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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1031【臨時号】2012.11.14 ◆
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◆ News & Views vol.1031 です
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世界に五つのある地域インターネットレジストリ(RIR)のうち、北米地域のイ
ンターネットレジストリであるARINのミーティング「ARIN XXX(ARIN 30)」
が、2012年10月24日(水)より3日間にわたり、米国テキサス州のダラスにて開
催されました。本号ではこのミーティング全体の様子および主要なトピック
についてお伝えします。
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◆ ARIN XXXレポート
JPNIC IP事業部 奥谷泉
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2012年10月24日(水)から26日(金)の2日半にかけて開催された、ARIN XXX の
開催地は米国テキサス州のダラスでした。ダラスと言うとケネディ元大統領
が暗殺された街という以外の具体的なイメージがありませんでしたが、1980
年代に建設されたと思われる高層ビルが間隔を置いて立ち並ぶ、ゆったりと
した大きな地方都市という印象です。地域経済が潤っているためか街全体が
整備されており、全米に12ある連邦準備銀行のうち一つが置かれている金融
拠点である他、テキサス・インスツルメンツ社や、米国セブン-イレブン社発
祥の地でもあるそうです。
今回のARINミーティングは、NANOGと"back to back"の開催として、NANOG 56
開催後に同じ会場で開催されました。秋のミーティングは例年この開催形式
を取っており、初日であった10月26日(水)の午前中にはNANOGとのジョイン
ト・セッションとして、IPv4アドレス移転ポリシーの状況やITR
(International Telecommunication Regulations; 国際電気通信規則)(*1)改
正等について発表・ディスカッションが行われました。
(*1) http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/itr.html
インターネット用語1分解説「国際電気通信規則(ITR)とは」
ここではジョイント・セッションで取り扱われたテーマ、およびAPNIC地域と
しても参考になりそうなアドレスポリシーの提案について、ご紹介していき
ます。
■ NANOG・ARINジョイントセッションでのテーマ
NANOG56としては最終日、ARIN XXXとしては初日となるこの10月24日のセッ
ションでは、以下3点の発表・パネルディスカッションが行われました。
NANOG 56 Agenda
http://www.nanog.org/meetings/nanog56/agenda.php
・IPv4アドレス移転ポリシーアップデート
・CGN(Carrier Grade NAT)のコスト分析
・インターネットガバナンス アップデート(パネルディスカッション)
上記のテーマから見て取れるように、どちらのミーティングの参加者にとっ
ても共通に興味を持ってもらえる、もしくは知ってもらいたいと考えるテー
マを取り扱う構成となっていたように思います。
CGNのコスト分析は、導入するコストメリットをIPv6の導入と比較するという
試み自体は興味深い発表でしたが、仮説を重ねている印象も受けました。
発表者の意図としては、どう算出したのかの具体例を提示することで、各組
織でそれぞれの事情に応じて応用して、コスト分析ができるということだっ
たようです。興味のある方は発表資料をご覧ください。
TCO of CGN
http://www.nanog.org/meetings/nanog56/abstracts.php?pt=MjAyNSZuYW5vZzU2&nm=nanog56
その他二つの発表・ディスカッションについては少し詳しくご紹介します。
■ARIN地域における移転ポリシーの状況
移転ポリシーについては2012年4月のバンクーバーでのミーティングで基本的
に整備され、Inter-RIRの移転も今年2012年の6月より施行されましたので、
アドレスポリシーとして今回大きな動きはありませんでした。従って、ジョ
イント・セッションでARIN CEOのJohn Curran氏からの発表は情報として新し
いものはなく、その場では会場から質疑もありませんでした。
Update on IPv4 Address Transfers
http://www.nanog.org/meetings/nanog56/abstracts.php?pt=MjAyNCZuYW5vZzU2&nm=nanog56
APNIC地域は移転を受けたい側として、ARINとの移転が可能になったとの情報
が8月のAPNIC34では前面に出ていたのに対して、ARIN地域は譲る側になるた
めか、軽く紹介されていたことも印象的です。
しかし、NANOG・ARINへの参加を通し、北米地域では今後のIPv4アドレスの金
銭的価値が意識されており、移転についても引き続き強い関心が持たれてい
ると感じました。
■移転全般に関する状況
ARIN地域はまだIPv4アドレスの在庫が枯渇していないにもかかわらず、NANOG
の会場でも、枯渇を見越してアドレスの確保や、リースを始めるとよいので
は等の話が参加者の間で上がっていました。ARIN地域内のオペレーターもす
でに枯渇後の状況を強く意識しているようです。
また米国内では、一部の業界関係者よりも広い層が関心を寄せているらしく、
今後のケースへの参考として参加している弁護士もいました。そして、地域
外からは今回初めて中国のNIRであるCNNICスタッフも3名参加しており、目的
は筆者と同様に、北米地域での移転の状況に関する情報収集ということでし
た。
実際、特定の/8ブロックの移転を取り扱う権利を受けたとしてニュースにも
取り上げられたHilco Streambank社は、/8をそのまま/8単位で譲り受けられ
る組織を会場で捜していることが確認される等、今回も複数のブローカーが
NANOG・ARINともに参加し、参加者との移転の取引に関する情報交換が行われ
ていました。
一方、価格が折り合わないとの話も聞きました。「1アドレス当たり11?15ド
ルと移転元が提示するケースが多く、RIR地域間の移転ポリシーは施行された
ものの、現時点ではまだ情報交換を行っている段階であり、具体的な商談に
結びつくまでには至っていない」とブローカーの1人から聞きました。
全体としては、意識はされていながらも実際大きな動きがあるまでには至っ
ていないとの印象です。
■ARIN XXXでのポリシー議論
アドレスポリシーの提案、その他のポリシーに関する議論は、従来通り、
ARIN単体のセッションの中でのOpen Policy Meetingで行われました。
Open Discussion議論のうち、APNIC地域としても参考になりそうな動きとし
ては、新gTLDの申請が受付開始となったことに伴い、新gTLD申請組織へのア
ドレス割り当てに関する議論がありました。
現在のアドレスポリシーでは、gTLDは「クリティカルインフラストラクチャ」
と見なされ、IPv4、IPv6ともにプロバイダーに依存しないPIアドレス割り当
てを受けることが認められていますが、申請組織がICANNと契約締結前にシス
テムを準備する上でアドレスが必要になると思われるため、どの段階で割り
当てを求めるべきか、との問題提起がきっかけです。
また、今回議論された5点のポリシー提案の中でも、これに関連する提案とし
て、今後新gTLD申請者からのアドレス申請が増加することを見越し、
"ARIN-2012-6: Revising Section 4.4 C/I Reserved Pool Size"という、ク
リティカルインフラ用のリザーブ空間を/16から/15に拡大することを求める
提案が行われ、検討の必要性は確認された上で継続議論となりました。
gTLDレジストリ用の割り当てにクリティカルインフラ用のIPv4アドレス在庫
がすべて消費されないよう、IX用のリザーブを別途分ける、という要素が今
後新たに盛り込まれる見込みです。
gTLDへのクリティカルインフラとしてのPIアドレス割り当ては、APNIC地域で
も認めていますので、参加していたAPNICスタッフと本件について対応を検討
する必要性があることをARINミーティングの会場で話し、近日APNICとJPNIC
スタッフ間の定例ミーティングにて、APNIC地域としての対応について確認・
話し合いをする予定です。
また、個人への割り当て情報におけるプライバシー情報を非公開とする提案
が棄却されたという点が、APNIC・JPNICでは既に施行している状況と比較す
ると興味深い結果であると感じます。
その他の提案については、APNIC地域としても着目すべき内容は今回ありませ
んでしたが、興味のある方は今回議論された提案5点の詳細を、以下のページ
の"Draft Policies"からご確認ください。
https://www.arin.net/policy/proposals/
■インターネットガバナンスに関するパネルディスカッション
NANOG・ARINジョイントセッションの最後のアジェンダであったインターネッ
トガバナンスについては、WCIT(World Conference on International
Telecommunications; 世界国際電気通信会議)におけるITRの改正について各
パネリストがそれぞれの立場からの見解を述べ、会場からも参加者が意見を
述べていました。
WCITとは、国際電気通信に関するITUの規則であるITRをインターネットも含
めるかたちで見直すべきか、検討が行われるITUの会合です。
Google社のVint Cerf氏、Comcast社やCisco社の方も壇上に上がっており、イ
ンターネット業界にも影響を及ぼす可能性のある改定が行われるという印象
を、会場の参加者に与えていたのではないかと思います。
日本国内では総務省の説明会にて、直接ITUに意見を述べる方法が案内されて
おり、JPNICも先日意見提出を行いましたが、このパネルディスカッションで
はISOCスタッフがパネリストであったこともあり、non-ITUメンバーとして
WCITに向けて意見があれば、ISOCに意見を寄せる方法が大きく取り上げられ
ていました。
パネル全体としては具体的なITRの改正点について議論が行われたというより
も、インターネットに影響を及ぼすような改正は望ましくないということが
議論の基調であり、具体的な情報提供というよりも、WCITという動きがある
ことへの周知セッションという位置付けに近いように感じました。
WCITの会合は、2012年12月3日(月)から14日(金)までアラブ首長国連邦のドバ
イで開催されます。ARINではインターネットガバナンスに関する情報を取り
まとめたWebサイト(*2)も設けており、ここでWCITに関する情報もまとめて掲
載しています。
(*2) https://www.arin.net/participate/governance/
■その他
今回NANOG単体のミーティングから出席しましたが、全体としてInter-domain
RoutingポリシーにおけるLocal Preferenceの傾向やDNSSECの計測等、研究
ベースの発表が多い印象を受けました。ルーティングセキュリティにも関わ
る技術であるRPKIのemulationに関する発表も行われていました。
個人的に最も興味深かった発表は、基調講演での米国国土安全保障省の方か
らの発表で、インターネットのセキュリティ、インフラ整備に関わる技術の
研究、計測に当たり、特に費用の提供面で、米国政府機関として協力できる
ところはないか、NANOG参加者に呼びかけていたことです。
インターネットをクリティカルインフラと見なし、サイバーセキュリティに
おける対応を重視しているようであり、DNSSEC、RPKI、IPv6対応、
Ark(CAIDA)(*3)、PREDICT(*4)などを支援できる分野の例として挙げており、政府
が資金面でインターネットの基盤インフラやセキュリティ技術を支援する考
えがあることを感じました。実際、NANOG参加者の数名はこれにより研究の資
金援助を受けていると会場で教えてくれました。
(*3) 研究・計測団体CAIDAによる計測のためのインフラ
http://www.caida.org/projects/ark/
(*4) 研究・計測に利用できる大規模なデータのリポジトリーとそのプロジェ
クトの名称
発表資料:What Has the Government Done for You Lately? P.27-29
https://www.nanog.org/meetings/nanog56/presentations/Monday/mon.keynote.maughan.37.pdf
■ミーティングを振り返って
ARIN地域における移転の状況は、今後、アジア太平洋地域のアドレス流動化
につながる可能性もあるという点で、引き続き動向に注視していきたいとこ
ろです。
また、新gTLDへのアドレス割り当てについては、今回ARIN地域で、このよう
な議論が行われていることを知り、参考になりました。レジストリごとに割
り当ての方針にばらつきが生じないよう、今後調整していくことが必要であ
ると感じました。
そして、今回はNANOGとARINがback to backでの開催であるため、NANOG参加
者がARINにも残ることを想定していましたが、NANOGとARINで参加者が基本的
に大きく入れ替わっていることが印象的でした。単独ミーティングでも感じ
たことですが、オペレーションナルな内容も織り交ぜながら、オペレーター
も参加しているAPNIC や他のRIRフォーラムと比較すると、ARIN地域はアドレ
スポリシーの議論に関心がある方に特化したフォーラムのようです。
ARIN XXX
https://www.arin.net/participate/meetings/reports/ARIN_XXX/
◇ ◇ ◇
次回のARINミーティングは、2013年4月21日(日)から24日(水)、バルバドスで
開催される予定です。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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