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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.528【特別号】2008.3.17 ◆
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┃ JPNICはIPv4在庫枯渇の問題に取り組んでいます ┃
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┃ http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ┃
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◆ IPv4アドレス在庫枯渇関連レポート [第10回]
~APNIC 25ミーティングにおける枯渇関連の議論に関するご報告~
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2008年2月25日から29日に、台湾の台北で行われたAPNIC 25ミーティングにお
いて、IPv4アドレス在庫枯渇に関する議論が活発に行われました。今回のレ
ポートでは、それらの議論の概要を報告します。
■ APRICOT(*1)/APOPS(*2)でのIPv4アドレス在庫枯渇関連報告
2月25日にAPNIC 25ミーティングと併催されたAPRICOT 2008およびAPOPSセッ
ションで、JPNICが公開した「IPv4アドレス在庫枯渇問題に関する検討報告書
(第一次)」(以下、第一次報告書)(*3)の内容を中心に、日本でのIPv4アドレス
在庫枯渇に関する議論の現状報告を行いました(*4)。
会場からは、これまでのJPNICの取り組みを評価する声が多く聞かれた一方
で、そろそろIPv6対応への課題を技術的に検討する時期から、実際にIPv6を採
用する事業者やユーザー側に、どういう経済的インセンティブを与えるべきか
の検討に移る時期に来ているのではないか、といった指摘もありました。
APNICのGeoff Huston氏からは、もしそういう検討を行うのであれば、ぜひ参
加したいという前向きな発言もあり、コミュニティ全体がIPv4アドレス在庫枯
渇を乗り切るために何をすべきか自ら考える空気が醸成されてきたように感じ
ます。
■ アドレスポリシーに関する議論
2月28日に開催されたアドレスポリシーSIGでは、IPv4アドレス在庫枯渇に関す
るアドレスポリシー提案が五つ議論されました。以下にその内容と議論の様子
を報告します。
(1) [prop-050] IPv4アドレスの移管を認める提案
現在アドレスポリシーで原則禁止されているIPv4アドレスの移管を、特定の条
件下で認めるものです。移管の条件として、移管先、移管元双方がAPNIC会員
であること、移管は/24を最小単位とすること、移管を行った後24ヶ月はAPNIC
から割り振り、割り当てを受けることはできなくなることなどが定められてい
ます。
会場からは「この提案は実質的にIPアドレスの市場化を生む。今のIPアドレス
管理体制が様変わりする危険もはらんでいる」という懸念が表明される一方、
「リースという(現行の)概念を維持するよう提案を見直すべき」という意見や
「移転を認めるアドレスサイズはポリシーではなく実際の運用に任せるべき」
という意見も聞かれました。
その後も「こうした枠組みは絶対に必要。まずは施行して、細部は必要に応じ
て修正するということで良いのでは」という意見も出され、活発な議論が続き
ました。全体として、アドレス移転を認めることはやむを得ないという意見が
大勢を占めたように思います。ミーティングでの結論としては、もう一度、提
案者が今回出された意見を元に提案の再修正を行った上で、次回のAPNICミー
ティングで再度議論することとなりました。
(2) [prop-055] IANAからRIRへのグローバルアドレス分配の提案
IANAの/8 IPv4アドレス在庫が5個になった時点で、各RIRに一つずつ/8を割り
振ってIANAの在庫を終了とするという提案です。
会場からは、APNICが受け取る最後の/8をどう利用するかを検討するべき、と
いう意見が出され、引き続きメーリングリストで議論を続けることになりまし
た。
(3) [prop-052] RIR間でIPv4アドレス在庫枯渇時期を調整する提案
IANAの/8 IPv4アドレス在庫が尽きた以降は、最も未割り振りアドレスの多い
RIRが供給元となり、その他のRIRへIPv4アドレスの割り振りを行うという提案
です。
会場からは、アドレス需要の多いRIRが、管轄地域に発展途上国を多く持つRIR
のアドレスを全て吸い取ってしまうことに対する強い懸念が表明され、本提案
は会場の賛同を全く得られず、却下となりました。
(4) [prop-056] 在庫枯渇に向けたIPv4ソフトランディングの提案
IANAのアドレス在庫が少なくなるに従って、段階的にLIRからRIRへのIPv4アド
レスの追加割り振り基準を厳しくしていくという提案です。
提案者の意図として、IPv4アドレスの在庫枯渇を少しでも先に延ばせればとの
思いがあったようですが、APNICのGeoff Huston氏が自らの予測手法に当ては
めて検証した結果、この提案によって延ばせる期間は1ヶ月程度という予想が
出され、これを受けて提案者は提案を取り下げました。会場では、IPv4アドレ
スの追加割り振り申請の基準を厳しくするのではなく、IPv6の実装を義務づけ
ることを要件にすればどうかという問いかけが行われましたが、特にこれと
いった意見は出されず、次回のミーティングに再提案として提出されるかどう
かは微妙な状況となっています。
(5) [prop-058] LIR向け共有アドレスの新設
LIRがユーザーに対しNATを利用したサービスを提供する際、ユーザーが利用す
るプライベートアドレスとのバッティングを避けるため、/8のグローバルアド
レスを1個LIRの内部ネットワークに使用できるアドレスと定め、そのアドレス
はその用途に使われる限り、LIRであれば自由に使って(共有して)良いとする
提案です。
会場からは、IPv4アドレスの在庫が枯渇していく状況の中で、多段NATでIPv4
のサービスを提供し続けるには必要なアドレスであり、必要性は理解できると
いう賛同があった一方で、APNICだけで決められる問題ではなく、IETFへ持っ
て行くべき提案なのではないかという意見が多数を占め、APNICへの提案とし
ては却下扱いということになりました。
上記提案群では、(1)に類似した提案がARIN、RIPEにも提出されており、今後
の動きが注目されます。
(*1) APRICOT: Asia Pacific Regional Internet Conference on Operational
Technologies
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ah.html#01-APRICOT
(*2) APOPS: The Asia Pacific Operators Forum
(*3) http://www.nic.ad.jp/ja/pressrelease/2007/20071207-01.html
(*4) APRICOT2008発表資料
http://www.ap-ipv6tf.org/meetings/summit2008/IR1.pdf
APOPS発表資料
http://www.apnic.net/meetings/25/program/apops2/hosaka-ipv4-japan-perspective.pdf
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
IPv4アドレス在庫枯渇関連のQ&Aは特集ページをご覧ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/
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