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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1600【臨時号】2018.6.21 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1600 です
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本号で、News & Views は1600号目となりました。vol.1500の発行が2017年の
5月でしたので、それから1年ほどとなります。みなさまのお役に立つ情報を
提供できるよう取り組んでまいりますので、これからもよろしくお願いいた
します。

さて、2018年5月中旬にハンガリー・ブダペストにて、第76回RIPEミーティン
グが開催されました。RIPE NCCは世界に五つある地域インターネットレジス
トリ(RIR)の一つで、ヨーロッパ地域を担当しています。

本号では、今回のRIPEミーティングのレポートとして、アドレスポリシー関
連の議論を中心に、引き続き行われているWHOISへの登録情報の正確性向上に
関する議論と、加えて2018年5月に施行されたEUの一般データ保護規則(GDPR)
への対応についてご紹介します。

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◆ 第76回RIPEミーティング報告
                                               JPNIC IP事業部 川端宏生
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本稿では、2018年5月14日(月)~18日(金)にフランス・マルセイユで開催され
た、第76回RIPEミーティング(RIPE 76)の様子をレポートします。RIPE NCC
は、ヨーロッパ・ロシア・中近東を管轄する地域インターネットレジストリ
(RIR)です。APNIC地域では、APRICOT (Asia Pacific Regional Internet
Conference on Operational Technologies)カンファレンスが開催され、アド
レスポリシーの議論やネットワークの運用に関するさまざまな議論が展開さ
れています。RIPEミーティングは、APRICOTのヨーロッパ版と考えていただけ
れば、イメージできる方が多いかもしれません。

RIPEミーティングでは、その時々で最新の内容が取り上げられ、参加者によ
る活発な議論が繰り広げられるのが特徴です。ミーティングすべての内容を
ご紹介することは非常に難しいのですが、本稿では、アドレスポリシー関連
の議論を中心に紹介します。JPNICでは、RIPE NCCにおけるアドレスポリシー
関連で注視しておく必要があると考えていたのは、WHOIS正確性向上に関する
提案(2017-02:Regular abuse-c Validation)の議論の動向と、IPアドレス・
AS番号の登録管理サービスにおける、欧州連合(EU)の一般データ保護規則
(General Data Protection Regulation; GDPR)への対応状況の2点です。これ
らの内容についても、以下で適宜ご紹介しています。


■ 全体概要

RIPEミーティングは、全体会議、各種ワーキンググループ(WG)によるセッショ
ン、チュートリアルおよびBoFにより構成されています。各セッションの構成
は、下記のWebサイトからご覧ください。

・RIPE 76 Meeting Plan
  https://ripe76.ripe.net/programme/meeting-plan/

各セッションで利用された資料、発言録、当日の発表風景の映像・音声など
は、下記のWebサイトでまとめて公開されています。

・RIPE 76 Meeting Archives
  https://ripe76.ripe.net/archives/

RIPE 76ミーティング初日時点での事前参加登録者は814名となっていました
が、最終日までに会場には737名が訪れたそうです。参加者は年々増加傾向に
ありますが、今回の参加者数は過去最大となったとのことでした。これまで
と同様に、イギリスやドイツのネットワークオペレーターを中心に、RIPE
NCCの管轄地域であるヨーロッパ・ロシア・中近東の各国から、参加者が集
まったとのことでした。会期中の報告では、米国からの参加者が最も多いと
のことでした。これはAPRICOTと同様の傾向で、インターネット上の各種サー
ビスが、米国に拠点を持つ企業によって提供されていることが多いというの
が、影響しているのかもしれません。

RIPEミーティングでは、プログラム委員(Programme Committee)が主体となっ
て各プログラムの検討を行っています。このプログラム委員は、RIPEコミュ
ニティから選挙によって選出されるメンバーと、関連するコミュニティから
選出されるメンバーとで構成されています。プログラム委員は、全体会議の
発表内容を検討するだけでなく、当日の司会進行役を務めるほか、時には自
らが議論の先頭に立つなど、非常に積極的に活動していました。

・The RIPE Programme Committee
  https://www.ripe.net/participate/meetings/ripe-meetings/pc

各種WGが設けられるのも、RIPEミーティングの特徴です。WGごとにチェアが
2人選任されており、WGごとに設けられているメーリングリスト(ML)での議論
の整理をはじめとして、ミーティング当日には司会進行を行うなど、プログ
ラム委員と同様に中心的な役割を担います。


■ アドレスポリシー提案について

RIPE 76ミーティングでは、4点の提案について議論が行われました。以下で
は、提案内容について議論と併せてご紹介します。

・2017-02:Regular abuse-c Validation
           ("abuse-c"の項目に登録された電子メールアドレスの定期的な認
             証)
           https://www.ripe.net/participate/policies/proposals/2017-02

2017-02は、RIPE NCCのデータベース中で"abuse-c"または"abuse-mailbox"の
項目に登録された電子メールアドレスについて、機能しているかどうか定期
的な確認を目的とした提案です。なお、"abuse-c"や"abuse-mailbox"とは、
WHOIS情報で、該当IPアドレスの不正利用に対応する窓口となる電子メールア
ドレスを登録するための項目です。

ML上や複数のオフラインミーティングで議論が重ねられてきた提案のため、
質疑応答での会場からのコメントは多くありませんでした。コメントの中心
は、RIPE NCCから伝えられた無効な電子メールアドレスの数に対するもので
した。10~25%程度といった幅のある予測ではなく、もう少し精緻な数を調べ
て、その内容を元に議論した方が良いのではないかという趣旨でした。

RIPE地域におけるポリシー策定プロセスでは、提案に対するコンセンサスの
確認はMLにおいて行うこととなっています。この提案は、提案内容をポリシー
文書に反映するために、ML上でコミュニティに対して最終の意思確認を行う、
ラストコールの状態となっていました。

今回の議論はラストコールを取り下げるほどの内容ではないと判断したチェ
アからは、ML上でのラストコールを継続する旨の宣言がありました。

現在、RIPE NCCをはじめとする各RIRでは、abuse-cを含むWHOIS登録情報の正
確性に関する議論が盛んに行われています。2018年4月に開催された北米地域
を管轄するARINのミーティングにおいても、WHOIS登録情報の正確性向上を目
的とした提案について、議論が行われ、コンセンサスの確認が行われていま
す(*1)。

(*1) News & Views vol.1592 「ARIN 41ミーティング報告」
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1592.html

中南米地域を管轄するLACNICでは、RIPE地域とほぼ同様の内容で提案が提出
されており、その提案について議論が行われています。また、RIPE NCCのポ
リシー担当マネージャーからは、WHOIS登録情報の正確性に関する提案の位置
づけで、アフリカ地域を管轄するAFRINICでの提案について説明が行われてい
ました。このAFRINICの提案では、無作為に抽出した割り当て情報について、
その割り当て情報に含まれるIPアドレスの利用状況を確認するそうです。
AFRINICからの問い合わせに対して、割り当て先組織から返事がない場合や、
その割り当てがIPアドレスの分配ポリシーに従った割り当てであることが確
認できない場合には、割り当てを取り消すといった内容です。

また、会場の参加者からは、APNICフォーラムへも提案の提出を予定している
旨の発言もありました。2018年9月にニューカレドニア・ヌメアで開催予定の
APNIC 46ミーティングにおいて、WHOIS登録情報の正確性向上に関する議論が
行われることになりそうです。こちらはJPNICでのIPアドレス分配ポリシーに
も関わってくる内容ですので、今後の動向をチェックしておく必要がありそ
うです。

・2018-01:Organisation-LIR Clarification in IPv6 Policy
           (IPv6アドレスポリシーにおける"Organization"と"LIR"の明確化)
           https://www.ripe.net/participate/policies/proposals/2018-01

2018-01は、IPv6アドレスのポリシー文書に記述されている"Organization"と
"LIR"の記述を明確にすることを目的とした提案です。

現在有効なIPv6アドレスに関するポリシー文書では、アドレスの分配先を表
す用語として"Organization"と"LIR"の記述が混在していると提案者は指摘し
ています。この混在した記述を"LIR"に統一するよう修正することが目的の一
つとして挙げています。また、IPv4アドレスに関するポリシー文書とIPv6ア
ドレスに関するポリシー文書では、用語の利用方法が異なっていると提案者
は分析しています。

今回はこの"LIR"の用法を、IPv4アドレスに関するポリシー文書と揃えること
で、IPv6アドレスの分配の際にも、1組織が複数のLIRを登録可能と解釈でき
るようにしたいと提案者は説明していました。RIPE NCCからは、この提案内
容の分析において、現在有効なIPv6アドレスに関するポリシーでも既に対応
は可能としており、現時点で、700メンバーが複数のLIRの登録を行っている
そうです。

すべてのRIRで統一された内容のIPv6アドレスに関するポリシー文書は、約15
年前に制定されました。文書の制定当初は"LIR"の概念を持たないRIRもあっ
たことから、現在のポリシー文書のような記述になっていると、会場からコ
メントが出されていました。

"LIR"という用語の定義を正しく理解する必要性についてのコメントや、他の
文書での用語の使われ方の整合を取る必要があるのではないかといったコメ
ントも見受けられました。この提案は議論を行うフェーズのため、今後もML
や次回以降のオフラインミーティングの場で議論が行われます。

・2018-02:Assignment Clarification in IPv6 Policy
           (IPv6アドレスポリシーにおける割り当ての明確化)
           https://www.ripe.net/participate/policies/proposals/2018-02

2018-02は、割り当てを受けたIPv6プロバイダ非依存アドレスについて、再割
り当てとするケースを明確化することを目的とした提案です。「ゲストネッ
トワークやVPNなどにIPv6アドレス割り当てるような特定の用途では、再割り
当てとみなさない」とする内容を追加するものです。

IPv6アドレスに関するポリシー文書の該当部分は、この提案が議論される前
に、2016-04の提案として議論され、変更された内容です。2016-04での議論
を行っていた際に、さらなる修正が必要とされていました。また、RFC8273
(Unique IPv6 Prefix per Host)が2017年12月に発行され、このRFC8273に準
拠したIPv6アドレスの割り当てについても、ポリシー文書には考慮して記載
する必要があると考えている、と提案者から説明がありました。

このような背景もあり、2016-04での提案に基づいてポリシー文書が改定され
るのを待ってから、改めてポリシー文書を改定する提案を行ったようでした。
今回のように、該当部分が立て続けに変更になる提案はとても珍しいかもし
れません。提案者は、IPv6アドレスの現在の利用実態に合わせて、今回対象
となった文書以外にも、他の文書についても修正の必要性を強く感じている
ようでした。

提案者は、再割り当ての定義が不足していると強く主張する一方で、会場か
らは、ポリシー文書を変更する必要性について疑問を示すコメントが出され
ていました。

この提案は、議論の初期フェーズにあり、ポリシー策定プロセスを先に進め
るかどうかについて、提案者の判断を待っている状況となっています。

・2018-03:Fixing Outdated Information in the IPv4 Policy
           (IPv4アドレスポリシーにおける利用されていない情報の修正)
           https://www.ripe.net/participate/policies/proposals/2018-03

2018-03は、IPv4アドレスに関するポリシー文書中で、古くなった情報を修
正/削除することを目的とした提案です。提案には二つの項目が含まれてい
ます。一つ目は参照先のRFCを修正することです。二つ目は、RIPE NCCのデー
タベース中で割り振り/割り当てIPv4アドレスに関する情報に登録された、
そのアドレスの状態を表す情報(ステータス)について、現在利用されておら
ず不要となったステータスを削除することです。

提案者による発表後の質疑応答では、参照するドキュメントについてのコメ
ントがありましたが、それ以外にはコメントはありませんでした。この提案
についても2018-02と同様に、議論の初期フェーズにあります。WGによる作業
が続けられている状況にあります。


■ IPアドレス管理に関わるその他の動向

(1)最後の/8在庫からの割り振りについて

2011年2月、IANA(現在のPTI)の中央在庫が枯渇した際に、IANAからRIPE NCC
には185.0.0.0/8 (185/8)の割り振りが行われました。

RIPE NCCでは2012年9月より、この185/8から1LIRあたり/22 (1,024アドレス)
の割り振りを行ってきましたが、2018年4月には、この在庫からの割り振りが
終了したと、アナウンスがありました。

・So Long Last /8 and Thanks For All the Allocations
  https://labs.ripe.net/Members/wilhelm/so-long-last-8-and-thanks-for-all-the-allocations

現在、IANAに一度返却されたIPv4アドレスが各RIRに分配されています。RIPE
NCCでは、このアドレスと、RIPE NCCに返却されたIPv4アドレス在庫からの分
配を行っています。

RIPE NCCでは、上記の分配のためのIPv4アドレスとは別に、以下のアドレス
を在庫として持っています。最後の/8在庫の枯渇を受けて、これらの在庫の
今後について、議論が行われました。

・/13:一時的な割り当て用に予約
・/16:IXP (Internet Exchange Points)の相互接続セグメントへの割り当て
       用として予約

これらのアドレスの現時点での利用状況を考慮して、一時的な割り当て用に
予約されているアドレスサイズを小さくすることおよび、IXP用として予約さ
れているサイズを大きくすることについて、RIPE NCCスタッフから会場参加
者へ問題提起が行われていました。また、RIPE NCCに返却されたIPv4アドレ
スの在庫が枯渇したあと、新たにIPv4アドレスの分配を希望する組織に対し
て、どのような対応を行うべきかについても、併せて問題提起が行われてい
ました。

会場からは、要否の見極めが必要であるといったコメントがいくつか出され
ているようでした。また、公平に分配するレジストリの役割の観点からも、
今後どのように分配すべきか検討する必要がある、といったコメントが出さ
れていました。

今回の議論は、ポリシーを変更するための提案として取り上げられたもので
はありません。しかしながら、予約サイズに関わる内容はポリシー文書にも
記載されているため、今後、ポリシー文書を変更する提案が提出される可能
性があります。APNIC地域においても、予約サイズに関わる内容はポリシー文
書に記載があります。今回の議論と同様の内容が、APNIC地域でも議論される
可能性があり、とても参考になったトピックでした。

(2)GDPRへの対応について

2018年5月25日より、EUの一般データ保護規則(GDPR)が施行される、というこ
ともあって、JPNICでもこれまで、RIPE NCCのGDPRへの対応について、動向を
注視していました。

RIPE NCCでは、以下のようなWebページを通じて、GDPRへの対応状況を公開し
ています。

・GDPR and the RIPE NCC
  https://www.ripe.net/about-us/legal/corporate-governance/gdpr-and-the-ripe-ncc

また、RIPE NCC以外においてもAPNICとARINでは、以下のようなアナウンス・
情報提供を行っています。

・APNIC (APNIC Blog):How APNIC handles personal information
  https://blog.apnic.net/2018/04/17/how-apnic-handles-personal-information/

・ARIN (Team ARIN Blog):Personal Data Privacy Considerations at ARIN
  https://teamarin.net/2018/03/20/personal-data-privacy-considerations-at-arin/

RIPE 76ミーティングでは、いくつかのWGにおいて、RIPE NCCスタッフから、
GDPR対応に関する報告がありました。

RIPE NCCでは、1995年に成立したEUデータ保護指令には準拠しています。さ
らに、2006年にはデータ保護を検討するためのタスクフォースが設立され、
その内容は、以下の文書にまとめられ、現在においてもRIPE NCCにおけるデー
タの取り扱い指針となっています

・RIPE NCC Data Protection Report
  https://www.ripe.net/about-us/legal/ripe-ncc-data-protection-report

GDPRに対してRIPE NCCでは、2017年よりプロジェクトを立ち上げ、各部門で
の対応を支援する体制を整えてきているとのことでした。データベースWGで
は、RIPE NCCの持つデータベースの観点から、NCCサービスWGでは、データ
ベースに限らず、情報の取り扱いを行う各サービスの観点から、どのような
対応を行ったかについて解説が行われていました。

・データベースWG:RIPE Database & GDPR
  https://ripe76.ripe.net/presentations/101-GDPR-Database-WG-RIPE-76.pdf

データベースWGでは、EUデータ保護指令に準拠してから現在に至るまで、ど
のようにデータ保護に取り組んできたかの説明を行ってから、GDPRへの対応
について説明が行われていました。

まずはじめに、GDPR対応へのアプローチをどのように開始したかについて説
明がありました。まずは法的レビューを開始し、外部の法律顧問やパートナー
とも協働し、ICANNとEU当局との議論についてもレビューしたそうです。RIPE
データベースの利用目的の再確認などを通じて、個人データの処理の基本原
則とGDPRの要件に沿って状況の分析が行われました。

分析が進むにつれて、問題点が明らかになり、その対応策の検討が行われま
した。データベースの観点からの問題の一つは、IPアドレス・AS番号の分配
先を登録した「割り当て情報」のうち、過去の割り当て情報に含まれる個人
情報の取り扱いでした。連絡先となる担当者の情報には、NICハンドルと呼ば
れる個人を特定するための文字列が割り当てられます。2009年までは、この
文字列の再利用を行っていたために、検索結果に意図しない別の担当者に関
する情報が表示されるケースがあるとのことでした。

また、個人への割り当てが行われている場合、データベース上の割り当て情
報には、その割り当て先となる個人の情報が登録されることとなります。割
り当てが解除された後に、データベースに残る割り当て情報にも担当者に関
する個人情報が表示されることになります。RIPEデータベースの提供目的や
情報取り扱い指針にも照らし合わせて、表示されるべきでない情報があるこ
とが判明したためそれらについて対応を行った旨の報告がありました。

RIPE NCCでは、RIPE文書のレビュー、関係者への働きかけの継続やGDPR準拠
状況の監督について現在も対応を進めています。

・NCCサービスWG:RIPE NCC and the GDPR
  https://ripe76.ripe.net/presentations/102-GDPR-Implementation-at-the-RIPE-NCC.pdf

NCCサービスWGでは、RIPE NCCが提供する各サービスの視点から、GDPRへの対
応内容が紹介されていました。RIPE NCCの担当者からは、GDPR対応の目標と
して、以下の3点が挙げられていました。

・データの識別と分類
・GDPRと関係法令の遵守
・違反時の速やかな対応体制の確立

この目標の達成を目的として、まずはじめに、各サービスにおいて、どのよ
うな項目を確認したかの紹介が行われていました。

先ほど紹介したデータベースはもちろんのこと、メンバーになるための必要
な契約申し込みに関する情報と、メンバーになった後に行う申請の際のフォー
ムなどについて、「どのようなデータが必要になるか」「どうしてそのデー
タが必要になるか」「誰がそのデータにアクセスするか」などをチェックし
て行ったそうです。また、違反時の通報システムの設置や、データ保護担当
者を任命した旨の説明も行われていました。

RIPE NCCでは、IPアドレス・AS番号の分配に関わる業務として、今回参加し
ているようなオフラインミーティングを年に複数回開催しています。ミーティ
ング参加者から集める情報の取り扱い、メーリングリスト参加者に関する情
報の取り扱いについても対応が必要なため、レビューを進めているそうです。
各ミーティングの参加者は、RIPEミーティングのページで公開されています。
例えば今回のRIPE 76ミーティングの参加者に関する情報も以下のWebページ
で公開されています。この参加者に関する情報はどの程度公開しておく必要
があるかについてレビューを行っているそうです。

・RIPE 76 meeting Attendee List
  https://ripe76.ripe.net/attend/attendee-list/

その他、プライバシーステートメントの作成、RIPE ATLASへの対応、処理/
対応内容の記録システムの構築などについて説明が行われていました。さま
ざまなサービスを提供するRIPE NCCでは多岐にわたる対応が必要である印象
を受けました。

登録データのうち、過去に登録された情報はデータベースの完全性の維持の
ほか、今後の紛争への対応の際にアドレス利用の裏づけの情報となることが
期待されています。登録データを精査しておくことは今後の課題と認識して
いるようです。また、RIPE NCCのサービスとツールについて、データのアク
セスと可用性に関する内部ポリシーの実装を検討しているそうです。

5月25日が迫っていたこともあり、会場からは質問が続出することを想定して
いましたが、簡単な質問があったのみで淡々と報告が進みました。RIPE NCC
の担当者は、インターネットレジストリとしての役割、RIPEコミュニティの
利益、法的義務のバランスを保ち、慣行と手順を見直し続けること、GDPRへ
の対応は終了したわけではなく、状況に合わせて見直しを続ける必要がある
ことを、締めくくりの言葉としていました。この言葉がとても印象に残りま
した。


■ 最後に

今回ご紹介した内容は、RIPE 76ミーティングのほんの一部です。会期中は、
どのセッションも割り当てられた90分を使いきり、いくつかのセッションで
は、休憩時間にまで熱い議論が繰り広げられていたのが印象的でした。

各RIRのミーティングでのポリシー提案ではこれまで、在庫枯渇前後のIPv4ア
ドレスの分配、IPv4アドレス・AS番号の移転、WHOISの正確性向上への取り組
み、といったテーマが取り上げられてきました。今回のミーティングでは、
これらに加えて、IPv6アドレスの分配ポリシーの見直しが提案として議論さ
れていました。制定から15年を経過したIPv6ポリシーを、現在の状況に合わ
せて修正するような提案も、今後は増えてくる可能性もあります。引き続き、
各地域の動向は追っておく必要がありそうです。

次回のRIPEミーティングは、2018年10月15日(月)~19日(金)に、RIPE NCCの
オフィスのあるオランダ・アムステルダムでの開催が予定されています。ま
た、次々回は、2019年5月20日(月)~24日(金)に、アイスランド・レイキャビ
クでの開催が予定されています。

・Upcoming RIPE Meetings
  https://www.ripe.net/participate/meetings/ripe-meetings/upcoming-ripe-meetings

日本においても、JPOPF運営チームが中心となってオープンポリシーミーティ
ングを開催しています。2018年6月19日(火)に第34回JPNICオープンポリシー
ミーティングが開催され、RIPE 76ミーティングの模様もご紹介しました。
発表資料はプログラムページに掲載されており、後日議事録や音声のアーカ
イブが公開される予定です。日頃からIPアドレス管理に携わられている方に
は、聞いておいていただきたいプログラム構成になっています。こちらもぜ
ひご覧いただければと思います。このミーティングのレポートについても、
後日このメールマガジンにてお届けする予定です。

・第34回JPNICオープンポリシーミーティングプログラム
   http://www.jpopf.net/JPOPM34Program

                       ◇        ◇        ◇

RIPE 76ミーティングの模様について、JPNIC Blogでは、写真を含めてご紹介
しています。メールマガジンの文字だけではなかなかお伝えできないような
RIPE 76ミーティングの雰囲気も、もう少しわかるのではないかと思い掲載し
ています。本稿の内容と重複する部分もありますが、あわせてご覧いただけ
れば幸いです。

・RIPE 76がマルセイユで開催されました
  https://blog.nic.ad.jp/blog/ripe76-policy-proposal/


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