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/P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1864【臨時号】2021.8.3 ◆
_/NIC
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◆ News & Views vol.1864 です
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第40回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM40)が、2021年6月25日(金)
に完全オンラインで開催されました。このミーティングは、JPNICとは独立し
たボランティアメンバーで構成される、JPOPF運営チーム(JPOPF-ST)が主催す
るものです。
今回のミーティングは、JPOPMの20周年および40回目という節目となり、アド
レスポリシーに関連する話題だけでなく、記念講演も行われました。
当日の発表資料や議事録は、本ミーティングの開催案内ページから参照いた
だけます。
第40回JPNICオープンポリシーミーティング開催のご案内
http://jpopf.net/JPOPM40Program
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◆ 第40回JPNICオープンポリシーミーティング報告
JPOPF運営チーム 中川あきら
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2021年6月25日(金)に、第40回JPNICオープンポリシーミーティング(JPOPM40)
を開催いたしました。
JPOPMは、日本におけるインターネット資源のうちIPアドレス、AS番号といっ
た番号資源の管理ポリシーを検討・調整し、コミュニティーにおけるコンセ
ンサスを形成するための議論の場です。年2回、JPNICとは独立した組織であ
る、JPOPF運営チーム(JPOPF-ST)の主催により開催しています。また、プログ
ラムは応募のあったポリシー提案や情報提供のプレゼンテーションを中心に
構成しており、今回は情報提供が7件ありました。
第1回のJPOPMが2001年に開催されて以来、今回のJPOPMは20周年・40回目とい
う節目となりました。今回は、通常プログラム以外にNTTコミュニケーション
ズ株式会社の宮川晋氏による20周年特別講演や、JPOPF運営チームの谷崎文義
氏による20周年を振り返る講演を行いました。
なお、今回も前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
により、リモートのみでの開催となりました。
■JPOPM40開催報告
□開催概要
日時 :2021年6月25日(金) 15:30~18:00
場所 :Zoomによるリモート開催
主催 :JPOPF運営チーム
出席者:リモート出席者:53名(関係者含まず)
その他:YouTube LiveおよびTwitterによる参加が可能でした
資料・議事録:http://jpopf.net/JPOPM40Program
□JPOPM40 第一部の模様
最近、JPOPMのプログラムを二部構成とし、第一部でポリシーやインターネッ
トガバナンスにまつわる基礎的な話題や理解度を深めるトピックを扱い、第
二部でポリシー提案や最新動向、技術ディスカッションといったメインテー
マを扱っております。
○JPPDP (JPNICにおけるPolicy Development Process)解説
JPOPF-STで、本報告の筆者でもある中川あきらが解説を行いました。
○JPNICアップデート
JPNICの川端宏生氏から、2点のアップデートがありました。
まず、JPOPM39でコンセンサスとなった『039-01 JPOPMオンライン開催に関わ
るPDP修正の提案(*1)』の準備状況の報告がありました。この提案は、昨今リ
モート開催を強いられているJPOPMの実態に合わせるためのPDP改定であり、
「オンサイトフォーラム」・「オンラインフォーラム」を、それぞれ「ミー
ティング」・「メーリングリスト」に変更するものです。次段落のprop-133
と同じタイミングでの実装が予定されています。
次に、APNICでコンセンサスとなった『prop-133 Clarification on
Sub-Assignments (再割り当ての定義の明確化)(*2)』に関連する報告があり
ました。IPv6割り当ての定義明確化のためにAPNICが進めているドキュメント
改定の後に、JPNICは「JPNICにおけるIPv6アドレス割り振り及び割り当てポ
リシー」の更改案を公開し、その1ヶ月後に施行する予定であることが報告さ
れました。
(*1) JPOPFにおける提案内容
http://jpopf.net/p039-01
(*2) APNIC における提案内容
https://www.apnic.net/community/policy/proposals/prop-133
○ WHOIS WG その後のアドバイザリー対応状況
JPNICの川端氏から、標記の報告がありました。
これは2019年6月に開催されたJPOPM36でコンセンサスとなった『036-01 JPNIC
におけるWHOIS正確性向上の検証』を契機とした案件です。
ここで言うWHOIS正確性向上とは、割り振り情報・ネットワーク情報への
[Abuse]欄の追加や、WHOISに登録されている電子メールアドレスが存在して
いることの検査等を指します。
JPOPM36で、WHOIS正確性向上のための実施事項等を検討するために、JPOPFに
WGを設置することとなりました。その後、JPOPF運営チームはメンバーを公募
し、JPOPFに「WHOIS正確性向上WG」を設置しました。同WGは2020年6月に開催
されたJPOPM38で最終報告(*3)を行い、WGとしての活動を終了しました。本最
終報告をもって主体がJPNICに移り、JPNICは、この最終報告を元に具体的な
実装に向けて、新たにメンバーを公募した上でJPNIC内に「アドバイザリー
チーム」を設置し、実装の準備を行っています。
発表の終わりに、2021年度にシステム開発を開始し2024年度に本格実施する
スケジュールが示されました。
(*3) WHOIS abuse連絡先正確性向上の検討WG 最終報告
http://www.jpopf.net/JPOPM38Program?action=AttachFile&do=view&target=06_WHOISWG%E6%9C%80%E7%B5%82%E5%A0%B1%E5%91%8A.pdf
○ APNIC Update
JPNICの中川香基氏から、標記のアップデートがありました。
2021年2月22日~3月4日にAPNIC 51がオンラインで開催され、過去最多となる
93の国と地域からの参加がありました。
APNIC EC (Executive Council)の選挙においては、日本の松崎吉伸氏が再選
されました。
APNIC 51では二つの提案があり、1点はコンセンサスに至り、1点は廃案とな
りました。コンセンサスに至った提案は、上述の『prop-133 Clarification
on Sub-Assignments (再割り当ての定義の明確化)』です。廃案になった提案
は、『prop-130 Modification of transfer policies (移管ポリシーの修
正)』です。この提案は、「合併と買収」を「合併・部分合併・事業買収・継
承・組織の再編成・事業拠点の変更」と明確化するものでしたが、明確化に
より抜け穴ができる可能性があるといった懸念が示され、廃案となりました。
次回APNIC 52は、札幌現地開催とされていましたが、2021年9月13日(月)~16
日(木)にオンライン開催に変更となりました。
□JPOPM40 第二部の模様
○ ROA登録促進のご提案(のご相談)
NTTコミュニケーションズ株式会社の吉田友哉氏および渡辺英一郎氏から、標
記に関する問題提起の発表がありました。
IPアドレスの正しさを証明し、経路ハイジャック防止等のために、国際的に
ROA(*4)登録が必要とされ実装が進んでいますが、日本におけるROA登録率は
2~3割程度と低い水準であることに着目したものでした。
今後、GAFAM等の巨大IT企業がRPKI(*5)対応を必須とする可能性もあり、国内
においても登録率向上のための対策が必要ではないかという問題提起があり
ました。
会場からは、上位の接続事業者に代理登録してもらえるJPIRRと違い、RPKIは
アドレスホルダーが対応する必要があるため工夫が必要ではないか、という
コメントや、IRR登録しないとトランジットできないのと同じイメージで、ROA
登録しないと通信できないようにすることも考えられるのではないか、など
のコメントが寄せられました。
(*4) ROAとは
https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/roa.html
(*5) リソースPKI(RPKI)
https://www.nic.ad.jp/ja/rpki/
○ インターネット番号資源ホットトピックス(20周年を振り返る)
JPOPF-STの谷崎氏から、JPOPMが開催されてから20年間を振り返り、印象に
残った出来事を紹介する発表がありました。
JPOPM設立の経緯や、現在のJPOPF運営チーム(旧ポリシーWG)が運営を行う体
制になった経緯などを振り返ることができました。
JPOPM開始当時にプロジェクターではなくOHP (Over Head Projector)が使わ
れていた「古さ」を感じる一方、JPOPMにおいては当時からペーパーレスで
あったことが紹介され「先進性」を感じる場面もありました。
○ 20周年特別講演(あらためてIPアドレス枯渇の現実とその対策、IPv6の本
格普及について)
NTTコミュニケーションズ株式会社の宮川氏から、標記の発表がありました。
これまでインターネットが発展してきましたが、この発展には二つの「勝因」
があるという話がありました。
一つ目は、インターネットは旧来の電話網とは逆でネットワークにはパケッ
ト転送以外の機能を持たせず、端末に転送以外のすべての機能を持たせたこ
とです。これによりインターネットで新たなことを行う場合に全世界の全交
換機に新機能を追加する必要がなくなりました。近年、ネットワークにはIPv4
アドレスの在庫枯渇対策のためのNAT(NAPT)をはじめ、ロードバランサー、コ
ンテンツキャッシュなどの機能が増えています。IPv6により、これらを元に
近い形に戻せるのではないかという話がありました。
二つ目は、インターネットにおいては旧来の発信者課金という課金モデルが
崩れたことです。これにより、Webサーバーからの情報発信を行いやすくなっ
たことがインターネットの発展に寄与したのではないかというものです。
なお、二つ目については、情報送信者に課金されなくなったためにDDoSが発
生しやすくなったという、喜べない副作用が起きていることが補足されまし
た。
□あとがき
今回のJPOPMは、通常プログラムに加え、過去20年間のJPOPMを振り返る場と
なりました。この20年間でインターネットが想像を大きく上回る発展を遂げ
ましたが、JPOPFにおいてはその発展を支えるためにIPアドレスやAS番号につ
いてさまざまな情報交換を行い、ポリシーに関する議論や整備を行ってきま
した。
これまでこのフォーラムを支えIPアドレスやAS番号のガバナンスを維持でき
てこられたのは、コミュニティーの皆さまの努力のたまものであると考えて
おります。また、国内外から収集した情報の共有をはじめ、ポリシーに関す
る助言やポリシー実装、会場提供などを行ってくださったJPNICの皆さまがい
らっしゃって実現できたと思っております。
COVID-19の影響を受けながら、次の10年が始まりました。JPOPFにおいては
JPOPMの開催形態などに変革が起きています。社会全体においては勤務、授業
や行政等のあり方や形態、生活様式などさまざまなことが大きく変革してい
くと想像できます。これらに技術革新が加わり、必然的にインターネットも
大きく変革していくものと考えます。
今回のJPOPMで、JPOPF運営チームは次の10年間に向けてコミュニティーの皆
さまやJPNICの皆さまと新たなスタートを切ることができました。とても素敵
なJPOPM40でした。
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