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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.595【特別号】2008.11.21 ◆
  _/NIC
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   ┃        JPNICはIPv4在庫枯渇の問題に取り組んでいます         ┃
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   ┃★Webサイト:「IPv4アドレスの在庫枯渇に関して」             ┃
   ┃  http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/                      ┃
   ┃                                                            ┃
   ┃★バックナンバー:                                          ┃
   ┃  http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/          ┃
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◆ IPv4アドレス在庫枯渇関連レポート [第16回]
   ~ARIN、RIPEにおけるIPv4アドレス移転の議論状況~
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今回の号では、IPv4アドレスの移転の提案について、ARIN、RIPE地域それぞれ
における議論の状況をご紹介したいと思います。

■IPv4アドレス移転の提案とは

まず簡単におさらいすると、IPv4アドレスの移転の提案とは、現在アドレスポ
リシーで禁止されている、分配済みIPv4アドレスをLIR(*1)間で移転すること
を、今後認めようというものです。

厳密には移転を認めること自体が提案の主眼ではなく、当事者間で合意があれ
ば、RIRのデータベースに登録されているIPv4アドレスの割り振り先情報を、
他組織の情報へ変更/更新することを認める、とする内容です。その背景とし
ては、2011年と予測されているRIR(*2)のIPv4アドレス在庫枯渇後、LIR間で分
配済IPv4アドレスの移転が行われるようになることを前提としています。

五つあるRIRのうち、ARIN、APNIC、RIPEの3RIRで提案が行われており、提案者
と移転の要件はそれぞれ異なります。しかし、LIR間のIPv4アドレス移転を今
後認めるとする点、そして、以下の前提を提案の背景としている点では共通し
ています。

その前提とは、

・RIR管理下のIPv4アドレス在庫枯渇後、上位レジストリから新たにIPv4アド
  レスの分配を受けることはできなくなるものの、IPv4アドレスの需要は当面
  継続する。

・それに伴いLIR間で分配済みのIPv4アドレスを移転しようとする動きが出て
  くる。

・そして、レジストリがそれを認めなければWHOIS上の利用者と実際の利用者
  に乖離が生じ、レジストリデータベースの信頼性低下につながる

というものです。

一方、RIPE、ARIN地域どちらの提案にも共通し、APNIC地域とは異なる点は、
移転を認める要件として、移転先に対してIPv4アドレスの利用確認をARIN/
RIPEが行うとしている点です。どちらの地域においても、実際は必要としない
にも関わらず、IPアドレスが投機目的で売買されることを防ぐことを重視し、
この要件を設けています。また、APNIC地域の提案では、/24単位までアドレス
を分割して移転を行うことを認めていますが、RIPE、ARIN地域では経路増
加への影響を配慮し、アドレスの分割をできるだけ抑える要件となっていま
す。

そして、2008年8月にニュージーランド・クライストチャーチで行われたAPNIC
ミーティングでは継続議論という結論となり、その後10月にはARIN、RIPE地域
にてアドレスポリシーを議論するミーティングがそれぞれ開催され、議論が行
われました。

(*1)LIR
   http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ra.html#19-lir

(*2)RIR
   http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ta.html#14-tiikirejisutori


■ARIN XXIIでの議論

ARIN地域での提案は、提案者自身が移転を認める必要性を強く感じて提案して
いるというよりも、AC(*3)メンバーがARINコミュニティとして検討が必要な課
題と考え、問題提起のために提案をしている意味合いが強いようです。

今回の議論では、半年前のミーティングのときのように、提案の背景となって
いる問題が実際起こるのか疑問視する声は聞かれなかったものの、移転を認め
た場合の影響について懸念を示す意見が引き続き強く、コンセンサスには至り
ませんでした。

特にIPアドレスへの課税導入や資産化等、LIR間でアドレスの金銭的な取引が
行われることへの影響が不明であることから、それらへの懸念が引き続き残っ
ているという印象です。

また、経路増加への影響を抑えつつも実情に即した移転方法として、分配済み
アドレスをどの程度まで分割して移転することを認めるべきかという点でも議
論が行われました。

それから少数派ではあるものの、「IPv4アドレスの数には限りがあることか
ら、移転を認めても在庫枯渇後のIPv4の需要には暫定的にしか対応できず、長
期的な対策ではない。IPv6への移行をむしろ遅らせる」として反対を表明する
声や、「現在IETFで進めているLIR向けのプライベートアドレス新設提案を認
めれば、ISPによるIPv4への需要には対応できるため、移転を認める必要はな
い」といった意見も表明されていました。

いずれにしても、個々に表明された意見そのものが特筆すべき問題提起をして
いるというよりも、

・(分配サイズよりも小さな単位での移転を認めた場合の)経路増加への影響
・LIR間でアドレスの金銭取引が行われた場合への影響

等々、アドレス管理外にも影響を及ぼす提案を本当に認めてしまって大丈夫な
のか、という不安が個々の意見に反映されていたと考えてよさそうです。


今後はARIN ACが提案を見直した上で、次回のミーティングで再度議論が行わ
れる予定です。

(*3)ARIN AC (The Advisory Council)
    ARIN地域におけるアドレスポリシー提案に関する諮問機関。ARIN会員によ
    り選出された15名のメンバーから構成されており、提案に対するコンセン
    サスの判断や、地域内で適切なアドレスポリシー検討がなされるように議
    論の喚起や提案者との調整等も行う。

■RIPE57での議論

結論から先にお伝えすると、RIPE57では提案を支持する意見が表明され、施行
に向けて、現在メーリングリスト上でコミュニティへの最終確認が行われてい
る段階です。従って、今後新たな視点での強い懸念が表明されなければ、RIPE
地域においてはIPv4アドレスの移転が今後認められることになりそうです。

しかし、RIPE地域においてもすぐに移転を認める考えが支持されたわけではな
く、1年前に提出されてから今回を含めて合計3回のミーティング、そしてメー
リングリストにて議論が行われてきました。今回のミーティングで移転の提案
が支持された理由としては、これまであげられてきた主な懸念に対して提案者
が事例に基づいて反論していったことが大きいようです。そして、提案者に対
して「当初あんなに強い反対にあったのによくぞここまで粘った」というねぎ
らいさえある雰囲気で、発表後、参加者から拍手を受けていました。

これまでRIPEコミュニティから表明されてきた主な懸念事項としては、以下の
3点があげられています。

 1)IPアドレスに金銭的な価値が付けられる
 2)IPアドレスの取引市場を生み出す
 3)移転を認めるよりも回収再分配を行うべきである

1点目と2点目の懸念に対して、提案者は実際にアドレスが売買されている事例
を、事業者がどのようにアドレスの分配先へコンタクトをとり、最終的に移転
を実現するのかという流れも含めて紹介し、アドレスの売買は本提案の有無に
関わらず現在既に行われており、従ってアドレスに金銭的な価値は今でも付け
られている、としています。

3点目の懸念に対しては、RIPE NCCのスタッフがこれまで回収されたIPv4アド
レスの統計を提供し、回収されたアドレス数が微量であることが示されまし
た。

このようにコミュニティからあげられた懸念への対策を提案者が示したことか
ら、アドレスポリシーWGのチェアも施行に向けた最終確認の段階へ進めること
を判断したとの報告がMLにてありました。

一つのRIR地域で移転が認められると、「移転はアドレスポリシーで禁止され
ており、やってはいけないこと」という概念が薄れていく可能性が高く、今回
RIPE地域においてIPv4アドレスの移転が支持された影響は、ARIN、APNIC地域
における議論においても大きいと考えられます。

■考察

提案自体は、移転を前提としたRIRによるデータベース更新にのみ触れていま
すが、IPv4アドレスの移転を認めるということは、

『IPv4アドレスの分配調整メカニズムを、現在の「需要」に基づき「RIRが分
配管理を行う」仕組みから、「金銭的/その他LIR間で合意する条件」に基づき
「特定の組織/団体による中央管理ではなく市場のメカニズム」に委ねる仕組
みへの転換を認めること』

を意味しています。

そして、移転の提案者が主張するように、このような変換を経てもRIR在庫枯
渇後の問題に対応するには移転を認めることが最も有効な策であるのか、ま
た、RIR在庫枯渇後にもIPv4アドレスの需要を満たす手段として考えた場合は
どの程度有効なのか、実際認めることになった場合、移転に伴い想定される混
乱はないか、それを最小限に抑える策はなにか等、検討課題はまだ多く残され
ています。

提案の是非を検討するにあたっては、在庫枯渇後のインターネット像も含めて
考えていく必要がありそうです。

■移転提案の今後

IPv4アドレスの移転に関する国内の議論は、2008年11月27日(木)に開催される
第15回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM15)にて行う予定です。
APNIC地域における提案者であるGeoff Huston氏も、来日して議論に参加する
ことになりました。

その後2009年2月、マニラで開催されるAPNICミーティングにて、アジア太平洋
地域として提案を施行するべきか議論が行われます。国内のコミュニティから
の意見はここでJPNICが代表して紹介しますが、最終的には日本も地域全体と
しての判断に従うことになります。

■参考情報

各RIRにおける移転提案
 ARIN
  http://www.arin.net/policy/proposals/2008_6.html
 APNIC
  http://www.apnic.net/policy/proposals/prop-050-v003.html
 RIPE
  http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/2007-08.html

第15回JPNICオープンポリシーミーティング
http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2008/20081117-02.html


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html

        IPv4アドレス在庫枯渇関連のQ&Aは特集ページをご覧ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/
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