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ニュースレターNo.66/2017年8月発行

JPNIC会員企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

自治体向けサービスで得た確かな技術と揺るぎない信頼を元に、 日々新たな分野への挑戦を続ける長野の雄
写真:タイトルバック

今回は、信越地方を中心に全国に事業展開をされている、株式会社電算を訪問しました。 同社は1966年3月に設立され、今年で創業51年目を迎えます。 社名の由来にもなっている通り、 同社は大型汎用機を使った自治体向け税務処理システムの開発を始まりとして、 今では全国市区町村の約1割で自社システムが採用されているなど、 地方自治体向けサービスでは圧倒的な強さを誇っています。

当日は、こつこつと実績を積み重ねることで顧客の信頼を勝ち取ってきたと同時に、 そうやって得た知識を世間に幅広く伝えていこうとする、 さまざまな取り組みをうかがうことができました。 AIを用いた知を活用するための製品や、学校向けの教育支援、 エンジニア向けの普及啓発など、その熱意は同社を形作る重要な一部分となっているようです。

株式会社電算
住所: 〒380-0904 長野県長野市鶴賀七瀬中町276-6
設立: 1966年3月29日
資本金: 13億9,548万円
代表者: 代表取締役社長 轟 一太
URL: http://www.ndensan.co.jp/
事業内容: http://www.attokyo.co.jp/company/
地方公共団体および民間企業向けの各種ソリューション提供およびサポートサービス事業
  • ソリューション提供およびソフトウェア開発
  • 情報処理サービス
  • データセンターサービス
  • インターネットサービスプロバイダ
従業員数: 738名(2017年4月1日現在)

地方公共団体向けシステム開発を中心とした幅広い事業展開

写真:電算本社ビル

―まずは貴社の事業内容や、事業展開の状況について教えてください。

吉川: 当社は長野県長野市に本社があり、近隣の新潟県のほか、 関東圏を中心に事業を行っています。 また、提携パートナー経由でのサービス提供も含めると、 北は北海道から南は沖縄まで全国的に展開しています。 「人に優しく」をモットーに、お客様だけではなくパートナー様も大事にしつつ、 事業を行っています。

事業の割合ですが、7割が地方公共団体向けのソリューションで、 残り3割が民間向けソリューションの提供です。 地方公共団体向けとしては、「Reams」という総合行政システムが主力商品です。 全国には約1,700の市町村が存在しますが、 その内140ぐらいに採用していただいており、シェアとしては1割程度を占めています。

一方、民間向けでは地銀系リース会社向けのシステムで大きなシェアを持っています。 また、電子カルテなど医療機関向けシステムや、流通業向けの販売管理システム、 製造業向け生産管理など、規模についても大きいものから小さいものまで、 取り扱っております。

関沢: 1995年5月に長野県で初のインターネットサービスとして開始した「avis」も、 この中に含まれます。 「avis」はラテン語で「鳥」という意味で、 インターネットに秘めた無限の可能性を信じてこの名前を付けたと聞いています。 長野県は山間部が多いため特に県南部ではケーブルTVの普及率が高く、 長野市周辺も1998年の長野冬季オリンピックをきっかけに、 光ファイバー網や移動体通信網の整備が進められており、 比較的早くからインターネット環境が整った地域だと言えると思います。

吉川: 最近人気のシステムでは、 「SmartKMS」というAIを利用したナレッジマネジメントシステムを提供しています。 メモなど紙ベースの知識管理だと、引き継ぎや紛失の問題が起こり得ますので、 知識を電子ドキュメント化して、 さらにコメントなども入れられるようにしたシステムです。 集めた情報をカテゴリ別に分類して検索したり、 メールでの問い合わせなどとも連携できたりするだけでなく、 ファイルサーバに保管されたファイルの全文検索や、 Webとの連携も可能です。 いろいろなナレッジ、ノウハウを蓄積して継承できます。 しかも他社と比べても廉価です。 おかげさまで、最近引き合いが多いんですよ。

また、これらの各サービスの基盤としても利用すると同時に、 お客様向けにハウジングやクラウドサービスを提供する、 データセンター事業も行っています。 データセンターの需要については、地元のお客様はもちろん多いのですが、 最近は他地域のお客様からの引き合いがとても多くなってきています。

―それはやはり、他地域での震災などの影響があるんでしょうか?

吉川: それがきっかけの一つだとは思います。 他地域での電力供給に不安を覚えたお客様が、 当社のサービスを選ばれているようです。 長野県は中部電力の営業エリアですが、 原発依存度も低く電力の余力は日本一と、とても安定しています。 データセンター単体で見ても、標高が高いので津波の不安が無く、 積雪が少ないので雪崩の懸念もありません。 地震は全国どこもリスクはありますが、免震で対応できますからね。 東京から比較的近い遠隔地として、ご利用いただくことが多くなっています。

「ちょっと電算に聞いてみよう」- 信頼感を誇る自治体向けサービス

―地方公共団体向けの事業が強いのは聞いていましたが、シェア1割は凄いですね。

吉川: 「Reams」では、市区町村で必要とされるサービスがパッケージになっています。 もちろん、お客様により要求はさまざまですので、 さらにカスタマイズして納入しています。

もちろん、最初から現在のシェアを誇っていたわけではありません。 当社の創業は1966年ですが、 その頃は総務庁の旗振りで各都道府県に計算センターを作っていたんです。 その中で、長野では当社が課税処理や納税通知のシステム構築を担当し、 そこからノウハウが蓄積されていきました。 その後、「Reams」の提供を1981年に開始し今は4代目です。 今では高速ネットワークを利用していますが、 当時は汎用機を使ったオンラインシステムこそ画期的だったものの、 プロトコルは汎用機のものだし、データ送信は電話回線経由なので、 通信速度も非常に遅く、今とは隔世の感がありますね。 そこから現在に至るまで地道に改良を続けていった結果、 今では多くの市区町村にご利用いただくようになりました。

―貴社のサービスはどういったところが市区町村から支持されているんでしょうか?

吉川: 我々も元から知識があったわけではありませんが、 お客さんとのお付き合いを通じて知識を社内で蓄積し続けてきた結果、 電算にも問い合わせやご相談をいただけるようになり、 信頼を少しずつ得るに至りました。 それが、単に言われたシステムを入れて終わりではない、 大手にはない当社の強みだと思います。

―地方自治体と言えば、マイナンバー関連の新サービスが始まりつつありますね。貴社が提供する「Reams」にも興味深い機能があるのでしょうか?

吉川: マイナンバーを管理する当事者ですので、 当然「Reams」にも関連機能が組み込まれています。 政府が運営するオンラインサービスである「マイナポータル」の本格運用が2017年10月に開始されますが、 「Reams」を使っていれば連携可能です。

また、当社では民間向けに、 マイナンバーを集める際の負担を減らすための仕組みも提供しています。 紙ベースで集めるのは確かに簡単なのですが、やり取りが面倒ですよね。 そこで作ったのがマイナンバー収集システムの「番号Post」です。 本人確認書類などのやり取りをする際に、スマートフォンで写真を撮って登録すると、 収集者に本人確認書類や個人番号が届きます。 そのように集めた個人番号を給与計算システムなどに入力する際に、 簡単・安全に管理・連携するためのシステムとしての、 「番号管理Box」と併せて提供しています。

―マイナンバーのセキュリティ対策についてはどうでしょう?

吉川: 当社が収集する情報はプライバシー・マネジメント・システムできちんと手順が決められています。 また、システム提供面では(ISC)2が認定するCISSP (Certified Information Systems Security Professional) の資格を持った社員が4人いるので、 システム監査やプラットフォーム診断、脆弱性診断などを行い、 問題が無いことを事前に確認した上で製品を納入しています。

ただ、納入時は良いのですが、 お客様のところで実際に運用に入るとまた別の悩みが出てきます。 運用開始前なら問題があっても対応は簡単ですが、 運用開始後にサービスを止めるのは難しいですからね。 常に状況を見ながら、どのパッチを適用すべきなのか判断しますが、 設定で回避できる場合は無理にパッチを当てなかった方が良かったりもするので、 普段の情報収集が大切です。 個人情報の漏えいが起きると会社の信頼喪失につながりかねないため、 とても神経を使っています。

オープンな社風の元に女性も活躍できる職場環境

―貴社のWebサイトは、 会社の理念から個々のサービスのスペックに至るまで充実しており、 とてもわかりやすいと感じました。

写真:吹き抜けによるオープン感覚

吉川: ありがとうございます。 Webサイトは今年リニューアルした際に、 もっといろいろな情報を分かりやすくしていこうと取り組みました。 その結果、ちょっと情報を出し過ぎているかもしれません(笑)。

またWebだけではなく、当社はオフィスもオープンなレイアウトなんですよ。 大きな吹き抜けがあって物理的にもオープンだし、 社内の雰囲気もオープンです(笑)。 この本社ビルは、長野の気候風土に根ざした環境にも働く人にも優しい建築物として、 サステナブル建築賞も受賞しています。 さらに環境問題という観点では、 積極的にクールビズやウォームビズも導入しています。

―貴社ではどのぐらいの社員の方が働いているでしょうか?

吉川: 全社で730名ほどです。 採用時は開発系、事務系とも文理は問わず、やる気重視で採用しています。 元々の専攻が違っていても、 入社後にしっかりと教育するので問題ありません。 採用は定期的に行っていて今年は16名入ってきましたが、女性の方が多いですね。 管理職としても取締役に1名、部長に1名女性がいます。 自分が入社した頃と違い、 最近は結婚しても仕事を続ける女性社員が多いのですが、 主婦の知恵的なものを仕事にも活かしていたり、 システム開発でも細かな気配りを見せていたりと、 みんな精力的に働いています。

教育への取り組み-小学生からエンジニアまで

写真:本社受付

―しっかり社員教育があるのは羨ましいですね。教育と言えば、 2020年から小学校でプログラミングが必修になるそうですが、 貴社ではそれに関する取り組みもされているそうですね。

吉川: 小学校の学習指導要領にプログラミングが入るのですが、 先生達は教える以前にプログラムを書いたことさえない方もいらっしゃるとのことで、 みなさんとても不安がっています。 そこで、長野県教育委員会、一般社団法人みんなのコードと協力し、 プログラミング授業の支援に取り組みました。 また、生徒向けにはプログラミングに興味を持ってもらおうと、 弊社の担当者が講師になってプログラミング教室を開催しています。

―先ほど受付ロビーで、 ロボットのPepperが今日は出張中で不在という張り紙を見ました!

吉川: はい。今日は小学校で開催している、プログラミング教室に出張してるんです。 Pepperのプログラムは簡単なので、小学校に持って行って、 手を挙げたり喋らせたりといったコードを書いて、実際に動かしています。 各学校から要望があれば駆けつけています。 昨年度は8校に出向きましたが、今年もすでに5校での実施・実施予定となっており、 とても人気があります。

―学校向けのほかに、 貴社ではエンジニアのセキュリティ意識向上にも取り組んでいらっしゃると聞きました。

写真:北陸新幹線

吉川: 当社では、セキュリティコンテストの「SECCON」開催に協力しています。 セキュリティはいつの時代も必要なので、技術者がヒントを得たり、 裾野が広がったりすると良いなと思ってやっています。

昨今はクラウド化が流行っていますよね。 当社のお客様もそうですが、システムを自分で持つよりも、 他人のシステムを使うところが多くなっています。 それ自体は良いのですが、 その影響でネットワークセキュリティの技術を持った人が減ってきていると思います。 オンプレミスは前近代的みたいな風潮がありますが、 セキュリティのことを知らない人がエンジニアになって脆弱性を作ってしまうのは困ります。

セキュリティと言えば、インフラとアプリの関係も難しいですね。 アプリを作る側からすると「インフラで守ってくれ」となるのですが、 我々から見ると「それはそちらの仕事だろう」と水掛け論になるんですよね(笑)。 基本的なところまではインフラで担保するが、 細かいところはアプリでやって欲しいというのが我々の気持ちです。 ただ、アプリを作る人間のレベルを上げないと結局そこに脆弱性が生まれてしまうので、 やはりそこも重要と考えています。

JPNICに期待すること

―先ほど教育の話がありました。 JPNICでもInternet Weekや各種セミナーを開催しているのですが、 我々に何か期待されることはありますか?

吉川: 先ほどお話ししたセキュリティに関しては、 新しい脅威が次々と生まれていますが、 日本だけが頑張ってもダメなんです。 JPNICには、社会の意識を高めると同時に、 国外・国内のいろいろな機関と連携しながら、 安全安心なネットワークを作るためにみんなを引っ張っていって欲しいですね。

また、JPNICはいろいろセミナーをやっていてありがたいのですが、 さらに充実させて欲しいですね。 地方での開催も期待します。 名古屋でInternet Weekのショーケースが開催されましたが、 うちのお客様の間でも「ぜひ長野でもやって欲しい!」と話題になっていましたよ。 前述の「SECCON」でも県外から参加いただけており、 近隣地域からの集客も期待できると思います。

―JPNICではIPv6の普及・展開に向けて取り組んでいるのですが、 貴社での対応状況はいかがでしょうか?

関沢: 「avis」は、一部サービスにおいてIPv6接続を提供しています。 しかし、現在はユーザーからの需要がありません。 「Reams」もIPv6対応を検討したことはあるのですが、 ルーターやファイアーウォールなどのIPv6対応も必要になるほか、 「Reams」以外のさまざまなシステムとの連携も考えないといけません。 クローズドなネットワークでプライベートアドレスを使っていることもあり、 当面は見送るという判断になりました。

―本日はいろいろなお話のほか、JPNICへの貴重なご意見もいただき、 ありがとうございました。 最後の質問になりますが、 貴社にとってインターネットとはどのようなものでしょうか?

吉川: 当社はインターネットが普及する前の創業ですし、 ISPとしてもかなり初期から事業を行っています。 そういう意味では、 あまりインターネットを意識したことが無いというのが正直なところで、 空気に近いような状態で便利に使っています。

ただ、インターネットは社会的にどんどん重要度が増してきていますし、 会社にとっての一番の生命線になってきています。 いろいろな人がいかに簡単で安全に使えるかという点を常に意識して、 これからもセキュリティの向上などに取り組んでいきたいですね。

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