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ニュースレターNo.82/2022年11月発行

Internet ♥ You No.17

国立大学法人東京農工大学 助教 根本 貴弘さん

タイトルバック
図:マイク 東京農工大学で大学ネットワークの運用や国際化技術、 国際化文字列等の研究に従事しながら、Internet Engineering Task Force (IETF)やインターネットソサエティ日本支部(ISOC-JP)でも活動されている、 根本貴弘(ねもとたかひろ)さんにお話を伺いました。 インターネットの分野で大学教員としてのキャリアを歩まれているものの、 インターネットに深く関わるようになったのは大学院に進学されてからという根本さんに、 これまでの経験や影響を受けてきたもの、 今後の目標などを語っていただきました。

根本さんがインターネットを知ったきっかけ

高校1年生の頃に携帯電話を買ってもらい、 i-modeを使ったのが最初だと思います。 当時は、今ほどパソコンやインターネットに関心がなく、 インターネットの利用もメールや着信メロディーのダウンロード程度でした。

パソコンを使うようになったのは、大学に入学してからです。 BYOD (Bring Your Own Device)を前提とした授業があるため、 入学時にiBook G4を買いました。 パソコンを使った授業では、 Javaのプログラミングやホームページ作成などに取り組みました。 授業以外では、たまにデジカメで撮影した写真を編集したり、 インターネットで検索したりする程度のライトユーザーでしたが、 mixiが流行したのがきっかけで、 よくインターネットを使うようになりました。

大学生の頃について

早稲田大学の人間科学部人間環境科学科に入学し、翌年、 人間情報科学科に転科しました。 人の生活を豊かにするデザインに関心があり、 認知科学やコミュニケーション学、人間工学等の観点から、 人と情報の関係を学びたいと思い転科を決めました。 また、デザインを通じて社会問題にアプローチする考え方に触れ、 この頃の関心が発展して、国際協力の分野に結びついていき、 国連大学のグローバルセミナーにも参加し、 世界で起きているさまざまな問題について学びました。 サークル活動では、 繊維研究会という早稲田大学の中でも歴史あるサークルの幹事長をやっていたことがあり、 そこでは年に1回、ファッションショーを開催していました。 その中で、消費を促すだけではなくて、 持続可能な社会の発展について考えることがあり、 サークル引退後は、視野を世界に広げ、 国際協力について学んでいくこととなりました。

学部時代に学んだ国際協力への関心がきっかけとなり、 さまざまな国や地域の人が一緒になって学べる環境があるといいなと考え、 いろいろな分野の専門性を持つ人達がコラボレーションし、 プロジェクトに取り組みながら研究活動を行う、 慶應義塾大学大学院のメディアデザイン研究科(KMD)に進学しました。 進学当初はKMDのカリキュラムに従い、デザイン、テクノロジー、 マネージメント、ポリシーの各分野について学びました。 その中でも、当時は特にデザイン分野に注力しており、 授業の課題で作成した制作物を発展させ、 コンピュータエンターテイメント技術に関する国際会議に投稿し、 ギリシャまで発表しに行く等も行いました。 その後、バーチャルリアリティ(VR)やオンライン授業を扱うプロジェクト等と大変悩みましたが、 最終的にネットワーク系のプロジェクトを選択し、 本格的にインターネット技術について学び始めました。

修士の頃は、 イベント会場におけるインターネットの活用に取り組みました。 富士スピードウェイで開催される軽自動車の耐久レースで、 インターネットを使ったコミュニケーションやテレメトリの実証実験、 リアルイベントにおけるインターネットを活用したエンターテイメント性の拡張として、 車載カメラの映像やセンサ等の情報を動画コンテンツとして配信し、 応援メッセージ等を受け付けるWebシステムの構築等を行いました。

博士課程に進学してからは、結婚の予定もあったことから、 多少なりとも収入を得たい思いがあり、 大学の先生に相談したところ、IETFのInternet-Draft (I-D)の翻訳業務を紹介してもらいました。 これを募集していたのが株式会社日本レジストリサービス(JPRS)で、 その縁でインターンシップも参加させてもらいました。 インターンシップ初日の集合場所は成田空港で、 そのまま台湾に行き、ICANNのVariant Issue Projectの会合に参加しました。 意味は同じだが字体は異なる異体字という文字列を、 トップレベルドメイン名でどう扱うかを検討する会合でした。 それ以降は、IETFのPRECIS WGで発表するための準備に取り組みました。 PRECIS WGでは、 Stringprepに代わるアプリケーションで取り扱う識別子やパスワードを国際化(i18n)するための議論を行っており、 私はプロトコルレベルの処理に渡す前にアプリケーション側で行うべき文字列の前処理のガイドラインの策定に取り組んでいました。 2012年3月にパリで開催されたIETF 83が初参加で、 同時に初めて発表も行いました。 その後も、複数のI-Dを並行して執筆し、 IETF会合での発表や議論を重ね、 贅沢な経験をさせていただきました。 インターンシップ終了後も、IETFでの提案は継続しており、 学生の身でありながら、 IETFに提案しているI-Dの本数が慶應義塾大学の中で1番多い時期もありました。 また、PRECIS Derived Property Valueの算出プログラムを世界で最初に実装したことから、 PRECIS Frameworkが標準化された際には、 IANA Registryに登録するPRECIS Derived Property Valueの検証データの提供に協力しました。

大学教員になられた根本さんの、これまでのキャリアについて

世界を舞台に国内外の人と一緒に何かを作り上げていくことが楽しく、 標準化活動は継続したいと思っていました。 就職先については強いこだわりはありませんでしたが、 ある程度自身の裁量で活動範囲をコントロールできると思い、 大学教員としてのキャリアを考え、 青山学院大学の情報メディアセンターに就職しました。 大学教員ではありましたが、 大学のネットワークの調達や運用がメインで、 社内IT部門に近い役割でした。 私が着任した年から、 青山学院大学が箱根駅伝で優勝するようになったり、 入試の合格発表がオンライン化したりと、 Webページのアクセス集中に備え、慌ただしく対応しました。 その年はDNSラウンドロビンで暫定的に対応し、 次年度からはロードバランサを導入したのを覚えています。 他には、Cisco Networking Academyのインストラクター資格取得や、 学生に講習会形式でネットワークを教えることにも取り組みました。 青山学院は、大学だけでなく小中高と学校があるため、 基幹ネットワーク管理者として考慮する範囲が広くて大変な面がある一方で、 私の興味があることも自由にやらせてもらえました。 IETFにはほぼ毎回参加しましたし、 2017年にInterCommunityという、 世界中のISOCの支部をつないで行うISOCの一大イベントのローカルアレンジメントで、 東京ノードを青山学院大学に設置させていただきました。 その功績が評価され、ISOC本部から感謝状をいただきました。

現在は東京農工大学に移りましたが、 業務としては前職とあまり変わらず大学の情報システム運用や調達、 新入生向けの情報教育等に取り組んでいます。 また、それらに関する研究活動にも取り組み、 そこで得た成果を国内外で発表しています。

コミュニティ活動について

IETFでは、 主にApplications and Real-Time (ART)エリアやSecurity (SEC)エリアにてi18nに関連する技術提案を見ています。 また、PRECIS Frameworkを使用するプロトコルで最新のUnicodeを利用するための提案もおこなっています。 一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)から受託業務として行っている標準化動向調査では、 i18nに関連する技術だけでなく、 IoT技術についても調査を行なってきました。 2022年2月からは、 i18nに関する専門家チームであるInternationalization Directorate (i18ndir)及びART Area Review Team (artart)のレビューアーとしても標準化活動に貢献しています。 最近だと、EPP (Extensible Provisioning Protocol)というプロトコルでEA (I Email Address Internationalization)を使用するための拡張提案に関するレビューも行っています。 IETFで長く貢献されてきた大先輩方に混ざり意見を述べるのは、 とても緊張することですが、勉強させていただくことも多々あり、 とても良い刺激をもらっています。

ISOC-JPには、 2014年からプログラム委員会(PC)メンバーとして関わり始めました。 PCを2年務め、 インターネット標準化推進委員会(ISPC)ができてからは、 そちらに参加し、IETF報告会やIETF勉強会、 IETFの現地参加者向けの情報交換会であるGet-Togetherの等の企画や運営等に取り組んできました。 2016年3月に設立されたIETF Education WGでは、チェアを務め、 IETFのEducation Teamと連携して、 IETF新規参加者向け資料の日本語訳を行ってきました。 IETF会場で、 IETF参加に際して翻訳した資料を見たという人に出会うこともあり、 自分たちの活動が日本のインターネットコミュニティに貢献できていることを実感でき、 とても嬉しかったです。 2017年からは、ISOC-JPのオフィサー(役員)に選挙で選ばれ、 チェアも担当しました。 多くの方にISOC-JPの活動を知っていただき、 参加してもらえるよう、これからも頑張っていきたいです。 直近では、2023年3月25日~31日にIETF 116が横浜で開催されるので、 それを盛り上げるための活動にも取り組みたいと思っています。

今後の目標について

今後も継続してコミュニティ活動や標準化活動に参加していくためにも、 まずは大学の業務をきちんとこなしていきたいと思います。 先輩先生方を見ていると、 職位が上がるにつれ多忙になっている印象ですので、 一層の精進が必要だなと感じています。 個人的には、 今の道に進むきっかけを作ってくれた慶應義塾大学の加藤朗先生や、 JPRSの米谷嘉朗さんをはじめとし、 多くの先輩方のおかげで今があると思っています。 IETFに参加している方の中には、 若者を導いてくれる「おじさん」が多くいらっしゃいました。 そこで出会う方々が、気さくに話しかけ、 いろいろとアドバイスをしてくださったことは、 特に感謝しています。 自分も同じように、 新たに参加する人を巻き込んでいく雰囲気を守っていきたいです。 IETFでは現地会合も再開しているので、 その雰囲気作りにうってつけなISOC-JPのGet-Togetherを復活させたい気持ちがあります。

根本さんがプライベートではまっていること

昔から、服が凄く好きです。 ショップスタッフと話したり、 服飾品に関するうんちくを調べたりするのも好きです。 子供の成長に合わせ七五三等のイベントの記念写真で着るスーツを作りたいと思ったことがきっかけで、 仕立て服に関心を持ち、 友人に渋谷にあるTailor Caidという仕立て屋さんを紹介してもらいました。 魅力的な店主の山本さんをはじめ常連さんから、 普段なかなか学べない大人のマナーや嗜みを教えてもらっています。 またここ最近は、 いろいろなことがオンラインにシフトする中で、 SNSを通じて国内外のファッション関係の方々と知り合う機会に恵まれ、 人脈も広がりました。 在宅勤務が始まり通勤時間がなくなったことで、 大好きな家族と一緒に過ごす時間が増え、 心に余裕を持ちやすくなったことが、 仕事や趣味にも良い影響がでたのではないかと思います。

最後にインターネットに対する愛情のこもったメッセージをお願いします!

インターネットは自分にとって、グローバルなもので、 自分の世界を広げる道具です。 仕事だけでなく、趣味の場面でも、 人と人との繋がりを広げてくれるところに魅力を感じています。 それ故に、 スプリンターネットのようにインターネットそのものを分断せず、 いろいろな人が自由に安心して使えるインターネットの維持・発展に貢献していきたいと思っています。 また、インターネットを通じて得た繋がりによって、 さまざまな活動の機会をいただいていると思いますので、 その経験をいろいろな方と共有できる「おじさん」になれたらいいなと思っています。

写真:IETF87
▲IETF87での発表の様子
写真:IETF95
▲IETF95の際に、ISOC-JPの翻訳活動でお会いしたScott Bradnerさん
写真:風に流されるカモ
▲Tailor Caid店主の山本祐平さんと、 新作のグレーフランネルスーツの仮縫い

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