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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.669【臨時号】2009.8.24 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.669 です
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本号では、vol.667、vol.668に続き、スウェーデンのストックホルムで開催さ
れた第75回IETFのレポート[第3弾]として、「IPv6関連WG報告」をお届けしま
す。

今回の「IPv6関連WG報告」は、前後編に分けての発行となっています。前編と
なる本号は、6man WGとv6ops WGについてのご報告です。

なお、その他の話題につきましては、以下のバックナンバーをご覧ください。

□第75回IETF報告
  ○[第1弾]  全体会議報告(vol.667)
    http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol667.html

  ○[第2弾] DNS関連WG報告(vol.668)
    http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol668.html

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◆ 第75回IETF報告 [第3弾]  IPv6関連WG報告
        ~6man WG、v6ops WGについて~
                                     NTT情報流通プラットフォーム研究所
                                                              藤崎智宏
                                     NTT情報流通プラットフォーム研究所
                                                              松本存史
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スウェーデンの首都ストックホルムにて、2009年8月26日から31日まで、第75
回のIETFが開催されました。世界的な景気の低迷、および米国以外での開催と
いうことで、今回も参加人数の減少が懸念されていましたが、前回のサンフ
ランシスコとほぼ同数の1,124名の参加となりました。また、国別の参加人数
は、日本を抜いて中国が第2位となっています。会議中も多くのワーキンググ
ループ(WG)で、中国の方がプロトコルの提案をしたり、活発に意見を述べる
等、目立っている印象がありました。

本稿では、IPv6に特化した内容を議論するWGでの話題を中心に紹介します。

◆6man WG (IPv6 Maintenance WG)

6man WGは、IPv6のプロトコル自体のメンテナンスを実施するWGです。今回の
ミーティングは、水曜日の午後最初のコマにて開催されました。

まずは、いつもの通り、チェアより今回のミーティング議題の確認および、WG
で取り組み中の四つの文書(フラグメント重複問題、ノード要求仕様、アドレ
ス選択解法、IPv6サブネットモデル)に関する状況紹介がありました。また、
このうち、ノード要求仕様、アドレス選択解法の二つについては、議論も実施
しました。

今回のミーティングでは、
1.ノード要求仕様文書に関する議論(draft-ietf-6man-node-req-bis)
2.ルータ広告メッセージにおける回線識別子(draft-krishnan-6man-rs-mark)
  ノード広告メッセージにおける回線識別子(draft-li-6man-ns-mark)
3.IPv6アドレスのテキスト表記方法
  (draft-kawamura-ipv6-text-representation)
4.UDPのトンネルトランスポートモード(draft-fairhurst-6man-tsvwg-udptt)
5.アドレス選択問題について
  アドレス選択ポリシー間の矛盾解決
  (draft-arifumi-6man-addr-select-conflict)
6.アドレス選択デザインチーム議論報告
  (draft-chown-addr-select-considerations)
といった内容が議論されています。

上記のうち、1、2、3、5につき、簡単に紹介します。

1.ノード要求仕様文書に関する議論

RFC4294として発行されている、IPv6ノードの要求仕様文書に関する改版提案
に対する議論です。しばらく議論が止まっていましたが、近頃、再開されてい
ます。CPEルータのような、ルータとしてもホストとしても動作するノードを
どう扱うかといった問題や、MIPv6の経路最適化を「SHOULD(すべき)」として
いる現在のRFCの記述は、経路最適化の実装が少ないことなどから適切でな
い、といった意見が出されました。また、この文書の位置付け(ステータス)に
関する議論も実施されています。元のRFC4294は「Informational」というス
テータスですが、これをより強いものにすべきではという意見がある一方、他
のRFCで規定されている以上の制限を付けるべきではないという意見もあり、
内容とは独立して議論を実施することになっています。


2.ルータ広告メッセージにおける回線識別子/ノード広告メッセージにおける
  回線識別子

一部のADSL等では同じセグメント上に複数の顧客が存在することがあり、顧客
ごとに別の広告メッセージを返答することができないため、メッセージを識別
するための回線識別子オプションを新設しようという提案です。これに対し、
ユニキャストの広告メッセージは使えないのか、CPEルータを設置して
DHCPv6-PDを使用すべきだといった意見や、そもそも同じセグメント上に複数
の顧客が存在するようなモデルがおかしいのであり、VLANで顧客ごとにセグメ
ントを分けるトンネルリンクを使用するといった手法を採るべきだ、という環
境自体に対する意見等、提案に否定的な意見が多く出されました。

3.IPv6アドレスのテキスト表記方法

IPv6アドレスの表記方法はRFC4291で規定されていますが、現在の規定では、
同じアドレスが複数の別表記で記述可能となっています。このためテキスト
データやアドレス管理表から特定のアドレスを検索する場合や、電話サポート
等でアドレスを知らせる場合に誤解が起こる可能性があるため、表記方法を統
一しようという提案です。2009年7月に開催されたJANOG24や、JPOPM16でもプ
レゼンテーションがありました。趣旨に同意する意見が多く、会場ではWGとし
て取り扱うべきだという意見が多数を占めました。そのため、MLにて、WG文書
として扱うべきかの合意を確認することになりました(2009年8月10日現在、ML
上で数名の賛同が得られています。)

5.アドレス選択問題について(アドレス選択ポリシー間の矛盾解決)

前回、前々回のIETFに引き続き、IPv6ホストがアドレスを複数持っている場合
の、アドレス選択のあり方について、その検討状況の報告がありました。今回
は特に、複数の上流から矛盾するアドレス選択ポリシーが配布された場合に、
そのポリシーをどうマージするかに特化した提案が実施されました。時間の関
係で、議論はそれほどできませんでした。こちらの提案についてもチェアから
参加者に対して、WGとして取り組む必要のある内容かとの問いかけがありまし
たが、提案ドラフトを読んでいる人の数が多くなかったため、MLにて確認をす
ることになりました。

□6man WG
  http://www.ietf.org/dyn/wg/charter/6man-charter.html

□第75回 IETF 6man WGのアジェンダ
  http://www.ietf.org/proceedings/75/agenda/6man.html


◆v6ops WG (IPv6 Operations WG)

v6ops WGは、IPv6に関するオペレーション技術や、移行技術に関する議論を実
施するWGです。前回のダブリンでのIETFから、移行技術の標準化についての議
論はbehave WGで実施されることになり、内容が薄くなるかと思われました。
しかし、今回は火曜日の午後全ての時間(3コマ)を埋めるほどの提案があり、
引き続き活発な議論が実施されました。

今回の議論内容は、以下のようになっています。

1コマ目:ディプロイメントに関する問題
・Internet Exchange (IXP)でのIPv6ディプロイメント
  (draft-ietf-v6ops-v6inixp)
・IPv6サービスとIPv6/IPv4間通信を実現するハイブリッドISPフレームワーク
  (draft-xu-v6ops-hybrid-framework)
・IPv6移行のための段階的キャリアグレードNAT(CGN)導入
  (draft-jiang-v6ops-incremental-cgn)
・Teredoクライアントに対するICMPv6エコー応答生成
  (draft-denis-icmpv6-generation-for-teredo)
・非決定的なIPv6トンネルの弊害(draft-vandevelde-v6ops-harmful-tunnels)
・IPv4サービスプロバイダネットワークでのIPv6提供
  (draft-townsley-ipv6-6rd)

2コマ目:CPEルータに関する問題
・家庭向けIPv6インターネットサービス提供用CPEにおける簡易セキュリティ
  推奨機能(draft-ietf-v6ops-cpe-simple-security)
・IPv6 CPEルータのユースケースと要求仕様
  (draft-donley-ipv6-cpe-rtr-use-cases-and-reqs)
・IPv6 CPEルータ推奨機能(draft-ietf-v6ops-ipv6-cpe-router)

3コマ目:その他の問題
・IPv4とIPv6のGreynets(draft-baker-v6ops-greynet)
・IPv6エニーキャストを利用した負荷分散と疑似モビリティ
  (draft-luo-v6ops-6man-shim6-lbam)

この中で、1コマ目、2コマ目の議論内容について紹介します。

1コマ目の「ディプロイメントに関する問題」セッションでは、IPv6導入モデ
ルに関する提案、移行プロトコルや移行技術に関する提案/問題が議論されま
した。

IXPにおけるIPv6導入モデルでは構築例として、/47相当の空間を取得し、片方
の/48をグローバルインターネットに経路広告せずに、IXP内部的に利用する方
法に関しての議論等がありました。IXP文書はレビュー後、WGラストコールが
実施される予定です。また、ISPにおけるIPv6導入手法として、IPv4/IPv6変換
の導入や、CGNの導入とIPv4上でIPv6をトンネルで提供する手法から、IPv6上
でIPv4を提供するモデルへの移行といったモデルの提案等が実施されました。
現在、変換プロトコルはbehave WGで、トンネルプロトコルはsoftwire WGで議
論されていることもあり、この文書をv6ops WGで扱うべきかという議論になり
ましたが、WGの文書として議論を継続することになっています。

Teredoに関する問題提起では、Teredoは通信確認にICMPv6を利用しており、
IPv4/IPv6トランスレータが入った環境や、ファイアウォール等でICMPv6が落
ちた場合に通信できなくなるため、その改善提案が行われました。これに対し
ては、Teredo通信より、IPv4通信を優先するべきである等の意見が出され、ML
上で継続議論になりました。また、Teredoのようなトンネルを用いてIPv6通信
を実現している場合に、そのトンネルが複数のプロバイダを跨いだりする際、
通信品質の担保ができなくなる等の問題があるため、このような非決定的
(non-deterministic)なIPv6トンネルは問題であるという提案も実施されてい
ます。この提案に対し、問題はわかるが、6to4などは既に広くディプロイして
おり、利用を停止すること困難であるという意見や、そもそも「非決定的
(non-deterministic)」の定義はどうなのか、といった議論となりました。

2コマ目の「CPEルータに関する問題」では、CPEの要求仕様や、CPEに載せるべ
きセキュリティ機能の議論が実施されました。CPEの要求仕様に関する議論で
は、上流からDHCPv6-PDで受け取ったプリフィクスを下流に委譲する手法や、
経路の設定等が議論になりました。セキュリティ機能の提案では、IPv4と同じ
セキュリティ概念をIPv6に持ち込むことの是非や、CPEルータがどのような機
能をどの程度持つべきか、といったことが長時間議論されました。特に、ドラ
フトで機能要件として挙げている、トンネルパケットの扱いについては激しい
議論になり、MLで継続議論となりました。IPv6 CPEルータ推奨機能の議論で
は、同様の議論をブロードバンドフォーラムや、ケーブルLab、3GPP等でも実
施しているため、他団体の筆者を加え、内容をアップデートする方向で調整す
ることになりました。


□v6ops WG
  http://www.ietf.org/dyn/wg/charter/v6ops-charter.html
  http://www.6bone.net/v6ops/

□第75回 IETF v6ops のアジェンダ
  http://www.ietf.org/proceedings/75/agenda/v6ops


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.669 【臨時号】

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