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この文書は2002年3月14日に公開された http://www.icann.org/committees/idn/non-ascii-tld-paper.htm を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。


国際化ドメイン名(IDN)委員会
2002年4月16日

非ASCIIトップレベルドメイン(TLD)方針に関する問題の討議資料

はじめに

 この討議資料の目的は非ASCII TLDの選出方針についてICANN国際化ドメイン名委員会(IDN)の現在の 準備段階の意見を概要することである(注*)。そのようなものとして、本資料は可能性はあるが、決して保証 されていない見込みを論じている。すなわち、現在IETF(The Internet Engineering Task Force)が検討し ているIDNA基準がTLDレベルで効果的に展開可能となる見込みである。そのような見込みが現実になるかどう かは、例えばルートゾーン環境における非ASCII文字列(より正確に言えば、それらのASCII LDHにエンコード したので、通常ユーザーの目に触れることはない)の厳密なテスティングを含む、多くの不確定な要素に依存 している。しかし、ICANN国際化ドメイン名委員会の使命は、委員会規程にあるとおり、もしICANNが確実に展 開可能な非ASCII TLDに対応するようになった場合、生じる可能性のある方針関連の問題を予想することである。

 そのような注意点に留意して、本資料は、非ASCII TLDのレジストリ運用者の選出に関する予備的枠組み を含む、これまでに委員会が実施した広範な方針分析を概要する。提案されている個々の承認メカニズムの メリットとデメリットをレビューする。そして本委員会が最終報告を本年後半にICANN理事会へ提出する前の 連続したドラフトについてICANNコミュニティーからのフィードバックおよびコメントを得るために計画され たプロセスを概要してこのレポートを締めくくる。

 本委員会は本討議資料の内容に関するフィードバックを歓迎します。それは国際化ドメイン名の概念お よび技術的実装は「進行中の取り組み」であるため、本資料に含まれる情報および意見は不正確もしくは陳腐 化してしまう可能性があるからです。コメントは idn-comment@icann.org宛てに送付してください。

 簡潔に言えば、現在理事会の意見が重点を置いているのはIDNネームスペースに関する現行の方針および ASCII属性別TLD(gTLD)およびASCII国符号TLD(ccTLD)、を創設するためのコンセプトで、これらは長い間に 発展し、改良されてきたものである。それと同時にDNSに非ASCII文字を使用する場合の特有な要素を考慮する ために方針に追加、バリエーションを与えることも適宜検討する。

枠組み

 本資料は今後可能性のある非ASCII TLDを種類するための暫定的な枠組みを提案する。種類の理論的根拠 は異なる種類のTLDは(ASCII、非ASCIIにかかわらず)、各種類に関連して生じる特有の方針上の考慮する必要 があるもの次第で、様々な選択メカニズムが必要となる可能性があるという認識である。例えば、以下に詳述 しているように、現在のICANN方針はccTLDとgTLDについて異なる選択メカニズムを提供している。

 非ASCII TLDのための包括的選択および実装プロセスには、以下を含む多くの段階が含まれることになる だろう。

  • IDNA基準の確定
  • ルートゾーン実装試験
  • レジストリ運用者の選択
  • レジストリレベルの試験および展開

 IDN委員会は今後実現する可能性のある非ASCII TLDの選択プロセスおよび基準に関する問題を検討した さらに詳しい資料を近い将来発行する見込み。

 非ASCII TLDの設立を検討するにあたり、委員会はまず既存のICANN方針に着手し、新TLDを設立するため の出発点として以下の原則を含めた。(1)TLDの追加は、DNS全体の安定性を考慮し、慎重で抑制のきいたやり方 で実施する、(2)多くのTLDを急に導入するのは賢明ではない。(3)新しいTLDが誕生するのは、その運営を希望し、 能力を有するレジストリ運用者が存在する場合だけである。(4)様々な種類の新TLDは様々な契約、方針選択の 枠組みを必要とする可能性がある。(5)重要な利害関係者が参加できるように選択プロセスは透明であるものと する。

 委員会は非ASCII TLDのために追加された2つの原則に全般に合意する。すなわち、(6) 非ASCII TLD導入 目的の核心は母国語に非ASCII文字が含まれるインターネットユーザーがDNSサービスをより容易に利用できるよう にすること、および(7)新TLDが導入されるのはユーザーの需要が存在すると証明される場合だけである。

 本資料では、委員会は、今後実現する可能性のある新TLDは、TLD文字列それ自体の意味論上の明白なの意味 に従い論理的に分類されるという考えを前提としている。言い換えれば、あるTLDの文字列は意図したある意味を 有していると理解され、それに応じて分類され、ならびにそのためにつくられた選択プロセスに一致するものと する。

 委員会は様々な非ASCII TLDが様々な言語を使用するインターネットユーザーにより解釈された場合、意味 論上のあいまいさが存在する可能性を指摘している。そのようなあいまいさを最小にするために全ての合理的な試 みが行われるものの、この問題を全て排除するのは不可能である。

 意味論上の意味の概念は本資料の中核である。例えば、.info は、「info」という用語と「information」 という概念の間に意味論上のつながりを根拠として、グローバルで非制限的なTLDとして扱われている。.biz TLDは 「biz」という用語と「business」という概念のつながりを根拠として、登録は事業者に限られている。.museum TLD は、「museum」という用語と「museums」のコミュニティーの意味論上のつながりを根拠として、美術館や博物館の 登録に制限されている。国TLD(ccTLD)の領域では、割り当てられた2文字の符号と関連づけられた地理的単位に意味 論上のつながりが存在する。このようにして、.noは意味論上Norwayと関連があり、.usは米国、.zaは南アフリカ、 そして.chはスイスである。長年にわたるIANA方針(RFC-1591およびICP-1参照)によれば、これらの2文字符号は完全 にISO-3166-1の一覧表から選ばれており(これまでの経緯でいくつかの例外は存在するが)、それが意味するところは、 何が国で何が国ではないか(地理的に独立の地域を含む)、ならびにどの名前もしくは短縮形が意味論上特定の地理的 単位に関連付けられるかを決定することからIANAとICANNは距離を置いているということである。これらの問題は厳密 にICANNプロセスから排除され、政治の専門家、国際的に認知されている機関、国際標準化機構(ISO)ならびにISO3166 管理機関(Maintenance Agency)により決定されている。

 これらの前提の結果から、委員会はDNSネームスペース全体を推測し、今後実現する可能性のある意味論上の意味 に方向付けられたTLD文字列の分類(そしておそらく不完全な)を試みることを引き受けた。

 委員会は今後実現する可能性のあるTLD文字列の分類を、その文字列自体の意味論上の意味に基づき、以下のよう に決定した。

  1. 地理的単位との意味論上の関連
  2. 言語との意味論上の関連
  3. 文化的グループもしくは文化圏(ethnicities)との意味論上の関連
  4. 既存のスポンサー付きTLDとの意味論上の関連
  5. 既存のスポンサー無しTLDとの意味論上の関連
  6. その他全て

 現在委員会が理解しているこれらの種類のより詳細な定義は以下で説明する。

 以下の項で、委員会は特定の問題を「コメントを募集する問題」としている。しかし、コメントおよび意見をこれ らの問題だけに制限することは意図するものではない。本資料の中で提起されている全ての問題点全般についてコメント を要請する。

1.地理的単位

定義:

 「社会に認められている地理的単位との意味論上の関係」とは、TLDの文字列がそれを読む典型的な人により、 既存のASCII国TLDのように、広く世間に認められた地理的単位に明白に関連付けされるということを意味する。日本 という広く世間に認められた地理的単位に意味論上関連付けられる、日本語で構成される非ASCII TLDは、理論 上<日本>ということになる。

メリット:

  • 現行のISO-3166-1の一覧表は、広く世間に認められた地理的単位を明確に定義している。その一覧表を利用する ことによりICANNは何が国もしくは地理上独立した地域であるかどうかについて決定するという問題を避けること ができた。提案されている特定のTLDに関連付けられている地理的単位がこの一覧表に含まれているかどうかを ICANNが決定するのは簡単であるだろう。
  • ASCIIccTLDの委任プロセスは、明確であるため、非ASCIIトップレベルドメインスペースも簡単に対象にすること ができるだろう。RFC-1591およびICP-1の条件によれば、広く世間に認められた地理的単位に意味論上関連付けら れている非ASCIIトップレベルドメインの運営を希望する団体は、その定義された領域内のインターネット利害 関係者の広範な支持を立証し、提案のレジストリ運用者として技術的能力を確立する提案書を提出しなければ ならないだろう。透明性を確保し、コンセンサスを試すために、非ASCII ccTLDについての提案は公開され、主要 な利害関係者の意見を求める可能性もある(例えば、ISP協会、ASCII ccTLD運用者および政府等)。
  • 地理的領域について、ISO-3166-1の使用は包含および除外の両方により確実性を提供している。言い換えれば、 その一覧表に載っている広く世間に認められた地理的単位だけが非ASCII TLDに意味論上関連付けることができる とICANNは主張することができ、市、郡、地方、およびその他の地理的単位は言外に除外されているということで ある。この原則はICANN、IANAが特定の地理的領域に対する主権についての判断することを最小限にするだろう。
  • RFC-1591およびICP-1の原則を非ASCII TLDに使用することにより、特定の地理的単位に意味論上関連付けられる TLDの文字列は(言語もしくはスクリプトに関わらず)これらの原則に従わないかぎり、委任の要件を満たさない ということが明らかになるだろう。 言い換えれば(仮定の例によれば)、新クリプトニア国のローカルなインター ネットコミュニティーは、自国の公式認知名に意味論上(合理的な範囲内で)関連付けられるTLDの文字列を、英語、 日本語、アラビア語もしくはクリプトニア語で決定する適切な意思決定者である。
  • 1つの地理的単位に委任が認められるTLDの合計数の限度はその公用語の数と同じ数に設定される可能性がある。

デメリット

  • ISO-3166-1の一覧表は何が広く世間に認められた地理的単位(国もしくは地理上の独立地域)であり、何がそう でないかについての問題を解決する。しかし、一覧表はそれぞれの地理的単位に2文字および3文字のASCII符号 を提供するだけのものである。その一覧表はどのような非ASCII名(もしくはその短縮形)を各地理的単位に割り 当てるべきかという問題を解決するものではない。これは非常に重大なデメリットであり、以下の3つの方法に よるアプローチが可能であろう。
    1. 全ての非ASCIIスクリプトで記述された名前を含めるためにISO-3166-1に相当する一覧表を規定する (もしくはISO等の適切な正規の機関に作成を依頼)。これは政治的に非常に複雑な問題と関わる大仕事 となるだろう。
    2. 提案者に希望の非ASCII TLD文字列を指定させ、提案のTLD文字列が適切かどうかを決定するための条件 をローカルなインターネットコミュニティー内のコンセンサスに依存する。これは潜在的にICANNになじ まない多くの持続不可能な政治的負担をICANNに課すおそれのあるものである。
    3. ICANN政府諮問委員会に問題を種類するよう依頼する。この選択肢も同様の理由によりGACには全く訴え ない可能性がある。

コメントを募集する問題

  1. 現在のICANN、IANAの方針がASCII ccTLDの委任を認めるのは、ある地理的単位およびそれに関連付けられて いる符号がISO3166-1の一覧表に載っている場合だけである。ISO-3166の一覧表は広く世間に認められた国 および地域だけでなく、それら各々に関連付けられた固有の2文字のASCII符号も定義している。非ASCII文字 の国および地域名を定義するそのような権威ある一覧表は存在せず、ICANNは一定の基準点がないままの状態 である。この問題はどのように扱うべきか。望ましいTLDの文字列を特定し、それを正しいと判断することを 各々の提案者に任せるべきか。そうであれば、特定の地理的単位について提案された文字列の適切性の評価に 適用される基準は何か。そうでない場合、この問題を付託する中立の権威ある仲裁者は誰か。
  2. 現在のICANN、IANA方針は新しいASCII ccTLDの提案者にローカルインターネットコミュニティーから支持を 受けていることを証明することを求めている。このような要件は広く世間に認められた地理的単位に意味論上 関連付けられた提案されている非ASCII TLDの場合どのようにすれば客観的に評価できるのか。どのような ものが支持を示すものとして期待、もしくは必要とされるか。
  3. その地理的単位の既存のASCII ccTLDの管理者は、どのような役割(そのような役割が存在するとすれば)を果た すべきか。
  4. 政府はその国もしくは地域に関連付けられている非ASCII TLDの選出にどのような役割(そのような役割が存在 するとすれば)を果たすべきか。

2.言語

定義:

「言語との意味論上の関係」が意味するのは、それを読む典型的な人が明確にある言語の名前に結びつけることが できるTLD文字列である。例えば、「アラビア語」を意味するアラビア語の単語等である。

メリット:

  • IDNの目的が、ユーザーになじみの非ASCIIスクリプトでドメイン名を簡単にタイプできるようにすることで あるならば(世界的な一意性、名前解決機能を維持しながら)、単純にそれぞれの非ASCIIスクリプトに対し 1つのTLDを作成し、レジストリ運用者に下位のネーミングの取り決めを決定させればよい。
  • 1つの言語に関連付けられたTLDの文字列は特にその言語を使用する人々が世界中に存在する場合グローバル な言語に基礎を置くインターネットコミュニティーの発展に役立つ可能性がある。例えば様々なカンボジア語 を使用するコミュニティー等。

デメリット:

  • ある意味では、1つの言語に関連付けられたTLD文字列は不必要になる可能性がある。あるドメイン名が中国語 文字で構成されている場合、ユーザーは末尾のラベル(中国語文字)に「Chinese」を要求することに付加価値 を見出さないかもしれない。
  • ISO-3166-1の一覧表に類似する、広く世間に認められた全ての人間言語の一覧表は存在しないようである。
  • 主権国家の境界を越える言語コミュニティー。ある言語コミュニティーの一群について、利害関係者の コンセンサスを決定、獲得するという課題は非常に困難であるだろう。ICANN、IANAは様々な利害関係者もし くはさらに悪い場合、様々な政府が支持する競合する主張をゆだねられる。ICANN、IANAはこの種の紛争の 解決にはなじまない。
  • 言語は何千年もの歴史の産物であり、人々の思い入れを生み出し、大きな政治的論争の源となっている。これら およびその他の理由により、IETFは言語ではなく文字および符号の点だけを重点的に取り扱った。
  • 諸言語に意味論上関連するTLDを創設しようとすることは非常に多くのきわめて難しい政治的問題を引き起こす 可能性がある。例えば、中国語圏には中国本土の12億人、台湾の2,200万人、およびシンガポール、マレーシア、 米国の数百万人以上が含まれる。そのように複雑で微妙な政治的環境において単一のレジストリ運用者を選択 することは、ICANNのような技術的調整機構にとって全く不可能な役割であるだろう。

コメントを募集する問題

  1. 言語に関連付けられた非ASCII TLDの提案を判断する参照として使用できる(ISO3166-1に類似の)、広く世間に 認められた、権威ある諸言語の参照一覧表は存在するか。
  2. ある言語に利害を有する関連するコミュニティーとはその言語を話す全員の集団である。同様に、非ASCII TLD に関連付けられたある言語に関連するコミュニティーとは提案された言語に関連付けられた非ASCII TLD文字列 を構成する文字を使用する言語を話す全ての人々の集まりであるというのは正しいか。
  3. ドメイン名は本質的にその言語を意味するとすれば、ある言語の名称に意味論上関連付けられた非ASCII TLDは 必然的に不要であるというのは正しいか。
  4. 言語はしばしば領域上の境界を超え、様々な、時には敵対する政府の下で使われており、そのことは通常の (新TLDの創設プロセスで)要求されるコミュニティーのコンセンサスを確立、もしくはその証拠を提供すること をきわめて困難なものにしている。立証するのはほとんど不可能に近いことを仮定すると、例えば、アラビア語 を話す人により構成される世界中の全てのインターネットコミュニティーのコンセンサス等があるが、このよう な種類に属するものは方針現実性の問題として除外すべきか。そうでないとすれば、多くの国境を越える 「コンセンサス」はどのように客観的に証明することができるのか。
  5. 政府は言語に意味論上関連付けられている非ASCII TLDの選出にどのような役割 (そのような役割が存在するとすれば)を果たすべきか。
  6. 広く世間に認められた言語の権威(例、l'Academie francaise等) は、言語に意味論上関連付けられている 非ASCII TLDの選出にどのような役割(そのような役割が存在するとすれば)を果たすべきか。

3.文化的グループ、文化圏

定義:

「文化的グループもしくは文化圏(ethnicities)との意味論上の関係」が意味するのは、それを読む典型的な人が、 明確に広く認められた国境により定義もしくは制限されていない文化的グループもしくは文化圏に結びつけることが できるTLD文字列である。例えば、クルド人やスワヒリ族等。

デメリット:

  • 言語に関連付けられたTLDの問題は全てこのTLD文字列にも当てはまるだろう。国際的に広く認められた合法的 文化的民族的グループは存在しないようである。これらのグループは国境を超える。これらのコミュニティー における利害関係者のコンセンサスを特定し、検証しようという試みはきわめて困難である。
  • 諸言語と同様に、文化および文化圏の名称は非常に感情的、およびしばしば政治的論争の原因である。 ICANNにとっては、意味論上そのようなグループに関連付けられるTLDの創設を検討するだけでも、論争の嵐を 招く可能性がある。

コメントを募集する問題:

  1. 文化および文化圏に関連付けられた非ASCII TLDの提案を判断するとき参照として使用できる (ISO3166-1に類似の)、広く世間に認められた、権威ある一覧表は存在するか。
  2. 文化もしくは民族に意味論上関連付けられている非ASCII TLDの管理者が仕えるコミュニティーをどのように 定義すべきか。
  3. 広範で複雑な政治的論争および例えばある文化もしくは文化圏グループの全メンバーのコンセンサスを証明 することの困難さを考慮すると、このような種類に属するものは方針現実性の問題として除外すべきか。そ うでないとすれば、ICANNはどのようにすれば数え切れないほどの感情的に訴え、政治的に微妙な争いの真っ只 中に巻き込まれるのを避けることができるのか。
  4. 政府は文化もしくは文化圏に意味論上関連付けられている非ASCII TLDの選出にどのような役割 (そのような役割が存在するとすれば)を果たすべきか。

4. 既存のスポンサー付きgTLD

定義:

「既存のスポンサー付きgTLDとの意味論上の関係」が意味するのは、それを読む典型的な人が明確に既存のスポンサー 付きASCII TLDに結びつけることができるTLD文字列である。現在、これに含まれるのは、.aero、.coopおよび.museumで ある。本資料では、議論のあるところであるが.eduおよび.intも含める。.museumに意味論上関連付けられる非ASCII TLD の例としては、韓国語で「museum」を意味するハングル文字により構成されるTLD文字列等がある。

 このグループに関連する問題は単純である。既存のレジストリスポンサーは、自己のASCII TLD文字列と意味論上 同じ意味を持つ非ASCII文字のTLD文字列について権利を有するのか。既存のレジストリには優先権が与えられるのか、 それとも他の提案者と同様に扱われるべきか。

現職に優先権を与えるメリット:

 既存のスポンサー付きASCII TLDのレジストリに相当する非ASCII文字列TDLについての優先権を与えることは簡単で、 いくぶん論理的である。ICANNがスポンサーはTLDが仕えるコミュニティーを代表する適切な代理人および意思決定者である と結論すると、理論的にはそのスポンサーは非ASCII TLDについても同等の正当性を有するとみなすことも可能である。

現職に優先権を与えるデメリット:

  • TLDレジストリの選出は複雑である。ASCII TLDを代表するスポンサーは、特にそのスクリプトの範囲が非常に ローカライズされている場合、全てのコミュニティーにとっては最適ではない可能性もある。そのような理由 により、既存のスポンサー付きTLDに意味論上関連付けられるTLD文字列の割当について厳格な権利もしくは禁止 を設定せず、他の新TLDと同様に扱い、全ての提案者に開放し、しかし既存のASCII TLDレジストリのスポンサー にその役割を十分証明させ、それらに相当する非ASCII TLDについて提案することを認めるのが最善である可能性 もある。
  • 各TLD文字列は別個に扱われるべきであり、それが仕えるコミュニティーの支持を含め、スポンサー付きTLDの 基本的必要条件を確立することができる将来的なレジストリ運用者への提案に公開されるべきである。

コメントを募集する問題

既存のスポンサー付きASCII TLDに結びつけることができる非ASCII TLDの選択に使用すべきプロセスおよび基準は 何か。何か特別な検討が必要か。

5.既存のスポンサー無しgTLD

定義:

「既存のスポンサー無しgTLDとの意味論上の関係」が意味するのは、それを読む典型的な人が明確に.com、.net、 .org、.info、.bizもしくは.name等の既存のスポンサー無しASCII TLDに結びつけることができるTLD文字列である。 ここでもまた、問題は既存のスポンサー無しASCII gTLDの現在のレジストリ運用者に何らかの便宜を与えるかどうか である。

現職の優先権のメリット:

  • 既存のレジストリ運用者自身のため以外に重要なメリットがあるとは思われない。

現職の優先権のデメリット:

  • 問題の用語の一般的な性質、および言語に関する広範で複雑な意味を考慮すると、どの非言語および短縮形 に優先権を与えるかを決定するのは非常に難しい。確かに「company」の.comレジストリ運用者等ASCII TLD 文字列に何故論理上延長されないのかは明らかではない。
  • レジストリレベルの競争およびレジストリの地理的分布の原則は既存のASCII gTLD運用者に優先権を与える ことに強く反対している。そのような優先権は競争よりも市場の集中を進めることになる可能性がある。

コメントを募集する問題

既存のスポンサー無しASCII TLDに結びつけることができる非ASCII TLDの選択に使用すべきプロセスおよび基準は 何か。何か特別な検討が必要か。

6.その他全て

定義:

この種類には、全ての非ASCIIの語、短縮形、もしくは上記5つの種類のいずれにも意味論上関連しないその他の 文字列が含まれる。

分析:

 この種類(および多分上記種類4および5)について、委員会はASCIIと非ASCIIの新TLDについて区別しないと結論 した。つまり新しいASCII TLDに使用されるプロセス(長年にわたり経験により精緻になった)は同様に新しい非ASCII TLDにも適用されるものとする(技術的基準が完成し、TLDレベルで展開可能となったとき)。

 新しいTLDに使用されるプロセスの重要な要素は次のとおり。公開の提案要請、選択基準の精緻化、技術、財務の 専門家による独立したレビュー、ならびに全ての提案の完全な透明性である。委員会はあるスクリプトのTLD文字列が 仕える言語のコミュニティーのニーズを満たすためのレジストリの選択のための基準をいくつか追加すればこれらの要素 を同様に非ASCII TLDの提案に適用しない理由は存在しないと考える。

コメントを募集する問題

これまでに定義した分類にあてはまらない非ASCII TLD、言い換えれば非ASCII gTLDの選択に使用すべきプロセス および基準は何か。

次のステップ

ICANNのIDN委員会は以下に概要されたプロセスを引き受けるために暫定的な提案を行い、ICANNコミュニティーの 重要な利害関係者が今後数ヶ月行う審議中本資料にコメントする機会を与えるものである。

関心を持つ関係者は委員会は本資料についてのフィードバックを求める以下の2つのパブリックコメント募集期間に 特に留意してください。委員会の検討についてのコメントは idn-comment@icann.orgあてに送付してください。

2002年4月17日 非ASCII TLDの協議資料の発行
4月17日から30日 第1次パブリックコメント期間
5月10日 非ASCII TLDの協議資料第2版の発行
5月10日から30日 第2次パブリックコメント期間
6月17日 理事会に提出する非ASCII TLDの協議資料の発行
6月24日から29日 ICANNコミュニティーおよび理事会によりIDN委員会のレポートを協議(ブカレスト)

巻末の注:

*「非ASCII TLD」とは文字列自体に現在認められているASCII「LDH符号ポイント」(ASCII文字、数詞およびハイフン -マイナスに関連づけられている符号ポイントを意味する。つまり、U+002D、30..39、41…5A,および61..7A)以外の文字 が含まれているTLD。「LDH」は「letters, digits, hypen」の一般的に使用されている短縮形である。本協議資料では、 「非ASCII」という用語を「ASCII LDH以外の文字」の省略形として使用する。

**「言語」、「スクリプト」という用語および関連する概念はよく間違って定義され、その結果コンピューターおよび インターネットの国際化に関する議論で誤解される。読者は定義の網羅的な一覧表はPaul Hoffman氏の「Terminology Used in Internationalization in the IETF」を参照してください。また、RFC3066により定義されている「IANA language registry」も参照してください。

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