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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1217【臨時号】2014.8.4 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1217 です
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本号では、2014年6月22日(日)から26日(木)にかけてイギリスのロンドンで開
催された、第50回ICANN会議のレポートをお届けします。今回の会議でも、引
き続きIANA機能の監督権限移管と、インターネットガバナンスの話題が議論
の中心となったようです。

今回のICANN会議についても恒例となった報告会を、一般財団法人インター
ネット協会(IAjapan)との共催で8月19日(火)に開催します。また、ICANN報告
会終了後に引き続き同会場にて、「日本インターネットガバナンス会議
(IGCJ)」の第2回会合を開催いたします。IGCJの会合ではICANNに限らず、国
連やIGFなども含めた、インターネットガバナンスに関する幅広い議論を行う
予定です。

ご興味をお持ちの方は、ぜひどちらの会合にもご参加ください。

第40回ICANN報告会開催のご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140724-01.html

「日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)」発足のお知らせおよびIGCJ第
2回会合のご案内
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140724-02.html

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◆ 第50回ICANNロンドン会議報告
                                     JPNIC インターネット推進部 奥谷泉
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■ 全体概要

第50回ICANNロンドン会議は、Hyde ParkとRegent Parkという二つの公園の間
に立地する、Hilton London Metropole Hotelで開催されました。

今回のICANN会議は、各国政府高官でインターネットガバナンスについて議論
するハイレベル会合と、各国のAt-Large(個人のインターネットユーザーによ
るコミュニティ)が集結するAt-Large Summitが併せて開催されたこともあり、
3,300名を超える参加者を記録したことがオープニングセレモニーで発表され
ました。ハイレベル会合は、75ヶ国の政府関係者と11の政府間組織から、合
計110名が参加を表明したということです。

今回の特徴は、IANA機能の監督権限移管と、それを取り巻くガバナンスに関
する議論に参加者の関心が集中したことです。これは前回会議の流れをくみ、
その後も検討体制案がICANNから発表されたため、開催前の予測通りでした。
これらのテーマは、それぞれのテーマに特化したセッションに加え、ハイレ
ベル会合やccNSO(国コードドメイン名支持組織)の会議でも議題として取り上
げられていました。一部のハイレベル会合は傍聴可能であり、IANA機能の監
督権限などに対する各国政府の見解を聞く、よい機会だったと言えます。

新gTLD追加の動向については、政府諮問委員会(GAC)の勧告で指摘されている
文字列など、一部継続課題となっている文字列はあるものの、新gTLDの利用
事例を紹介するセッションなど、実際の利用を見据えた情報交換が見受けら
れました。また分野別ドメイン名支持組織(GNSO)評議会では、今回の新gTLD
追加のラウンドを検証し、次のラウンドに備えておこうという決議も行われ
ました。このように、新gTLDの今回のラウンドを振り返り、今後のあり方を
検討しようという動きも出てきています。


■ 「IANA機能の監督権限移管」と「ICANNの説明責任」の関係

前回のICANNシンガポール会議では、米国商務省電気通信情報局(NTIA)によ
る、IANA機能の監督権限移管に関する発表直後のタイミングであったため、
IANA機能の管理とNTIAの関わりの総括がありました。前回までの議論は、
vol.1195(*1)をご覧ください。

その後、ICANNにより移管に向けた検討体制と進め方の案が、コミュニティの
意見を取りまとめた形で提示(*2)されました。それを受けて、今回の会議で
は、IANA機能の監督権限移管と、ICANNの説明責任との関係性の整理が大きな
焦点でした。

IANA機能の今後を取り巻く議論の中で、米国政府による監督が無くなる状態
を踏まえて、ICANN自身が、どの程度信頼に足り得るのかといった懸念は、前
回の会議から課題として挙げられています。一部の参加者からは「ICANNの説
明責任における対応が明確でないならば、IANA機能の監督権限移管を進める
べきではない」といった意見も表明されています。

そこで、IANA機能の監督権限移管のあり方に加え、ICANNの説明責任について
も検討が必要として、前回に引き続き、ロンドン会議でも「ICANNの説明責
任」について議論するセッションが別途設けられました。

ICANNの説明責任に関わる議論としては、GNSOは初めて、すべての部会
(Constituency)合同で声明を出して、ICANN理事会の判断に対する透明性と再
考の仕組みを求めました。また、一部のGACメンバーは、例えばフランス政府
はワインを表す.wineおよび.vinの文字列が米国企業により登録されることな
どに基づき、ICANNで適切な意思決定プロセスが機能していないといった批判
的な意見を表明しています。

しかし、こうした「説明責任」に関して起こる議論は、必ずしもIANA機能に
関するものだけではないため、IANA機能の監督権限が今後どのようにあるべ
きかについての検討がこれらの説明責任全般の議論に引きずられると、移管
提案を取りまとめる上での障壁となる可能性も考えられます。

そこで、今回の会議では、「ICANNの説明責任に関する議論のうち、IANA機能
に関わるものと、関わらないものに分けて検討を進める」という方向性が示
され、参加者に支持されたことで、今後は必要な論点に絞って検討を進める
ことが確認できたと思います。

(*1) JPNIC News & Veiws vol.1195「第49回ICANNシンガポール会議報告
     [後編] インターネットガバナンス関連の話題」
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1195.html

(*2) NTIA IANA Functions' Stewardship Transition
     https://www.icann.org/resources/pages/transition-2014-03-23-en


■ 「IANA機能の監督権限移管」と「ICANNの説明責任」のセッション

「IANA機能の監督権限移管」に関するセッションは、IETFチェア、セキュリ
ティと安定性に関する諮問委員会(Security andStability Advisory 
Committee; SSAC)のチェアなど、技術コミュニティのリーダーらが議長役と
なって議論を引っ張っていたことが印象的です。今後の進め方に関する具体
案の例として、IAB(Internet Architecture Board)がまとめた案も紹介され
ました。議論のサマリーを含めたセッションの様子は、IETFのBlog(*3)にも
掲載されています。

「ICANNの説明責任」に関するセッションでは、説明責任に関する専門家もパ
ネリストとして登壇し、他の事例を比較するとICANNは説明責任に向けて多く
の取り組みを行っていること、説明責任の性質上、常に課題は存在し、全員
が満足のいく状態は基本的に確認できないことなどが説明されました。この
ような議論を経て、前項で記述した通りIANA機能に関わるICANNの説明責任
と、IANA機能を除くICANN全般に関する説明責任を分ける方向で「IANA機能の
監督権限移管」セッションで議論が行われました。それぞれのセッションの
様子を詳しく知りたい方は発言録(Transcript)が以下に掲載されています。

・「ICANNの説明責任」に関するセッション:
  Enhancing ICANN Accountability
  http://london50.icann.org/en/schedule/thu-enhancing-accountability

・「IANA機能の監督権限移管」に関するセッション:
  Transition of NTIA's Stewardship of the IANA Functions
  http://london50.icann.org/en/schedule/thu-iana-stewardship-transition

(*3) ICANN and Transition of NTIA's Stewardship
     http://www.ietf.org/blog/2014/07/icann-and-transition-of-ntias-stewardship/


■ IANA機能の監督権限移管に向けた今後の動き

「2015年9月のICANNとNTIAとの契約更新時までに、結論が出なかったらどう
なるのか」といった疑問は、今回の会議でも投げかけられました。NTIAの代
表者は、納得のいく議論を進めることが重要であり、契約更新時までに結論
が出なくとも、NTIAが契約を更新するので焦ることはない、といったメッセー
ジを発していました。一方、参加者の中には、タイミングが重要であり、移
管の話について今後先行きが見えなくならないよう、次回の契約更新時まで
に結論を出すことをめざすべきと主張する方も一定数、確認されています。

本稿執筆時点で、IANA機能の監督権限移管については、異なる立場や優先順
位を持つ関係者コミュニティの意見を調整する役割であるCoordination Group
のメンバーが選出され、第1回の会議が2014年7月17~18日にロンドンで開催
されています(*4)。全体スケジュールを含めて検討の枠組みが確認されてい
くことで、今後はより具体的な内容に踏み込んだ議論を進める環境が整備さ
れていくのではないかと思います。

国内では、本文末でご案内している「第2回日本インターネットガバナンス会
議」(2014年8月19日開催)で、最新動向をご紹介する予定です。

(*4) IANA Stewardship Transition Coordination Group (ICG) Resources
     https://www.icann.org/resources/pages/coordination-group-resources-2014-07-18-en


■ 新gTLDの追加に関する動向について

ICANNのgTLD部門(Global Domain Division)からの報告によると、新gTLD関連
業務は順調に進み、新たな課題は浮上しておらず、すべての申請者への委任
が完了するのは2017年となる見通しということです。

継続課題としては、GACの一部メンバーにとっての懸案事項であるワインを表
す.wineや.vinの文字列の登録、政府間組織(IGO)や非政府間国際機構(INGO)
の名称登録における保護が議論されました。後者についてGNSOの議長から、
GACの懸念を踏まえて対応を再考する方向で検討していることが書簡で表明さ
れています。

その他継続課題として興味深いものは、2文字のgTLDの利用です。国コードと
重なる文字列の利用を認めるべきか、ccNSOで議論されましたが、今回の会議
で明確は結論は出なかったとの報告が出ています(*5)。

また、「TLD Universal Acceptance」や「New gTLD 'Stories' Panel」など、
新gTLDの利用に関する情報交換や議論も行われています。「IDN Root Zone
LGR Generation Panels Workshop」では、国際化ドメイン名(IDN)における異
体字の取り扱いの検討において中国語、韓国語、日本語のパネルについて進
捗報告が行われ、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)が日本語パネルの
状況を紹介しました。ルートゾーンへのIDNの追加と異体字に関する検討は、
今年2014年5月にICANNが国内で開催したイベント(*6)でも紹介されたもので
す。

現在委任されている新gTLDの一覧は、ICANNの新gTLDに関するWebサイト
(http://newgtlds.icann.org/en/)の「See all delegated strings」へのリ
ンクから確認できます。

(*5) Report on ICANN50 London
     https://centr.org/system/files/share/centr-report-icann50-20140627_0.pdf

(*6) ICANNによる国際化ドメイン名に関する技術的な説明会
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140502-01.html


■ 名前衝突について

名前衝突問題は、実在しない文字列だから問題無いだろうと組織内などで内
部的に使っていた文字列と、新gTLDとして認められた文字列が衝突してしま
い、意図した相手と通信ができなくなったり、その逆に意図しない相手と通
信してしまったりする問題です。

この問題に関しては、JPNICの専門家チームの報告書(*7)などをこれまでにも
何度かご紹介していますが、その後の進捗としては、この問題へのICANNの対
応について、ICANNから委託された第三者の調査機関であるJAS Global
Advisorsから理事会に最終報告書が提出されました。

  Mitigating the Risk of DNS Namespace Collisions
  https://www.icann.org/en/system/files/files/name-collision-mitigation-study-06jun14-en.pdf

本報告書では、SLDの登録に対する制限解除の条件、.mailが保留となってい
ること、名前衝突をしているネットワークへの周知のために、一定期間
127.0.53.53のループバックアドレスをDNSに設定することが推奨されている
ことを含めて、14の勧告が挙げられています。国内でも、新gTLDにおけるセ
カンドレベルドメイン(SLD)への登録制限については、「ある新gTLDで特定の
文字列を登録しようとしたユーザーが、既にほかの誰かに登録されているわ
けでもないのに、なぜかレジストリから登録を拒否される」として、一部話
題になりましたが、報告書では90日の期間終了後、登録制限を解除すること
が勧告されています。

127.0.53.53に関する勧告は、当該アドレスレンジが特徴的なIPアドレスであ
るため、このIPアドレスがログに残された場合システム管理者が気付き、状
況確認につながりやすいことが理由として挙げられています。一方、SSACか
らも、JAS報告書に対するコメントをまとめたレポートが出ています。これら
を総合的に検討した上で、今後理事会が対応の判断を発表する見込みです。
JPNICでも、Webサイトで随時国内に向けて必要な情報は更新して参ります。

  名前衝突(Name Collision)問題に関するWebサイト:
  ICANN:http://london50.icann.org/en/schedule/mon-name-collision
  JPNIC:https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld/name-collision/

(*7) 「新gTLD大量導入に伴う名前衝突(Name Collision)問題とその対策につ
     いて」(報告書)
     https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld/name-collision/name-collision-report.pdf
     「『トップレベルドメイン名の大量導入』に伴うリスク検討・対策提言
     の報告書発表について」(報告書概要編)
     https://www.nic.ad.jp/ja/dom/new-gtld/name-collision/summary.pdf


■ gTLD WHOISの見直し

gTLD WHOISのあり方について、理事会の指示に基づき設立された専門家グルー
プ(Expert Working Group: EWG)による最終報告書が、理事会に提出されまし
た。これまでもご紹介してきた通り、報告書では登録すべき情報と公開情報
を一から整理し、適切だと思われるWHOISのモデルを提案しています。

目的に応じて情報の参照権限も管理すること、全gTLDの登録情報を1ヶ所の
データベースにまとめて参照できるWHOISを提供することが、この新たなモデ
ルの特徴として挙げられます。名称もWHOISから「gTLD Directory Services」
に改められています。まだ草案の段階ですが、この検討では.comや.netなど
の多くのユーザー数を抱える既存のgTLDのWHOISにも適用することが想定され
ているため、注視していく必要がありそうです。

  Expert Working Group on gTLD Directory Services (EWG) Final Report
  Overview
  http://london50.icann.org/en/schedule/mon-ewg-final-overview


■ 理事会決議

ICANNロンドン会議期間中の理事会決議の詳細は、以下をご覧ください。

  ICANN通常理事会(2014年6月26日開催)決議概要
  https://www.nic.ad.jp/ja/icann/topics/2014/20140702-01.html


■ 次回のICANN会議

次回のICANN会議は、2014年10月12日~16日、米国・ロサンゼルスで開催され
る予定です。

  http://la51.icann.org/en/


■ ICANN報告会のご案内

2014年8月19日(木)に、ICANNロンドン会議の報告として「第40回ICANN報告
会」を開催いたします。同日に「第2回日本インターネットガバナンス会議」
も開催いたしますので、ぜひあわせてご参加ください。

  第40回ICANN報告会開催のご案内
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140724-01.html

  日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)第2回会合のご案内
  https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2014/20140724-02.html


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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