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ニュースレターNo.72/2019年7月発行

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

インターネットは世界に繋がる窓、 沖縄のコミュニケーションと経済発展を我々は支えたい
イメージ:タイトルバック

沖縄通信ネットワーク株式会社

住所 〒900-0032 沖縄県那覇市松山1-2-1 沖縄セルラービル
設立 1996年10月29日
資本金 11億8,427万2,000円
代表者 代表取締役社長 仲地 正和
従業員数 129名(2019年2月時点)
URL https://www.otnet.or.jp/
事業内容 https://www.otnet.co.jp/company/aboutus.html
■電気通信事業法に基づく電気通信事業 ■電気通信設備およびこれに付帯する設備の工事並びに保守 ■土地、建物、およびこれに付帯する設備についての警備、防災、清掃、運用、保全等の管理運営 ■ネットワーク構築等のコンサルティング

今回は、1996年の設立から今年で24年目を迎えた、 沖縄通信ネットワーク株式会社を訪問しました。 同社は沖縄電力によって設立された通信事業者で、 沖縄セルラー電話株式会社の子会社となった現在でも、 「沖縄のために」というその姿勢は創立以来一貫しています。 1万kmを超える光ファイバーケーブルを県内に張り巡らせ、 法人向けの伝送系サービスから個人向けISP サービスまで、 幅広いサービスを県内の法人や個人に提供されています。

当日は、いかにも南国らしい気候と澄み渡る青空の下、 沖縄県那覇市にある本社オフィスを訪問しての取材となりました。 海に囲まれている上に台風が多い中で安定的なサービス提供を実現するためのご苦労や、 東京から離れていることからくる経営的な課題がある一方、 海外への通信にはむしろ有利な面があるなど、 地理的背景や気象的背景からくる沖縄の通信事業者ならではのお話を、 たくさんうかがうことができました。

新しい技術に取り組まれる際にも、 その背景にはどのようにすれば沖縄のために活かせるのかという思想が常にあり、 地元のエンジニアを守り育てて、 自社のサービスを通じて県民の幸せや地域の発展に繋げていきたいという思いが至るところで感じられる、 とても印象的な取材となりました。

沖縄のためにやれないのであれば、我々の存在意義はない

■まずは貴社の成り立ちについて教えてください。

篠原:弊社は沖縄電力によって1996年に設立され、 今年で24年目を迎えます。 設立の背景として、当時通信の自由化が進む中で、 各地の電力会社が通信事業者を立ち上げていったという動きがあります。 そういった動きの沖縄版が当社です。

設立当初は法人向けに、ATMや高速デジタル専用回線といった、 専用線サービスの提供を行っていましたが、 2001年に沖縄県などが出資していた第三セクターの株式会社トロピカルテクノセンターから、 個人向けインターネットサービスの「II-OKINAWA」の事業譲渡を受けたことで、 ISP事業にも参入しました。 同じ年に、現在でも伝送系の主力サービスとなっている、 イーサネット・サービスの提供も開始しています。

2010年には沖縄セルラー電話株式会社の子会社となり、 同社が提供しているFTTHサービス「auひかりちゅら」の足回りの回線を提供するようになりました。 その後、2013年にKDDI沖縄株式会社を吸収合併したことで、 同社が提供していた法人向け、米軍基地向けインターネットサービスについても、 当社に事業を統合しています。

■事業割合としては、やはり伝送系のサービスが多いのでしょうか?

窪田:大まかに言うとイーサネット・サービスが4割で、 FTTH卸回線が4割、ISPが1割で、残りの1割がその他という感じです。 当社は元々法人系が強く、 ISPの運用で初めてコンシューマー向けサービスに乗り出しました。 売り上げとしては法人向けが主力となっていますが、 ISPサービスは3本目の柱と位置付けて力を入れており、 実際に売上も上がっています。 また、将来を見据えてこれら以外にも、 RPA (Robotic Process Automation)サービスである「OT Robo」やUTM (Unified Threat Management)サービスの提供など、 新しいサービスにも積極的に取り組んでいます。

■地域に密着したサービスを提供されているわけですが、お客様にも何か県民性のような特性があったりするのでしょうか?

窪田:慎重な性格だというのはあると思います。 無料キャンペーンなどを展開しても、 他地域ほど飛びつく方は少ないんじゃないでしょうか。 まずはじっくりと見極めてみて、使ってみた人から口コミで徐々に広がって、 その後ゆっくりと伸びていくという感じです。

吉浜:トラフィックの目線で見ると、 県内も県外もほぼ変わらない印象です。 10年以上前のP2Pが流行っていた頃は大手ISPの通信がほとんどで、 それが今はいわゆるGAFA向けの通信が大半を占めています。 おそらく国内の他地域と大きな差異はないと思いますが、地域柄、 海外のお客様もそれなりにいらっしゃいまして、 TOP15の通信先に香港が入っているなど、多少の違いはあると思います。

■貴社のWebページなどを拝見すると、沖縄の経済発展や沖縄への貢献への熱い想いが伝わってきます

篠原:はい。 先ほどお話ししたように沖縄の通信事業者として設立された経緯もあり、 その期待に応える義務が我々にはあります。 沖縄の経済発展に貢献すること、沖縄のためにやれないのであれば、 当社の存在意義がありません。 県内に自社でここまで大規模に光ファイバーを引いているのは、 NTT以外では当社だけです。 その総延長は1万4,000km以上になります。 この光ファイバーを利用して回線サービスを提供できることや、 ISPなども含めて一体となったサービスをお客様に提供できることは、 当社の大きな強みです。

ただ、沖縄県は海に囲まれていて多数の離島を持ち、 人が住んでいる島だけでも47にも上ります。 離島も含めると南北約400km、東西約1,000kmにも及ぶ広大なエリアを持っている一方、 そこに住む人口は日本全体の1%にしか過ぎません。 陸地面積も同じく1%程度です。 500kmと言えば東京と大阪ぐらい離れているということですし、 沖縄本島と宮古島ですら東京と名古屋ぐらいの距離があります。 そのような広大なエリアに限られた人口という背景から規模の経済が効きづらく、 すべてのエリアに自社の光ファイバーを提供することは難しくて、 本島と伊江村に止まっています。 県内すべてのエリアに我々が単独でケーブルを引いていくことは設備投資が過大になり過ぎますし、 離島への事業展開については昔からの課題です。

台風+離島という難しさの中での安定運用に向けた努力

■沖縄と言えば台風が非常に多い印象ですが、サービスの維持にはやはりご苦労されているのでしょうか?

窪田:2018年だけでも13の台風が沖縄にきていますが、 9月末の台風24号では県内全世帯の1/3が停電するなど、 その1週間後の25号と合わせて大きな被害を受けました。 当社が提供しているサービスでも、 法人向けサービスの復旧は1週間程度で行えましたが、 FTTH卸サービスについては回線数が多いこともあり、 完全復旧まで1ヶ月程度を要しました。 台風は毎年やってくるものですので普段から備えてはいますが、 ここまでの被害は当社の歴史の中でもめったに無いことです。 24号と25号は非常に強力な台風で、被害額は過去最高となりました。

台風の接近自体は数日前から予測できるのですが、 通り過ぎてくれないと復旧作業に入れません。 また、離島県という事情から物資の相互融通や他県からの復旧人員の派遣にも難しいところがあり、 これは毎年発生する、かつ沖縄特有の課題だと認識しています。

吉浜:台風が多いということで、 局舎に設置するUPS(無停電電源装置)の電力供給時間が長めというのも、 他地域と比べた場合の特徴だと思います。 本当はすべての局舎に非常用発電機を置ければよいのですが、 敷地やコストの問題で難しいところはバッテリーで持たせています。 ただ、台風自体は長いと1~2日は滞在するので、 台風24号のように大規模な停電があると厳しいのは確かです。

窪田:台風の影響で言えば、 那覇市でも30分程度の停電であればたまにありますし、 少し離れたところに行くと1日単位の停電というのもままあります。 本州と違って地続きではないので、 他の電力会社から融通してもらうというのもできません。 大きな局だと2系統用意していますが、 実際にトラブルになったことはないものの、 だから安心かと言えばなかなかそうとも言えません。 台風の前にはお客様もいろいろな物を備蓄されていますし、 我々も近くのホテルに従業員を泊まらせて備えています。 食事などの手配も必要ですが、 大きい台風の場合はその確保も結構大変だったりします。

ただ新しいものを持ってくるのではなく、どう沖縄に活かせるのかを考える

■吉浜様は新しい技術やツールに積極的に取り組まれているとうかがっていますが、それがサービスにも活かされているのでしょうか?

吉浜:新しい技術に興味がありいろいろと取り組んでいるのですが、 流行っているものをそのまま沖縄に持ってこられるわけではありません。 東京と比べると経済規模も小さいので投資できるお金も少ないです。 エンジニアの数も少ないので、 まったく新しい技術を複数に教育し運用を回すのも現実的に困難です。 自動化を行い運用の省力化や効率化をする目的は一緒としても、 おのずと問題解決のアプローチを変えないと上手くいかないと考えています。

サービスの構築を県外の専門業者に依頼し運用の一部も任せることも考えられますが、 何か問題が発生した場合、すぐに人が呼べるわけでもありません。 重要な基幹システムについては時間がかかっても社内エンジニアの技術レベルを向上させ可能な限り自社構築し、 問題が発生した場合でも自社で迅速に解決できることを目標としています。 またどうしても外注を行う必要がある場合には、 できるだけ県内事業者や県内に拠点のある企業と取り引きすることを心がけています。

新しい技術へのチャレンジですが、海外での動向などには注意して確認しています。 最近ですと、昨年Open Compute Projectというグループを見つけ、 米国の大手通信事業者が、非常に低コストで運用が可能となる10G XGS-PONのトライアルを終了したとの記事を見つけました。 公開されているドキュメントに目を通すと画期的な製品で、 当時はまだ日本に代理店がなかったので商社経由でコンタクトをとっていただきました。 エンジニアリングサンプルが購入可能とのことだったのですぐに発注を行い現在検証中となっています。 日本で一般的に販売されている製品と比較すると、 価格面でも機能面でも大きなメリットがあり、 商用化できれば安価で良質なサービスが提供できるのではと考えています。

あとコストについてですが、沖縄県民の平均収入は、 東京と比較して6割程度となっています。 一方で、インターネットの回線調達コストは東京と比較すると肌感覚で約4倍ほどと認識しています。 日本のインターネットの中心である東京から離れれば離れるほど、 収入は減少するけれども製品の原価が上昇する中でサービスを提供する必要があります。 沖縄本島はまだましで、これが沖縄本島から離島へ行くとさらに厳しくなります。 求められるサービスの質は同じなわけで、 ここで東京では流行っている設備を考慮もなしにそのまま入れてしまっては、 どう考えても採算が成り立ちません。 海外製でもなんでもいいので、 身の丈にあった設備投資を自社の力量にあった範囲で投入して運用を行う必要があると考えています。

■首都圏のIX 事業者が沖縄県内に接続拠点を設け、県内の事業者が長距離回線を手配しなくても、首都圏のIXと直接接続できるサービスを提供開始するといった話題がありました。このようなサービスは、県外への接続に関して、何か変化をもたらしたでしょうか?

吉浜:沖縄県の通信費補助事業を利用したサービスが契機となっていますが、 結果的にIX回線が低コストで接続できるようになり大変役立っています。 利用率向上にともない通信コストが劇的に下がりました。

実はちょうど今、香港のAMS-IX HKとの接続作業をしています。 地方のISPが、東京や大阪だけではなくて海外と直接接続できるって面白いですよね。 しかも面白いだけではなく、海外の方がRTT(Round Trip Time)が短くなります。 東京-沖縄間ではRTT 30ms(ミリ秒)前後で、 これが沖縄-香港だと25ms程度となっています。 GAFA関連のトラフィックなどがこちらから流れることを期待しています。

次世代を見据えた人材育成への取り組みと、地域分散を実現するための課題

■先ほど人材確保の難しさというお話がありましたが、どのような取り組みで解決されていますでしょうか?

篠原:新卒採用だけではなく中途採用も並行して行っていますが、 県内だけで人材を探していると難しいし厳しいです。 県内の大学で学んでそのまま地元で働く学生もいますが、 県外に進学してそこで就職する学生が多いですから。

これまでは法人向けサービスが主体だったこともあり、 広報をほとんどやってきませんでした。 そのため、そもそも当社のことを知らない学生も多く、 昨年辺りからはCMを出して知名度の向上に取り組んでいます。 また、採用した社員については、ずっと地元で働いていってもらえるように、 親会社などとも協力して体系的な教育プログラムを作っていっています。

吉浜:JANOGなどの場にも積極的に連れて行くようにしています。 ISPの仕事と言ってもよくわからないと尻込みしている若い人も多いのですが、 JANOGに連れて行くと自分とあまり年齢の変わらない人が立派にミーティングを運営していたり、 発表を行っているのを見ると、皆意識が変わります。 若い社員に外の世界を知るきっかけを与えることは非常に大事で、 インターネットの普及で情報は得やすくなりましたが、 遠い世界ではなくそばにいる同世代が日本のインターネットを頑張って運用している姿を見せる方が、 はるかに当人には刺激になるようです。

私が転職した時にも、競合他社ですが伝説的なエンジニアがいました。 その人から「インターネットの守備範囲は広いが、 それだからこそある分野で頑張れば、 誰でもその分野の先駆者になれる」と言われました。 そういったことを、自分も次の世代に伝えていかないといけないと考えています。

■貴社でのIPv4アドレス在庫枯渇への対応や、IPv6への取り組みについて聞かせてください

吉浜:コアネットワークのIPv6対応は2003年から行っていますが、 他社と同様に法人顧客の需要は少なく、その点で普及は進んでいません。 一方、コンシューマー向けはユーザーが増えていることもあり、 IPv4アドレスの在庫枯渇の影響が大きいです。 移転コストがどんどん上がっていて、いつまでそれでまかなえるのか不安です。

コンシューマーサービスのIPv6対応については、 NTTフレッツ網の仕様上の制約があり、 地域に閉じたISPがフレッツ網のIPoE接続サービスを自社で提供するのは現実的ではありません。 ここが今一番悩ましいところとなっています。

篠原:IPv6対応の問題点は今お話しした通りですが、 かたやIPv4アドレスの在庫枯渇問題では、移転のマーケットができていて、 それを誰がコントロールしているのかよくわからないという問題があります。 地域ISPは簡単にはIPv6に行けませんし、 そもそもすべてのサービスがIPv6で使えるわけでもありません。 その意味で、当面はIPv4もどうにかしていく必要があります。

移転によるIPv4アドレスの調達コストは年々増加していて、 一方で地域ISPがIPv6でのサービス提供を行うには、 ここで挙げたような難しい問題があります。 大手のみではなく中小の地域ISPも健全に発展できるようにすることが、 エンジニアの地域分散の維持に繋がり、 ひいてはそれが日本のインターネットが長期的に発展していくための原動力になると考えています。 現実的な問題をどうしていくのか、議論や意見公開の場が欲しいですし、 そういったところをJPNIC がリーダーシップを取ってやっていっていただけると嬉しいですね。

インターネットとの化学反応で、もっと劇的に発展するものを探したい

■貴重なご意見ありがとうございます。それでは最後の質問になりますが、貴社にとってインターネットとはどのようなものでしょうか?

篠原:元号が令和に変わりましたが、一般ユーザーにとって、 インターネットは平成になってから生まれたもので、 平成の間にこれだけの発展を遂げました。 沖縄は地方にあって広大な海域からなる島しょ県ですが、 インターネットがあることで東京と同じような情報を広くあまねく行き渡らせることができます。 一方、インターネットに関連した不正利用や犯罪も増えてきていて、 ほとんどの人が善意で使っているのに、 一部の悪意を持った人によって壊されてしまう可能性があります。 通信の仕組みとしてセキュリティや安全性を担保していけるように、 令和の時代にはまた新たな段階に向かって、 ますます発展していけるといいなと思っています。

吉浜:パソコン通信をしていた頃はホストとしか通信できませんでしたが、 インターネットに繋げた時は、 世界と通信できるという事実にすごくドキドキしました。 エンジニア目線だと、 今でもルータ上でフルルートを見ると「世界中のこれだけのネットワークと通信できる!」とドキドキしますが、 一般的にはインターネットとクレジットカード決済、宅配便の普及、 この組み合わせがバランスを取り発展していったことで電子商取引の業態が急速に拡大し、 全然違う世の中になったと思います。 インターネットをさらに他のものと組み合わせたら、 また違う化学反応を起こして新しい社会が見えてくるのではないか?そんなことを考えながら仕事をしていきたいと考えています。

窪田:インフラという意味では、電気や水道、 ガスに道路が代表的なインフラであり地域にとっては重要なものですが、 世界には繋がっていません。 一方、インターネットは今や世界共通のインフラで、 海に囲まれた沖縄が世界と繋がるには、インターネットが一番簡単です。 世界に繋がるための窓として、非常に重要なインフラを支えるという責任を、 我々は沖縄県のインターネットサービスの一翼を担う形で果たしています。 その意味で我々の責任はとても重いものですが、 今後とも沖縄の人や企業の発展のために、 みなさまの期待に応えられるようにますます頑張っていきたいと思っています。

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