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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1578【臨時号】2018.3.26 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1578 です
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2018年2月中~下旬にかけてネパール・カトマンズで開催された、APRICOT
2018/APNIC 45のレポートを前後編に分けてお届けしています。前編では会合
全体概要とアドレスポリシーに関する報告をしましたが、後半となる本号で
は、技術関連の動向をご紹介します。

前編でお届けした内容については、下記のバックナンバーをご覧ください。

□APRICOT 2018/APNIC 45カンファレンス報告
  [前編] 全体およびアドレスポリシー動向報告(vol.1575)
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1575.html

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◆ APRICOT 2018/APNIC 45カンファレンス報告 [後編] 技術動向報告
                           JPNIC 技術部/インターネット推進部 木村泰司
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本稿では、APNIC 45カンファレンスの技術動向をお送りします。

APNICカンファレンスでは、さまざまな技術的セッションが開かれています。
今回のAPNIC 45カンファレンスは、最大で三つのセッションが同時に開催さ
れ、扱う分野も広がっていました。本稿では、数多くの中からピックアップ
して報告します。


■ APNICハッカソン

IETFなどで行われているハッカソンが、APNICカンファレンスで初めて行われ
ました。ハッカソンとは、ハックとマラソンを繋げた造語で、会場に集まっ
た人たちが実際に手を動かして、あらかじめ定めたテーマに沿った作業をす
るイベントです。ここで言われるハックとは、プログラミングやソフトウェ
ア開発のことで、クリエイティブな活動を意味しています。

ハッカソンの全体テーマは「IPv6」で、参加者は予定されていた25人でした。
2月23日(金)から2月24日(土)の2日間行われ、APNICではその直後にブログで
報告されました。ハッカソンのチームは四つです。一つ目のチームは、CDN
(Content Delivery Network)の可視化を通じて、最適化に向けた検討やIPv4
との比較を行いました。二つ目のチームは、エンドユーザーに見やすい形で、
IPv6導入をゲーム化しました。IPv6の経路情報の中から、新たなプリフィク
スやAS番号を見つけてバッジを付け、ランキングするというものです。三つ
目のチームではトンネリングに着目して、IPv6の通信に悪影響があるかどう
かを調べようとしていました。四つ目のチームは、複数の情報源からIPv6の
利用度を見やすくする試みを行いました。下記に示したURLのうち二つ目の
APNIC Blogでは、これらのもう少し詳しい説明に加えて、会場の様子をAPNIC
の担当者が報告する動画が見られます。

  APNIC Hackathon unearthing novel, fun IPv6 ideas | APNIC Blog
  https://2018.apricot.net/program/hackathon/

  APNIC Hackathon unearthing novel, fun IPv6 ideas
  By Sofia Silva Berenguer on 25 Feb 2018
  https://blog.apnic.net/2018/02/25/apnic-hackathon-unearthing-novel-fun-ipv6-ideas/


■ 2017年のアドレスとルーティング

ほぼ毎年の恒例になっている、ジェフ・ヒューストン氏(APNIC)によるIPアド
レスとルーティングに関するプレゼンテーションでは、2017年の観測と今後
の予測が述べられていました。示唆やウィットに富んだプレゼンテーション
だったのですが、ここから何点かにまとめます。

 - IPv4は1年で53,000、IPv6は3,400、ネットワークのアドレスを示すプリ
   フィクスが増加。全体のASのうち72%は、1ないし2しか隣接ASを持たない
   ということが分かった。10以上の隣接ASを持つASは3,543に、1,000以上は
   20にとどまっている。

   (筆者注) 2018年3月14日時点でのAS番号の総割り当て数は、95,230(*1)で
   あることから、10以上に隣接しているASは全体の4%に満たないことになり
   ます。IPv6も似た傾向が見られました。

   (*1) AS番号の割り当て状況
        http://www.potaroo.net/tools/asn32/

 - IPv4アドレスの在庫は、最後の/8からの分配を含めると、AFRINICが2019
   年6月、LACNICが2019年9月、RIPE NCCが2020年9月、APNICは2021年2月に
   なくなると予測されている。ARINは既になくなっている。

 - 2010年には80%の経路が12年以内に割り振られたものであったのが、2017
   年には25%に下がり、全体の32%が20年以上前に割り振られた「古い」アド
   レスだった。

   (筆者注) 古いIPアドレスの有効活用が、7年のうちに進んできたと考えら
   れます。

 - 経路数は、2018年の終わりにはIPv4で70万を超えると予測されている。

これらを受けて、最後にヒューストン氏は「BGPのプロトコルとしては、その
規模拡大性を妨げる要因は見られず、今後も経路表は増大する、その増大に
対処できるようにルータの容量などを確認すべきである」と結んでいます。
下記のスライドでは、詳しい数字が示されています。

  Addressing and Routing in 2017, Geoff Huston
  https://conference.apnic.net/45/assets/files/APNT806/Addressing-and-Routing-in-2017.pdf


■ BGPのデータ収集と分析のプロジェクト

APNIC 44に続いて「Data Gathering and Analysis」という、APNICスタッフ
が提案したBoFが開催されました。これは、APNICにおけるBGPのデータ収集・
分析プロジェクトの呼びかけと、イタリアの研究機関で行われている
「Isolario」プロジェクトとの、連携に関するディスカッションを行うBoF
です。

   APNIC BoF - Data Gathering and Analysis
   https://conference.apnic.net/45/program/schedule/#/day/8/apnic-bof---data-gathering-and-analysis

このセッションでは、はじめにアジア太平洋地域において、特にネットワー
ク的に近傍のBGPの状況を把握することの重要性について、APNICのソフィア・
ベレンゲル氏から簡単に話がありました。その後、BGP経路の分析と可視化な
どを行っている、Isolarioプロジェクトが紹介されました。「Isolario」と
は「島嶼(とうしょ)誌」のことで、ASを島に見立てているようです。

   BGP Data Collection project
   https://conference.apnic.net/45/assets/files/APNT806/Creating-better-local-Internet-maps-in-the-AP-region.pdf

   Isolario Project; tools and activities
   https://conference.apnic.net/45/assets/files/APNT806/Isolario-project-The-real-time-Internet-routing-observatory.pdf

スライドにあるように、Isolarioのページでゲストログインすると、特定の
IPv4とIPv6の、BGP経路情報を閲覧するツールが利用できます。リアルタイム
にBGPのメッセージを見ることもできますが、可視化にはBGP経路情報のフィー
ド(連続的な入力をする設定)が必要になります。しかし、現在Isolarioの
フィードは、多くはRIPE担当の地域からのものです。今後、APNIC地域の
フィードが増えることで、アジア太平洋地域の経路制御の状況がより分かり
やすくなっていくのではないか、という話の流れになっていました。

会場からは、「ICANNにはこのテーマに限ったものではないが、フェローシッ
ププログラムがあるので、APNIC地域の人に利用してもらって状況把握に努め
るといいのではないか」といったコメントがあったほか、「CAIDA (Center
for Applied Internet Data Analysis)のデータとの違いは何か」、「オープ
ンソースのプロジェクトになっていくのか」といった質問が挙がりました。
会場は、おおむね趣旨に賛同するような雰囲気で、具体的な形がどうなるの
かが気になるところのようでした。なお、オープンソースをめざしていると
いう回答でしたので、日本の私たちも利用できるようになるかもしれません。


■ DNSトラフィックの分析など

計測とモニタリングのセッションで「オープンソース・ツールを用いたグロー
バルDNSネットワークの可視化」という発表がありました。IXやDNSに関する
事業を行っているPacket Clearing House(PCH)で開発した、オープンソース
のツールの紹介です。GitHubで公開されており、DNSサーバへのクエリーパ
ケットを分析したり、世界地図で色分けしたりするツールが使えるようになっ
ています。

  Visualizing a global DNS network with open source tools
  https://conference.apnic.net/45/assets/files/APNT806/Visualizing-a-global-DNS-network-with-open-source-tools.pdf

  Packet Clearing House - GitHub
  https://github.com/Packet-Clearing-House

          ◇                     ◇                     ◇

ネパールの首都カトマンズでは、道路や建物の整備が活発化しているようで
すが、大きなマーケットが連なる通りから1本入ると、ビルが崩れたままに
なっていました。2015年に起きた地震の影響がいまだに残っているのです。

その一方で、ネパールのインターネットは発展しつつあります。ネパールの
インターネット人口が、2017年だけで225万人増え(*2)、4G LTEサービスのカ
バー率が人口の15%に達したというニュースがありました(*3)。カトマンズ市
内では4Gが利用できる状態が続いていて、会場のネットワークも日本やネパー
ル以外にあるサーバへの到達性は良く、快適に使うことができました。

OpenNet Initiativeの調査によると、中近東や中央アジアの国々に多い、国
レベルのコンテンツフィルタリングは、ネパールでは行われていない模様で
す(*4)。ネパールにおけるインターネットが、ネパールらしい発展を支える
存在であればと思います。

次回のAPNICカンファレンスは、2018年9月6日(木)~13日(木)、ニューカレド
ニアで開催されます。

(*2) Internet users in Nepal increases rapidly, penetration reaches
     63 percent
     https://www.nepalitelecom.com/2018/01/internet-in-nepal-users-rapid-increase.html

(*3) Ncell 4G launches in two more cities, offer 1 GB free data
     Complete list of cities with Ncell 4G coverage On Jan 7, 2018
     https://www.nepalitelecom.com/2018/01/ncell-4g-coverage-launches-in-two-more-cities.html

(*4) Nepal | OpenNet Initiative
     https://opennet.net/research/profiles/nepal


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 JPNIC News & Views vol.1578 【臨時号】

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