成 (さいとう しげなり)
1987年 東北大学工学部卒。同年、第二電電株式会社(DDI)入社。2000年、DDI、ケイディディ株式会社(KDD)、日本移動通信株式会社(IDO)が合併、株式会社ディーディーアイ(KDDI)(現KDDI株式会社) 発足。2008年、ネットワーク建設本部 建設2部長。2015年より、現職であるネットワーク技術本部長。また、2015年よりIPv6のVNE会社である日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)の取締役、2016年より日本インターネットエクスチェンジ株式会社(JPIX)の取締役を兼務。

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