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ニュースレターNo.83/2023年3月発行

JPNIC会員 企業紹介

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

ISPからDC、SIまでワンストップで提供できる強みと豊富なノウハウを武器に
~インターネットを身近にして情報格差を無くしたい~
ロゴ:TAM
イメージ:タイトルバック

株式会社ウインテックコミュニケーションズ

住所 〒400-8545 山梨県 甲府市 北口2-6-10
設立 1996年9月30日
資本金 2,000万円
代表者 鈴木 新一
従業員数 13名(2023年2月1日時点)
URL https://www.wintech.ad.jp/
事業内容 https://www.wintech.ad.jp/service/index.html
■インターネット接続サービス
■データセンター
■ハウジングサービス
■システム構築サービス
■ネットワーク構築サービス
■運用・保守サービス
■クラウドコネクトサービス
■データ復旧サービス
■HD映像配信サービス
■デジタルサイネージサービス
■感染症対策
■医療介護

「会員企業紹介」は、JPNIC会員の、 興味深い事業内容・サービス・人物などを紹介するコーナーです。

今回は、1996年9月の創業から今年で27年目を迎えた、 株式会社ウインテックコミュニケーションズを取材しました。 同社は山梨県でISPサービス「ComLink」を提供されているほか、 自社データセンターを持ち、 それを拠点としたさまざまなサービスを展開されています。 また、JANOGのホストなど、 コミュニティ活動に積極的に参加されていることでも知られています。

今回の取材では、そういったさまざまな事業内容に加えて、 決して大所帯とは言えない規模でそれらを支えられる精鋭社員が育つ背景や、 業界全体に通じる次世代の若手に対する働きかけや取り込みの重要さと難しさなど、 山梨の魅力を交えながら、いろいろなお話を伺うことができました。

山梨県内をくまなく繋ぎ情報格差を無くすことが使命

写真:本社ビルの外観

◎まずは貴社の成り立ちについて教えてください。

清田:当社は、山梨県内から情報格差、 情報過疎を無くしたいという思いを原動力に、 「もっと身近にインターネット」というキャッチフレーズを掲げて、 1996年9月にセコムウインテック山梨株式会社として設立されました。 文化の日である同年の11月3日には、 インターネット接続サービス「ComLink」をスタートしました。 ComLinkは、「Communication Linkage」の略で、 地域の情報をインターネットでどこまでも繋いでいきたいという意を込めたものです。 その意気込み通り、ComLinkのスタートにあたっては、 情報過疎が起きないように山梨の全メッセージングエリアでアクセスポイントを開設するという、 当時としては常識外れの目標を掲げていました。 2002年10月には、山梨日日新聞および山梨放送を中心とした山日YBSグループ入りし、 この時に現在の株式会社ウインテックコミュニケーションズに商号変更を行いました。 その後は、インターネットの急速な発展に伴って事業内容を拡大していき、 現在は主に三本柱を事業の中心に据えています。

まず一つ目が山梨地域におけるISP事業で、 創業時から続けている「ComLink」です。 二つ目が自社で運営しているデータセンター(DC)事業で、 これを利用したお客様への各種サービスを提供しているほか、 お客様の機材を預かるハウジングサービスも行っています。 三つ目は、システムインテグレーションのサービスで、 お客様の事務所やサイト内でのネットワークやシステムの構築、 運用・保守などのサービスを提供しています。 また、現在では主力事業ではないのですが、 当社代表の鈴木を中心に創業時から医療に関する業務に関わっています。 医療分野でのネットワーク活用を通して地域社会に貢献することも、 当社にとっては重要な取り組みの一つです。

◎お客様の割合としては、やはり法人のお客様が多いのでしょうか。

田丸:山梨県内でISPサービスを提供していることもあり、 個人のお客様もそれなりにいらっしゃいます。 ISPについては、自社のサービスだけではなく、 県内にある複数のCATV事業者様から運用の委託を受けて、 それらのサービスも提供しています。 そのため、法人と個人では割合として半々ぐらいでしょうか。 法人のお客様では、一般企業のほか、大学関係や金融関係、 あとは自治体などがいらっしゃいます。

清田:また、当社は山日YBSグループの一員ですが、 例えば当社が山梨日日新聞のシステムやサービスなどに直接関わっているというよりは、 新聞作成に使うCTS (Computer Typesetting System)を利用する際のパブリッククラウドへの接続回線を提供するなど、 間接的な部分で関わっています。 あとは、グループ13社に対して、 インターネットのトランジットも当社が提供しています。

◎お話しいただいた三本柱以外に、 これから力を入れていこうとお考えの分野などは何かありますでしょうか。

岡:CATV事業は私が担当しておりまして、 CATV事業者は一部大規模なところがあるものの、 日本全国で見ると中小規模のところが多いです。 そういった事業者さんに対して、困ったところ、 痒いところに手が届くような、 うまくお手伝いをする展開ができればと考えています。 県内のCATV事業者さんで我々がFTTH事業を手がけたところが何社かあり、 設計から運用まで引き受けているので、 そこで得たノウハウを県外の事業者さんにも提供していきたいですね。

田丸:県内のISPが減っていく中で、 先日また一つ地域ISPを当社で受け入れました。 地域ISPというものの活動が今は全体的に減ってきていますが、 お客様の中にはどうしても今のドメイン名をそのまま使いたいという方もいらっしゃって、 当社はそういうISPを受け入れてきました。 これからは、個人向けからクラウドまで一貫してサービスを提供できる当社の強みを活かして、 県内の自治体や企業を受け入れてDCをもっともっと活用できるようにしていきたいと考えています。 DC自体も、今よりも増強する方向で進めています。

◎いろいろと手広く事業を展開されている印象ですが、一方で、 手がけていらっしゃる事業内容に比して社員数がとても少ないことに驚きました。 相当な激務なのでは、と心配になってしまいます。

清田:他社のISPサービスを継承すれば、当然ながら、 今いるメンバーの扱う範囲が増えるという感じになります。 とはいえ、人数は少ないですがブラックなんてことはなく(笑)、 みんな健全に働いています。 大きく営業と技術の2チームに分かれていますが、 元々はみんな技術者なので営業チームの中でもある程度は技術的な部分もこなせるため、 この人数でも対応できています。 ただ、技術面、営業面で拡張したいところはあるのですが、 そこまでの人の余裕は無いのが課題でして、インフラに興味のある方は、 ぜひ山梨に来てもらいたいです。

エンジニアとして必要なことを一通りすべて身につけられる職場

◎少数精鋭の社員を育て上げるコツは何かあるのでしょうか。

写真:機器点検

岡:以前はeラーニングや外部講習などを導入したこともありましたが、 今は特別な教育は何もしていないです。 他の企業では、通信なら通信だけ、DCならDCだけ、 SIならSIだけというところが多いですが、 当社はISPやDCというインフラを自前で持ち、 さらにSIもやっています。 通信インフラは自前で構築し、 DCもファシリティはともかく中身はほぼ自前です。 運用も自分達でやっています。 そういったノウハウがSI事業にも活きているため、先輩と仕事をすれば、 それがもう教育になるんですよ。 他の会社ではできないような貴重な経験を得る機会が、 当社にはあると思っています。

昔と違って今は、大企業では高度な技術に触れられる反面、 1人のエンジニアが触れることのできる範囲はすごく狭くなっています。 一方で当社にくれば、 高度さにおいては大企業ほどではないかもしれませんが、 一人前のエンジニアになるために必要なものが一から十まで全部揃っています。 自前の環境からお客様の環境まですべて触れるわけで、 もちろんやる気は必要なんですけれども、 成長のための環境としてはすごく恵まれていると思いますよ。

清田:こういう魅力はなかなか学生に伝えづらく、 この業界に若い人を呼び込む際に難しいところです。 学校や大学の授業支援にも関わっていますが、 やはり学生が興味を持つのはアプリやゲームといった分野が多いんですよね。 ネットワークの話をして、 「こういった仕事があるんだよ」と言ってもなかなかピンとこないようです。 求職者向けの合同説明会に参加してもそういう反応が多く、 どうにかしてこの仕事の魅力を上手に伝えていきたいと考えています。

岡:地域NOGなどでも話題になりますが、 我々の業種に限らずIT系は全般的に人手不足で、 若手の支援や育成は共通の課題です。 そもそも、 若い人の目に触れる機会を増やすところからまずは始めないといけないのですが、 我々だけでは限界があるので、 JPNICみたいなところも一緒に考えてもらえれば嬉しいですね。 どこか1ヶ所の地域のみで、ということではなく、 全国的に大学とか専門学校とかを巻き込んだ施策ができるといいのかな、 などと考えています。

◎インフラを支える重要さと仕事の魅力は、 JPNICとしてもしっかり伝えていかないといけないと考えています。 地域のインフラを支えるお立場として、 災害への備えなどについてはどのようにお考えでしょうか。

岡:災害への備えは十分に取っていて、 例えば地震に対しては当社が入っているビルは建物全体が免震構造になっています。 また、実際に地震をはじめとした各種災害で当社の業務に影響が出たことはこれまで無く、 安定したサービス提供を続けています。 ただ、大きな災害が起きるとお客様の需要には影響があり、 設備や業務に関する引き合いは増える傾向がありますね。

田丸:そもそも、山梨は内陸の上に山に囲まれているので、 台風が来ても山が遮って守ってくれますし、 津波の恐れも無いということで、水害がほとんどありません。 また、みなさんが思っているほど雪も降りませんし、 災害対策という面ではサービス提供に向いた立地なんですよ。 盆地なので夏は暑くて冬は寒く、 ちょうど良い季節が無いという点では、 人によってはちょっと不便ですけども(笑)。

清田:今、本社ビルの話が出ましたが、 この建物は1966年に建てられたもので、 2016年に大規模な工事を行って免震構造にしました。 その際、それまでは地下にマシン室があったのですが、 免震装置を入れるためにそのスペースを潰す必要が出てきて、 それをきっかけに別の場所に大規模なDCを作ることになりました。 これが結果としては非常に良い方向に話が転がり、 ちょうど山梨県内の自治体が共同利用する新たな情報セキュリティシステムを構築するタイミングと重なり、 当社のDCを利用していただけることになりました。 お客様としては、 重要な機材を安全なところに設置したいという要望を叶えられましたし、 当社としてもDCの安全性にお墨付きを貰ったということで、 お互いに良い取り引きになったと考えています。

ちなみに、 当社ではメンテナンスや障害対応に備えてコロナ禍以前からリモートワークの仕組みは整えてあり、 そのためコロナ禍ではスムーズに業務体制の切り替えができたのですが、 現在では原則としてオフィス勤務に戻しています。 東京などと違って、通勤時の感染リスクがそれほど大きくないとわかったからで、 こちらではマイカー通勤の人が多いですし、 電車通勤の場合でもそれほど混まないですしね。 災害が少ないだけではなくて、山梨は車でも電車でも東京から近いですし、 働くのにも暮らすのにも、ほどよい田舎だと思います。 山梨を離れて東京で仕事をしている人は、 ぜひ山梨に戻ってきて当社で働いて欲しいですね。

◎貴社は先日のJANOG51でホストを務められたほか、 山梨でJPNICが開催するIPv6対応セミナーにもご協力いただいています。 コミュニティ活動に大変力を入れられていますが、 何かご紹介されたい活動などありますでしょうか。

写真:アクセスポイント設定作業

清田:コミュニティ活動に積極的なのはお世話になった方々へ恩返しをしたいという社長の意向なんです。 賑やかな交流も好きなのかもしれませんけど(笑)。 それはともかく、2022年7月にNTT東日本の呼びかけで、 山梨のDXに一役買おうということで当社を含む県内10社により山梨DX推進支援コミュニティを設立しました。 「やまなしDXエンジン」というポータルサイトを開設して、 そこにDXの事例が紹介されているのですが、 今はまだ全国の事例が多い状態です。 ここに山梨の事例をどんどん載せていけるように、 今後は取り組んでいきたいと考えています。

また、一般社団法人山梨情報通信業協会(YSA)という組織があって、 大学との連携をしています。 その一環として、 YSA所属メンバーの何人かでソフトウェア開発の授業をお手伝いしていて、 私も非常勤講師として年に2~3回教壇に立っています。 といっても、別にプログラミングを教えるというわけではありません。 授業では我々がお客さん役になり、 学生にこういうシステムを作って欲しいと発注します。 それを受けて、 学生がチームを作ってシステム開発をするという流れです。 ちょうど、明日は発表がある日なので大学に行くんですよ。 ただ、授業の過程では学生達が一度は当社のオフィスにやってきて、 「こういう設計をしました」と中間報告をしてくれるのですが、 せっかく来てくれたので当社のPRをしても、 そもそも当社を知らない学生さんが多いんですよね。 そういう時に、やはりインフラは見えづらいんだなと痛感します。

インターネットの便利さを享受するとともに、その仕組みも知ってもらいたい

◎その辺りの周知活動については、 JPNICも一緒に取り組んでいきたいと考えています。 そのほかにIPアドレスやJPNICに関することで、 何かご要望やご意見、お困りごとなどはありますでしょうか。

岡:JPNICが普及を推進しているIPv6に関して言えば、 我々は県立・私立といった県内の多くの大学のシステム構築・運用を引き受けているのですが、 システムをリプレイスする時期が来た時にどんどんIPv6化しています。 我々が手がけているところは、ほぼIPv6対応が済んでいます。 CATV業界もIPv6化の流れですが、これにも我々が関わっているので、 当社は山梨県内でIPv6布教の伝道者と言っても良いと思います(笑)。 一方、一般のお客様からIPv6対応の要望はほぼありません。 ここに普及させようと思ったら、 知らない内にIPv6を使っていたという環境を作っていかないとダメだと思います。 一般の方々はIPv6なんて要らないよと思っているので、 強引に突っ込んでいかないと普通の人は使う機会が無いでしょうね。 実際、問い合わせは1件もありません。

一方、JPNICについては、 若い世代と我々の世代でJPNICに対する距離感が違うと感じています。 私は1989年からインターネットに関わっていて、 当時を知る我々にとってJPNICは身近ということはないものの、 かといってそんなに遠くもなく、 何となく見える範囲にいるという存在です。 一方、今の若い人は、インターネットの広がりがまだまだ狭かった当時を知りません。 今のように広大な世界になってから入ってきた人にとって、 JPNICは存在がすごく遠いんだと思います。 だから、JPNICのことがよくわからないんじゃないでしょうか。 我々は昔から知っているので、そういう風には感じないんですけどね。

◎本日は業務の話に留まらず、 いろいろと興味深いお話をたくさん聞くことができました。 ありがとうございます。最後に伺いたいのですが、 みなさまにとって「インターネット」とは何でしょうか?

清田:インターネットによって、 コミュニケーションの手段が圧倒的に広がり、便利になりました。 そして、インターネットを使ったデジタルなコミュニケーションの便利さによって、 対面で話し合うことの良さもまた改めて感じられるようになりました。 インターネットが無ければ、 そういった良さも感じることができなかったかもしれません。 ただ、インターネットを犯罪に使う人がいますが、 これはよくありません。 そういうことには使って欲しくないですね。

岡:私にとっては、子供の時に見た、 テレビの向こう側の世界を実現してくれたものですね。 ヒーロー物とかの通信手段で、 時計型のテレビ電話みたいなものが登場しましたが、 そういうものを今の世の中で実際に実現してくれているベースがインターネットです。 1980年代は、 インターネットには企業とか研究所だけが繋がっていて、 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)なども登場しておらず、 一般ユーザーはインターネットを今のようには使えない時代でした。 当社のメンバーの何人かは、 そういった頃からインターネットに関わって技術を身につけてきましたが、 まさに隔世の感があります。

田丸:私は、 元々は東京のセコム情報システム株式会社(現:セコムトラストシステムズ株式会社)で働いていたのですが、 当社が設立された1年後に入社しました。 前の職場にいた時に、米国にインターネットの視察に行ったことがあるのですが、 その時はインターネットがまさかこんなに普及するとは思ってもいませんでした。 当社に入ってからは、ComLinkのサービスを担当するようになったのですが、 「インターネットをください」とお客様が言ってくるなど、 今では笑い話のようなこともありました。 ただ、今でもインターネットがどういうものなのかをみんなが知ってるとは言いがたいですし、 IPアドレスやドメイン名のことを知らずに使ってる人はたくさんいます。 詳しいところをもっと知ってもらわないといけないですし、 我々が広めていかないといけないと感じています。 インターネットがどういうものかをユーザーが理解して使う、 そういった世の中をめざして、 使命感を持って取り組んでいきたいと思います。

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