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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1993【定期号】2023.4.17 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1993 です
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毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記
事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい
ます。

本号の特集では、2023年3月中旬にメキシコのキンタナ・ロー州カンクンの現
地とオンラインのハイブリッドで開催された、第76回ICANN会議を取り上げま
す。本稿では、開会式をはじめとした開催概要と、プレナリーセッションお
よび分野別ドメイン名支持組織(GNSO)に関する動向を中心にお伝えします。

またNews & Views Columnでは、電子署名の標準化活動において精力的に活動
なさっている、テクノシステム株式会社の西窪健太さんにお書きいただいた
コラムを載せています。西窪さんが標準化活動に関わるようになった経緯や、
活動内容についてお書きいただきました。

また、インターネット用語1分解説では、ICANN会議報告に関連して、アジア
太平洋地域のコミュニティ向けスポンサ付きgTLDである「DotAsia」について
解説しています。

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◆ 目次
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【 1 】特集 「第76回ICANNカンクン会議報告」
【 2 】News & Views Column
       「異世界転生したら電子署名の標準化に関わっていた件」
         テクノシステム株式会社  西窪健太氏
【 3 】インターネット用語1分解説
       「DotAsiaとは」
【 4 】統計資料
         1. JPドメイン名
         2. IPアドレス
         3. 会員数
         4. 指定事業者数
【 5 】イベントカレンダー

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【 1 】特集 「第76回ICANNカンクン会議報告」
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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第76回ICANN会議(以下、ICANN76)は、2023年3月11日(土)から16日(木)まで、
メキシコのキンタナ・ロー州カンクンで開催されました。ICANN76も、ICANN74
ハーグ会議以降恒例となっている、現地+オンラインのハイブリッド開催と
なりました。

ICANN76へは、164の国・地域より2,019名の参加がありました。うち現地参加
は1,204名、遠隔参加が815名となりました。北米が約34%と最も多く、次いで
地元であるラテンアメリカ・カリブ海地域は約25%、欧州地域が約22%、アジ
ア・オーストラリア・太平洋地域からの参加者の割合が約13%と続いていま
す。アフリカ地域は約6%となりました(*1)。

本稿では、主にプレナリーセッションと、分野別ドメイン名支持組織(Generic 
Names Supporting Organization, GNSO)に関する動向についてお伝えします。
なお、JPNIC Blogでは、「ICANN76フォトレポート(*2)」として本ICANN76の
様子を写真中心にご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。

(*1) https://www.icann.org/en/blogs/details/icann76-participation-metrics-17-03-2023-en

(*2) https://blog.nic.ad.jp/2023/8730/


■ 開会式

最初に、ICANN事務局のラテンアメリカ・カリブ海地域担当副社長のRodrigo
De La Parra氏より登壇者の紹介があり、次いで開催国メキシコのローカルホ
スト委員会および同郷のICANN理事であるLeon Sanchez氏への謝意がありまし
た。

次いで、ICANN理事会議長のTripti Sinha氏より、主に次の内容の発言があり
ました。

・NextGen@ICANNの参加者(*3)とICANNコミュニティへの新たな参加者への歓
  迎の辞

・ICANNがトップに据えた2人の女性が、前週3月8日の国際女性デーを多数の女
  性とともに祝した

・ICANNにおけるジェンダーの均等待遇の進歩

・インターネットがアクセスの民主化をもたらし、アクセスを提供するあら
  ゆる場所に機会をもたらす

・ICANN創設から25周年を迎えるに当たり、IANA監督権限の移管やグローバル
  組織としての成長などの達成項目を振り返ることの重要さ

・進化するインターネットベースの世界秩序において、コミュニティとして
  重大な新しい圧力に直面

・プライバシーとセキュリティに関連する法規制がDNSサービスの提供やポリ
  シー策定を複雑にしている

・プライバシーの保護とDNS登録情報へのタイムリーなアクセスの確保という
  競合する目標が課題を増やしている

・識別子領域でのインターネット技術の進化が一意な識別子システムと衝突
  する可能性がある

・真のグローバルアクセシビリティとしてのユニバーサルアクセプタンス(*4)
  について、ICANNとUniversal Acceptance Steering Group (UASG)は、3月
  28日にUA Dayを発足し、インドおよび40か国で協調イベントを開催予定

・理事会は最近、非公開のgTLD登録データに対する登録データ要求のシステ
  ムを実装するよう事務局に指示

・DNSの不正利用に対処するための活動の一環として、DNSの不正使用を緩和
  または中断するためのレジストリおよびレジストラの義務について、契約
  上の修正を交渉中

・2022年にウクライナで緊急支援を行った経験に基づき、ICANNが緊急事態に
  おけるインターネットインフラへのアクセスを支援するための緊急支援プ
  ログラムを開発

・ICANNが既存の五つのインターネット接続点を強化することにより、アフリ
  カ大陸全体のインターネットインフラを強化することを目的とした取り組
  みを開始

(*4) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/tld-universal-acceptance.html

暫定事務総長兼CEOのSally Costerton氏からは、主に以下についての話があ
りました。

・ICANNの25周年に関連して黎明期、2016年のIANA監督権限の移管および
  Empowered Communityの設立について

・次期新gTLDの申請においてUniversal Acceptanceを推進し、より多様で多
  言語、そして包括的なインターネットを実現することに尽力している

・ICANN独自のマルチステークホルダーモデルを守らなければならない

・コミュニティを拡大し、若い利用者の参加を呼び込む必要性

次いで、メキシコ連邦政府より、通信・インフラ・運輸次官のArq Rogelio 
Jimenez Pons Gomez氏から、主に以下の点についてスピーチがありました。

・世界人口80億人のうち、53億人のインターネットユーザーがいること

・このような進展にもかかわらず、20億人以上の人々がオフラインのままで
  あること

・デジタルデバイドは金融包摂、教育、高い生産性などのメリットの享受を
  止めてしまうこと

・ラテンアメリカ・カリブ海地域におけるインターネット利用の最大リスク
  は、サイバーセキュリティであること

・ユーザーとそのオンライン体験を脅かす、違法コンテンツの拡散を抑制す
  る点に関するICANNの活動を評価し、ICANNが他の組織と協力してこのチャ
  ネルに対処していることを称賛したい

その次には、キンタナ・ロー州知事Mara Lezama氏の代理として、同州政府社
会・組織間連携次官のFrancisco Carrillo Flores氏からは、主に次の点につ
いて話がありました。

・パンデミックの影響で足踏みしたものの、カンクンやキンタナ・ロー州が
  観光地として、ここ数年、大きな成長を遂げていること

・このようなイベントの開催により、観光を活性化することで州全体に福祉
  を行き渡らせるために、福祉に関する新たな協定に向けた行動を強化する
  のに役立つこと

・州政府は、近代化、デジタル化の導入、社会に利益をもたらすための行動
  を推進していること

その後、De La Parra氏より、古代マヤの伝統に基づく文化公演グループU 
Kiilbal Chaak(雨の雷神)が紹介されました。演者たちは、祖先がどのように
ボール遊びをし、自国音楽のリズムで踊っていたかということと、こうして
彼らは、異なる戦士と異なるマヤの時代を祝う、との旨が紹介された後、上
演が開始されました。


■ プレナリーセッション

○WSIS+20(*5)に向けて:インターネットガバナンスにおけるマルチステーク
  ホルダー参加をいかに改善するか?

ICANN76におけるICANNコミュニティのプレナリーセッションは、Nigel 
Hickson氏(GAC)による、今後のWSISレビュープロセス主要目標の紹介で始ま
りました。続いてモデレーターのSebastien Bachollet氏(ALAC)が、WSISの歴
史と状況の説明、WSIS+20のレビュープロセスについての議論、ステークホル
ダーの意見の共有という、三つのセクションについて説明しました。

パネリストからは次の通り、情報共有または議論提起がなされました。

・元々のWSIS会合、その目標および達成したことについて

・ステークホルダー間の関係、マルチステークホルダーガバナンスの重要性

・WSISの価値とWSIS+20のレビュープロセスについて議論

・WSIS+20のレビュープロセスが国連総会が定めた枠組みの下で行われること
  に懸念を示し、マルチステークホルダーアプローチと言えるほどオープン
  ではない可能性がある旨を指摘

・WSIS+20の結果の一つとして、インターネットガバナンスフォーラムの開催
  に関する委任が更新されない(*6)可能性があることについて懸念、革新的
  であることの重要性を強調

・IANA監督権限移行など、マルチステークホルダーモデルの成功例を強調

・ICANNがインターネットガバナンスにおいてより強い発言力を持つようにな
  るための基盤があること

・マルチステークホルダーモデルを進化させることが重要であると強調し、
  ICANNがインターネットガバナンスの議論をリードすることを奨励

・インターネットコミュニティ全体で協力的な情報共有の取り組みを促進す
  ることは、ICANNが革新的で影響力のある存在であり続けるために役立つ

・政府組織がステークホルダーの意見を確実に聞き入れるための4段階からな
  る計画を提示

・公共政策立案者に助言するために技術コミュニティを利用することを提案

・エンドユーザーが政府の取り組みに参加できるようにすることの重要性を
  強調

本セッション参加者は、WSIS+20にICANNが参加することを呼びかけるととも
に、ICANNがマルチステークホルダー・インターネット・ガバナンスをより効
果的に提唱するために何ができるかを検討するよう促しました。

(*5) 国連による2005年の世界情報社会サミット(WSIS)の合意から20年後の成
     果の実施を評価しようとする活動。2025年に開催が予定されています。

(*6) 前回2015年に開催されたWSIS成果実施状況レビュー(WSIS+10)では、2025
     年までのIGFの開催が定められました。
     https://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No61/0620.html


■ アドレス支持組織(ASO)

新型コロナウイルス感染症禍の間セッションが開催されてきませんでしたが、
今回は作業セッションが五つ開催され、Address Council of the Address 
Supporting Organization (ASO AC)(*7)運営手順(*8)のうち、役員、ミーティ
ング、グローバルな政策展開、投票、ICANNボードメンバー選考の部分に関し
て、改定の可能性について検討されました。

3月15日に開催された、ASOとICANN理事会の合同セッションでは、ICANNと番
号コミュニティとの協力について議論されたのち、質疑応答ではAFRINIC(*9)
の運営における制限について質問があり、RIRが支える役割を果たすこと、お
よびICANNも例外的な状況において支援する体制が整っていることの2点が回
答されました。

他には、Let's Talk About Numbersと名付けられたセッションで、Public 
Technical Identifiers (PTI)(*10)の構成と、割り当てられた番号資源の状
況、および各地域のポリシー提案や重要な議論トピックなどについて共有さ
れました。

(*7) ASO ACはNumber Resource Organization (NRO) Number Council (NC)の
     15名のメンバーからなり、ICANN付属定款第9条#で規定されています。

(*8) https://aso.icann.org/documents/operational-documents/operating-procedures-of-the-address-council-of-the-address-supporting-organization/

(*9) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/rir.html

(*10) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/pti.html


■ 分野別/一般ドメイン名支持組織(GNSO)

本セクションでは、よりよくご理解いただくために、ICANN76より前の状況を
記載している場合があります。

○EPDP-IDNs

ICANN76では、国際化ドメイン名に関する迅速ポリシー策定プロセス
(EPDP-IDNs)が2セッション開催されました。第1セッションでは、EPDP-IDNs
チームは、異体字gTLDの導入を考慮した申請料金およびレジストリレベル料
金の調整の可能性に関する議論を終わらせることについて焦点を当て、第2
セッションでは、EPDP-IDNsチームは、ICANN76に先立って配布された勧告文
草案の2回目の提示を実施しました。2回目の目的は、EPDP-IDNsチームからの
さらなるコメントを分析・対応し、近日中に発表される予定のフェーズ1初期
報告書に含めるために、これらの勧告を確定させることとなっています。

○移転ポリシー評価PDP

移転ポリシー評価ポリシー策定プロセス作業部会(Transfer Policy Review 
PDP Working Group)は、ICANN76会期中に二つのセッションを開催しました。
最初のセッションでは、レジストラ間ドメイン名移転に関連する問題を緊急
に解決するために、レジストラが設置することを要求される連絡先である、
「移転に関する緊急対応のための連絡先」(Transfer Emergency Action 
Contact)の改善を要求され得る機会を特定することに焦点を当てました。第2
セッションでは、WGのメンバーおよびGNSOコミュニティの参加者は、不要な
レジストラ間移転の取り消しに関連する既存のツールおよび要件にギャップ
があるかどうか、また、それらの満たされていないニーズに対処するための
潜在的な解決策を検討しました。

○申請者サポートに関する支援プロセス

ICANN76の作業セッションにおいて、申請者支援作業部会におけるGNSO支援プ
ロセス(GGP)は、アウトリーチ、教育、ビジネスケース開発、申請評価支援、
成功の指標としての測定基準の特定に関する目標や関連するアプローチにつ
いて議論しました。

○GNSO評議会小チーム:EPDP-TempSpecフェーズ2

2023年2月27日のICANN理事会決議で、WHOISディスクロージャーシステムの開
発と立ち上げを早急に進めるようICANN事務局に指示されたことを受け、GNSO
評議会のgTLD登録データフェーズ2の暫定仕様(TempSpec)に関するEPDP小チー
ムは、ICANN76期間中にICANN事務局との間で、次のステップと実施プロセス
に関する将来の取り組みについて話し合いました。実装のタイムラインと今
後のマイルストーンの確認に加え、小規模チームは、システムの実際の動作
をよりよく反映したシステムの名称について議論した結果、登録データ要求
サービス(RDRS)と呼ばれることになりました。ICANN事務局は、2023年末まで
にこの新サービスを開始する意向だということです。

○独占利用を目的とする一般名称に関する対話

GNSO、政府諮問委員会(GAC)、およびAt-Largeコミュニティからの「独占利用
を目的とする一般名称(Closed Generic) gTLDに関して促進された対話」のメ
ンバーは、ICANN76で会合を開き、新gTLDプログラムにおけるClosed Generic 
gTLDの枠組みを起草する作業を継続しました。合意されれば、この枠組みは、
適切なGNSOのプロセスを通じて解決されることが期待される政策の詳細につ
いての基礎が、実質的に形成されることになります。

○GNSO評議会

2023年3月15日の会合で、GNSO評議会は以下の点について検討しました。

・期限切れドメイン名削除ポリシーと期限切れドメイン名登録回復ポリシー
  検討のための次段階

・次期新gTLD募集プロセス(SubPro)のタイムラインに影響を与える可能性の
  ある、GNSO管轄のプロジェクトのレビュー

・ICANN理事会が保留にしているSubPro勧告を、GNSO評議会が検討するための
  次段階についての議論の継続

・RDRSの次の段階

・GNSO議長選挙のタイムライン

・ポリシー・実装作業部会最終勧告報告書に関する状況報告書

また、GNSO評議会は、「継続的改善の監督と実施のためのGNSO評議会委員会」
の作業部会自己評価勧告報告書を採択することを決議しました。

他に、GNSO評議会は重要課題について、ICANN理事会、GAC、および(非公式
に)ccNSOと議論セッションを開催しました。

○次期新gTLD募集プロセス(SubPro)PDP

ICANN76では、ICANN事務局のSubProチームが2名のICANN理事とのセッション
を開催し、SubPro最終報告書の勧告の実施における次のステップや、運用設
計評価(Operational Design Assessment, ODA)に詳述されている最終報告書
の問題点について議論しました。ICANN76において、ICANN理事会は、SubPro
PDP最終報告書に含まれる98の推奨事項を採択し、その他のアウトプット、特
に実施ガイダンスと確認事項を承認しました。ICANN理事会は、38のアウト
プットを保留とし、これはGNSOとのさらなる議論が必要であることを意味し
ます。

○権利保護機構(RPMs) PDP

2022年1月16日、ICANN理事会は、全gTLDにおける権利保護機構(RPM)の見直し
PDPから、フェーズ1の合意方針勧告を採択しました。フェーズ1の実装レ
ビューチーム(IRT)は、ICANN76の期間中に開催されました。RPMs PDPのフェー
ズ2は、統一ドメイン名紛争解決方針(UDRP)の見直しとなります。GNSO評議会
がフェーズ2のチャーターと作業範囲を策定するのを支援するために、ICANN
事務局はUDRPに関するポリシー状況報告書を作成し、パブリックコメントの
ために公開されました。GNSO評議会は、2022年8月に最終的なポリシー状況報
告書を検討しました。2023年2月16日の会合で、GNSO評議会は、フェーズ1の
IRTが作業を完了する間、フェーズ2の次のステップを18ヶ月間延期すること
に合意しました。

○EPDP-IGOs

政府間機関(IGO)のための特定事後権利保護に関するEPDP(EPDP-IGOs)は、2022
年4月4日にGNSO評議会に最終報告書を提出しました。2022年6月、GNSO評議会
はICANN理事会に対し、最終報告書に記載されたEPDP-IGOsの五つの最終ポリ
シー勧告をすべて採択するよう勧告しました。2022年11月から2023年1月にか
けて、ICANN理事会の検討に向けて、合意されたポリシー提言に対する意見募
集手続きが行われました。ICANN76の期間中、GNSOがGACおよびICANN理事会と
の二者間会合で、次の段階が議題となりました。


■ ICANN会議参加支援プログラム

JPNICでは、2019年3月に神戸で開催したICANN64のローカルホストである
ICANN64ローカルホスト委員会の協賛を受けて、「ICANN67参加支援プログラ
ム」として、2020年3月にメキシコ・カンクンで開催される予定だった
ICANN67への参加を希望する18歳から30歳までの方を募集し、選出された方に
は、参加に必要な旅費等の補助を行うことになっていました。ところが、新
型コロナウイルス感染症禍のためICANN67が遠隔参加のみとなり、本プログラ
ムは延期となりました。再開された時点で、ICANN67参加支援プログラムに選
出された方々(フェロー)に参加いただくこととなりました。

そして、奇しくも同じカンクンで開催されることとなったICANN76をターゲッ
トに本プログラムを再開することになり、2名のフェローに参加いただくこと
ができました。JPNICのフェローは、ICANNが実施したフェローシッププログ
ラムの各セッションを聴講したり、各SO/ACのセッションに出席したりして大
いに見聞を広めました。「終わりに」に記載の第66回ICANN報告会にて、フェ
ローによる報告が行われました。


■ 次回会合

次回会合であるICANN77は、2023年6月12日(月)から15日(木)まで、米国・ワ
シントンDCにて開催されます。この会議および秋にドイツ・ハンブルクで開
催予定のICANN78では、ICANN25周年記念のセッションも開かれる旨、開会式
でCosterton暫定事務総長が発言していました。


■ 終わりに

ICANN76の模様は、2023年4月12日に開催された第66回ICANN報告会にて詳細に
報告されました。本項で触れていない国コードドメイン名支持組織(ccNSO)や
政府諮問委員会(GAC)などについても報告されました。追って資料および録画
を公開予定ですので、ご期待ください。


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 ┃     ◆◇◆◇◆  本特集のご感想をお聞かせください  ◆◇◆◇◆     ┃
 ┃良かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1993/de98720a4cecd6dfd3ef6942daf1599c ┃
 ┃                                                                  ┃
 ┃悪かった                                                          ┃
 ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1993/d35589b58461474d5679177929d523e4 ┃
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 2 】News & Views Column
       「異世界転生したら電子署名の標準化に関わっていた件」
                                       テクノシステム株式会社 西窪健太
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

タイトルはネタです。業務で必要になり電子署名を勉強していたら、いつの
間にか電子署名の標準化活動に関わるようになっていました。どのような経
緯でそうなったのか、ご紹介します。

コロナ禍を契機に紙の書類が激減し、代わりにインターネットでのオンライ
ン手続きが増えました。便利になったのは間違いないですが、不便になった
こともあります。紙の書類であれば押印することで本人が作成したことを比
較的簡単に認めてもらえたのですが、電子文書に対して印影を画像データに
して貼り付けても認めてもらえないことは少なくありません。紙の書類と同
等の信用を持たせるためには、別の仕組みが必要です。それが電子署名です。

電子署名について詳しく知りたい方は以下をご参照ください。
https://www.jnsa.org/result/e-signature/e-signature-qa/

当時、私は電子文書をセキュアに発行する機能を製品に組み込む業務を担当
しており、電子署名がぴったりだと思ったのですが、電子署名は人間が行う
ことを前提としたものであり、システムが発行する文書に自動で付与するよ
うな使い方はカバーされていないことがわかりました。

この課題を解決する方法を求めてJNSA電子署名WGを訪ねると、そこでシステ
ムが利用できる電子署名として、電子シールという仕組みが検討されている
ことを知りました。最先端の仕組みをいち早く製品に取り入れるために積極
的に議論に参加しているうちに、仕様を作るおもしろさに心を惹かれ、電子
署名の標準化活動に関わるようになりました。

2022年にはクラウドを利用した電子署名の保証レベルについての議論に参加
し、電子署名保証レベルガイドの要約版を公開しました。

https://www.jnsa.org/result/e-signature/2022/index.html

標準化の議論に参加することで、新しい世界を知ることができました。2023
年は、国際会議で積極的に発言することが目標です。


■筆者略歴

西窪 健太 (にしくぼ けんた)

テクノシステム株式会社に入社後、製品開発を担当。お客様の課題に向き合
うため、質の高いコミュニケーションを探求している。
ISO/TC 154/WG 6 委員。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 3 】インターネット用語1分解説
         「DotAsiaとは」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

DotAsia Organisation Ltd.(DotAsia)とは、2006年10月に新しくgTLD 
(generic Top Level Domain)として承認された、.asiaのレジストリ(登録管
理組織)です。

.asiaは、2003年にICANN (The Internet Corporation for Assigned Names 
and Numbers)により実施された2回目の新gTLD募集に対して申請が行われまし
たが、2012年に実施された直近の第3回募集とは異なり、スポンサ付きgTLD
(sTLD)に対象が限られていました。スポンサ付きgTLDは、特定の業界・分野
内に運用が限られるgTLDで、特定のコミュニティを代表する組織が支持母体
(スポンサ組織)となり、そのスポンサ組織により登録ポリシー等が作成され
ます。.asiaは、アジア太平洋地域の企業や個人、 団体等を対象とした地域
コミュニティ向けのスポンサ付きgTLDで、この.asiaのスポンサ組織として、
2006年に香港の非営利法人としてDotAsiaが設立されました。

DotAsiaは会員制組織となっていて、アジア太平洋地域のccTLDレジストリか
らなるSponsor Memberと、APNICなどアジア太平洋地域のインターネット関連
団体からなるCo-Sponsor Memberによって構成されています。自身がレジスト
リを務める.asiaの運営から得られる収益を用いることで、DotAsiaはアジア
太平洋地域を中心としたインターネットの振興を行っています。


■ 参考

   インターネット用語1分解説「sTLDとは」
   https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/stld.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 4 】統計資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1. JPドメイン名

o 登録ドメイン数(2022年11月~2023年4月)
--------------------------------------------------------------------------------------------
日付|  AD  AC    CO    GO   OR    NE   GR   ED   LG   GEO    GA    GJ     PA   PJ   TOTAL
--------------------------------------------------------------------------------------------
 11/1|251 3806 466163 769 39685 12857 5550 6350 1898 2092 1079533 85758  9372 1465 1715549
 12/1|251 3810 467030 774 39735 12860 5542 6351 1899 2092 1082126 85641  9302 1407 1718820
  1/1|251 3816 467842 773 39811 12839 5543 6348 1898 2091 1083725 85536  9264 1400 1721137
  2/1|251 3824 468296 779 39871 12839 5533 6363 1900 2088 1086600 85374  9245 1402 1724365
  3/1|250 3822 468940 778 39936 12838 5523 6371 1900 2086 1090004 85203  9255 1393 1728299
  4/1|249 3817 470103 781 39990 12831 5502 6385 1900 2083 1094234 84958  9271 1391 1733495
--------------------------------------------------------------------------------------------

 GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字)
 GJ:汎用ドメイン名 日本語
 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字)
 PJ:都道府県型ドメイン名 日本語


2. IPアドレス

o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数
  (2022年10月~2023年3月)
------------------------------------------
  月 |   割振   |   返却   | 現在の総量
------------------------------------------
  10 |        0 |        0 |   92236936
  11 |     1536 |   640000 |   91598472
  12 |     1024 |        0 |   91599496
   1 |     1536 |        0 |   91601032
   2 |     8704 |        0 |   91609736
   3 |     5888 |    25600 |   91590024
------------------------------------------

□統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/


3. 会員数  ※2023年4月10日 現在

 ---------------------
  会員分類  | 会員数 |
 ---------------------
  S会員     |      3 |
  A会員     |      0 |
  B会員     |      1 |
  C会員     |      3 |
  D会員     |     90 |
  非営利会員|      9 |
  個人推薦  |     28 |
  賛助会員  |     40 |
 ---------------------
  合計      |    174 |
 ---------------------

□会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/


4. 指定事業者数  ※2023年4月14日 現在

   IPアドレス管理指定事業者数           494


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 5 】イベントカレンダー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  2023.4.16(日)~19(水)         ARIN 51 (Tampa, U.S.A.)
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  2023.5.8(月)~12(金)          LACNIC 39 (Merida, United Mexican 
                                States)
  2023.5.9(月)~13(土)          SANOG 39 (Bangladesh)
  2023.5.15(月)~19(金)         JPNIC技術セミナー
                                (東京都、JPNIC会議室+オンライン)
  2023.5.24(水)~26(金)         RIPE (Rotterdam, the Netherlands)
 ---------------------------------------------------------------------
  2023.6.12(月)~14(水)         NANOG 88 (Seattle, U.S.A.)
  2023.6.12(月)~15(木)         ICANN77 (Washington, D.C., U.S.A.)


     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
      わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
                  ◇              ◇              ◇
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 JPNIC News & Views vol.1993 【定期号】

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