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ニュースレターNo.72/2019年7月発行

インターネットことはじめ

流れるように再生を~インターネットで動画を見る~

動画再生、今昔

イラスト:博士

今、私達はPCやスマートフォンで、手軽に動画を楽しめます。 動画配信サービスは定額制で見放題のものが主流になりましたし、 個人が自主制作した動画コンテンツをインターネットで共有・公開することも、 当たり前のように行われています。 スマホのカメラで旅先で動画を撮ってその場で加工し、 SNSに公開するといったことも、普通のことになりました。 私達がコンピュータで動画を本格的に楽しめるようになったのは、 CD-ROMドライブが一般的になった1990年代以降のことです。 今回はインターネットにおける動画について、 「見る」「撮る」「共有する」三つの観点から考えます。

見る

イラスト:ロボット

動画データは音楽データ以上に大きくなります。 また、単位時間あたりに必要な情報量が音楽データよりも増えるため、 データを読み出す速度も問題になります。 CD-ROMドライブが普及し始めた当初、 データの読み出し速度は150KB/s≒1.2Mbps程度でした。

この速度は動画のスムーズな再生には十分ではなかったため、 さまざまな変換方式(コーデック:codec)が考案されました。 コーデックはデータのエンコード(圧縮/変換)とデコード(復元)を合わせた単語で、 データをエンコードして記録し、デコードして再生することで、 必要な記憶容量と速度を抑えることができます。 1990年代には、AppleのQuickTimeの一部としてリリースされたCinepakや、 Intelが開発したIndeoといったコーデックが普及しました。 これらはCD-ROMとの組み合わせで、320×240ピクセルの動画を再生できました。

その後もコーデックの改良は続けられて、 国際標準化機構(ISO)や国連電気通信標準化部門(ITU-T)ではMPEG-1(1993年)、 MPEG-2(1995年)を経て、H.264(2003年)、 H.265(2013年)といったコーデックが策定されています。 おおざっぱに言えば、MPEG-1はCinepakやIndeoと同等、 MPEG-2は旧式のアナログTV、H.264は現行のハイビジョン、 H.265は4K放送に適したコーデックです※1

また、「インターネットで」見ることを考えると、回線の高速化も見逃せません。 1990年代は、せいぜい56~128kbpsくらいが上限でした。 2000年代に入るとADSLによる常時接続が普及し始め、 回線速度も一気に1Mbps以上になりました。 とはいえ、 動画のデータを手元にダウンロードしてから再生するのでは完了までに時間を要し、 すぐに見ることができません。

そこで普及したのがストリーミング再生※2です。 1995年に登場したRealPlayerが、最も早く普及したストリーミングプレーヤーでした。 その後QuickTimeやWindows Media Video、Flash Videoといった規格が登場しました。 これらを利用して、2000年代には有料、無料の各種動画配信サービスが始まります。 当初は1番組ごとに料金を徴収するスタイルが中心でしたが、 2019年現在では月額一定料金で番組見放題というサービスも一般化しています。

※1 日本のハイビジョン放送にはMPEG-2が使われているので、 あくまでも目安です。
※2 ここでは、ダウンロード終了を待たずに再生可能、という意味で使っています。

撮る

こうして2000年代には、インターネットで動画の視聴が可能になりました。 翻って、撮影の方はどうでしょうか。 2000年代まで、動画を撮るには専用のビデオカメラが必要でした。 ビデオカメラの普及が始まった1980年代は、 磁気テープにアナログ記録するVHS-Cや8ミリビデオが主流でした。 1995年には記録メディアは磁気テープのまま、 記録方式がデジタル化されたDV規格のビデオカメラが発売され、 2000年代にかけて普及が進みます。 さらにハイビジョンに対応したHDV規格や、 記録メディアをDVD/HDD/メモリカードにしたAVCHD規格なども普及します。 しかし、撮影した動画のデジタル化・編集・エンコードを円滑に行うには、 高速なCPUや高性能なビデオカードを持つ、高価なPCが必要でした。

この状況は2010年代以降、 動画撮影機能を備えたスマートフォンが普及することで、一気に変化しました。 当初は撮影可能なピクセル数が少なく、 またWebサイトに掲載して広く共有することは難しかったものの、 日常のちょっとした出来事を撮影して家族や友人に送ることは簡単になりました。 さらに動画フォーマットの統一が進み、 圧縮用のハードウェアも量産効果で低価格化され、 スマートフォンに内蔵されるようになりました。 それにつれてピクセル数もハイビジョンから4Kへと増え、 同時に無線通信回線の速度も向上を続け数百Mbpsへと高速化を遂げました。 これでピクセル数や撮影時間の増えた動画も、ストレス無くやりとりできます。

ほぼ時を同じくして、 PCにも動画圧縮用のハードウェアが内蔵されるようになりました。 これにより、最新、最速のPCでなくとも、動画編集が実用的に行えるようになりました。 手軽な撮影/編集はスマートフォンで、ちょっと凝った編集はPCで、 という環境が整ったわけです。

共有する

前述のように2000年代には動画配信サービスが普及します。 とはいえ、配信環境を整えるには専用のサーバソフトウェアが必要で、 個人が行うには無理がありました※3

これを手軽にしたのが、動画共有サービスです。 Webを経由して動画データをアップロードすることで、 適切な再エンコードと世界中への公開が可能になりました。 代名詞とも言うべきYouTubeが2005年にサービスを始め、 日本でもニコニコ動画が2006年に実験サービスとして始まりました。 以来10年以上の時が過ぎ、新しいサービスにありがちな紆余曲折を経ながら、 ライブ中継をも可能にし、 コンテンツホルダーによる公式チャネルも開設されるほどになりました。

こうして、動画配信サービスと動画共有サービスが両輪となって、 インターネットでの動画再生が普及していくことになります。 今では「TVは見ないが、YouTubeやHuluは見る」という人もいるくらい、 一般的な存在になりました。

※3 2019年現在ではHTML5のvideoエレメントを使うことで似たようなことができますが、 HTML5が勧告されたのは2014年と比較的最近です。

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