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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1727【定期号】2019.11.15 ◆
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◆ News & Views vol.1727 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌日)に発行している定期号では、特集記事の
みならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしています。

本号の特集では、2019年10月最終週から11月1日にかけて米国・テキサス州
オースティンにて開催されたARIN 44/NANOG 77ミーティングの全体概要と、
アドレスポリシーや技術関連の動向についてご紹介します。

News & Views Columnでは、株式会社日本レジストリサービスの藤原和典氏
に、インターネットにおいてプライバシーを守ることの難しさについてご寄
稿いただきました。また、インターネット用語1分解説では、IPv4ネットワー
クにおいて通信用の基本的な設定を自動的に行うためのプロトコルである
「DHCP」について解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「ARIN 44/NANOG 77ミーティング報告」
【 2 】News & Views Column
       「個人情報の検索と公開と保護と……」
         株式会社日本レジストリサービス  藤原和典氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「DHCPとは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「ARIN 44/NANOG 77ミーティング報告」
                                               JPNIC IP事業部 川端宏生
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2019年10月31日(木)~11月1日(金)の日程で、米国・テキサス州オースティン
において、第44回ARIN (American Registry for Internet Numbers)ミーティ
ングが開催されました。本稿では、ARIN 44ミーティング(以下、ARIN 44)で
のポリシー提案に対する議論を中心にご紹介します。

ARINは、北米およびカリブ海周辺の一部地域を管轄する地域インターネット
レジストリ(RIR:Regional Internet Registry)です。オフラインミーティン
グは春と秋に開催されるのが通例です。春は単独で4日間のミーティングとし
て開催されますが、秋のARINミーティングは、NANOG (North American
Network Operators' Group)ミーティングに続けて開催されるのが通例となっ
ています。今回は、10月28日(月)~30日(水)に開催されたNANOG 77ミーティ
ング(以下、NANOG 77)に続けて、ARIN 44が開催されました。NANOG 77におけ
る技術関連動向もご紹介します。


■全体概要

ARINミーティングは、チュートリアルのほか、ポリシー提案に関する議論や
各種情報提供を行うPublic Policy Meeting、 ARINの各部門からの報告を中
心としたMembers Meetingから構成されています。Members MeetingはARIN会
員を主な対象としていますが、当日の参加に制限はなく誰でも自由に参加可
能となっています。ARINの各種活動や財務状況を知ることのできる機会となっ
ています。

会期中の各セッションで利用された資料、発言録、当日の発表風景の映像・
音声などは、下記のWebサイトでまとめて公開されています。ご興味のある方
は、こちらに1度目を通されてはいかがでしょうか。

  ARIN 44 Meeting Report
  https://www.arin.net/vault/participate/meetings/reports/ARIN_44/

ARINミーティングに参加するためは、会場参加とリモート参加の2通りの方法
が用意されています。リモート参加となる場合にも参加登録が必要です。登
録した氏名や所属は参加登録者リストに公開されます。各参加者がそれぞれ
自覚と責任を持って、議論に参加することが求められているように感じまし
た。

NANOG 77の参加者数が1,100名に対して、ARIN 44の参加者は150名程度となっ
ており、約1/10の規模となっています。NANOGミーティングの参加者が、ARIN
ミーティングにも容易に参加できるように、連続する日程での開催やNANOG
ミーティング期間中のPDP(ポリシー策定プロセス)を学習するためのチュート
リアルの開催など、プログラム上の工夫もいくつか見受けられますが、参加
者増にはなかなかつながっていないようです。


■アドレスポリシー提案について

アジア太平洋地域を管轄するAPNIC (Asia-Pacific Network Information
Centre)や他のRIRと同様に、ARINにおいても、IPアドレス・AS番号の分配
ルールをポリシーとして定めています。また、ポリシーの策定プロセスは、
PDP (Policy Development Process)として文書化されています。

  Policy Development Process (PDP)
  https://www.arin.net/participate/policy/pdp/

何らかの問題意識を持つ提案者より、ポリシー改定のための提案が提出され
ると、ARIN Advisory Council (ARIN AC)と呼ばれるコミュニティから選出さ
れたメンバーが中心になって議論を進めていきます。

ARIN ACは、ARINにおけるIPアドレス・AS番号の分配ポリシーを熟知している
必要があります。ミーティング当日の発表は、提案者ではなくARIN ACから行
われ、提案者の意図をメーリングリストやオフラインミーティングでの議論
に反映することが求められる重要な役割を担います。

ARIN 44では、10点のポリシー提案について議論が行われました。JPNIC Blog
では、今回のポリシー提案について簡単にご紹介しています。

  JPNIC Blog:ARIN 44でのIPアドレス・AS番号分配ポリシーに関する提案ご
  紹介
  https://blog.nic.ad.jp/2019/3397/

IPv4アドレスの在庫枯渇からまもなく10年が経過しようとしていますが、い
まだに、IPv4アドレスの分配に関わるポリシー議論が頻繁に行われています。
本稿では、ARIN 44で取り上げられていた、IPv4アドレスの分配に関する提案
を中心にご紹介したいと思います。

○IPv4アドレス割り振り待機者リストの運用について

ARIN地域において新たなIPv4アドレスの割り振りを希望する組織は、ARINに
よる審査完了後に、待機者リストに掲載される必要があります。ARINに返却
されたIPv4アドレスは、この待機者リストへの掲載順に割り振りが行われて
います。

誤ったポリシー文書の解釈により、IPv4アドレスの割り振りを行ってしまう
ことを防ぐために、2019年1月にARIN理事会により、待機者リストの運用につ
いて、一時停止することが宣言されました。2019年4月にはARIN ACにより、
新たな待機者リストの運用が提案されました。メーリングリストでの議論を
経て、2019年7月からは、以下の方針で待機者リストの運用が再開されていま
す。

  ・/20(4,096アドレス)以下の割り振り・割り当てを受けている組織のみが
    待機者リストへの掲載を申請できる
  ・待機者リストへの掲載により、新たに割り振り・割り当てを受けること
    のできるIPv4アドレスのサイズは最大で/22(1,024アドレス)とする
  ・新たに割り振り・割り当てを受けたIPv4アドレスは、60ヶ月間他の組織
    に移転する(分配先を変更する)ことはできない

  (当日利用された資料)
  Adopted IPv4 Waitlist Policy Recommendation
  https://www.arin.net/vault/participate/meetings/reports/ARIN_44/PDF/PPM/curran_waitlist.pdf

待機者リストの運用開始当初は、IANAからの再分配アドレスからARIN会員に
割り振り・割り当てを行うための、一時的なものとして考えられていたそう
です。ところが、IPv4アドレスの需要は減少せず、待機者リストへの掲載も
増える一方となってきていた実情が報告されていました。

新たな方針での運用は、待機者リストが更新される可能性が増えることから、
新規参入組織やアドレスの入手方法に限りのある規模の大きくない組織に有
利に働くのではないかといったコメントがある一方、待機者リストを廃止し
てIPv4アドレスの取引市場に委ねるべきではないかといったコメントも出さ
れていました。現時点ではこのまま運用を進めて、状況に合わせて見直しが
行われていくようです。

○接続しないネットワークへのIPアドレス割り当てについて

ARIN 44でのポリシー提案に関する議論で、参加者の関心が最も高かったの
は、「Draft Policy ARIN-2019-18: LIR/ISP Re-Assignment to
Non-Connected Networks (接続しないネットワークへのIPアドレス割り当
て)」ではないかと思います。

  Draft Policy ARIN-2019-18: LIR/ISP Re-Assignment to
  Non-Connected Networks
  https://www.arin.net/participate/policy/drafts/2019_18/

ARIN会員に分配されたIPアドレスは、ARIN会員の運用するネットワークまた
は、ARIN会員の運用するネットワークに接続するエンドユーザーのネットワー
クに割り当てることを原則としています。この原則が、インターネット上の
経路情報の集約に大きく貢献しています。

この提案は、ARIN会員の運用するネットワークに接続しないネットワークに、
IPアドレスの割り当てを可能とするものです。

ARIN会員のネットワークに接続しないネットワークにIPアドレスを割り当て
るようなケースを、「IPv4アドレスのリース」と呼ぶことがあります。この
リースの考え方は、先にご紹介したこれまでの方針と真っ向から対立するも
のです。インターネットにおける経路情報集約のためにも、これまでの方針
は維持する、といった、提案に反対する立場からのコメントが複数出されて
いました。

IPv4アドレスをリースするような状況は現実に起きてきており、今後もリー
スの必要性が増すことが想定されるため、ルールは整備しておく必要はある
といった、賛成の立場からのコメントもありました。IPv4アドレスの移転よ
りもリースのほうが費用がかからず、必要な時に短時間でIPv4アドレスを確
保できることにつながる、といったことを考えていた参加者も多くいたよう
です。

接続の有無にかかわらず、分配先を正確に登録しておくレジストリの立場か
ら考えた場合にはIPv4アドレスのリースには賛成する、ただし、今後の進め
方やポリシー文書への記載方法の詳細にはまだまだ検討が必要である、といっ
たような、今後も慎重に議論を進める必要があるとの立場も見られました。

「IPv4アドレスのリース」と類似するようなケースは、APNICにおいても過去
に議論されたことがあります。ARIN地域での議論の動向によっては、APNICで
の議論が再燃する可能性もあり、JPNICでも注目しています。

○IPv4アドレスに関連するポリシー提案について

ARIN 44では上記以外にも、 IPv4アドレスの分配に関するポリシー提案につ
いて議論がされましたので、ここでは簡単にご紹介します。

  ・Recommended Draft Policy ARIN-2019-1: Clarify Section 4 IPv4
    Request Requirements
    https://www.arin.net/participate/policy/drafts/2019_1/

    IPv4アドレスの割り振り・割り当て申請後、再度申請を行うまでの期間
    を明確にするための提案です。他の組織にIPv4アドレスを移転した場合
    には36ヶ月、ARINに新たなIPv4アドレスの割り振り・割り当てを申請し
    た場合には3ヶ月経過後に、再度ARINにIPv4アドレスの割り振り・割り当
    てを申請できる、とするものです。

    質疑応答では、用語の定義など編集上の内容に関するものがほとんどで
    した。

  ・Recommended Draft Policy ARIN-2019-3: Update 4.10 IPv6 Deployment
    Block Recommended Draft Policy
    https://www.arin.net/participate/policy/drafts/2019_3/

    ARIN地域では、IPv6を実装するために必要なIPv4アドレスとして、最小
    で/28(16アドレス)、最大で/24(256アドレス)の割り振り・割り当てを
    行っています。最小サイズを/24に変更するとともに、1組織が受け取る
    ことができる合計アドレス数として/21(2,048アドレス)を設定するもの
    です。

    逆引きゾーンの委任を/24単位で行う必要があることから、/24よりも小
    さなIPv4アドレスの割り振り・割り当てが現実的ではないことや、今後
    のRPKI普及を妨げる要因になることを懸念して出された提案のようです。

    提案内容に関する議論では、現状にあっていないポリシーは改訂される
    べきだ、といったコメントが出されていました。

  ・Recommended Draft Policy ARIN-2019-8: Clarification of Section
    4.10 for Multiple Discrete Networks
    https://www.arin.net/participate/policy/drafts/2019_8/

    ARINでは、一つの組織が複数の独立したネットワークを運用する場合が
    あります。ネットワークごとにIPv4アドレスの割り振り・割り当てを受
    けることができますが、6ヶ月を経過するたびに、ネットワークごとに/24
    のIPv4アドレスの割り振り・割り当てを受けられる、とするものです。

    複数の独立したネットワークを管理するケースについて、現在のポリシー
    文書への記述内容が曖昧な点を改善したいという意図が紹介されていま
    した。再度の割り振り・割り当てには、既に割り振り・割り当てを受け
    ているIPv4アドレスのうち、80%を利用していることを証明しなければな
    らないため、アドレスの不正取得にはつながらないといった補足説明が
    行われていました。

  ・Draft Policy ARIN-2019-17: Returned Addresses to the 4.10
    Reserved Pool
    https://www.arin.net/participate/policy/drafts/2019_17/

    割り振り・割り当ての際に適用されるポリシーの条項ごとに、在庫(プー
    ル)が設けられています。割り振り・割り当てを行ったIPv4アドレスが返
    却される場合には、払い出し元の在庫に戻るよう運用が行われています。
    この運用を変更して、返却されるアドレスはすべて「IPv6を実装するた
    めに必要なIPv4アドレス」の在庫で管理することを定めたものです。

    現在のIPv4アドレスの利用状況を踏まえて、ARIN全体のIPv4アドレスの
    在庫をどのように活用するか考えるべきでは、といったコメントが出さ
    れていました。

提案によっては議論が短時間で終わるものもありましたが、大部分の提案は
議論に時間をかけており、当初予定していたスケジュールが大幅に乱れる場
面もありました。提案の概要やARINでのポリシー全文が記載されたディスカッ
ションガイドは、当日希望者に配布されます。このガイドを常に参照できる
ように準備して、会場に置かれたマイクから鋭いコメントを発する参加者に、
ポリシーへの熱い思いを感じました。


■技術関連動向(NANOG 77から)

技術関連動向は、ARIN 44に先立って開催されたNANOG 77で取り上げられま
す。IPアドレス・AS番号の分配ポリシーについて議論されるARINミーティン
グと同様に、多くの参加者が質問のマイクに並んで、活発な議論が繰り広げ
られます。

プログラムの概要、発表資料、発表当日に配信した映像のアーカイブなどは、
下記のWebサイトでまとめて公開されています。

   NANOG 77 Meeting Agenda
   https://pc.nanog.org/static/published/meetings/NANOG77/agenda.html

ここではすべてをご紹介することが難しいため、二つのセッションをご紹介
します。

  ・The Next Network Professional
    https://pc.nanog.org/static/published/meetings//NANOG77/daily/day_2.html#talk_2052

    最近どのコミュニティでも話題に上ることが多い、"次世代の育成"に関
    するセッションです。これからキャリアを積もうとする若手エンジニア
    と、各企業で若手の育成に携わる部門の担当者/責任者、大学のエンジ
    ニア教育の担当者がパネリストとして参加し、それぞれが双方向に質疑
    応答を行う形でセッションが進みました。

    NANOGのような、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まるコミュニ
    ティは、このような体制を維持していくかは課題ではありながらも、多
    くの人を巻き込んで育てていくのに適した場所ではないか、といった意
    見が出されていました。人材を送り出す側の教育機関においても、将来
    のキャリアを見据えた教育の注意点が語られていました。どのような立
    場でも参考になるセッションになったのでは、と感じました。

  ・The Chinese Internet - A view from the inside
    https://pc.nanog.org/static/published/meetings//NANOG77/daily/day_3.html#talk_2067

    中国においてネットワークやサービスを構築する際に、考慮が必要な事
    項を紹介したセッションです。発表者は実際に、中国においてネットワー
    クの構築経験があり、その際に得られた知見をまとめた内容となってい
    ました。

    「ネットワーク構築にあたって必要となるIPアドレスは、中国国内のIP
    アドレス分配を管理するCNNIC (China Internet Network Information
    Center)から割り振り・割り当てを受けなければならない」といったよう
    に、具体的な内容が盛り込まれています。中国でネットワーク構築やサー
    ビス提供を予定されている方は、1度目を通されても良いかもしれませ
    ん。

    中国を取り上げた発表は、APNICミーティングやAPRICOTミーティングに
    おいてもなかなか見られず、珍しい機会となりました。


■最後に

ARINミーティングでは、当日の議論も活発ですが、それに負けず劣らず、メー
リングリストでの議論も活発です。「Draft Policy ARIN-2019-18:LIR/ISP
Re-Assignment to Non-Connected Networks (接続しないネットワークへのIP
アドレス割り当て)」についての議論は、IPv4アドレスの移転やリースを仲介
する組織の担当者が、議論を先導しているようでした。ミーティング当日の
議論に不十分さを感じたのか、メーリングリストへ誘導して議論を喚起して
いました。自分たちのビジネスにつながると判断したのか、すごい勢いで議
論を盛り上げようとしていた姿が印象的でした。

次回のARIN 45ミーティングは、2020年4月26日(日)~29日(水)に、米国ケン
タッキー州・ルイビルでの開催が予定されています。また次々回のARIN 46
ミーティングは、2020年10月22日(木)~23日(金)に、米国ワシントン州・シ
アトルでの開催が予定されているとのことでした。ARIN 46ミーティングの前
には、10月19日(月)~21日(水)の日程でNANOG 80ミーティングが開催される
予定です。

  Upcoming ARIN Meetings
  https://www.arin.net/participate/meetings/upcoming/

ARIN 44の模様は、Internet Week 2019と合わせ、11月27日(水)に開催予定の
第37回JPNICオープンポリシーミーティングで少しご紹介できればと考えてい
ます。どうぞお楽しみに。

  第37回JPNICオープンポリシーミーティング開催のご案内
  http://www.jpopf.net/JPOPM37Program


 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
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 ┃                                                                  ┃
 ┃悪かった                                                          ┃
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【 2 】News & Views Column
       「個人情報の検索と公開と保護と……」
                               株式会社日本レジストリサービス 藤原和典
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

インターネット分野で仕事をしていると、氏名で検索するだけで、そこにひ
も付く多くの情報が出てくることが多いような気がします。例えば、この記
事も所属と氏名を書いていますので、Googleなどにリンクをたどられ、名前
で検索できるようになります。また、大学などで論文を書き、学会に投稿す
ると、(少なくとも)書誌情報は公開されますから、学生時代に論文投稿をし
たり、学会発表をしたことがある人は、自分の名前を検索すると出てくるこ
とが多いでしょう。Internet WeekやJANOGなどの会議で講演や発表を行うと、
プログラムや資料が公開されます。また、インターネットプロトコルの標準
化のためにIETFなどで活動(メーリングリストでの議論、提案、発表)を行っ
たり、業界団体の会合(ICANN、APNIC、RIPE、NANOG、DNS-OARC)などで提案、
発表、メーリングリストでの議論などを行ったりすると、名前も含めて公開
されますから、名前で検索できるようになります。

このように、大学や学会、インターネット分野で活動している人は、個人名
で検索するとその人にひも付くなんらかの情報が出てくるものです。ところ
が、大学の同級生や、会社の同僚、この分野ではない一般の知り合いの名前
で検索しても、出てこない人がかなり多いです。大学を出たあと大手企業で
仕事をされている人でも、組織から公開される情報に名前が出ない人は、検
索しても出てこない人が多いようです。かなり、うらやましいです。

そこで、どうすれば公開される情報を減らせるのか、ということを考えたく
なってきます。同姓同名が多いと情報を撹乱できそうな気がしますし、公開
する情報のコントロールという点で考えると、仕事で名前を含む情報を公開
されることはあきらめ(受け入れ)、仕事以外ではできるだけ情報を出さない
ようにすることが重要そうです。さらに、仕事とそれ以外の情報をリンクさ
れにくくすることも重要になってきます。しかしながら、公開情報をつきあ
わせる技術と時間がある人が多くなってきているので、できるだけ情報を出
さず、かつ、リンクされないようにするしかないんでしょうか?

上記は実生活における例ですが、インターネット上でのプライバシーに関す
る問題は、筆者が活動しているDNS関連の分野においても存在します。どう
いった問題があるのか、少し考えてみましょう。

インターネットではドメイン名を使ってアクセス先を指定し、DNSを使って名
前解決を行うのが一般的です。従来のDNSは通信を暗号化せず、平文で送りま
す。名前解決のためにはドメイン名をフルリゾルバ(DNSサーバ)に問い合わせ
るわけですが、時刻、問い合わせを送信するIPアドレスと、問い合わせる名
前、タイプをフルリゾルバまでの通信路とDNSサーバに開示することになりま
す。そこで、通信路に情報を開示しないように、クライアントからフルリゾ
ルバの通信路を暗号化するプロトコルがDNS over TLS (DoT)とDNS over HTTPS
(DoH)です。DoT/DoHは、通信路を暗号化することでユーザの行動がそのまま
反映されるDNSの利用状況の把握を困難にし、ユーザのプライバシーを保護す
るための技術です。DoT/DoHを使うと、通信路での盗聴では問い合わせる名前
とタイプがわからなくなりますが、いつ、どのIPアドレスが、どの程度の頻
度で通信したかはわかります。また、現在のモデルでは、大手パブリックリ
ゾルバ(Google社、Cloudflare社など)がDoHサービスを提供することが想定さ
れているようで、中央集権モデルになることを嫌っている人が相当数いるよ
うです。DoHを使っても、DoHサーバには、いつ、どのIPアドレスが、どうい
う名前を問い合わせたかを開示しないと名前解決してもらえません。つまり、
DoHサービスを提供する組織を無条件で信用するしかなくなることが問題で
す。

そうすると、例えばTorのような、入り口ノードは中身を知らず、出口ノード
は送信元を知らないといったモデルを作り、送信元IPアドレスとクエリ名の
両方が同時に漏洩しないモデルが必要なのかもしれません。そういうモデル
も提案されていますが、現在のDNSからの変化が大きく、一般的な考えには
なっていません。

現在考えられる、少しでもプライバシーを守れそうな方法は、大規模なキャ
リアグレードNAT (CGN)の内側から、複数のパブリックリゾルバにアクセスを
分散する形で使うことでしょうか。IPv4アドレスの在庫が枯渇している現在、
携帯電話網などでは端末に100.64.0.0/10のIPアドレスを割り当て、CGNを使っ
てインターネットに出ていくようになっているようです。そして、NATの内側
からパブリックリゾルバを使っても、送信元アドレスは多数のユーザが共有
しているIPv4アドレスですから、軽い気持ちでのユーザの特定は困難でしょ
う。悪用の場合は、開示請求で契約者までたどることはできそうですが、見
るだけのアドレスの情報を調べるのは困難でしょう。

このように、インターネットでプライバシーを守ろうとするのは大変です。


■筆者略歴

藤原 和典(ふじわら かずのり)

1992-1996 早稲田大学情報科学研究教育センター助手、1996-2001 情報系企
業研究員、2002- 株式会社日本レジストリサービス(JPRS)、博士(工学)。

DNS関連の研究・開発、標準化に従事。RFC 6116(ENUMプロトコル)、RFC 6856/
RFC 6857(メールアドレス国際化の一部)、RFC 8499(DNS用語集)、RFC 8198
(DNSSECを用いた名前解決の性能向上)を共著。DNSがよくわかる教科書(2018
年SBクリエイティブ発行)を共著。

Internet Week プログラム委員(2016-2019)。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「DHCPとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

DHCPとは「Dynamic Host Configuration Protocol」の略で、IPv4ネットワー
クにおいて通信用の基本的な設定を自動的に行うためのプロトコルです。
RFC2131によって定義されています。

一般にIPv4での通信を行う際には、個々のホストに最低でも自身のIPv4アド
レス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバのアドレスを
設定する必要があります。ただ、このような設定をすべて手動で行おうとす
ると、ホストの台数が増えるに従って手間が増えますし、間違いも起こりや
すくなります。これに対し、DHCPを利用すると、個々のホストはDHCPサーバ
に問い合わせをすることで、各種設定に必要な情報を入手して、自動的に設
定を行えるようになります。

IPv4アドレスについては一定の範囲から自動的に割り当てたり、各ホストの
識別子(MACアドレスなど)に対応した静的なアドレスを割り当てたりといった
運用が可能です。前者は不特定多数のユーザーを対象にした場合に適してお
り、後者は登録ユーザーのみを対象とした場合に適しています。

なおDHCPには認証機能が定義されていないため、理論上DoS攻撃、中間者攻
撃、リソース枯渇攻撃などに対して脆弱です。RFC3064やRFC3118で認証機能
が提案されましたが、ほとんど普及していません。

またIPv6には複数のIPアドレスを自動的に設定する機能がありますが、端末
が対応するDNSサーバの自動設定方法や、IPv6アドレス管理の方針によって、
DHCPv6を利用することがあります。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2019年6月~2019年11月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO   GA     GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
  6/1|253 3659 422802 579 36859 13206 5955 5378 1890 2207 963741  98113 10064 1941 1566647
  7/1|253 3653 423683 581 36960 13199 5941 5384 1890 2207 966467  97695 10074 1936 1569923
  8/1|253 3655 424629 586 37008 13178 5930 5388 1890 2204 968812  97260 10088 1936 1572817
  9/1|253 3652 425456 582 37069 13170 5915 5393 1890 2204 970013  96845  9994 1937 1574373
 10/1|253 3649 426223 581 37088 13154 5896 5402 1890 2202 972685  96461  9972 1941 1577397
 11/1|254 3649 427262 583 37141 13124 5877 5393 1890 2192 975000  95938  9930 1930 1580163
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2019年5月~2019年10月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
   5 |     3584 |        0 |   93276104
   6 |     5632 |        0 |   93281736
   7 |    10240 |        0 |   93291976
   8 |     4608 |        0 |   93296584
   9 |      512 |        0 |   93297096
  10 |     1512 |        0 |   93298608
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2019年11月14日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      1 |
  B会員     |      2 |
  C会員     |      2 |
  D会員     |     93 |
  非営利会員|     10 |
  個人推薦  |     33 |
  賛助会員  |     45 |
 ---------------------
  合計      |    189 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2019年11月8日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           452


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2019.11.14(木)~15(金)        第19回迷惑メールカンファレンス [後援]
                                (東京、ベルサール飯田橋ファースト)
  2019.11.16(土)~22(金)        IETF 106 (Singapore)
  2019.11.25(月)~29(金)        IGF2019 (Belrin, Deutschland)
  2019.11.26(火)~29(金)        Internet Week 2019(東京、ヒューリック
                                ホール&カンファレンス)
 ---------------------------------------------------------------------
  2020.1.22(水)~24(金)         JANOG45(北海道、札幌プリンスホテル)

 ---------------------------------------------------------------------
  2020.2.10(月)~12(水)         NANOG78 (San Francisco, U.S.A.)
  2020.2.12(水)~21(金)         APRICOT 2020/APNIC 49 (Melbourne,
                                Commonwealth of Australia)


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
          まわりの方にもぜひNews & Viewsをオススメください!
      転送にあたっての注意や新規登録については文末をご覧ください。
                  ◇              ◇              ◇
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 JPNIC News & Views vol.1727 【定期号】

 @ 発行  一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター
          101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F
 @ 問い合わせ先  jpnic-news@nic.ad.jp

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