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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.517【臨時号】2008.2.8 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.517 です
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2007年11月19日~22日に秋葉原コンベンションホールで開催したInternet 
Week 2007の各プログラム内容紹介最終回です。
   
なお、1日目、および2日目のプログラムについては下記URLをご覧ください。

JPNIC News & Views vol.515 Internet Week 2007レポート
(各プログラムの内容:1日目)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol515.html

JPNIC News & Views vol.516 Internet Week 2007レポート
(各プログラムの内容:2日目)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol516.html

今回は、開催3日目に行なわれた二つのプログラムでどのような議論が繰り広
げられたのか、そのサマリについてご報告します。

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◆ Internet Week 2007レポート(各プログラム内容:3日目)
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   「事業者がやってよいこと悪いことを考えよう」
   「The Internet Operations」

                                   JPNIC インターネット推進部 根津智子
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本号では、3日目のプログラムである「事業者がやってよいこと悪いことを考
えよう」「The Internet Operations」の2プログラムをまとめてお送りしま
す。「事業者がやってよいこと悪いことを考えよう」は立石聡明氏、「The 
Internet Operations」は向井将氏による、最終日の「IP Meeting/Internet 
Forum 2007」での発表に基づき、JPNICで編集を行ったものです。

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◆カンファレンス 「事業者がやってよいこと悪いことを考えよう」について
  (社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA) 立石聡明氏の
   発表より)

  ※プログラム詳細はこちらをご覧ください。
  https://internetweek.smartseminar.jp/public/session/view/4/
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まず初めに、「『通信の秘密』と『セキュリティ』の法律講座」と題し、通信
の秘密とセキュリティに関する基本的なお話をしてもらいました。この中で
は、プロバイダ責任制限法はISPだけでなく、コンテンツ事業者・ホスティン
グ事業者ともに関わってくるものだということも再確認しました。また「法律
と技術は両方とも必要だ」というお話がありました。

その次に、「大量通信対策フォーラム~事業者がどこまでやれるのか?~」と
題し、NTTコミュニケーションズの甲田博正氏、ニフティの木村孝氏、総務省
の扇慎太郎氏に、spam対策、「OP25B」とその経緯の説明、迷惑メール対策法
の現状、またWinnyとその現状について話をしてもらい、その後3人でパネル
ディスカッションをしてもらいました。甲田氏からは、通信の秘密に関し、電
話時代の頑丈な守りに比べ、インターネット時代は、そもそも通信がどこから
どこまでかもはっきりせず、通信事業法が以前のままであるため暗中模索で進
めるしかなく、そもそも通信の秘密とは何だろうというお話がありました。ニ
フティの木村氏からは、いわゆるDoS攻撃等を通信事業者はどのように取り扱
えばいいのか等を記した「電気通信事業者における大量通信等への対処と通信
の秘密に関するガイドライン(一般には非公開)」についてのお話がありまし
た。また、多くの事業者が困っている迷惑メールについては、現在、法改正の
ただ中であり、いくつかの研究会が開催されています。その内の一つから、先
日「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会の中間とりまとめ案」が出さ
れたため、この説明を総務省の扇氏にしていただきました。会場からは、「違
法性の阻却事由の中に、本人の同意を取ればいいとあったが、電話でいいの
か、もしくはメール等の文書が必要なのか」「正当業務行為と言っているがそ
れはどこまでの範囲なのか」等という質問がありました。

その後、「ドメイン名と商標権~他国からの脅威」と題して、GMOインター
ネットの橘弘一氏に、ドメイン名紛争処理の仕組みや申し立ての増加率等を、
統計を交えてお話いただきました。日本ではドメイン名に関する紛争は少ない
ものの、海外では紛争事例の枚挙にいとまがないというお話がありました。例
として、商標そのものをドメイン名として登録するケースだけでなく、「○○
○のような商標に対しe-○○○というドメイン名を登録した事例が、類似商標
として認められるかどうか」を争点に争われるケースなどについて紹介があり
ました。今回はドメイン名の紛争処理を解決するためのフレームワークの話を
中心にしていただきました。そのフレームワークの中で、レジストラはICANN
との契約を適切に締結すべきであり、またレジストラは紛争に対して関与する
べきではないとされていること等について説明がありました。

次に、「著作権侵害と事業者の対応」に関して、弁護士の中川達也氏に、損害
賠償の範囲はどの程度か、実際に事業者はどういうケースで何を行わないと訴
えられるのか等、著作権とプロバイダ責任制限法のそれぞれの中身を踏まえた
具体的なお話をしていただきました。その後、ぷららネットワークスの土井猛
氏が、ユーザーが著作権侵害を起こした例をあげ、BtoB取引などで、事業者が
直接でなく、間に企業が入った際の対応の難しさや、著作権法とプロバイダ責
任制限法でどう対応できるかという例をお話しいただきました。契約約款を盾
にばっさり切り捨ててしまうのではなく、粘り強く話をしていると見えてくる
ところもあるという話が印象的でした。このお二人に対談をしていただいたと
ころ、法律ではばっさり切ってしまうところも営業ではそうはいかないとい
う、弁護士と営業との立ち位置の違いも垣間見ることができました。また、肖
像権の話では、ファッション関係でとある法人が銀座で撮影した女性の写真を
本人の許可なく掲載して訴えられたという例や、プロバイダ責任制限法でいう
と違法なものはばっさり切ってしまえということになるのだが、例えばそれが
私的複製の範囲だった場合、今度は自分達が損害賠償請求を受けてしまうとい
うことも考えられるため、必ずしも削除すればよいわけでもない、ということ
などをお話しいただきました。

最後に「違法・有害情報対策」について、インターネットホットラインセン
ターの吉川誠司氏に、違法・有害情報としてどういった情報が寄せられ、それ
に対してどのような処理を行っているかをお話しいただきました。ひどい人に
なると、違法・有害情報の事実を知ると対応の義務が生じるため、ホットライ
ンセンターからの対応要請を拒否する場合もあるそうです。また、JPCERT/CC
の鎌田敬介氏に、JPCERT/CCが行っている、フィッシングやマルウェアへの対
応依頼の調整事例をご紹介いただきました。スパムメールやマルウェアなどの
インシデントはいくら対応してもなくならないため、国際的に連携し対応を
行っているという話や、さまざまなlameが残っていることもあるため、サーバ
やルータに関わっている人はほったらかしにはしないで欲しいという、注意喚
起がありました。


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◆ワークショップ「The Internet Operations」について
  (日本ネットワークオペレーターズグループ(JANOG)の向井将氏の発表より)

   ※プログラム詳細はこちらをご覧ください。
     https://internetweek.smartseminar.jp/public/session/view/12/
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インターネット資源の調達がかなり厳しい状況です。AS番号は何とか4バイト
に乗り換えることができそうですが、IPv4アドレスに関しては、そうはいかな
い状況であることがわかっています。それを踏まえ、RAMやLISPというキー
ワードでアーキテクチャを考え直すことが始まっているようです。これは、次
世代へのシフトを考えるタイミングが来たということかもしれません。こう
いった転換期にあたり、そもそも自分達はインターネットのことを本当に理解
しているのだろうかと自問し、今回、午前と午後をあわせ、以下四つのセッ
ションを持つ本プログラムを作ることになりました。

  (1)「国内ブロードバンドトラフィックの最新状況」
       国立情報学研究所の福田健介氏
  (2)「IPトレースバックのオペレーション」
       奈良先端科学技術大学院大学の門林雄基氏
  (3)「The Internet Operations(前編)~Internetの基盤をなすケーブル
      ネットワークの構成~」
      NTTコミュニケーションズ社の岡田雅也氏、アジアネットコムジャパン
      社の石井秀雄氏
  (4)「The Internet Operations(後編)~次世代ルーティング~」
      慶應義塾大学の湧川隆次氏、Juniper Networksの河野美也氏

また、この四つのセッションを並べた際に、現在から未来へシフトするような
流れが見えるよう考慮しました。

福田氏からは、1日当たりのブロードバンドユーザーのトラフィックは推定
720GBもあるということ、うち、国際のトラフィックは約3割の255GBであり、
これが右肩上がりな上に、その傾向は今後も続きそうであるため、かなり深刻
なのではないかという話がありました。ユーザーの4%が全トラフィックの75%
を生み出しているので、「この4%をコントロールすれば全体もコントロールで
きるのではないか」ということも提起されました。ユーザーの分布は大都市圏
でも地方圏でも大きな差はなく、アクセスラインの帯域が広がると、広がった
分を遠慮なく使うユーザーがほとんどだそうです。光に交代していくと、トラ
フィックがどんどん生み出されていくので、バックボーンへの影響はより大き
くなることがわかります。

続いて、門林先生からは、「トラフィックが伸び、ユーザーの利用シーンも拡
大している中、顧客に対して質問には迅速に答えないとクレームが来る。また
これだけトラフィックが伸びれば、インシデント発生への対応も必要である。
かかる状況下、今後は既存の運用ツールだけでの対応は難しいのではないか」
ということで、インシデント発生時対策の一例として「トレースバック技術」
が紹介されました。このトレースバックがめざすものは、複数のISP間で協調
し、その協調関係の下、パケットが辿った経路を復元しましょうということで
す。1Gbps、10Gbpsというバックボーンの中で、パケットがどういった経路を
辿って到達したかを把握するのは通常は困難であるため、これが広く連携して
できるようになってくれば、今の実験よりも要求精度の高いものができるだろ
う、ということでした。

次の、「ケーブルネットワークの構成」では、ケーブルネットワークのベース
となっている基幹部分について、国内側をNTTコミュニケーションズ社に、国
際側についてはアジアネットコム社にお話しいただきました。国内側の話で
は、日本のコア伝送ネットワークは帯域幅が40Gbpsであり、100Gインタ
フェースも視野に入ってきているため、それに対応する光ファイバーも作って
いるとのことでした。国際の方は、光ファイバーは現在のものを利用し、両端
に設置してある転送装置の増強で対応していくことで考えており、現在では
10Gbpsの対応が見えてきているとのことです。増強するとなると品質も問われ
ていくわけですが、東京集中型から分散型に移行しており、また点と点を線で
結んだ形態から面への展開に変わってきるとのことです。国際の場合は意外と
距離があり、それに依存して遅延が発生することからも、ring protection、
つまり迂回システムを設計して使うということに取り組んでいます。

「次世代ルーティング」では、インターネットが日々拡大し、生き物のように
進化を遂げている中、またそこで使える資源が有限という状況で、そもそも次
世代に移行できるのだろうか、「拡大」という概念とうまくリンクするのだろ
うか、という疑問が提示されました。インターネットそのものは、アドレスを
割り当て、ネットワークを構成する際に、アドレスとトポロジーが密接な関係
を保っています。従って、次世代を考える際には、「今のトポロジー上にもう
一つの階層を作り、解決するのはどうであろうか」という提案がなされている
ようです。キーワードとして「モビリティ」「ロケーターID」、また、位置情
報と端末の情報を切り分けて考えるという方法で乗り切ろうと提案されている
ということです。

1日のこのプログラムを通じて感じたことは、

  (1)流通するコンテンツ、高度化するビジネスの要求に応じた品質の向上
  (2)有限な資源の制約を超えて、インターネットを支えていく必要性
  (3)増大するトラフィックに追従するシステム

というようなことに取り組み、対応していかなければならないということに
集約されるのではないかということでした。

                      ◇          ◇         ◇

3回に分けてお送りしたIWのプログラムの模様はいかがでしたでしょうか。

最終日に行われた「IP Meeting/Internet Forum 2007」でのパネルディスカッ
ション:「ネットワークはどうあるべきなのか ~Internet Weekプログラム委
員が考える現状の問題提起と今後に向けて~」の議論について等は、次号の
JPNIC Newsletterでお伝えする予定です。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.517 【臨時号】

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