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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1804【臨時号】2020.10.29 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.1804 です
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APNIC 50カンファレンス(以下、APNIC 50)が2020年9月8日(火)~9月10日(木)
にかけて開催されました。当初バングラデシュでの開催予定でしたが、新型
コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、初のフルリモート開催とな
りました。本稿では、APNIC 50の技術セッションに関する情報をお届けしま
す。
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◆ APNIC 50カンファレンス報告 [第2弾] 技術セッションレポート
JPNIC 技術部 澁谷晃/佐藤秀樹
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APNICカンファレンスでは、IPアドレスポリシーの議論が行われるPolicy
SIGや、APNICの総会であるAMMの他に、技術的なセッションも開かれていま
す。
今回は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を受けてリモートでの開
催とはなりましたが、オンサイトでの開催と同様にAPNICやNIRとの情報交換
を個別に実施した他、各セッションではCOVID-19の影響下で各社での取り組
みの紹介やRPKIに関わる情報の共有がありました。この本稿では、そのよう
な技術的な動向の紹介を行います。
■ APNIC/NIRとの技術的な情報交換
APNIC 50カンファレンス(以下、APNIC 50))開催に合わせ、APNICと各NIRの
ホストマスター・技術者を対象としたリモート会議が開かれ、その過程で技
術的な情報交換をすることができました。以下に特に共有した方がよさそう
な点をご紹介します。
○アドレス分配に関わる対応について
APNICでは、割り振り・割り当てはしたものの、インターネットの経路上で
広報されていないアドレスについて、将来的な回収を視野に、割り振り・割
り当て先にそのアドレスの必要性を確認する取り組みを実施しています。
Reclaiming unused IPv4
https://conference.apnic.net/50/assets/files/APCS790/Reclaiming-unused-IPv4.pdf
上記とは反対の方向性の話となりますが、割り振り・割り当てはしていない
が、インターネットの経路上で広報されているように見えるアドレスについ
て個別に議論しました。
前回のAPRICOT 2020カンファレンスで、JPNICの未割り振り・未割り当てア
ドレスがインターネットの経路として検出された件について、検出手法をそ
の発表で共有しました。
https://2020.apricot.net/assets/files/APAE432/detecting-route-announcements-of-unassigned-ipaddress.pdf
その後、時間が経ったこともあるので、あらためて現時点で他のNIRで類似
の調査をしているか確認しましたが、特にそのような取り組みをしていると
ころは無いようでした。なお、APNICはRIRレベルでの、未分配だが広報され
ているアドレスの調査結果を公開しています。
http://thyme.apnic.net/current/data-add-IANA
○RDAP開発に関わる対応について
JPNICでは2021年からのRDAP (Registration Data Access Protocol)サービ
ス開始をめざして現在開発に取り組んでいます。APNIC会議の場を活用して、
現在の進捗共有とNIRが対応するにあたり特に留意する点など議論しました。
APNIC地域でのRDAPでは、英語のみではなく、特にローカルの言語表現をど
うするか配慮が必要となります。現時点では、JPNIC以外にNIRのレジストリ
システムでRDAP開発に取り組んでいるNIRは無いようでした。しかしAPNICか
らは、多言語対応はレジストリデータの登録という観点で今後重要なテーマ
となるものであり、ドメイン名の方でのRDAP登録の動向も踏まえ、RIRレベ
ルでも議論がされていることの共有がありました。
○APNICの新サービスについて
APNIC 50の1日目に行われた"APNIC Products & Services"セッションでは、
APNICの提供サービスについて広く紹介がされました。
https://conference.apnic.net/50/program/schedule/#/day/3/apnic-products--services
前回のAPRICOT 2020と同様、APNICのInformation Services Product Manager
であるSofia Silva Berenguer氏より、ツールの紹介がありました(前回の
APRICOT 2020時点の参加報告は下記にバックナンバーがあります)。
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2020/vol1763.html
ここで特に筆者が着目したアップデートとしては、マルウェアのような疑わ
しいトラフィックを検知するツールであるDASH (https://dash.apnic.net/)
に、BGPハイジャック検知機能も今後実装予定であることです。開発の参考
のため、コミュニティからの意見を募集したいとのことで、下記参加用URL
が示されていました。
https://www.apnic.net/your-say
筆者も上記URLから参加を申し込んでみたところ、その後APNIC担当者から個
別にリモート面談希望の連絡がありました。それがBGPハイジャック検知機
能に関する面談かと思ったのですが、実施された面談はAPNICのヘルプサイ
トに関する一般的な改善の意見聴取で、BGPハイジャック検知機能の意見聴
取は将来あらためての実施を予定しているとのことでした。
○トラフィックの増加について
COVID-19のパンデミック環境下、Akamai社CDNの扱うトラフィックは、2019
年3月との比較で約2倍、2020年2月から3月で30%も増加したとのことです。
Day1の「tech session 1 For such a time as this - How Akamai works
with customers & partners to avoid internet congestions during the
pandemic」セッションでは、このような急激な需要増からも、インターネッ
トが生活を支える基盤であることを強めている状況下で、コンテンツを配信
し続けるために、どのような対応がなされたのか、大手CDN事業者である
Akamai社から興味深い共有がなされました。
いくつかの国の需要の変化や、通信が増えたイベントの解説、通信種別での
増加量の比較の共有があり、マルウェア通信が400%を超えるほど増えている
と警告がありました。また、輻輳の対策として、ボリュームを抑えるアプロー
チ、ピークを抑えるアプローチの二つの観点が上げられ、タイトル別のエン
コード機能とその効果紹介や、新しいコーデック、スロットリング機能、機
械学習による輻輳回避アルゴリズム選択などについて紹介がなされました。
○RPKIアップデート
RPKIに関連するアップデートが、いくつかのセッションに分かれて行われま
した。ROA (Route Origin Authorization)の作成の啓発から、ROV (Route
Origin Validation)が使われはじめ、その影響に注目が移ってきていること
も感じられます。
Day1のMeasuring Invalid Route Filteringでは、APNICのGeoff Huston氏よ
り、Invalidフィルターがユーザーに与える影響の調査結果が報告されまし
た。ASとIPアドレスとURLを用意し、用意したROAのInvalidとValidのステー
タスを変えることで、誘導したユーザーへの通信に与える影響の変化が確認
されたものです。
まず、RPKIリポジトリーにステータスを確認しにきているクライアントのユ
ニークIP数や、再度RPKIステータスを取りにきているインターバルが紹介さ
れました。120秒ごとや、10分ごとにアクセスのあるクライアントが多く、
75%のクライアントが、2時間以内に再取得を試みていたとのことです。また、
ステータスがinvalidになる時は、状態の変化から、通信状況に傾向の変化
が見られるまでに30分ほど要したが、逆にValidに変えたときは、5分ほどで
通信状況の変化が見られ始めたということでした。そのほか、国や地域別の
ROV実施の動向も共有されました。
参考URL:https://stats.labs.apnic.net/rpki
また、ICANNのEdward Lewis氏からは、Rootや、ccTLD、gTLDなどのDNS core
におけるROAの状況が共有されました。2日目に行われたrouting security
SIGでは、IETF SIDROPS WGのレポートや、未使用のアドレスに対してAS0の
ROAを作成するポリジーProp132について、実装状況が報告されました。
■おわりに
今回筆者らにとっても初めてのオンライン参加でしたが、参加に問題は無く
最新の動向を追いながら議論に参加することできました。
次回のAPNIC 51は、APRICOT 2021との共催で、2021年2月22日~3月4日に開
催が予定されています。本来はフィリピン・マニラでの開催でしたが、
COVID-19の状況を受けオンラインでの開催となりました。
技術動向は継続して話題をフォローすることで、議論の展開を追いやすくな
ります。興味を持たれました方は今回の資料や動画アーカイブをご参考に、
次回以降の参加をご検討してみてはいかがでしょうか。
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