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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1417【臨時号】2016.7.19 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1417 です
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2016年6月下旬に、フィンランドのヘルシンキで第56回ICANN会議が開催され
ました。今回のヘルシンキ会議でも、IANA監督権限移管に関しては、二つの
取り決めが合意に至るといった大きな動きがありました。

また、ICANN会議開催のフォーマット変更により、今回の会議はこれまでとは
趣の異なる開催形態となりました。本稿では、それらの内容も含めて、本会
合の様子をご紹介します。

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◆ 第56回ICANNヘルシンキ会議報告
   ~会議フォーマット変更後、初の小規模構成での開催~
                                   JPNIC インターネット推進部 前村昌紀
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■ はじめに

第56回ICANN会議は、2016年6月27日(月)から30日(木)まで、フィンランドの
首都ヘルシンキで開催されました。もともとの開催予定地は、パナマの首都
パナマシティであったところ、ジカウイルスの影響で開催地が変更となりま
した。また、新たに設定された会議戦略に従って開催された、小規模構成の
会議として初めてのものでしたので、進行中の議論や、IANA監督権限移管の
移管後体制に関する覚書の署名という大きな出来事もあった中、この新たな
会議構成もとても印象的でした。


■ 会議構成

2015年10月に発表された新たな会議戦略では、年3回のICANN会議をA、B、Cの
3種類に分けて、構成や目的に以下のような違いを付けています。

  会議A:3月開催、ほぼ従来通りの6日間構成
  会議B:6月開催、ポリシー検討とコミュニティ間交流を重視する小規模な
         4日間構成
  会議C:10月~11月頃開催、ICANNの活動を他のコミュニティに紹介するこ
         とを重視した、大規模な7日間構成

  What's The New ICANN Meeting Strategy?
  https://meetings.icann.org/sites/default/files/meeting_strategy_onepager.pdf

前回のマラケシュ会議は、新たな会議戦略に沿ってはいましたが、会議Aなの
で特段の違いがありませんでした。今回は初めて、従来と異なる構成での開
催です。今回の会議Bは「ポリシーフォーラム」と銘打たれた小規模構成で、
従来定例的に行われていた、月曜日のオープニングセレモニー、木曜日のパ
ブリックフォーラムと公開理事会会合がない形でした。今回はオープニング
セレモニーに替わって、カクテルレセプションを行うホワイエで、簡単な歓
迎セッションが持たれ、その場で、2014年に創設された、ICANNのマルチス
テークホルダーモデルに対して卓越した貢献を行った人に贈られるマルチス
テークホルダー・エートス賞授与のセレモニーが行われました。これが、会
期中のセレモニーらしい唯一のセッションでした。

これまで、木曜のパブリックフォーラムは、ICANN会議参加者が誰でも、ICANN
の活動に関することであれば何でも発言できる場として特徴的で、その後に
続く公開理事会会合も含めて、ICANN会議が閉幕に向かう恒例の流れという感
じが定着していた感じがありました。新たな会議構成における会議Bでは、
オープニングも含めセレモニー的なものを廃したことは、実践的でコンパク
トな構成という性質を際立たせるものだったと思います。


■ クロスコミュニティセッション

会議Bで重視していることの一つにコミュニティ間交流がありますが、これを
体現するように、「クロスコミュニティセッション」と銘打たれたセッショ
ンが六つ開催されました。ここで取り上げられるテーマを見ると、現在ICANN
が扱う主要テーマが分かる、ということにもなりそうです。以下に、6セッ
ションのテーマと内容のあらましを示します。

・次世代登録ディレクトリサービス(RDS)

  次世代RDSとは、アクセスプロトコルにRDAP (Registration Data Access
  Protocol)(*1)を採用し、データ閲覧者の認証と用途・資格に応じた提供を
  可能にするなど、現在のWHOISを全面的に見直すもので、現在ポリシー策定
  プロセス(PDP)の初期段階にあります。そのPDPの概要を説明し、コミュニ
  ティに意見提示が要請されました。

・全gTLDの権利保護メカニズム(RPM)のレビュー

  UDRPや、2012年の新gTLDプログラムで導入された新たなRPMをレビューし、
  必要に応じて改善を行うPDPの概要が説明されました。

・オークション収益に関するCCWG(クロスコミュニティ作業部会)の趣意書

  2012年の新gTLDプログラムでは、競合解消の手段としてオークションが定
  義され、結果として現時点で1億米ドルを超える収益が上がっています。こ
  の取り扱いを検討するCCWGに関して、現在趣意書起草の段階にあり、現段
  階の起草チームからドラフトが提示され、意見が求められました。

・新gTLD次回ラウンドの手続き

  2012年新gTLDプログラムの振り返りを元に、次回ラウンドの手続きを定め
  るPDPが2015年12月に開始され、作業部会(WG)による検討作業が計六つのト
  ラックで並行に進んでいます。WGの検討作業の概要といくつかの論点が提
  示されました。

・今後のCCWGの統一原則に関する枠組み案

  IANA監督権限移管をはじめとして多様なテーマに関して設置されているCCWG
  に関して、統一原則を適用するべく作業が進み、次回ICANN会議の前に枠組
  みを採択するべく、コミュニティに意見提示が要請されました。

・ワークロード管理

  ICANNで議論されていることは多岐にわたり大量となっており、あらゆるス
  テークホルダーがすべてに十分に関与することが難しくなってきています。
  そこで、有効な関与を確保するための優先順位付け、スケジューリングな
  どの方策の可能性を探るセッションが、政府諮問委員会(GAC)議長のThomas
  Schneider氏がチェアとなって開催されました。

(*1) インターネット用語1分解説:RDAPとは
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/rdap.html


■ IANA監督権限移管に関する取り決めの成立

IANA監督権限移管に関しては、前回マラケシュ会議で提案が採択され(*2)、
米国商務省電気通信情報局(NTIA)に提出されました。以降、米国政府・議会
でも確認作業が進められていますが、移管後体制実施に向けた準備も進めら
れてきました。ヘルシンキ会議での大きな出来事は、番号資源に関するIANA
機能のサービス内容やサービスレベルを定めた、新規のサービスレベル合意
書(*3)と、IETFとICANNの間の既存覚書に対する追補の二つが合意に至り、会
期中に署名されたことでした。今後ドメイン名に関して、IANA機能を担当す
る新たな子会社、いわゆるPTI (Post Transition IANA)をはじめとする機構
の準備や、米国政府・議会における確認を待つ必要がありますが、移管後体
制の準備も着々と進んでいると言って良いと思います。

(*2) vol.1393「第55回ICANNマラケシュ会議報告」
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2016/vol1393.html

(*3) IANA機能監督権限移管における番号資源とプロトコルパラメータに関す
     る取り決めが成立
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2016/20160704-01.html


■ 振り返り:新たな会議構成を体験してみて

新たな小規模フォーマット・会議Bということで目新しさがありましたが、各
支持組織(SO)、諮問委員会(AC)では通常通りの会合も進みました。GNSOでは
会期短縮に従って、従来火曜日に開催される部会会合が月曜日に変更される
など若干の変更もあり、少し戸惑うこともありました。木曜日の午後最後の
時間帯に開催されたラップアップセッションでは、新たな会議Bフォーマット
に関する意見が参加者に求められるとともに、Webを通じて即時的にアンケー
トも行われました。Webアンケートにおける新フォーマットに対する評価点
は、好意的な声が多い結果となりました。参加者からの意見でも好意的な意
見が多かったものの、ポリシーフォーラムとしてプログラムを削ぎ落とした
結果、新規参加者に対する配慮が足らなかったのではという声も複数聞かれ
ました。フォーマット変更に関しては、今しばらくの間、適応のための調整
が必要だと思われます。


■ 終わりに

今回ICANN会議が開催されたヘルシンキは、都市の機能がコンパクトにまとま
って過ごしやすく、美しい街でした。夏至近くの北欧ということで、真夜中
になっても完全に暗くはならず、夕食を食べた後も日本の午後のような明る
さでした。

また、所定の選定プロセスを経て、2016年6月にアドレス支持組織(ASO)選出
の理事としてICANN理事会へ指名された私にとっては、初めての会議となりま
した。任期前ではありますが、早速理事会の活動に加わることができ、あら
ためてこのポジションの責の重さを実感しました。

今回のICANN会議に関する資料や記録は、下記のWebサイトからご覧になれま
す。

  ICANN56 | Helsinki
  https://meetings.icann.org/en/helsinki56

次回のICANN会議は、2016年11月3日(木)から9日(水)まで、インドのハイデラ
バードで開催されます。次回は会議Cの年次総会と位置づけられ、会合終了時
点から、私の理事としての3年の任期が始まります。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1417 【臨時号】

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