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ニュースレターNo.68/2018年3月発行

JPNIC会員企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

顧客の声を受け止めて、半歩先、一歩先に必要なものを着実に提供する。 インフラたるISPとしての「つなぐ」ことへのこだわり。
写真:タイトルバック

今回は、 朝日新聞社が出版していた雑誌の読者向けパソコン通信サービスを母体に1990年に設立され、 現在に至るまで「ASAHIネット」の名称でISPサービスを提供されている、 株式会社朝日ネットを訪問しました。 同社はISPの中では老舗中の老舗として有名ですが、 「manaba」と呼ばれる教育支援サービスなど、 接続以外のサービスも幅広く提供されています。

「交流と創造」を理念に掲げ、 人々のコミュニケーションをISPとしてどう支え、 発展させていくのか。 ユーザーと日々対話しながら、 世の中の流れや要望に応じて一歩ずつ階段を上るように、 あるべき姿を求めてサービスを充実させていく。 「魔法のような何かがあったわけでない」という言葉に、 ISPを社会インフラととらえて常に高い意識を持ち、 業務に取り組んできた社員の方々の矜持を感じました。

当日は東銀座にある歌舞伎座の上にそびえる歌舞伎座タワーにあるオフィスを訪問して、 同社の社長である土方次郎氏にISPを中心に、 展開している同社のサービスと、 その背景にあるインターネットに対する熱い思いをうかがいました。

株式会社朝日ネット
住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー21階
設立: 1990年4月2日
資本金: 6億3,048万円
代表者: 代表取締役社長 土方 次郎
従業員数: 133名(2017年9月末時点)
URL: https://asahi-net.co.jp/
事業内容: https://asahi-net.co.jp/corporate/service.html
インターネット接続サービス ASAHIネット 教育支援サービス manaba ライブ・アンケートシステム respon クラウド・カメラソリューション AiSTRIX おまかせルーター

その時代に応じた、ISPとしてあるべき姿を考える

―まずは、貴社の成り立ちや主な事業内容について教えてください。

土方: 当社は、元々は朝日新聞社内のプロジェクトが前身です。 1988年に「ASAHIパソコン」という雑誌が創刊され、 読者向けに「ASAHIパソコンネット」というパソコン通信サービスを提供していました。 当時は、いわゆるVAN(付加価値通信網)が流行っていた頃です。 その2年後の1990年に、 朝日新聞社とトランスコスモス株式会社が50%ずつ出資する形で法人化して株式会社アトソンとなり、 インターネットサービスを提供し始めました。 現在も使っている「ASAHIネット」というサービス名を使い始めたのは1993年からで、 1994年にはIP接続を開始しました。 パソコン通信にしても、IP接続にしても、 業界の中では早くから取り組んでいる方です。 この頃から同じ名称でサービスを提供し続けている事業者は少なく、 そういう意味ではISPとしては老舗と言っても良いと思います。 その後、2000年に全株式を役員・社員が取得(MBO)して、 メーカー系やキャリア系ではない独立系の事業者となりました。 2001年には株式会社朝日ネットに社名変更して、現在に至ります。

―ISP事業の他にはどのような事業に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

写真:社内風景

土方: ISP事業以外で現在力を入れているのは、 「manaba」という大学などの教育機関向けのサービスです。 出席管理やレポート提出、テストの採点業務といった、 学校の営みをIT化するためのしくみで、 従来の紙ベースではなく「manaba」を利用することにより、 スムーズにやり取りできるようになります。 2007年にリリースして、現在では70校以上にご利用いただいています。

その他のサービスとしては、ライブでアンケートが集計できる「respon」や、 クラウド上で監視カメラなどが管理できるソリューションである「AiSTRIX」、 マネージドルーターサービスの「おまかせルーター」などを提供しています。 昔と違い、今はインターネット接続だけを求めている人は少数です。 お客様は別にルータを設定したいわけではなく、 インターネットに接続した上で何かやりたいことがあるわけです。 そう考えた時に、接続や認証だけではなくて、その先のルータやカメラ、 アプリケーション、セキュリティといった範囲もISPが提供して良いんじゃないかと我々の領域徐々に広げていった結果、 このようなサービスを提供するに至りました。

基本的には、 ISPは毎月固定の料金をいただいて接続サービスを提供するストックのビジネスですが、 その毎月のやり取りの中で新たな価値を生み出し、 人々のコミュニケションをより豊かにスムーズにできるのであれば、 それもまたISPが取り組むべきサービスだと考えています。

今後もユーザーを“つなぎ”続けるためにはIPv6が不可欠

―ISP事業をベースに、さまざまな価値を生み出していっているということですね。そのISP事業では、最近はどのようなことに力を入れていらっしゃるのでしょうか?

土方: 主力であるISP事業の売り上げは毎年堅調に伸びていますが、 ここ数年はNTT東西のNGNとのIPoE接続をISPに提供するVNE(Virtual Network Enabler)事業への投資を続けています。

もともと当社は、 2010年8月に設立した日本ネットワークイネイブラー株式会社(JPNE)に共同出資しました。 同社も、ISP事業者向けにIPv6インターネットをローミングサービスとして提供する会社です。 そんな風に、IPv6に対する関心は、常々持ってきました。

しかし一方で、 当社が自身のサービスとしてフレッツ網で本格的にIPv6サービスを提供し始めたのは2017年4月と、 ISPの中では少々遅い方だったと思います。 この理由は、お客様から見れば、 IPv4でもIPv6でも求めるサービスに変わりはなく、 IPv6は単に一つの技術ですから、お客様にとって一番良いやり方、 時期を慎重に見極めていたということに尽きます。

今後20年、30年先を見据えて、 どうすればお客様の経験や環境として美しい形になるのかずっと考えてきました。 そこに最近のトラフィックの著しい伸びという状況が出てきて、 自分たちでVNEを提供するのが良いだろうと判断し、今回、 そこに大きな投資をする決断をしたのです。 今は、IPv4のオプションとしてのIPv6ではなく、 IPv4とIPv6の両方を正面から全員に使ってもらいたいと思っています。

―主流はIPoE接続になるだろうと、投資を決断されたということですね?

土方: はい、そうなんです。 その投資によって、ここ1~2年は減益になっています。 当社の規模からするとかなりの規模の先行投資になりますが、しかし、 長い目で見ればお客様のトラフィックが増え続けている中で、 インフラへの投資は必要不可欠だと判断して取り組んでいます。

フレッツは世界に冠たるアクセスネットワークで、 それを生かし切るというのが日本の情報通信の発展には必要です。 5Gもありますが、それで光が不要ということにはならないでしょう。 帯域制限やトラフィック制御という手法もありますが、 簡単にギブアップするのではなく、 将来にわたって快適に使ってもらえるインフラを提供し続けるために挑戦したい。 そのためのVNE事業です。 すべてのサービスをそこに載せるものなので、 まずはIPoEのインフラをしっかりしたものにしていきます。 情報通信がこれからも発展していく中で、 社会にISPの存在意義を認めてもらうためには、 やるべきことをしっかりやらないといけません。 ISPが無くなると言われ続けて久しいですが、 まだまだやれることがあるし、認めてもらえるはずです。

ユーザーからの高い評価は、地道に顧客との対話を繰り返してきた証

―そのようにユーザーを第一に考えておられるからか、貴社は顧客満足度の高さも特徴ですよね。どのようなところが支持されているのでしょうか?

土方: ダイアルアップ接続の頃は、繋がりやすさが他社との差別化のポイントでしたが、 光接続が普及してからは良い意味で差が無くなってきています。 そういった状況でも、今も昔も変わらないのはお客様との距離感でしょうか。 当社は、 例えば最初にお客様100万人規模を想定して大規模な設備を打つといったやり方ではなく、 入会していただいたお客様から得た売り上げを再投資して、 少しずつ規模を大きくしてきました。 ダイアルアップから、ADSL、光と世の中の要求に応じて上手くインフラを入れ替え、 設備も自社開発で少しずつ増強してきました。 このぐらいの規模感ですと、良くも悪くもお客様の顔が見えますし、 我々がサービスを提供するのにも適切だと考えています。

そういう意味では、 スティーブ・ジョブスのように世の中に無い価値を新たに提供しようというのではなく、 今より半歩先、一歩先の、 お客様にも「これがあれば便利そうだ」と想像がつくものを我々は提供してきています。 インフラとは、お金が余っているから使うとか、タダだから使うというものではなく、 必要だから使おうと言ってもらうべきものです。 決して魔法のようなことを何かしたわけではなく、 当たり前のことに地道に取り組んできただけですが、 そうやってお客様と対話しながら一歩ずつ取り組んできたことが評価していただけているのだと思います。 高い評価は、我々の励みにもなっています。

パソコン通信時代の経験と技術によって生み出され、裏打ちされた「manaba」

―ISP事業以外では、「manaba」を大変早くから提供されていることに驚きました。10年も前から教育事業に参入されたのは、どういう経緯だったのでしょうか?

土方: 元々は、 古くからつき合いのある大学から「ラーニングマネジメントシステムを作れないか?」と相談されたのがきっかけです。 他社とも相談されたのですが、上手くいかなかったそうです。 当社は元々パソコン通信をやっていたので、 その技術を活かして企業内向けのメッセージウェアなどを提供していました。 それをその大学でも利用されていたことで、当社に声がかかりました。

その結果生まれたのが「manaba」です。 認証やメッセージの送受信、 データベースなど必要な機能はISP事業をやっている我々が得意とする分野ですし、 他社が苦労したという、複数ユーザーでのストレージ共有とか、 アクセス集中時の動作速度維持なども、ISPならではのノウハウを活用できました。

当時は、学生のデータをセンシティブデータととらえて、 オンプレミスが当然でデータを外部に預けることに抵抗を持つ大学も多くありました。 しかし、ISPとして我々が持つ実績やノウハウを評価していただいたことに加えて、 世の中でクラウド化の流れが進み、 むしろ自組織にデータを置くリスクが注目されるようになってきたことで、 ユーザーは順調に増えてきています。

先方からの声かけがきっかけで、 マーケットリサーチの結果「次は教育だ」となったわけではありません。 しかし、教育界はまだまだITが活用されておらず、 我々ISPとしての強みが活かせる分野です。 幸運にも、そのことを教わり気付かせてもらえました。 当社は「交流と創造」を理念に掲げていますが、新しい場を作り、 交流の質を高め、価値を高めて人類の発展に資するというのは、 この理念にも合致します。 本当に良い巡り合わせだったと思っています。

質の高いサービスを支える社員の連携とそれを生み出す社風

―「manaba」の誕生は貴社の技術力によるものとのことですが、社内には技術者の方が多いのでしょうか?

土方: 社員のおよそ3割ほどが技術者です。 認証システムをはじめ、メールやWebのサーバ、 ストレージなどはすべて自社で構築しています。 また、ASを運用してピアを張ってといった、 ネットワーク回りも自分たちでやっています。 これはパソコン通信時代からそうで、 基幹ソフトからすべて自社開発していました。 IP接続を始める時も、 外からサービスを買ってくるなど各社いろんな選択があったわけですが、 我々は当時はまだ主流ではなかったTCP/IPやUNIXを先取りして開発に取り組んでいたこともあって、 スムーズに導入することができました。

ただ、これでも割合としては減った方です。 ダイアルアップ接続や常時接続を始めた頃はISPという事業自体がもっと技術オリエンテッドで、 最新のテクノロジーに付いていくことがお客様のニーズに応えることでもありました。 しかし、近頃は接続サービスそのものではなく、 その上で何をサービスするのかが重要になってきています。 そのため、現在ではパートナー事業者との情報交換や連携、 サービスを組み合わせての提供など、技術力以外の要素も重要になってきています。 契約プランや申し込みフローをわかりやすくしたり、 サポートの解決力を上げたりするのも大事なポイントです。

―貴社はWebを見ても、とてもユーザーフレンドリーですよね。歌舞伎座タワーの21階と大変素晴らしいオフィスですが、社員の方々にとってもやはり働きやすい雰囲気を大事にされていたりするのでしょうか?

写真:オフィス外観

土方: Webはお客様からの声で改善を続けているので、 そう言っていただけるとありがたいです。 こちらのオフィスですが、以前は50年物のビルだったのを、 老朽化で建て替えるために2013年に今の場所に移りました。 見晴らしも良いですが、新しい分セキュリティ面などでも大変良い環境になりました。

社内の雰囲気は、技術者も多くIT企業らしさもありますが、 社会のインフラを支えているという高い意識を全員が持って働いています。 また、ISPはシステム設計・構築から始まり、運用からサポートまで、 社員の関わるバリューチェーンが非常に長いのが特徴です。 会社全体で一つの価値を提供するということで、 社内はあまりバタバタした雰囲気ではなく、比較的穏やかですね。

また、社員の社歴が長いことも特徴です。 例えば、当社は育児休業を取りやすい雰囲気だという評判で、 同時に10人ほどが育休を取ったことがあります。 大人数がいなくなるのは確かに苦しい部分もありますが、 辞めてしまうわけではありません。 休業明けで戻ってくれば、その日から即戦力が増えるわけで、 むしろ得した気分になります。 復帰後はしばらく時短勤務になるわけですが、 決まった時間で成果を挙げるというその働き方は全社員のお手本にもなりますし、 会社にとってはプラスの方が大きいと考えています。

人間は言葉や文字に続き、インターネットという大きな発明をした

―黎明期からのISP事業者である貴社には、長らく会員としてJPNICを支えていただいています。そのような立場から見て、私どもJPNICに期待することはなんでしょうか?

写真:5台目歌舞伎座

土方: IPv6の時代になり、 とりあえず割り振り・割り当ての問題は少なくなったように思いますが、 インターネット全体にとって次の世代を考えるため、 ISPとして何ができるかを考えるためには、アドレス政策は大変重要です。 日本に限らず、各関係者と連携してどのように進めるのが良いのか、 中期・長期の方針を勉強させてもらえればと思います。 例えば、IPv4アドレスの移転に関しても、 今後の相場がどうなるのかは事業上のリスクにもなります。 無駄なコストをかけずに効率的に事業を進めるためにも、 課題の抽出やポリシーの検討などといった点について、 結果的にはみんなで解決となるのかもしれませんが、 JPNICにはぜひイニシアティブを取ってもらいたいです。 今後のインフラの発展にも繋がるので、今後とも期待しています。

―貴重なご意見、ありがとうございます。最後の質問になりますが、貴社にとってインターネットとはどのようなものでしょうか?

土方: 社内でもこう言っているのですが、 インターネットは人類にとって、 言葉や文字の発明に匹敵するぐらいの大きな発明だと考えています。 言葉ができたことにより、人間は単なる動物とは異なるものになりました。 言葉により、概念といった目に見えないもの、 形の無いものを議論できるようになったのです。 それを時間を超えて残すために生まれたものが文字です。 そこへさらにインターネットが登場したことで、空間や時間を超えて、 情報発信という人類が備えていた特有の機能を大きく飛躍させることに繋がりました。

単なる流行りものではなくて、 人とのコミュニケーションという人類が本来持っている欲求。 そういった非常に大事な役割を担う一端として、 ISPとしてこれからも貢献していきたい。 そう考えています。 今では独立系のISPは珍しい存在になりましたが、 専業でどこまでいけるのか挑戦したいですね。

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