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2001年2月8日

IETFの背景と歴史

なぜIETFが必要だったか

IETFの起源は、1969年の夏に、当時UCLAのLarry Roberts氏が、UCLA、 SRI International、UCSB、Utah大の大学院生で結成した Networking Working Groupであろう。 Networking Groupは、1970年代には50名から100名の規模になり、 1986年にIETF(San Diegoで開催され、 15名が参加)に引き継がれれた。 当初は5~6名のグループが、IETF会合だけでも2,000名を超える、 現在のIETFに成長したと考えることができる。 Networking Groupの当初の目的は、 異なるOSを持った計算機間でのデータ通信を実現するアーキテクチャおよびプロトコルの検討であった。 複数の組織の研究者が集まり、仕様の検討を行い、それぞれ、 独立に実装を行い、運用実験を行うというものであった。

コンピュータシステムは、常に固有の仕様を元に開発されてきたため、 それらを相互接続することが非常に困難であった。 共通の仕様をもとに、 多種多様なコンピュータシステムを構築運用することのメリットは、 計り知れないことは、現在のインターネットが証明している。 当初は、貴重な計算機資源を遠隔地からも共有し利用することができることが、 大きな目的であったが、結果的には、 世界規模で分散した計算機資源が情報を共有し利用することができることが認識されるようになった。 コンピュータシステムを相互接続運用するためには、 相互接続運用を行う各組織の研究開発者およびネットワーク機器の研究開発者が、 コンピュータシステムを相互接続するための共通の技術仕様を議論する場が必要であるとの認識から、 IETF(Networking WG)が発足した。

Networkig WGもIETFも、基本的には、 個人でのボランティア活動を基本としており、 草の根的な活動から発展してきたものである。 IETFは、実運用および実開発に関わる研究開発者が、 自発的に集まり組織化され運用されている点(ボトムアップ型)が、 ITU-TやISOなど他の標準化組織がトップダウン型で標準化組織が組織化され運用されている点とは異なる特徴であろう。 すなわち、実担当者達が、必要であったので、IETFは形成されたため、 非常に実践的な仕様策定および議論が行われてきた。

RFCのトリック

IETFにおける技術仕様は、 RFC(Request For Comments)という名前で文書化、保存され、 広くインターネットを通じて参照することができるようになっている。 RFCは、「コメントを募集」という意味であり、RFCの筆者が、広く、 インターネット関連の研究開発者から、 コメントを募集しますという意味になっている。 RFCは、1968年Steve Croker氏が発明したものである。 インターネット技術の研究開発は、 米国国防総省のARPA/DARPAが資金援助を行い研究開発活動が推進されたために、 研究開発の結果は、広く公開できないことになっていた。 しかし、研究結果を公開し、 インターネットに関わる人々に広くその仕様を流布し普及させることが重要であるので、 「コメントを広く募集する」ための、ドキュメントであって、 研究成果を公開しているのではない、 むしろ、研究成果をより良いものにするために、外部からのコメントを募集するためのドキュメントであるということで、 RFCを用いた、技術仕様の公開が始められたようである。

ICANN/IANA/USC-ISIの役割

ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)

インターネットにおける番号や名前に関する管理は、 インターネットの普及とともに、 IPアドレスやインターネットで用いられる論理名(FQDN)の不足、 あるいは、各組織の経済的利害関係が発生している。 従って、インターネットにおける番号や名前に関して、 国際的な観点から系統的に調整・管理を行うための組織が必要となってきた。 当初、以下に述べるIANAの機能を、 米国商務省が引き継ぐという提案が行われたが、 米国政府という一国の利害を中心とする組織で、 グローバルインターネットの名前や番号の問題を処理するのは、 健全ではないという意見が、IETFを中心に主張され、ICANNが設立された。

1996年から1997年6月までの約2年間、 インターネットのドメイン名の再編成を行う目的で活動した任意団体である IAHC(Internet Ad Hoc Committee)は、 このような国際的管理調停組織の先行的な活動であったと言えるであろう。

ICANNは、Internet Corporation for Assigned Names and Numbersの略である。 ICANNは、非営利の会社組織であり、現在、米国政府との契約のもと、 IANA(Internet Assigned Numbers Authority) が実行している以下の業務の遂行を実現するための組織である。

  • IPアドレスの割り当て
  • プロトコルパラメータ(通信規約で決めるべきデータフォーマットや記述方法など)の割り当て
  • ドメインネームシステム(DNS, Domain Name System)の管理
  • ルートネームサーバの管理

ICANNは、9名のAt-Large Director(世界の各エリアからの代表者)、 9名のサポート組織(SO; Supporting Organization)からのDirectors (3組織から各3名)、 President/CEOの合計19名のDirectorにより構成されている。 ICANNは、三つのサポート組織(SO)を持ち、 インターネットのポリシーや構造に関する評価検討を行っている。

  1. アドレスサポート組織(ASO; Address Supporting Organization)は、IPアドレス空間の割り当てに関する管理運営に関係する課題を検討している。
  2. ドメイン名サポート組織(DNSO; Domain Name Supporting Organization)は、ドメイン名の割り当てに関する管理運営に関係する課題を検討している。
  3. プロトコルサポート組織(PSO; Protocol Supporting Organization)は、インターネットプロトコルで使用される、プロトコルに関係する番号やパラメータの割り当てに関する管理運営に関係する課題を検討している。

IANA (Internet Assigned Numbers Authority)

IANAは、Internet Assigned Numbers Authorityの略である。 IANAは、米国南カリフォルニア大学のISI(University of Southern California, Information Sciences Institute)にあり、 インターネットにおける番号およびパラメータの管理を行っている。 IANAの活動は、米国政府の援助を受け、 米国政府との契約に基づいて行われていた。 しかし、米国政府から独立した運用を行うことが国際的な責任において必要であり、 従って、1999年から、 ICANNの援助によるIANAの活動が維持されるように変更された。

IANAは、当初、米国DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency) の資金援助をもとに運営を行い、その後、 NSF(National Science Foundation) の資金援助を受けながらその運営を行ってきた。 IANAの維持運営にあたっては、 1998年に他界したJon Postel博士の献身的な貢献に大きく依存していた。 IANAは、インターネットに関するIPアドレス空間の割り当てと管理、 ドメイン名の割り当てと管理、DNSシステムの管理運営、 TCP/IPプロトコル群で用いられるプロトコルで使用される番号やパラメータの管理を一元管理している。 DNSシステムの管理には、 世界中に13個あるルートDNSサーバシステムの管理運営も含まれている。

IPアドレスとドメイン名の割り当てと管理については、 世界を三つの領域に分け、それぞれの領域で、 IPアドレスとドメイン名の割り当て管理を行うという運用形態を取っている。 欧州はRIPE (Reseau IP Europeens, http://www.ripe.net)、 アジア太平洋はAPNIC (Asia Pacific Network Information Center, http://www.apnic.net)、 北米およびその他の地域はARIN (American Registry for Internet Numbers, http://www.arin.net) が、それぞれ、サービスを行っている。

文責 江崎 浩 (Hiroshi Esaki) 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授/WIDE Projectボードメンバー

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