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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1721【定期号】2019.10.15 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.1721 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌日)に発行している定期号では、特集記事の
みならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしています。
本号の特集では、2019年9月上~中旬にかけてタイのチェンマイにて開催され
たAPNIC 48カンファレンスの全体概要と、アドレスポリシー関連の議論につ
いてご紹介します。なお、技術関連の動向に関しては、次号以降で取り上げ
る予定です。
News & Views Columnでは、国立研究開発法人情報通信研究機構の森好樹氏
に、インターネットの遅延についてオンラインゲームを例に挙げ、その原因
と対策についての考察をご寄稿いただきました。また、インターネット用語
1分解説では、IETFをはじめ最近いろいろなところで開催されるようになった
「ハッカソン」について解説しています。
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◆ 目次
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【 1 】特集 「APNIC 48カンファレンス報告 [前編]
全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
【 2 】News & Views Column
「オンラインゲームとインターネットの遅延」
国立研究開発法人情報通信研究機構 森好樹氏
【 3 】インターネット用語1分解説
「ハッカソン(hackathon)とは」
【 4 】統計資料
1. JPドメイン名
2. IPアドレス
3. 会員数
4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー
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【 1 】特集 「APNIC 48カンファレンス報告 [前編]
全体概要およびアドレスポリシー関連報告」
JPNIC IP事業部 中川香基
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APNIC 48カンファレンス(以下、APNIC 48)が2019年9月5日(木)~9月12日(木)
にかけて、タイ・チェンマイにて開催されました。チェンマイはタイ北部の
都市で、首都バンコクから飛行機で1時間ほどで行くことができます。本稿で
は、APNIC 48の開催概要とアドレスポリシーに関する議論の動向についてご
紹介します。
■ APNIC 48開催概要
APNIC 48はこれまで通り、会期前半の5日間は「ワークショップ」が開催さ
れ、9月10日(火)からの3日間はポリシーやNIR (National Internet Registry;
国別インターネットレジストリ)、ソーシャルな課題など特定分野に関心を持
つ人達で議論が行われる「SIG (Special Interest Group)」、参加者が自由
に語り合う「BoF (Birds of a Feather)」、カンファレンスの総括および全
体報告が行われる「AMM (APNIC Member Meeting)」、その他各種技術に関す
る講演等、多様なプログラムが用意されたカンファレンスセッションが開催
されました。
主催者報告によると、今回のAPNIC 48の現地参加者総数は422名でした。単独
開催のAPNICカンファレンスとしては、比較的多くの方が集まったようです。
今回も世界54の国と地域からさまざまな参加者が集まりました。最も参加者
が多かった国は開催国タイで65名、続いてバングラデシュから64名、インド
35名、日本21名とのことでした。
会期中のセッションは動画、資料、発言録がWebで公開されています。もし興
味のある内容がありましたらぜひご確認ください。
APNIC 48プログラム
https://conference.apnic.net/48/program/schedule
■ 選挙結果のご紹介
APNIC 48ではThe Number Resource Organization (NRO) Number Council (NC)
を選出する選挙が行われました。
NRO NCは、ICANN理事会がグローバルポリシーを承認する上で、アドバイスを
行う役割を担います。ポリシーフォーラムより選出された2名と、RIR
(Regional Internet Registry; 地域インターネットレジストリ)の理事会が
指名する1名の合計3名を、各RIR地域の代表者としています。五つのRIRから
合計15名で、NRO NCを構成しています。
今回、Aftab Siddiqui氏(Internet Society・オーストラリア)の任期満了に
伴い、選挙が行われました。今回の選挙では9名の候補者が立候補しました
が、現職のAftab氏が再選しました。NRO NCの任期は2年となっており、2020
年1月から2021年12月まで当職を務めることになります。Aftab氏はNRO NCで
チェアとして活躍してこられ、第64回ICANN神戸会議でも、IPアドレスに関す
るセッションに尽力されていたのが印象に残っています。引き続き活躍が期
待されます。
■ ポリシーSIGでの議論とその結果
APNIC 48のポリシーSIGでは、5件のポリシー提案と1件のプレゼンテーション
が行われました。各提案の議論結果についてご紹介します。提案の内容や事
前情報に関しては、JPNICブログにまとめていますので併せてご確認くださ
い。また、IP-USERSメーリングリストでは、カンファレンス開始前にJPOPF運
営チームによって日本語での提案紹介および意見募集が行われています。今
後の動向把握には、こちらもぜひ登録をお願いします。
APNIC 48でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご紹介
https://blog.nic.ad.jp/2019/2885/
IP-USERSメーリングリスト
https://www.nic.ad.jp/ja/profile/ml/mailman.html#join-ip-users
◆ プレゼンテーション
○リソースハイジャックとAPNICポリシー
提案者:Jordi Palet Martinez氏
概要:リソースの不正広告を受けた場合の通報フォームを設置する。受け
た通報は専門家によるレビューを経て、ハイジャックの認定、コミュ
ニティへの広報を行う。事故による誤情報の広告はこれに含まない。
本件はポリシー提案として提出されましたが、ポリシーSIGチャーターにそぐ
わないとしてチェアに提案を却下されています。今回はコンセンサスを取ら
ないプレゼンテーションのみとして許可されていました。本件はARINやRIPE
地域で先行して提案・議論されており、その時の論点はJPNICブログにてご紹
介しています。
BGPハイジャックはポリシー違反になるか?(ARIN PPMLの議論より)
https://blog.nic.ad.jp/2019/2629/
RIEP NCCでの提案
https://www.ripe.net/participate/policies/proposals/2019-03
提案者はルーティングを管理しようというわけではなく、APNICメンバーのリ
ソース保有の権利を守るための提案であると主張していました。今回のプレ
ゼンテーションに対して特筆すべきコメントはありませんでしたが、今後も
動向が注目される話題でした。
◆ ポリシー提案
○再割り当ての定義明確化(prop-124)
提案者:Jordi Palet Martinez氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-124
概要:割り当てられたアドレスはその組織と組織内の第三者のみ利用でき
る。外部の第三者の利用(ISP顧客への再割り当て)やデータセンター
での第三者へのアドレス再割り当てなどは許可されない。
結果:コンセンサスに至らず廃案
本提案はAPNIC 46から継続議論となっている提案です。今回の議論でも、過
去の議論同様、提案者と参加者の問題意識の差異が浮き彫りになっていまし
た。提案者は定義を明確に文書化しておきたいという強い意志がある一方で、
参加者は現状のポリシー文書のままでも何ら問題は発生しておらず、変更の
必要性を感じている人は誰もいないようでした。また、「組織内」の認識は
人によって差異があり、「場所」で判断することができるのであれば、ネッ
トワークで組織とつながっている状態にあれば「組織内」ということもでき
るなどといった意見が挙がっていました。多くの意見は、「反対はしないが、
必要ではない」というところでした。結果コンセンサスには至らず、提案者
は議論の継続を諦め、廃案となっています。
○APNICにおけるポリシー策定プロセスの修正(prop-126)
提案者:Jordi Palet Martinez氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-126
概要:次の通り、ポリシー文書の内容を変更する。
- メーリングリスト(ML)、電子媒体(CONFER)でのコンセンサスを明
記
- 否決後、6ヶ月以内に修正がない提案の自動廃案
- チェアの裁量により、ラストコール(LC)の期間を4週間延長できる
制度を廃止
- チェアによるコンセンサス宣言をLC後1週間以内に行う
- アピールプロセスの設置
結果:コンセンサスに至らず廃案
本提案もAPNIC 46から継続議論となってきた提案です。提案者は現在のAPNIC
ポリシー策定プロセスの問題点として、MLでの発言の少なさを挙げました。
現状のままでは1人の大きな声ですべての物事が決まってしまう恐れがあると
し、MLやCONFERなど電子媒体上の議論でコンセンサスを行い、遠隔参加者の
意見反映、MLの活性化につなげたいといった旨を主張しました。一方で、参
加者は現行の制度でもMLの意見はチェアが紹介するなどして拾えており、Web
上で意思表示を行うCONFERに関しても適切にポリシー形成に反映ができてい
て、問題なく運用できているという考え方が多数のようでした。
今回の議論の中で最も注目されたポイントは、アピールプロセスの設置でし
た。ARINなどでは既にPDP上にアピールプロセスが存在しますが、APNICでも
同じような制度が必要という点が議論されました。現行のままでも自由に異
議を表明でき、コミュニティが問題であると感じればコンセンサスにはなっ
てきていないので必要ないという意見や、提案中のアピールプロセスはコミュ
ニティへの情報共有が欠けており、不十分だとの指摘もありました。
結果、変更の必要はないとの考えを変えることができず、今回もコンセンサ
スには至りませんでした。提案者は提案の継続を諦め、廃案となることが決
まっています。
○移管ポリシーの修正(prop-130)
提案者:Jordi Palet Martinez氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-130
概要:セクション8.4.「合併と買収の記録」、セクション11.0.「IPv6の移
転」、セクション13.3.「AS番号の移転」について、許可条件に従来
の合併と買収に加え、再組織・所在地移転を加える。APNIC地域外で
も、対応するポリシーが存在する場合はこれを認める。
結果:継続議論
現行のポリシーでは、IPv4アドレスは移転制度を利用して国・地域が変わっ
ても、同じIPアドレスを利用し続けることができますが、IPv6に関しては移
転制度が存在しないため、同じIPアドレスを使い続けることができず、リナ
ンバをするしかありません。しかし、IPv6のリナンバは容易ではないため、
所在地が変わっても同じIPアドレスが利用できるように、移転を例外的に認
めるようにしたいと提案者は主張しました。
しかし、IPv4でもAPNICでは103/8からの割り振りアドレスには最低保有期間
の定めのため、移転ができない場合があるように、本項へのポリシー提案適
用だけですべてのIPアドレスが移転できるようになるわけではなく、リナン
バが必要なシーンは存在すると指摘されました。
また、IPv6に関してはスパースアロケーションに従って高効率での割り振り
ができるよう努めてきており、移転を行ってしまうとアドレスブロックが歯
抜けになってしまい、効率が大きく低下してしまうことを懸念する声が挙
がっていました。
今回の議論では意見がまとまらず、コンセンサスには至りませんでした。特
に、IPv6のスパースアロケーションを崩すことに対しては、ネガティブなイ
メージを持った人が多かった印象です。
IPv6割り振り/割り当て申請のためのJPNICガイドライン
(7.3 スパースアロケーションの仕組み)
https://www.nic.ad.jp/doc/jpnic-01169.html
○IPv6ポリシーの文書変更(prop-131)
提案者:Jordi Palet Martinez氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-131
概要:次の通り、ポリシー文書の内容を変更する。
- セクション5.2.4.2.「エンドサイトへの割り当てサイズ」
(旧)割り当ては/64~/48の間を、LIR(ISP)の判断で割り当てる
ことができる。ただし、/48以上を希望する場合はこの限り
ではない。
(新)LIRもしくはISPは"n"×/64を割り当てることができる。
- セクション5.2.4.3.「エンドサイトへの/48以上の割り当て」
IPv6の追加割り当て未経験の要件を削除し、/48以上の割り当て
要件を記載。
- セクション5.2.4.4.「インフラ割り当てについて」→削除
- セクション10.1.4.1.「初期割り当て」
/48以上の割り当てを希望する際の参照文書を"APNIC guidelines
for IPv6 allocation and assignment requests" から5.2.4.3.
に変更。
結果:コンセンサス
現行のポリシー文書を簡略で明確な文言に変更することを目的として提案さ
れた本件は、多くの参加者に好意的に受け入れられていました。コミュニティ
の潮流として、できる限りポリシーは簡潔で、誰が見てもわかるような文章
にするようめざしています。今回はIPv6に関してのみでしたが、今後はIPv4
やAS番号に関する記述もこのような見直しを行うことを期待する声が挙がり
ました。
本提案は多くの支持を集めて、コンセンサスに至りました。
○APNICの未割り振り・未割り当てアドレスへのRPKI ROAの作成(prop-132)
提案者:Aftab Siddiqui氏
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-132
概要:APNICは、AS0のROAを、すべてのAPNICが管理する未割り振り・未割
り当てアドレスに対して作成する。APNICのみが未割り振りアドレス
に対してROAを作成することができ、AS0のROAを作成することができ
る。対象アドレスを割り振る際にはそのROAを失効する(オペレーショ
ンに関しては本提案では規定しない)。
結果:コンセンサス
提案はAPNICが管理するBogonアドレスをAS0(未使用)に紐づけてROAを作成し
ようというものです。提案者によると、直近の調査で82のBogon IPv4アドレ
スブロックと25のBogon IPv6アドレスブロックをRouting Table上で確認で
き、少なくとも100以上のアドレスブロックが不正に利用されているようで
す。現在、約600のネットワークでルートオリジン検証が導入されており、本
提案の導入でこれらのネットワークで通信することができなくなるので不正
利用削減の効果が期待できると述べていました。
参加者からの質問としては、11.2.3.4のような教育研究用IPアドレスの扱い
に関してや、APNICにおける実装の実現性についての質問が見られました。ま
た、本提案はAPNIC地域内でのポリシー提案ですが、Bogonは各RIRやIANAも管
理しているので、グローバルポリシーとしての提案も今後の動向次第で検討
したいといった話も出ていました。Bogonの浄化はRIRの重要な課題の一つで
あり、デメリットもないとして、本提案はコンセンサスとなりました。
インターネット用語1分解説:Bogonとは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/bogon.html
インターネット用語1分解説:ROAとは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/roa.html
インターネット用語1分解説:BGPsecとは(ルートオリジン検証)
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/bgpsec.html
◆ prop-125:abuseメールボックスの正確性実装検証の報告
Policy SIG内では、実装されたポリシーに関する報告もAPNICより行われまし
た。その中のうち、prop-125はabuseメールボックスの登録メールアドレスが
正しく機能するかを検証するという提案です。
APNICは2019年6月30日までに実装のフェーズ1として、351のIRT (Incident
Response Team)オブジェクトに対して正確性確認のメールを送付しました。
この確認メールに15日以内に応答がない組織は、追加の確認メールが技術者
窓口、代表者窓口に送られ、APNIC WHOISに"invalid"と表記されます。そこ
からさらに15日以内に応答がない組織は、レジストリシステム"MyAPNIC"の機
能が一部制限されます。
今回の検証では、351件中192件(54.7%)が確認完了できたとのことでした。不
正利用等が発覚した際に緊急で連絡を取れるはずのabuseメールボックスが、
この検証では半分程しか機能していなかったと事実上判明したのは衝撃的で
した。検証は今後6ヶ月に一度行われる予定で、次回フェーズ2(2019年12月)
完了までにはフェーズ1で発生した問題の修正と、割り当て先情報の対象への
追加を予定しています。緊急時に確実にコンタクトがとれるように、今一度
登録情報を見直して、IRTオブジェクトを十分に機能するように努めてほしい
と思います。
■ 次回以降のAPNICカンファレンスについて
次回のAPNIC 49カンファレンスは、オーストラリア・メルボルンにて、2020
年2月12日(水)~21日(金)に開催を予定しています。APNIC 49カンファレンス
はAPRICOT 2020カンファレンスとの共催です。また、APNIC 50カンファレン
スはバングラデシュの首都ダッカでの開催を予定しています。バングラデシュ
での開催は2016年に予定されていましたが、国内情勢の悪化を理由にコロン
ボ(スリランカ)に変更となった経緯がありました。今回は満を持しての初開
催となります。
APNICカンファレンスは、APNICメンバー以外の方にも広く門戸を開いていま
す。ポリシー動向は勿論、インターネットに関心をお持ちの方はぜひ一度参
加されてみてはいかがでしょうか。現地参加以外にもYouTube Live等での中
継で遠隔参加することもできます。英語でのカンファレンスに抵抗を感じて
いる方、関心はあるがイメージが難しいと感じている方は、私の初参加の時
の印象や経験を発表資料として残しておりますので、ぜひ一度ご覧いただけ
ればと思います。ハードルを下げたり、具体的イメージを膨らませる一助と
なれば幸いです。みなさまと、APNICカンファレンスの場でお会いできること
を楽しみにしています。
初めてのAPNIC Policy SIG (JPOPM36)
http://www.jpopf.net/JPOPM36Program
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┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃
┃良かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/1721/573e7fb86f97cf8747d7a0f34e9b0601 ┃
┃ ┃
┃悪かった ┃
┃ https://feedback.nic.ad.jp/1721/26f60394bebf12dcea39ef6717c3b29d ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
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【 2 】News & Views Column
「オンラインゲームとインターネットの遅延」
国立研究開発法人情報通信研究機構 森好樹
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オンラインゲームを遊んでいると、時々発生するワープやカクカクする「ラ
グ」。これは、「相手に対してデータを送信して戻ってくるまでの時間」が
遅いことなどが要因です。最近では、Ping値などと言われていますが、RTT(ラ
ウンドトリップタイム)が正式名称で、単位はmsec (1,000分の1秒)となりま
す。一般的なゲームは1秒間に60回ほど画面(フレーム)の更新をしています。
そのため、RTTを33msec以下にできれば、1フレーム(1000msec/60フレーム=
16.7msec)の遅延で繋がっていることになり、多くのゲームで快適に遊べると
思います。
今回は、通信での遅延部分の原因について考えてみたいと思います。
●物理的な距離による遅延
光ファイバーであっても、距離により遅延が発生します。国内であっても、
RTTは東京-大阪間は10msec、東京-九州間は20msecほどになります。また、
対戦相手が同じマンション内にいても異なるプロバイダの場合は、東京も
しくは大阪まで通信してからマンションまで折り返すこともあります。ど
うしても遅延を防ぎたいのであれば、ゲームサーバや折り返し地点の近く
に引っ越すのが一番です(笑)。
●通信機器の不具合と接続方法による遅延
ファームウェアの不具合からマルウェア感染まで、理由はさまざまありま
すが、ルータやONU(光回線終端装置)のファームウェアのアップデートと再
起動で改善することが多いです。また、カテゴリ7のケーブルはネットゲー
ムに最適で遅延が改善できるという主張も見かけますが、家庭用のインター
ネットではケーブルで遅延が変わることはないため、騙されてはいけませ
ん。ただし、無線LANより有線で接続するほうが安定しているのは事実で
す。
●プロバイダの混雑による遅延
Windows Updateや夜間などプロバイダが混雑している時には、遅延が発生
することがあります。また、他の居住者の利用による混雑から「マンショ
ンタイプはゲームに向かない。」という主張もありますが、戸建てタイプ
であっても電柱や局舎で他の利用者と分岐しているため、マンション・戸
建てのどちらでもプロバイダの混雑による遅延の可能性があります。
●経路による遅延
同じゲームであっても、経路の影響でプロバイダAはRTTが5msec、プロバイ
ダBでは100msecということもあります。経路の問題であれば、ゲーム用の
VPNサービスを使うことで解決できるかもしれません。トレースルートの結
果をゲームのサポートに送って問い合わせてみるのも一つの手です。
インターネットは基本的にはベストエフォートの世界ですから、遅延時間の
保証はありません。しかし、原因を探ることで遅延が解消できることもあり
ます。この情報が皆様の参考になればと思います。
■筆者略歴
森 好樹(もり よしき)
2010年に通信ネットワーク事業者にてNOC/SOC業務およびNW構築業務を経験。
2017年より情報通信研究機構にて、ダークネット宛のパケットの分析業務に
従事。2018年よりInternet Weekプログラム委員を務める。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
「ハッカソン(hackathon)とは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ハッカソンは、ハック(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語とさ
れ、プログラマーや設計者などのソフトウェア開発の関係者が、短期間に集
中的に開発作業を行うイベントを指します。
1日から長い場合は数日の日程で開催されることがあり、参加者は、個人で作
業をする場合もあれば、目標に対してチームを作って作業を行う場合もあり
ます。また、実際に使用されることを目的としたソフトウェアの開発や改善
を行う場合だけでなく、特定のプログラミング言語やテーマに沿って教育、
学習や普及促進を目的に実施されることもあります。
例えば、インターネット技術の標準化を推進する任意団体であるIETF
(Internet Engineering Task Force)では、2015年3月開催のIETF 92よりハッ
カソンが行われています。
IETFハッカソンは、開発者がIETF標準の実用的な実装を示すために、コラボ
レーションと開発の促進を目的として開催されています。IETFにオープンソー
ス開発のスピードやコラボレーション精神を持ち込むことで、標準化のペー
スと妥当性を向上させたり、参加者のIETFへの興味を持たせたりすることが
期待されているようです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. JPドメイン名
o 登録ドメイン数(2019年5月~2019年10月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
5/1|252 3662 422014 582 36782 13219 5972 5373 1890 2211 964462 98654 10007 1949 1567029
6/1|253 3659 422802 579 36859 13206 5955 5378 1890 2207 963741 98113 10064 1941 1566647
7/1|253 3653 423683 581 36960 13199 5941 5384 1890 2207 966467 97695 10074 1936 1569923
8/1|253 3655 424629 586 37008 13178 5930 5388 1890 2204 968812 97260 10088 1936 1572817
9/1|253 3652 425456 582 37069 13170 5915 5393 1890 2204 970013 96845 9994 1937 1574373
10/1|253 3649 426223 581 37088 13154 5896 5402 1890 2202 972685 96461 9972 1941 1577397
--------------------------------------------------------------------------------------------
GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
GJ:汎用ドメイン名 日本語
PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
PJ:都道府県型ドメイン名 日本語
2. IPアドレス
o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
(2019年4月~2019年9月)
------------------------------------------
月 | 割振 | 返却 | 現在の総量
------------------------------------------
4 | 25856 | 0 | 93272520
5 | 3584 | 0 | 93276104
6 | 5632 | 0 | 93281736
7 | 10240 | 0 | 93291976
8 | 4608 | 0 | 93296584
9 | 512 | 0 | 93297096
------------------------------------------
□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/
3. 会員数 ※2019年10月11日 現在
---------------------
会員分類 | 会員数 |
---------------------
S会員 | 3 |
A会員 | 1 |
B会員 | 2 |
C会員 | 2 |
D会員 | 93 |
非営利会員| 10 |
個人推薦 | 33 |
賛助会員 | 45 |
---------------------
合計 | 189 |
---------------------
□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/
4. 指定事業者数 ※2019年10月3日 現在
IPアドレス管理指定事業者数 451
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2019.10.14(月)~18(金) RIPE 79 (Rotterdam, The Netherlands)
2019.10.19(土) オープンソースカンファレンス2019
Tokushima [後援] (徳島、四国大学交流
プラザ)
2019.10.25(金) IGF2019事前会合
(東京、エッサム神田ホール1号館301)
2019.10.28(月)~30(水) NANOG77 (Austin, U.S.A.)
2019.10.30(水)~11.1(金) ARIN 44 (Austin, U.S.A.)
---------------------------------------------------------------------
2019.11.2(土)~8(金) ICANN66 (Montreal, Canada)
2019.11.14(木)~15(金) 第19回迷惑メールカンファレンス [後援]
(東京、ベルサール飯田橋ファースト)
2019.11.16(土)~22(金) IETF 106 (Singapore)
2019.11.25(月)~29(金) IGF2019 (Belrin, Deutschland)
2019.11.26(火)~29(金) Internet Week 2019(東京、ヒューリック
ホール&カンファレンス)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
まわりの方にもぜひNews & Viewsをオススメください!
転送にあたっての注意や新規登録については文末をご覧ください。
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わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/
:::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有)
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JPNIC News & Views vol.1721 【定期号】
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