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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1366【臨時号】2015.12.14 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1366 です
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2015年11月中旬に、ブラジル・ジョアンペソアでインターネットガバナンス
フォーラム(IGF)の会合が開催されました。IGFは、インターネットガバナン
スを取り巻くその時々の課題について、さまざま関係者により幅広い議論を
行うための国際連合主催の会合で、今回で10回目となります。

本号では、IGFの概要やジョアンペソア会合のトピックなどをご紹介します。

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◆ IGFジョアンペソア会合(IGF 2015)報告
                                     JPNIC インターネット推進部 奥谷泉
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インターネットガバナンスフォーラム(IGF)は国連主催の会議ではあります
が、リモート参加も含めて誰でもが参加できます。「政府」「学術」「市民」
「民間」「技術コミュニティ」といったそれぞれ立場の関係者が平等に参加
する資格を持つ、いわゆる「マルチステークホルダーアプローチ」で議論で
きることが特徴です。

  インターネット10分講座:IGF (Internet Governance Forum)とは
  https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No47/0800.html

また、プログラムのうち、100を超える「ワークショップ」と呼ばれるセッ
ションは、すべて公募に基づき選定されます。筆者は、このプログラムを選
定するプログラム委員会に相当するマルチステークホルダーアドバイザリー
グループ(Multistakeholder Advisory Group; MAG)のメンバーを2014年から
務めています。

  News & Views vol.1219
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1219.html

  About the MAG
  http://www.intgovforum.org/cms/magabout

今年のIGF 2015は、2015年11月10日(火)~13日(金)にブラジル・ジョアンペ
ソアで開催されました。また、例年通り、開会日の前日11月9日(月)をDay0と
呼び、この日も関連する各種会議が開催されました。

本号では、IGF 2015の様子をお伝えします。JPNIC blogでもIGFの様子をご紹
介していますので、よろしければ併せてご覧ください。

  IGF@ブラジル・ジョアンペソアに参加しました
  https://blog.nic.ad.jp/blog/igf2015/


■ 会議の雰囲気

国連主催の会議のため、入場時のセキュリティチェックや、オープニングや
クロージングセレモニーでのスピーチはありますが、それ以外はいわゆる政
府間会議よりもおそらくカジュアルです。服装の面でも、ネットワークオペ
レータの会合のようにTシャツとジーンズの人はあまり見かけませんが、スー
ツにネクタイの方も少数派であり、まちまちです。参加者がスタンドマイク
に立ち発言するところは、インターネットコミュニティの他の会議と共通し
ています。

参加者数は、IGF 2015では2,400名(116ヶ国以上)を超える参加登録があり、
参加者は前述した五つの立場を選択した上で登録をします。

  IGFの参加者リスト
  http://www.intgovforum.org/cms/igf2015-participantslist

JPNICも属する技術コミュニティからの参加は、RIR、ISOC、ICANN、ccTLD、
IEEE、IAB、W3Cなど主要なインターネット団体が中心です。RIRのCEO達をは
じめ、IAB、ISOC、ICANNなどからもCEOやチェアが参加し、かなりコミットし
ていることが見て取れます。また、インターネットの父として知られている
Vint Cert氏も参加しており、オープニングでスピーチをしたり、その他複数
のパネルでも登壇したりしていました。

民間からの参加としては、欧米の大手組織(21st Century Fox社、Amazon社、
Cisco社、 CloudFlare社、Ericsson社、Facebook社、Google社、Microsoft
社、Mozilla財団等)の参加が多く見受けられました。日本からは総務省4名、
業界・コミュニティから4名の参加があり、そこに加えてJPNICからは2名参加
しました。日本政府代表として、総務省の阪本泰男総務審議官がオープニン
グでスピーチをしています。

  IGF 2015会議・会場の写真は、こちらで紹介されています。
  https://www.flickr.com/search/?text=igf2015


■ IGF 2015の特徴

2015年は、IGFおよびインターネットガバナンスにとって重要な年です。とい
うのも、IGFの開催は無期限に保証されているものではなく、国連総会で承認
されている活動年限は今年、2015年までとなっており、2016年以降の開催の
是非は、2015年12月にニューヨークで開催される国連総会で加盟国により決
議されるからです。

IGFは、政府間中心での議論ではなく誰もが参加できる会議であり、ボトムア
ップでオープンなインターネットコミュニティの精神とも親和性があります。
ただ一方で、「対話のみで具体的な成果がない」との批判も一部から受けて
きました。

2015年はこれらの批判に対応し、IGF開催継続の承認を得るために、具体的な
実績を示すことが重要でした。そのため、IGF 2015では対話よりも、課題に
対して一歩踏み込んだ成果を出すことに重点が置かれました。その内容につ
いては、後述の「IGF 2015の成果の提示に向けた三つの取り組み」でご紹介
しています。

また、今回の三つの成果の中でBest Practices(最良事例)として取り上げら
れているテーマや、ネットワーク事業者に関わりのある議論を見ても、ネッ
トワークの運用やサービスが技術コミュニティだけで完結するものではなく
なってきています。運用者が蓄積した経験を共有したり、セキュリティなど
の分野においては、政府も含めた異なる立場の関係者と、課題解決に向けた
連携が求められたりする傾向が、さらに強まっていることが見て取れます。


■ IGF 2015のテーマ

IGF 2015のテーマは「インターネットガバナンスの進化:持続可能な発展の
促進(Evolution of Internet Governance: Empowering Sustainable
Development)」でした。

このテーマ設定は、インターネットガバナンスに関するグローバルな議論お
よびIGFの開始から10周年を迎えたタイミングであることが、背景の一つとし
て挙げられます。テーマに対してさらにサブテーマが設けられ、着目されて
いる課題が反映されています。

興味がある方は、http://www.intgovforum.org/cms/igf-2015-websiteをご覧
ください。


■ IGF 2015での成果の提示に向けた三つの取り組み

IGF 2015は、前述の通り国連総会で実績を示す必要から、具体的な成果を出
すことに重点を置き、三つの取り組みがなされました。

・各種Best Practices文書の策定
  - IPv6も含むテーマごとに策定されたBest Practices文書へのリンクは、
    以下の通りです。
    http://www.intgovforum.org/cms/best-practice-forums/2015-bpf-outs

・Connecting the Next Billion(次の10億をつなげる)文書の策定
  - 地域・国単位のIGFにも参加を促した共通のテーマ
    http://www.intgovforum.org/cms/policy-options-for-connection-the-next-billion/cnb-outdocs

・Dynamic Coalitionsの再活性化
  - 特定の課題に特化して継続的に検討を行うグループ
    http://www.intgovforum.org/cms/dynamiccoalitions

いずれの取り組みも、会議での一度限りでの議論ではなく、課題の継続的な
検討をめざしました。各テーマのBest Practicesの検討グループは、会議の
半年以上前からオンラインでの議論を元に文書を策定し、IGF会議での議論に
臨みました。検討グループも、IGF会議に物理的に参加しない人も含めて、誰
でもが参加できました。

なお、2015年にBest Practicesとして取り上げられた六つのテーマの中でも

  ・IXPの設立環境
  ・IPv6の導入促進環境
  ・スパム対策
  ・CSIRT (Computer Security Incident Response Team)の設立

といった技術コミュニティに関わりの深いテーマが複数見受けられます。特
に「IPv6導入を可能にする環境作りの最良事例(BPF (Best Practices Forums)
 Creating an Enabling Environment for IPv6 Adoption)」は、RIR関係者が
積極的に関わり、文書化しました。後の項で概要をご紹介します。


■ IGF 2015のプログラム

IGFでは多くのプログラムが並行して行われ、IGF 2015では4日間で100を超え
るセッション、最大で11のパラレルセッションが開催されました。従って、
すべてのセッションに参加することは不可能であり、自らの関心分野を基に
取捨選択が必要です。

APNICは番号資源の視点から、写真や動画付のBlogでIGF 2015のプログラムに
ついて10の特筆点を取り上げています。

  IGF 2015: The 10 Greatest Hits (APNIC blog)
  https://blog.apnic.net/2015/11/24/igf-2015-greatest-hits/

筆者は、JPNICの活動にも関わる分野として、IANA機能の監督権限移管に関わ
るパネル、番号資源コミュニティについて紹介したOpen Forum、IPv6に関す
るパネル(IPv6のBest Practicesとは別)に登壇しました。次項でネットワー
ク事業者に関わりのある議論についてご紹介しますが、全体としてどのよう
なセッションがあったのかはIGFの公式ページより確認可能です。

  ・IGF公式ページ
    「セッションスケジュール」「セッション概要」「各セッションの発言
    録」が参照可能
    http://www.intgovforum.org/cms/home-36966

  ・すべてのワークショップの動画
    https://www.youtube.com/user/igf/videos


■ ネットワーク事業者に関わりのある議論

ここでは、ネットワーク事業者にも関わりのある三つのセッションを紹介し
ます。

◇ IPv6導入を可能にする環境作りの最良事例:
   BPF Creating an Enabling Environment for IPv6 Adoption

   ・IPv6 Promotion Councilや民間、各国政府での取り組みを包括的にまと
     めたもの
   ・例えばドイツ政府は、自らLIR(日本国内におけるIPアドレス管理指定事
     業者のようなもの)となり、希望する省庁にIPv6を割り当てるというユ
     ニークな取り組みを行っている
   ・APNICの藤井美和氏と筆者を通して、日本の事例として総務省および国
     内のISPの取り組みを紹介
   ・IPv6は、今後アクセスの課題やIoTと絡めて関心が寄せられており、2016
     年も最良事例に取り組むことが提案されている
   ・IPv6の導入促進環境における最良事例文書
     http://www.intgovforum.org/cms/documents/best-practice-forums/creating-an-enabling-environment-for-the-development-of-local-content/581-igf2015-bpfipv6-finalpdf

◇ ゼロレーティングとネット中立性:
   A dialogue on "zero rating" and network neutrality

   ・携帯事業者またはISPの対応として、特定のアプリケーションまたはサー
     ビスのデータに対して課金しないゼロレーティングについて法制化をし
     ている国もすでにある
     - 携帯事業者によるデータ量の上限を緩和し、ユーザーが利用しやすい
       環境につながるので支持といった意見もある
     - 一方、特定のコンテンツ事業者が費用負担を行うことによるゼロレー
       ティングは、情報の自由な流通に反するとして警戒する姿勢を示す政
       府もいる
   ・法制化が必要なのか、またその場合どういう対応が適切なのかは今後さ
     らなる研究が必要

◇ サイバーセキュリティと信頼の向上:
   Enhancing Cybersecurity and building digital Trust

   ・サイバーセキュリティは技術コミュニティのみで解決する問題ではなく
     政策的な検討が必要だが、政府のみではなくさまざまな関係者が参加し
     連携するべき
   ・サイバーセキュリティの課題は広く、どの問題に対して具体的にどう連
     携するのか、ということが今後の検討課題
     - IoTなど従来にないセキュリティの課題も浮上
     - サイバーセキュリティに関する国際協定、一定のセキュリティ基準を
       満たす技術の標準化を求めることの是非
   ・プライバシーを保護し、暗号化を維持しながらサイバー犯罪に対応する
     ことが課題
     - 「WS 141 Law enforcement in a world where encryption is
       ubiquitous」(暗号化が至るところで使われている環境における法執
       行)でも議論
     - プロトコルの標準化において、法執行機関等が裏で復号できる方法を
       認めるかといった議論も含まれるため、IETF関係者も参加


■ 2015年12月の国連総会に向けて

2015年12月の国連総会では、世界情報サミット(WSIS)の開催から10周年を迎
え、その成果の振り返りと評価(WSIS+10)が国連の加盟国により行われます。
IGFはWSISをきっかけとして立ち上がった会議であり、IGFの活動年限の延長
に関する決議も、このWSIS+10と無関係ではありません。「課題解決は政府間
中心で検討を進めないと効果がない」といった一部の主張がある中、WSIS+10
においてマルチステークホルダーアプローチによる成果が適切に評価がされ
ることが重要となります。

  WSIS+10
  http://unpan3.un.org/wsis10/

IGF 2015では、12月の国連総会での評価に向けて、国連のWSIS+10のファシリ
テーター2名を招待し、IGFの参加者が成果文書のドラフトを基に意見表明を
行う機会としてメインセッションを開催し、議論が行われました。


■ IGFに関する今後のお知らせ

2016年1月28日(木)に開催を予定している次回の日本インタネットガバナンス
会議(IGCJ)では、IGF 2015についてご紹介する予定ですので、ぜひご参加く
ださい。詳細は、今後IGCJのWebサイトおよびメーリングリストでご確認くだ
さい。

  日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)
  http://igcj.jp/

  IGCJ メーリングリスト
  http://igcj.jp/mailing-list/

また、IGF 2015で議論された課題に関するオンラインサーベイが実施されて
おり、2015年中が意見提出期限となっています。

  http://www.intgovforum.org/cms/surveys
  テーマ:IoT、ネット中立性、公共アクセスライブラリー、プラットフォー
          ムの責任、インターネットに関わる権利と原則、性別とインター
          ネットガバナンス、インターネットの基本的価値、サーベイ自体
          への意見

2016年以降の開催については、2015年12月の国連総会での承認事項であるた
め日付は未定ですが、次回2016年のIGF 2016は、メキシコがホストを務める
意向をすでに発表しています。


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1366 【臨時号】

 @ 発行  一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター
          101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F
 @ 問い合わせ先  jpnic-news@nic.ad.jp
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